29日(土)。昨夕、X部長から「30分だけ」「蕎麦だけでも」という住宅販売並みの勧誘があったのですが、7時から池袋でコンサートを聴くので、心を鬼 にして丁重にお断りしました。結果的に、断っておいて良かったことは後で分かります
閑話休題
という訳で、昨夕、池袋の東京芸術劇場コンサートホールでクラシカル・プレイヤーズ東京の演奏会を聴きました プログラムは①モーツアルト「歌劇”フィガロの結婚”序曲K.492」、②同「ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467」、③ベートーヴェン「交響曲第8番ヘ長調」です。指揮は有田正広、②のピアノ独奏は仲道郁代です
自席は1階K列13番、センターブロック左通路側です。会場は8~9割方埋まっている感じです
クラシカル・プレーヤーズ東京はオリジナル楽器を演奏する35~36名の音楽集団です 舞台に登場したメンバーを見渡すと、バッハ・コレギウム・ジャパン(B.C.J)で活躍中の三宮正満、尾崎温子(以上オーボエ)、前田りり子、菅きよみ(以上フルート)、荒木優子(ヴァイオリン)、そして新日本フィルの藤田麻理絵(ホルン)の姿が見えます
オケは左サイド奥にコントラバス、前の左から第1ヴァイオリン、右にチェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置を採ります。2曲目のコンチェルトに備えてピアノフォルテが中央に設置されています
1曲目のモーツアルトの歌劇「フィガロの結婚」序曲が軽快なテンポで始まります。モーツアルトをオリジナル楽器で演奏する時の大事なポイントは”メリハリ”です その意味で、有田正広の指揮はテンポの設定からメリハリの付け方まで申し分ありません モーツアルトが息づいています。弦楽器も、管楽器も古楽器特有の柔らかな音色で耳に心地よく響きました
ソリストの仲道郁代を迎えて2曲目の「ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467」が始まります。使用楽器はモーツアルト(1756-1791)が生きていた頃の楽器を複製したフォルテピアノ(1790年頃 J.A.シュタイン・モデル)です。木製で、ペダルがありません
フォルテピアノは音が小さいので、ピアノの独奏部分では伴奏楽器が音を小さくして演奏します。ある時は、弦楽器は各楽器のトップ各2人、つまり8人だけでピアノを支えます 弦楽器、管楽器とピアノとのブレンドが何とも言えない魅力となって流れます。オーボエの三宮正満、フルートの前田りり子の演奏が光っています モーツアルトの生きていた時代にはこういう音がしていたのだな、と感慨深いものがあります 当時と異なるのは会場の大きさです。当時はサロン的なこじんまりした会場で演奏していたのに対して、現代では2000人規模のコンサートホールで演奏されるということです。したがって、おのずと弾き方も違っているはずです
仲道郁代はスコアらしきものを譜面台に置いていますが、ほとんど見ないで弾いています 彼女がスコアを見たのは各楽章の「カデンツァ」の部分だけです。一音一音を慈しむように音を紡いでいきます
会場一杯の拍手 に応えて、モーツアルトの「ピアノ・ソナタK.332」の第2楽章をしみじみと演奏しました。オリジナル楽器に相応しい選曲のように思いました
休憩後のベートーヴェン「交響曲第8番ヘ長調」は、”舞踏の権化”と言われ、”のだめカンタービレ”のテーマでもあった第7番をチューリップとし、世界遺産的な第9番”合唱付き”を大輪のヒマワリとすれば、その間に咲いたスミレのような曲です どの楽章も魅力に満ちた曲想で、私は大好きです。精魂を込めて書いた7番や9番と違って、肩の力を抜いて楽しんで書いたような明るく楽しい曲です
この曲でも、メリハリの利いた演奏が生き、”現代に息づくベートーヴェン”と表現するのに相応しい素晴らしい演奏が展開しました 観客の反応の良さに気を良くした有田はコンマスに、アンコールの準備をするよう声をかけ、第8番の第4楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」をもう一度演奏しました
なお、休憩時間にロビーで10月24日(木)午後7時から東京芸術劇場コンサートホール・エントランスで開かれるクラシカル・プレイヤーズ東京の「室内楽演奏会シリーズ」第1回公演のチケットを販売していたので、手帳で日程が空いていることを確認して買いました 全席自由席で2,000円です。有田正広のフルート、竹澤秀平(新日本フィル)のチェロ、荒木優子のヴァイオリンほかで、モーツアルトの「フルート四重奏曲」他が演奏されます
次回のクラシカルプレイヤーズ東京の演奏会は来年の2月1日(土)午後3時から東京芸術劇場です。バッハの管弦楽組曲第3番他が演奏されます。これも聴きに行きます