16日(日)。昨日は午後2時から紀尾井ホールでヴァレリー・アファナシエフのピアノ・リサイタルを、夜7時からサントリーホールのブルーローズでボロメ―オ・ストリング・クァルテットのベートーヴェン・サイクルⅤを聴きました ここではアファナシエフのピアノ・リサイタルの模様を書きます
プログラムはブラームスの後期のピアノ小品で①7つの幻想曲・作品116、②3つの間奏曲・作品117、③6つのピアノ曲・作品118、④4つのピアノ曲・作品119です
自席は1階15列5番、左ブロックの右通路側です。会場はほぼ満席 ホールに入ってすぐ左にあるCD売り場には人だかりができています アファナシエフは気難しそうなのでサイン会などしないのかと思っていたら「サイン会あり」の表示が出ています この日演奏するブラームスの後期ピアノ小品集のCDは2枚とも持っているので(写真上)、ブラームスの「2台のピアノのためのソナタ」のCD(写真下)を買いました。サインもらうんだもんね
作品116の「7つの幻想曲」と117の「3つの間奏曲」は1892年に、作品118と119は1893年に、ザルツブルク郊外のバート・イシュルで作曲されました ブラームス59歳~60歳の時の作品です
会場の照明が落とされ、アファナシエフの登場です。会場に軽く一礼したかと思うとすぐにピアノに向かい作品116を弾きはじめました この素っ気なさはいつもの彼の演奏パターンです 彼の指使いを見ていると、ほれぼれします。指がしなやかでとても綺麗です 指だけ見ているとまるで貴婦人のようです。1947年生まれなので現在66歳ですが
7つの幻想曲は「奇想曲」と「間奏曲」が交互に演奏されます。アファナシエフは大袈裟な身振りは微塵もなく、淡々と音を紡いでいきます
作品116が終わると、立ち上がって一礼し、すぐに座り直して作品117に入ります。これも彼の演奏パターンです 私はブラームスのピアノ曲の中ではこの「3つの間奏曲」の第1曲が一番好きです
この曲を聴いておやっ?と思ったのは、前回この曲を、確か東京オペラシティコンサートホールで聴いた時には、今にも止まりそうなゆったりしたテンポだったのが、この日の演奏は普通に近いテンポだったということです 彼の演奏スタイルが変わったのか、あるいは私の勘違いなのか、わかりませんしかし、真珠の粒をばらまいた時のようなキラキラ光る音の粒立ちはまったく変わりません
それは休憩後の作品118についても最後の作品119についてもまったく変わりません
作品119の「4つのピアノ曲」の第4曲「ラプソディー」をスケールの大きな演奏で弾き切り、会場一杯の拍手を受けました 何度も舞台に呼び戻されましたが、すまなそうな顔をして素っ気なく引き上げていきました サイン会を控えているので指を酷使するアンコールは弾きたくないのでしょう
通路側席にいるので有利だと思ってサイン会場に向かうと、すでに長蛇の列が出来ていました しばし待たされましたが、アファナシエフが登場しました。ニコニコしながらサインをする彼を見ていて、気難しいアファナシエフというイメージが吹き飛びました
係りの女性から「サインは黒のサインペンで書くので黒っぽいCDジャケットには書けない」と言われたので、CDそのものにサインをしてもらうように準備しました ところが、アファナシエフが持っていたサインペンは金色でした。そうであればCDジャケットにサインをもらったのに・・・・・係りの女性の行為を世間では「小さな親切、大きなお世話」と言います でも、彼のサインをもらったので良い思い出が出来ました。時間がある時にゆっくり聴こうと思います
(正面から撮るとアファナシエフの頭と同じでケータイを写し
込んでしまうので、斜に構えて撮りました)