14日(金)。昨夕、サントリーホールのブルーローズ(小ホール)で、ボロメ―オ・ストリング・クァルテットのコンサートを聴きました プログラムはベートーヴェンの①大フーガ変ロ長調、②弦楽四重奏曲第16番ヘ長調、②同第13番変ロ長調です
ボロメ―オ・ストリング・クァルテットは米ニューイングランド音楽院クァルテット・イン・レジデンスで、第1ヴァイオリン=ニコラス・キッチン、第2ヴァイオリン=クリストファー・タン、ヴィオラ=元渕舞、チェロ=イーサン・キムというメンバーです
このクァルテットの特徴は、普通の四重奏団が楽譜(パート譜)を見て演奏するのに対して、Macbookで総譜を見ながら演奏することです
自席はC4列3番、センターブロック左サイドです。会場はほぼ8割方埋まっている感じです。舞台上には4本の専用スタンドにマックブックが載せられています。自席から第1ヴァイオリンの電子楽譜が見えるのですが、「大フーガ」の冒頭部分の総譜が画面に映し出されています
1曲目の「大フーガ変ロ長調」は当初、「弦楽四重奏曲第13番」の第6楽章として作曲されたものですが、あまりにも長すぎるという当時の演奏家や出版社の友人らからのアドヴァイスを受けて、ベートーヴェン自身が独立した1曲としたものです
ボロメーオ・クァルテットの登場です。左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリンという態勢をとります 演奏中、第1ヴァイオリンのキッチンの足元を見ていたのですが、遂に目撃しました
左足で軽くフット・マウスを踏むと、画面上の楽譜が次のページを映し出しました
キッチンの台所事情がよく分かりました
それにしても、ベートーヴェンは何故このような難解な曲を作ったのでしょうか はっきり言って、どこが良いのかさっぱり分かりません
演奏家が変われば理解できるようになるのでしょうか?とてもそうは思えません。ギブアップです
2曲目の「弦楽四重奏曲第16番ヘ長調」は、ベートーヴェンが完成させた最後の作品です 第1楽章は明るくユーモアさえ感じます。第2楽章「スケルツォ」に至っては「ベートーヴェンは遊んでいるな
」と思います。第3楽章は一転、よく歌うカンタービレの世界、緩徐楽章こそベートーヴェンの神髄です
さて、最後の第4楽章は楽譜の冒頭に『そうしなけらばならないか?』『そうしなければならない!』という言葉が記されています 最初に疑問のテーマらしきメロディーが現われ、しばらくすると、いきなり束縛から解放されたような底抜けに明るいメロディーが現われます
作曲時のベートーヴェンに何が起こったのでしょうか
最後の「弦楽四重奏曲第13番変ロ長調」は、当初の作品から「大フーガ」を独立させたベートーヴェンが、新たな第6楽章を書き加えた版です 第6楽章は事実上、ベートーヴェンの最後の作品です。心休まるカヴァティーナの第5楽章を除けば、明るく軽やかな曲想です
全体を通して感じるのは、前日聴いたカルミナ・クァルテットが個々の個性が際立った演奏なのに対し、ボロメーオ・クァルテットは、あくまでもアンサンブル重視の演奏スタイルだと言える気がします もちろん、演奏曲目が違うので一概には言えないかも知れませんが、安心して聴けるのはボロメーオですが、面白いのはカルミナです
一定の期間に複数のアンサンブルを聴くと、その違いの面白さに気が付きます。だからコンサート通いは止められないのです