人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

サントリーホール室内楽アカデミーゲストコンサートを聴く~ブラームス、モーツアルト

2013年06月15日 07時01分03秒 | 日記

15日(金)。昨夕、サントリーホールのブルーローズ(小ホール)で、同ホール室内楽アカデミーゲストコンサートを聴きました プログラムは①ブラームス「ピアノ四重奏曲第1番ト短調」、②バルトーク「弦楽四重奏曲第2番」、③モーツアルト「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲変ホ長調K.364」です

 

          

 

自席はC3列3番、センターブロック左サイドです。会場はほぼ満員です

最初のブラームス「ピアノ四重奏曲第1番ト短調」を生で聴くのは、4月18日に新日本フィル室内楽シリーズで、同フィル第2ヴァイオリン奏者・篠原英和さん他による熱演を聴いて以来です

この曲は渡辺玲子(ヴァイオリン)、川本嘉子(ヴィオラ)というベテラン二人と、小野木遼(チェロ)、内藤由衣(ピアノ)が演奏しました

この作品は1855年頃ブラームス(1833-97)が20代の始めに構想され、1861年に完成しましたが、ハンブルクでの初演ではクララ・シューマンがピアノを弾きました

渡辺はグリーンの、川本はマリンブルーの、内藤はゴールドの衣装で登場します 貫録たっぷり、大ベテランの渡辺、川本を相手に内藤はしっかりした音楽性を持って若き日のブラームスの音楽に対峙していました 第4楽章「ジプシー風ロンド」は速いパッセージで各楽器が競奏しますが、こういうところは何とも言えないブラームスの魅力の一つです

演奏が終わると、川本が後ろにいる内藤に、前に出てくるよう促して、良き先輩の手本を見せていました。川本は姉御肌の人のようです

2曲目のバルトーク「弦楽四重奏曲第2番」は、クァルテット・ソレイユの演奏です。メンバーは、ヴァイオリン=平野悦子、東山加奈子、ヴィオラ=高橋梓、チェロ=大田陽子で、東京藝大在学中にクァルテットを結成したとのこと このうち東山と高橋は先日の公演でブラームスの「弦楽六重奏曲第1番」をカルミナ・クァルテットと共に熱演し、拍手喝さいを受けたメンバーです

 

          

 

この作品はバルトーク(1881-1945)が30代半ばの1915~17年にかけて作曲され、1918年にブタペストで初演されました

4人の登場です。4人とも赤系統の衣装で統一しています 第1楽章が開始されると、ただならぬ緊張感が会場を満たします この曲は1918年の作曲といいますから、第1次世界大戦のさなかに作られた曲です。 そうした重苦しい雰囲気を4人は並々ならぬ集中力を持って見事に表現していました 初めて彼女たちの演奏を聴きましたが、極めてレベルが高いと思いました。今後も幅広く活躍してほしいと思います

休憩後のモーツアルト「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」は、渡辺玲子(ヴァイオリン)、川本嘉子(ヴィオラ)をソリストに、サントリーホール室内楽アカデミー・アンサンブルによって演奏されます コンマスは、オープニング・コンサートでチェロの堤剛、ピアノのクレール・デゼールとともにラヴェルのピアノ三重奏曲を見事に演奏した依田真宣です オケは総勢18人のメンバーですが、そのうち男性奏者は4人のみです 端から顔ぶれを見ると、マスタークラスで生徒を務めたあの顔この顏が見えます。おや?ヴィオラの席にクァルテット・エクセルシオのヴィオラ奏者・吉田有紀子の姿が・・・・これで福井萌、高橋梓、飯野和英とともにヴィオラ・セクションは万全です

女性はブルー・パープル系の衣装がほとんどの中、チェロの鎌田茉莉子だけが朱色のドレスで、全体にアクセントを加えていました

この作品は1779年、モーツアルトが23歳のときにザルツブルクで作曲されました

ソリスト2人がセンターで楽器を構え、コンマスとアイコンタクトで第1楽章が開始されます 若いメンバーのオーケストラを相手に演奏する渡辺、川本の二人の姐御は存在感抜群で、目と目で掛け合いをやりながらソリストを務めていました。とくに川本は、時に弓を振ってオケをリードし指揮者を兼務していました。この人は”仕切る”癖があるようです。別にいいんですが

この曲の第2楽章を聴くといつも、評論家・小林秀雄が表現した「人間存在根底の哀しみ」という言葉を思い浮かべます。澄み切った青空なのに何故か哀しい、そんな感じです

終演後の拍手 の中、川本の合図で全員が、会場の右サイドの方を向いて一礼、左サイドの方を向いて一礼、正面に向き直って一礼し、それぞれが満足感いっぱいの顔で引き上げていきました

今後の活躍が楽しみな若手とベテランとのコラボはいつ聴いてもいいものです

 

          

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