人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新国立オペラ、ジョルダーノ「アンドレア・シェニエ」を観る~ヴェントレにブラボー!

2016年04月21日 07時50分37秒 | 日記

21日(木)。4月から無職になって 社会的にも家庭的にも何の貢献もしていない娘に、「週に2~3回程度は夕食を作ったらどう?」と提案したら 受諾したので、めでたく私の料理の回数が減ります ということで、わが家に来てから571日目を迎え、オヤツよりも気になる存在に注意を向けるモコタロです

 

          

             あれは何だ? バットマン  スーパーマンか?

 

  閑話休題  

 

昨日、初台の新国立劇場でウンベルト・ジョルダーノの歌劇「アンドレア・シェニエ」を観ました  キャストはシェニエにカルロ・ヴェントレ、マッダレーナにマリア・ホセ・シーリ、ジェラールにヴィットリオ・ヴィテッリ、ルーシェに上江隼人、ぺルシに清水華澄、マデロンに竹本節子ほか、指揮はヤデル・ビニャミー二、管弦楽は東京フィル、演出はフィリップ・アルローです

 

          

 

時はフランス革命前夜。詩人シェニエとコワニー伯爵令嬢マッダレーナは運命的な出会いをする 時は過ぎてその5年後、マッダレーナは零落し、革命政府に批判的なシェニエはお尋ね者になっている かつてはコワニー伯爵家の従僕だったが、今や革命政府の高官となったジェラールも、かねてからマッダレーナに好意を寄せていた。ジェラールはシェニエを捕らえるが、マッダレーナの嘆願に心打たれ、シェニエの弁護に回るが死刑の判決が下る マッダレーナは別の死刑囚の身代わりとなり、シェニエと二人で断頭台に向かう

 

          

 

私はプルミエ(初日)会員ですが、今回の公演は東響定期公演と重なったため 新国立オペラの方を振替制度を利用して昨日に振り替えたのです そのため1階11列12番と、いつもより格段に良い席が割り当てられラッキーでした

私がフィリップ・アルローの演出でこのオペラを観るのは2005年11月、2010年11月に次いで、今回が3回目です 2回目の公演ではマッダレーナを大ファンのノルマ・ファンティー二が歌いました

冒頭の幕開けのシーンは、舞台正面に斜めに亀裂が入っており、それが左右に開いていくと、壁から椅子まですべて斜めに傾いています アルローの演出は、このオペラの背景にあるフランス革命直前の不安定さを表しているようです

第1幕は、コワニー伯爵家の宴会の準備の模様が描かれ、伯爵夫人の後に、ヒロインのマッダレーナが侍女のベルシを伴って登場し、詩人シェニエら招待客を迎えるのですが、今回の演出では、マッダレーナが余りにも軽薄ではしゃぎ過ぎのオキャンのように描かれていて、違和感がありました これでは、シェニエが夢中になるのに相応しい女性とは言えないのではないか、と思ってしまいます シェニエの真面目さに対して余りにも落差があり過ぎるように思います。もちろん、これはマッダレーナ役のマリア・ホセ・シーリのせいでも、侍女ベルシ役の清水華澄のせいでもなく、演出のせいです 「マッダレーナをノルマ・ファンティー二が歌った2010年の公演の時も今回のような演出だっただろうか? いや、何の違和感も感じなかったはず」と一人首を捻ってしまいました。もちろん、第2幕以降は”シリアスなヒロイン”マッダレーナに変身するので、それ以降は何の違和感もなく観られたのですが

 

          

 

一番印象に残ったのは、やはり主人公シェニエを演じたカルロ・ヴェントレです。ウルグアイ出身のテノールですが、力強く輝くテノールです とくに第4幕で、シェニエが 面会に来たルーシェに辞世の詩を詠み聞かせる「5月のある美しい一日のように」は、聴衆に息をさせないほどの輝きをもった迫力に満ちた歌声でした

また、昨年の新国立オペラ「トスカ」でタイトルロールを歌ったマッダレーナ役のマリア・ホセ・シーリもウルグアイ出身で、世界中のオペラハウスで歌っているソプラノです 今回も期待通りの美しくも力のあるソプラノを聴かせてくれました とくに第3幕で、ジェラールに愛を告白されたマッダレーナが、シェニエの命と引き換えに自分を差し出すと答え、「母を殺され、家も焼かれて悲惨な境遇になった私は愛によって生きる希望を得た」と歌う「亡くなった母を」は感動的でした この曲はマリア・カラスの「オペラ・アリア集」のCDに入っていて、何度も繰り返し聴いている大好きな曲です

第4幕の終盤、看守に名前を呼ばれたシェニエとマッダレーナが声を揃えて歌う「さあ、共に死のう!」は、ヴェントレとシーリの息がピッタリと合い、力強くフィナーレを迎えました

ジェラールを歌ったヴィットリオ・ヴィテッリはイタリア出身で、新国立オペラでは「イル・トロヴァトーレ」のルーナ伯爵などを歌っているバリトンですが、声に力があり、演技力もあります

日本人歌手も頑張っていましたが、一人だけ挙げると、第3幕で「戦死した息子の代わりに15歳の孫を差し出します」という「息子は死にました」を歌ったマデロン役の竹本節子です 歌も切実だったし、本音は手放したくないけれど大義のため仕方なく差し出す、という老女の揺れる心を身体全体で表現していました

最後に、今回が新国立オペラ初登場の指揮者、イタリア出身のヤデル・ビニャミー二は、東京フィルとともに歌手に寄り添い 感動的にジョルダーノのオペラを歌い上げていました

 

          

コメント
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