18日(火)。明日19日(水)12:05から内幸町の飯野ビル1階エントランスホールで「ランチタイムコンサート」があります 今回の出演者は国立音楽大学出身者、フルートの下払桐子さんとピアノの河野俊也さんです プログラムは①モーツアルト「ディヴェルティメント第17番K.334」から「メヌエット」、②バッハ「フルート・ソナタBWV1031」、③同「パルティータ・イ短調」より、④ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第21番”ワルトシュタイン”」より第1楽章、ジュナン「ヴェニスの謝肉祭」です
内幸町に勤務の方、飯野ビル方面にお越しの方は是非お立ち寄りください
閑話休題
16日(日)午後1時半からサントリーホールのブルーローズ(小ホール)で、同ホール・チェンバーミュージック・ガーデン・フィナーレ公演を聴きました
プログラムは①ドヴォルザーク「ピアノ三重奏曲第3番へ短調」、②サントリーホール・オペラ・アカデミー選抜メンバーによる歌曲、③ショスタコーヴィチ「弦楽八重奏のための2つの小品」、④ボッケり―二「2つのチェロのためのソナタ ハ長調」、⑤ポッパー「2つのチェロのための組曲」、⑥ブラームス「ピアノ五重奏曲へ短調」です
自席はRb7列3番、右ブロック左サイドです。さすがにフィナーレ公演は人気が高く、センターブロックのチケットは押さえられませんでした もちろん会場は満席
1曲目のドヴォルザーク「ピアノ三重奏曲第3番ヘ短調」は、アルク・トリオの演奏です。メンバーはヴァイオリン=依田真宣、チェロ=小野木遼、ピアノ=小澤佳永で、ともに東京藝大出身者です
第1楽章はまるでブラームスのようなほとばしる情熱を感じさせる曲想です 第2楽章はスケルツォ的なポルカ、第3楽章は穏やかな心休まる曲想、第4楽章は情熱的な音楽です。依田のヴァイオリンと小野木のチェロが実によく歌います
次にサントリーホール・オペラ・アカデミー選抜メンバーによる演奏がありました 2011年秋に開設した若い音楽家のための「プリマヴェーラ・コース」第1期を優秀な成績で修了したフェロー2名が選ばれました
一人目は東京藝大出身の保科瑠衣(ほしな・るい)です。淡いベージュのドレスでピアノの古藤田みゆきとともに登場します トスティの「よそ者(異邦人)」とザンドナーイの「けがれなき女(ひと)」をドラマティックに歌い上げました
二人目は東京音大出身で二期会会員の佐藤優子です。朱色のドレスで登場します ちょっとみ「舟歌」の矢代亜紀に似ています
最初にロッシーニの「約束」を軽やかに歌い、次いでオッフェンバックのオペラ「ホフマン物語」から有名なアリア「森の小鳥は憧れを歌う」を、ネジまき人形オランピアのユーモラスな動きを表現しながら見事に歌い上げました この日配られたプロフィールを見ると、今年8月に二期会公演「ホフマン物語」でオランピア役で出演する予定と書かれていました。彼女、いい線いっています。成功すると思います ただ、「ホフマンの舟歌」ならいいけど、矢代亜紀の「舟歌」は止めといた方がいいと思います。イメージ壊れるから
プログラム前半の最後はショスタコーヴィチ「弦楽八重奏のための2つの小品」です。この曲はショスタコーヴィチが18歳の時に書き始められました。「プレリュード」と「スケルツォ」から成ります
向かって左サイドに、楽譜を前にしたクァルテット・エクセルシオが、右サイドに、マックブックの電子楽譜を前にしたボロメーオ・ストリング・クァルテットが、左右シンメトリックな態勢でスタンバイします
とくに「スケルツォ」はショスタコーヴィチらしい諧謔的な激しい音楽です 若き日からショスタコーヴィチはリズム感溢れる”前進あるのみ”の曲を書いていたのですね 第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが狂ったように弦を擦ります いいなと思ったのは大友肇のチェロです。実にいい仕事をしています
休憩後の最初はボッケリー二「2つのチェロのためのソナタ ハ長調」です。ボッケリー二はスペインの宮廷付チェロ奏者兼作曲家として働いていましたが、弦楽五重奏曲を100曲以上も作曲しました 演奏はハーゲン・クァルテットのチェリスト、クレメンス・ハーゲンと堤剛です
3つの楽章から成りますが、ハイドンのチェロ協奏曲によく似たフレーズが現われる第1楽章を聴いて、チェロ2本だけでこんなにも豊かな音楽が奏でられるのか、とました。
次いで同じ演奏家によってポッパー「2つのチェロのための組曲」が演奏されます ポッパーはプラハの教会音楽家のもとに生まれました。24歳でウィーン宮廷歌劇場の首席チェリストとなり、同楽団のヘルメスベルガ―とともに弦楽四重奏団を結成しました この曲は4つの曲から成りますが、ハーゲンと堤は軽快に美しく伸びやかなチェロを奏でていました
最後の曲はブラームスの「ピアノ五重奏曲ヘ短調」です。ボロメーオ・ストリング・クァルテットと小山実稚恵(ピアノ)によって演奏されます
ブラームスは29歳の時、この作品を弦楽五重奏曲として作曲しました その後、友人のヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムの助言もあり、2台のピアノのためのソナタとして書き直しました その後さらに、クララ・シューマンの助言もあって、再び弦楽器を取り入れて、1864年秋にピアノと弦楽四重奏という現在の形に完成しました
(ピアノ五重奏曲の前身”2台のピアノのためのソナタ”を
収録したアファナシエフとスハーノフの演奏によるCD)
小山のピアノから入りますが、ボロメーオ・ストリング・カルテットは例によってマックブックの電子楽譜を見ながら演奏します なかなかの熱演ですが、気のせいか、ブラームスを演奏するにはちょっと明るすぎるというか、軽いというか、そんな感じがしました 具体的にどこがどうだ、とは言えないのですが、どこか物足りなさを感じました
とは言うものの、フィナーレの熱演は圧倒的で、会場を興奮の坩堝に陥れました 今年のチェンバーミュージック・ガーデンの最後を飾るのに相応しい素晴らしい演奏だったと思います
午後1時半に始まったこのフィナーレ・コンサートが終了したのは午後4時45分、3時間以上にわたるマラソン・コンサートでした これで、今年のチェンバーミュージック・ガーデンも終わり 来年を楽しみにしたいと思います