人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「ヴィハン・マルディロシアン ピアノ・リサイタル」を聴く~日経ミューズサロン

2016年04月28日 07時51分34秒 | 日記

28日(木)。わが家に来てから578日目を迎え、オヤツが遅いのでゲージにかじりつくモコタロです

 

          

               オヤツ早くちょうだいよ~ 早くしないとゲージ食べちゃうからね

 

  閑話休題  

 

昨夕、大手町の日経ホールで第447回日経ミューズサロン「ヴィハン・マルディロシアン ピアノ・リサイタル」を聴きました  プログラムは①シューベルト「4つの即興曲 作品90」、②ショパン「3つのノクターン作品9」、③クライスラー「愛の悲しみ」、④同「美しきロスマリン」、⑤同「ウィーン奇想曲」、⑥同「中国の太鼓」、⑦シューベルト「ピアノ・ソナタ第14番イ短調」、⑧ショパン「ポロネーズ第3番”軍隊”」です

 

          

 

当初、クライスラーの曲を演奏するヴァイオリニストとして巨匠イヴリー・ギトリスが予定されていましたが、会場に着いてみると次のような掲示が貼り出されていました

「当初予定しておりましたイヴリー・ギトリス(ヴァイオリン)が体調不良により、前橋汀子が代わりにゲスト出演します。ご了承ください」

そして、場内アナウンスが、希望者にはチケットの払い戻しに応じる旨を知らせています たぶん希望者はいないと思いますが、ギトリス目当てに来た人もいると思われるので 良心的な対応だと思います なお、5月3日に予定されていたギトリスの「ヴァイオリン・リサイタル」は同様の理由で中止になっています

ヴィハン・マルディロシアンはアルメニア生まれ、1993年にパリ音楽院に入学し ジャック・ルヴィエに師事し、ピアノと室内楽で優秀な成績を修めて首席で卒業しました ギトリスからは絶大な信頼を得ていて 世界各国でのリサイタルで共演しているそうです

自席はD列8番、左ブロック右通路側です。日経ホールはテーブル付きの椅子なので、どのくらい人が入っているか非常に分かりにくいのですが、8割くらい入りでしょうか

顔に立派なヒゲを蓄えたマルディロシアンが登場します。ひと目見て、ロシアの某作曲家を思い浮かべてしまい、「まるでロシアン」と心で叫んでしまいました

1曲目のシューベルト「4つの即興曲作品90」は、シューベルトの死の前年に当たりる1827年に作曲されたと言われています どの曲もシューベルトらしい歌心溢れた作品です シューベルトはこうした小品にキラリと光るものが多いですね

2曲目のショパン「3つのノクターン作品9」は夜想曲の中でも有名な抒情的な曲です ショパンはアイルランドの作曲家・ピアニストのジョン・フィールドが創出した「ノクターン」に感銘を受け、それに深さを加えて独特の世界を築き上げました ノクターンだけで21曲残しています。作品9の3曲だけでも、1曲1曲が異なる曲想でショパンの天才を感じます マルディロシアンの演奏は抒情的でしたが、第3番の途中で少し乱れたのが残念でした

 

          

 

休憩後の最初はヴァイオリンの前橋汀子を迎えてクライスラーの小品集です マルディロシアンとともに、前橋汀子が鮮やかな赤のドレスで登場します 最初にクライスラーの「愛の悲しみ」を演奏します。引きずるような演奏は彼女の特徴でしょうか。音が非常に美しく響くと思ったら、彼女の使用しているヴァイオリンは1736年製のデル・ジェス・グァルネリウスでした 次いで「美しきロスマリン」「ウィーン奇想曲」「中国の太鼓」を演奏しました 蛇足ですが、ロビーの掲示には上から順に、美しきロスマリン、ウィーン奇想曲、中国の太鼓、ウィーン奇想曲という順に書かれていましたが、上記の順番に演奏しました

二人はカーテンコールの後、エルガーの「愛のあいさつ」を演奏し 会場いっぱいの拍手を受けました

ピアノがセンターに戻され、譜面台が外されて、電子ブック(楽譜)がピアニストの見える位置に設置されます。再びマルディロシアンのソロにより、シューベルト「ピアノ・ソナタ第14番イ短調」の演奏に入ります 3つの楽章から成りますが、第1楽章が一番長く、シューベルト特有の同じメロディーの繰り返しが展開します マルディロシアンの演奏は強弱の対比が鮮やかです。この曲はドイツのウィルヘルム・ケンプのCDで予習し、曲の全体像が頭に入っていたので曲の理解の上で良かったと思います

 

          

 

最後の曲はショパン「ポロネーズ第3番イ長調”軍隊”」です この曲はジョルジュ・サンドとマジョルカ島で過ごした1838年10月に書かれたと言われています 曲全体が軍隊の行進を連想されることから「軍隊」という通称で知られています

マルディロシアンは冒頭からハイ・テンションで、ショパンには珍しい勇壮な音楽をダイナミックに、鮮やかに表出しました

大きな拍手に、たどたどしい日本語で「熊本の人たちに捧げます」と言って、ショパンのノクターン「遺作」をしみじみと演奏しました 熊本の大地震で被害にあった人たちに思いを馳せる、人間的に素晴らしいアーティストだと思います

ギトリスの演奏が聴けなかったのが”唯一の残念”でしたが、3,800円で十分楽しめたので満足です

コメント
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