5日(土・祝)その2.よい子は「その1」から読んでね モコタロはそちらに出演しています
昨日、東京国際フォーラムでのコンサートを聴き終わってから 地下鉄で池袋に移動し、午後3時15分から東京芸術劇場コンサートホールで「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2018」の「公演番号T213」のコンサートを聴きました プログラムはドヴォルザーク「チェロ協奏曲ロ短調」です
演奏はチェロ独奏=堤剛、管弦楽=ウラル・フィルハーモニー、指揮=ドミトリー・リスです
正直言って、このコンサートは どちらかというと、ドミトリー・リスの指揮姿が見たくてチケットを買ったようなもので、ソリストは誰でも良いのです 私が初めてドミトリー・リス+ウラル・フィルの演奏を聴いたのは、数年前のラ・フォル・ジュルネでラフマニノフの「交響曲第2番」を演奏した時でした
そのスケールの大きさに圧倒され、それ以来、このコンビがL.F.Jで来日する時には必ず聴くようになりました
自席は1階0列13番、センターブロック左通路側です
1年ぶりに見るオーケストラですが、各セクションの首席を中心に何人かの顔は覚えています 弦の配置は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、その後ろにコントラバスという編成です。他のオケが中編成なのに対し、ウラル・フィルは大編成です
チェロが10挺、コントラバスが7挺と言えばその規模の大きさが想像できると思います
この曲はドヴォルザーク(1841-1904)がニューヨークに滞在していた1895年に完成しました。チェロ協奏曲では世界最高峰の作品です。第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ・マ・ノン・トロッポ」の3楽章から成ります
リスと堤剛がステージに登場し配置に着き、リスの指揮で第1楽章が開始されます 順調に演奏が進んでいきましたが、中盤でチェロが下降するところで、音程が急に怪しくなり、しばらく回復しませんでした
天下の堤剛氏にしては珍しい現象です。残念ながら、第2楽章の終盤でも怪しい音が鳴る場面がありました
その都度、リス+ウラル・フィルの演奏に助けられていたと言えるでしょう
ここ数年、堤氏の演奏は良くなっているな、と思っていただけに今回の演奏は残念な出来に終わりました
その反面、リス+ウラル・フィルのソリストに寄り添ったダイナミックかつ繊細な演奏が光りました
彼らはいつでも期待を裏切りません
堤氏によるバッハの無伴奏のアンコールがあったようです
地下鉄有楽町線で池袋から有楽町に移動し、午後5時15分から東京国際フォーラム ホールB7で「公演番号M225」のコンサートを聴きました プログラムは①ラフマニノフ「チェロ・ソナタ ト短調」、②同「ヴォカリーズ」です
チェロ独奏=アレクサンドル・クニャーゼフ、ピアノ独奏=ボリス・ベレゾフスキーです
自席は15列30番、センターブロック右通路側です
1曲目はラフマニノフ「チェロ・ソナタ ト短調」です この曲は1901年に作曲されました。一度聴けば分かりますが、チェロとピアノは対等の関係にあります
ところで、クニャーゼフとベレゾフスキーにはロシア出身という以外に共通点があります。それは、ともに1990年のチャイコフスキー国際コンクールで入賞しているということです
クニャーゼフはチェロ部門で第2位、ベレゾフスキーはピアノ部門で優勝しています
この曲は第1楽章「レント~アレグロ・モデラート」、第2楽章「アレグロ・スケルツァンド」、第3楽章「アンダンテ」、第4楽章「アレグロ・モッソ」の4楽章から成ります
全体を聴いた印象は、ロマンティシズムの極致をいく演奏だということです とくに第3楽章は深い精神性を保ちながらロマンあふれる演奏で、深い感動を覚えます
チェロとピアノは対等の立場だとは言うものの、やはりメロディーにおいてはチェロが主体となり、クニャーゼフは 揺るぎない技術に支えられながら美しい音楽を奏でます
こういう演奏を聴くと、曲目は異なるものの 前の公演のチェロと比べてしまいます
2曲目はラフマニノフ「ヴォカリーズ」です この曲は1915年に作曲されましたが、元々は作品34の「歌曲集」の第14曲(最終曲)として出版されたものです
ただただ静かに流れるチェロの美しい調べを聴いていると、精神が浄化されるようです
こういうのを芸術というのでしょう。前の公演と違い、アンコールはありませんでした。見識です
この日最後は午後7時15分からホールCで、公演番号M246のコンサートを聴きました プログラムは①チャイコフスキー「イタリア奇想曲」、②コルンゴルト「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」です
②のヴァイオリン独奏=アレーナ・バーエワ、管弦楽=クルージュ・トランシルヴァニア・フィルハーモニー管弦楽団、指揮=カスパル・ゼンダ―です
自席は1階16列24番、センターブロック右から4つ目です
1曲目のチャイコフスキー「イタリア奇想曲」は3日に同じメンバーにより聴いているので、当ブログの3日「その1」を参照してください
2曲目はコルンゴルト(1897-1957)の「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」です この曲は第二次世界大戦が終結した1945年に作曲されました。名前にモーツアルトの名前の一部を持つエーリヒ・ウォルフガング・コルンゴルトは、モーツアルトのように「神童」ともてはやされましたが、ユダヤ系だったためアメリカに亡命し映画音楽を数多く作曲しました
この曲は名ヴァイオリニスト、ハイフェッツによって1947年に初演されたものの、「時代遅れ」とこき下ろされ 評価されませんでした しかし、現在では20世紀を代表するヴァイオリン協奏曲としてなくてはならない存在になっています
第1楽章「モデラート・ノビレ」、第2楽章「ロマンツェ:アンダンテ」、第3楽章「フィナーレ:アレグロ・アッサイ・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります
鮮やかなマリンブルーの衣装を身にまとったバーエワが登場し、譜面台を前にスタンバイします ゼンダ―のタクトで第1楽章が開始されます
冒頭からヴァイオリンが登場しますが、何小節目かで少し音が外れたような気がしました。が、すぐに持ち直し、その後は 確かな技術力で安定した演奏を展開しました
とくに第2楽章はヴァイオリンの音色が美しく、流麗な演奏が続きました
第3楽章に入ると、それまでの抑制された世界から解放されたかのように、躍動感にあふれた演奏を展開し聴衆を魅了しました
これで2日目のコンサートも終わり、残すところ本日の6公演のみとなりました 体力勝負なので、無理をしないで最後まで聴き通したいと思います