人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

荒木奏美オーボエ・リサイタルを聴く~東響首席を迎えてモーツアルト「オーボエ四重奏曲」も

2016年04月13日 07時44分28秒 | 日記

13日(水)。わが家に来てから563日目を迎え、枠に収まり切れないほど顔が広いモコタロです

 

          

             そうじゃなくて 撮影失敗だろう ごまかさないでよね

 

  閑話休題  

 

昨日、当ブログの読者ゆえさんと 内幸町の彼女の勤務先近くの蕎麦屋Tでランチしました 当店名物”三色もり”蕎麦をいただきながらクラシック談議に花を咲かせました

 

          

                              1枚目のゆず切り。2枚目はせいろ、3枚目は田舎もりが出てくる

 

彼女は秋に来日するウィーン・フィルは聴きに行くと宣言しました さらに彼女のお気に入り指揮者ヤンソンスがアムステルダム・コンセルトへボウ管弦楽団と来日するので、それも聴きたいと熱く語っていました 「ヤンソンスが指揮しているときの顔の表情を見たいのならP席が良い」とアドヴァイスすると、「なるほど~」と納得していました。ただしP席はすぐに売り切れてしまう恐れがありますね 帰りがけに彼女からお菓子をいただきました。こうしたちょっとした心遣いは出来そうでなかなかできません ゆえさん、ありがとうございました

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日、夕食に「鶏肉とホウレン草の卵とじ」、「生野菜とワカメとシラスのサラダ」「ホウレン草のお浸し」を作りました 「鶏肉~」は出来上がりに七味唐辛子を振るのですが、中蓋が外れていてドバっと出てしまい、あわて蓋めき、あとから取り除くのに苦労しました。料理は最後まで甘くない

 

          

 

  最後の、閑話休題  

 

昨夕、上野学園 石橋メモリアルホールで「荒木奏美オーボエ・リサイタル」を聴きました 荒木奏美は現在、東京交響楽団の首席オーボエ奏者であるとともに東京藝大に在学中です。プログラムは①バッハ「フルート・ソナタ ホ長調BWV1035」、②シューマン「幻想小曲集」、③スカルコッタス「ソロ・オーボエとピアノ独奏のためのコンチェルティーノ」、④細川俊夫「スペル・ソング ー 呪文のうた」オーボエのための、⑤ブリテン「幻想四重奏曲」、⑥モーツアルト「オーボエ四重奏曲ヘ長調K370」、⑦パスクッリ「”椿姫”の楽しい思い出」です 演奏はヴァイオリン=水谷晃(東響コンマス)、ヴィオラ=青木篤子、チェロ=伊藤文嗣(以上、東響首席)、ピアノ=宇根美沙恵です

このコンサートは、公益財団法人ソニー音楽財団が1985年から3年ごとに開催して2015年に30周年を迎えた「第11回国際オーボエコンクール・軽井沢」で、日本人として初めて第1位「大賀賞」を獲得した荒木奏美の受賞記念公演です

このコンクールには33か国197人の応募があり、予備選考を通過した37人が軽井沢に結集し、その結果5人のファイナリストが残り、最終的に荒木奏美が第1位に輝いたとのことです

 

          

 

自席は1階E列9番、センターブロック左通路側席です。会場は8割以上が埋まっている感じでしょうか

桜模様の淡いピンクのドレスに身を包まれた荒木奏美がピアニストの宇根美沙恵とともに登場します 間近で見ると やはり若さが際立っています。さっそく1曲目のバッハ「フルート・ソナタBWV1035」の演奏に入ります。この曲は4つの楽章から成ります。荒木のオーボエは音そのものが美しく表情が豊かです。実に伸び伸びと演奏します それは2曲目のシューマン「幻想小曲集」でも同様で、表情豊かにピアノとの対話を楽しんでいるようです

