人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO」第2日目(4日)のコンサート②リス+堤+ウラル・フィルのドヴォルザーク、クニャーゼフ+ベレゾフスキーのラフマニノフ、バーエワのコルンゴルトを聴く

2018年05月05日 08時28分07秒 | 日記

5日(土・祝)その2.よい子は「その1」から読んでね モコタロはそちらに出演しています

昨日、東京国際フォーラムでのコンサートを聴き終わってから 地下鉄で池袋に移動し、午後3時15分から東京芸術劇場コンサートホールで「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2018」の「公演番号T213」のコンサートを聴きました プログラムはドヴォルザーク「チェロ協奏曲ロ短調」です 演奏はチェロ独奏=堤剛、管弦楽=ウラル・フィルハーモニー、指揮=ドミトリー・リスです

正直言って、このコンサートは どちらかというと、ドミトリー・リスの指揮姿が見たくてチケットを買ったようなもので、ソリストは誰でも良いのです 私が初めてドミトリー・リス+ウラル・フィルの演奏を聴いたのは、数年前のラ・フォル・ジュルネでラフマニノフの「交響曲第2番」を演奏した時でした そのスケールの大きさに圧倒され、それ以来、このコンビがL.F.Jで来日する時には必ず聴くようになりました

自席は1階0列13番、センターブロック左通路側です

1年ぶりに見るオーケストラですが、各セクションの首席を中心に何人かの顔は覚えています 弦の配置は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、その後ろにコントラバスという編成です。他のオケが中編成なのに対し、ウラル・フィルは大編成です チェロが10挺、コントラバスが7挺と言えばその規模の大きさが想像できると思います

この曲はドヴォルザーク(1841-1904)がニューヨークに滞在していた1895年に完成しました。チェロ協奏曲では世界最高峰の作品です。第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ・マ・ノン・トロッポ」の3楽章から成ります

リスと堤剛がステージに登場し配置に着き、リスの指揮で第1楽章が開始されます 順調に演奏が進んでいきましたが、中盤でチェロが下降するところで、音程が急に怪しくなり、しばらく回復しませんでした 天下の堤剛氏にしては珍しい現象です。残念ながら、第2楽章の終盤でも怪しい音が鳴る場面がありました その都度、リス+ウラル・フィルの演奏に助けられていたと言えるでしょう ここ数年、堤氏の演奏は良くなっているな、と思っていただけに今回の演奏は残念な出来に終わりました その反面、リス+ウラル・フィルのソリストに寄り添ったダイナミックかつ繊細な演奏が光りました 彼らはいつでも期待を裏切りません

堤氏によるバッハの無伴奏のアンコールがあったようです

 

     

 

地下鉄有楽町線で池袋から有楽町に移動し、午後5時15分から東京国際フォーラム  ホールB7で「公演番号M225」のコンサートを聴きました プログラムは①ラフマニノフ「チェロ・ソナタ ト短調」、②同「ヴォカリーズ」です チェロ独奏=アレクサンドル・クニャーゼフ、ピアノ独奏=ボリス・ベレゾフスキーです

自席は15列30番、センターブロック右通路側です

1曲目はラフマニノフ「チェロ・ソナタ ト短調」です この曲は1901年に作曲されました。一度聴けば分かりますが、チェロとピアノは対等の関係にあります ところで、クニャーゼフとベレゾフスキーにはロシア出身という以外に共通点があります。それは、ともに1990年のチャイコフスキー国際コンクールで入賞しているということです クニャーゼフはチェロ部門で第2位、ベレゾフスキーはピアノ部門で優勝しています

この曲は第1楽章「レント~アレグロ・モデラート」、第2楽章「アレグロ・スケルツァンド」、第3楽章「アンダンテ」、第4楽章「アレグロ・モッソ」の4楽章から成ります

全体を聴いた印象は、ロマンティシズムの極致をいく演奏だということです とくに第3楽章は深い精神性を保ちながらロマンあふれる演奏で、深い感動を覚えます チェロとピアノは対等の立場だとは言うものの、やはりメロディーにおいてはチェロが主体となり、クニャーゼフは 揺るぎない技術に支えられながら美しい音楽を奏でます こういう演奏を聴くと、曲目は異なるものの 前の公演のチェロと比べてしまいます

2曲目はラフマニノフ「ヴォカリーズ」です この曲は1915年に作曲されましたが、元々は作品34の「歌曲集」の第14曲(最終曲)として出版されたものです ただただ静かに流れるチェロの美しい調べを聴いていると、精神が浄化されるようです こういうのを芸術というのでしょう。前の公演と違い、アンコールはありませんでした。見識です

 

     

 