凄かったのは次の、ギリシャの作曲家スカルコッタスが1939年に作曲した「ソロ・オーボエとピアノ伴奏のためのコンチェルティーノ」です ストラヴィンスキー張りの躍動感に満ちた第1楽章、抒情的な第2楽章、そして短いロンドで全曲を閉じます この曲は今回のコンクールの本選考の課題曲ですが、相当技巧的な曲で 並みの技術ではこなせません。荒木は何でもないように吹いてみせます

 

          

 

休憩後の最初の曲は細川俊夫「『スペル・ソングー呪文のうたー』オーボエのための」です  この曲は今回のコンクールのためにソニー音楽財団から委嘱された曲で、第2次予選の課題曲です。ワインレッドの衣装に”お色直し”して登場した荒木のソロによって演奏されます 作曲者は「空間・時間への音によるカリグラフィー(毛筆の書)」と捉えているとのことですが、演奏を聴く限り、まるで虚無僧の尺八を聴いてるような部分も多く、極めて日本的な音楽だという印象を持ちました 荒木は音に変化を与え、変幻自在にオーボエを吹きまくり 聴衆を圧倒しました 演奏後、客席の方に手を差し伸べ、会場の中央の席で聴いていた細川俊夫氏を紹介、拍手を求めました

ここで、ステージ上に椅子が3脚並べられ、荒木とともに東京交響楽団の首席メンバー3人が登場します 左から荒木、水谷(ヴァイオリン)、青木(ヴィオラ)、伊藤(チェロ)という並びです。演奏するのは英国の作曲家ベンジャミン・ブリテンの「幻想四重奏曲」です 単一楽章の曲ですが、曲の冒頭、チェロからヴィオラ、ヴィオラからヴァイオリンへと問いかけるように音楽が進み、オーボエのメロディーが登場します。1度聴いただけでは本当の良さは分かりませんが、首席クラスの演奏は素晴らしく、面白い曲であることは分かりました

次はこのコンサートのメイン、モーツアルト「オーボエ四重奏曲ヘ長調K370」です。この曲も今回のコンクールの本選の課題曲です 同じメンバーが登場し、第1楽章「アレグロ」の演奏に入ります。4人の演奏を見ていると『モーツアルトを演奏する喜び』が伝わってきます 実に楽しそうに演奏しています。それを見て聴いているわれわれも幸せな気持ちになってきます これこそ室内楽の本来のあり方ではないのか、と思います 荒木は先輩方の確かな演奏に支えられて伸び伸びと演奏しています。若手の演奏家を引き立てようとする先輩方は頼もしいですね

ここで椅子がすべて片づけられ、再度、荒木とピアノの宇根だけが登場、最後の曲、パスクッリ「『椿姫』の楽しい思い出」を演奏します 『椿姫』とは言うまでもなくヴェルディが1853年に作曲したオペラ「ラ・トラヴィアータ」のことです。作曲者のパスクッリは19世紀後半におけるオーボエのヴィルトゥーゾで、ピアノのリスト、ヴァイオリンのパガニーニに匹敵するような人物(超絶技巧演奏家)だったようです 相当な超絶技巧曲で、アリアのように美しく歌う部分あり、早口言葉で話すような部分あり、とにかくオーボエの能力をすべて発揮し尽くすような演奏困難な曲です オーボエを自由自在に操り音の万華鏡を繰り広げる荒木の演奏を、聴衆はただ唖然として聴くばかりです

会場いっぱいの拍手とブラボーに、5人全員が登場し、荒木が簡単に挨拶した後、エンリオ・モリコーネの「ガブリエルのオーボエ」という曲をアンコールに演奏しました この曲が、「今日はこの演奏会に来ていただき、ありがとうございました」という感謝の気持ちを表すのに相応しい曲で、4人の演奏も心のこもった素晴らしい演奏で、感動しました

東京交響楽団には荒絵理子という素晴らしい首席オーボエ奏者がいますが、昨年6月から荒木奏美が首席に加わり、ますます充実した陣容になっています 現在 私は東響の「サントリーホール定期」と「東京オペラシティ定期」の2つの会員になっていますが、これからも変わらないでしょう

 

          

コメント (4)
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