この日最後は午後7時15分からホールCで、公演番号M246のコンサートを聴きました プログラムは①チャイコフスキー「イタリア奇想曲」、②コルンゴルト「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」です ②のヴァイオリン独奏=アレーナ・バーエワ、管弦楽=クルージュ・トランシルヴァニア・フィルハーモニー管弦楽団、指揮=カスパル・ゼンダ―です

自席は1階16列24番、センターブロック右から4つ目です

1曲目のチャイコフスキー「イタリア奇想曲」は3日に同じメンバーにより聴いているので、当ブログの3日「その1」を参照してください

2曲目はコルンゴルト(1897-1957)の「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」です この曲は第二次世界大戦が終結した1945年に作曲されました。名前にモーツアルトの名前の一部を持つエーリヒ・ウォルフガング・コルンゴルトは、モーツアルトのように「神童」ともてはやされましたが、ユダヤ系だったためアメリカに亡命し映画音楽を数多く作曲しました 

この曲は名ヴァイオリニスト、ハイフェッツによって1947年に初演されたものの、「時代遅れ」とこき下ろされ 評価されませんでした しかし、現在では20世紀を代表するヴァイオリン協奏曲としてなくてはならない存在になっています 第1楽章「モデラート・ノビレ」、第2楽章「ロマンツェ:アンダンテ」、第3楽章「フィナーレ:アレグロ・アッサイ・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

鮮やかなマリンブルーの衣装を身にまとったバーエワが登場し、譜面台を前にスタンバイします ゼンダ―のタクトで第1楽章が開始されます 冒頭からヴァイオリンが登場しますが、何小節目かで少し音が外れたような気がしました。が、すぐに持ち直し、その後は 確かな技術力で安定した演奏を展開しました   とくに第2楽章はヴァイオリンの音色が美しく、流麗な演奏が続きました   第3楽章に入ると、それまでの抑制された世界から解放されたかのように、躍動感にあふれた演奏を展開し聴衆を魅了しました

これで2日目のコンサートも終わり、残すところ本日の6公演のみとなりました 体力勝負なので、無理をしないで最後まで聴き通したいと思います

 

     

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「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 」第2日目(4日)のコンサート①イ・ムジチのヘンデル他、ベレゾフスキー他のバルトーク、フォークト+ロイヤル・ノーザン・シンフォニアのモーツアルト「プラハ」

2018年05月05日 07時21分03秒 | 日記

5日(金・祝)。わが家に来てから今日で1311日目を迎え、ユネスコの世界文化遺産に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が登録される見通しとなった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                   これで やっと隠れキリシタンも 堂々と世界で認められる よいしょ おらんしょっと

 

         

 

昨日「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2018」第2日目の公演を聴きました この日聴いた6公演は次の通りです

1.公演番号M241 「イ・ムジチ合奏団」コンサート(9:30~ 東京国際フォーラム  ホールC)

2.公演番号M242 「ベレゾフスキー+ギンジン+安江佐和子+藤本隆文」公演(11:15~ ホールC) ①バルトーク「2台のピアノと打楽器のためのソナタ」、②ラフマニノフ「交響的舞曲(2台のピアノと打楽器版)」

3.公演番号M243 「ロイヤル・ノーザン・シンフォニア」公演(13:15~ ホールC)①モーツアルト:歌劇「ドン・ジョバンニ」序曲、②ストラヴィンスキー「弦楽のための協奏曲二調」、③モーツアルト「交響曲第38番”プラハ”」

4.公演番号T213 「ドミトリー・リス+堤剛+ウラル・フィル」公演(15:15~ 東京芸術劇場コンサートホール)①ドヴォルザーク「チェロ協奏曲ロ短調」

5.公演番号M225 「クニャーゼフ+ベレゾフスキー」公演(17:15~ ホールB7)①ラフマニノフ「チェロ・ソナタ ト短調」、②同「ヴォカリーズ」

6.公演番号M246 「バーエワ+クルージュ・トランシルヴァニア・フィル」公演(19:15~ ホールC)①チャイコフスキー「イタリア奇想曲」、②コルンゴルト「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」

ここでは前半の1.2.3.について書くことにします

 

     

 

最初に午前9時半から東京国際フォーラム  ホールCで「公演番号M241 イ・ムジチ合奏団コンサート」を聴きました   プログラムは①リュリ:バレエ音楽「愛の勝利」より序曲、②ヘンデル「合奏協奏曲第1番ト長調」、③パーセル(ストコフスキー編):オペラ「ディドとエネアス」から「私が土の中に横たえられた時」(ディドの嘆き)、④エイヴィソン「合奏協奏曲第5番(原曲:スカルラッティ)、⑤ボッケリーニ「ピアノ五重奏曲ハ長調から第3楽章「マドリードの通りの夜の音楽」です

自席は1階16列27番、センターブロック右通路側です

LP時代に育ったクラシック・ファンにとって、イ・ムジチと言えばヴィヴァルディの「四季」を想起します 「イ・ムジチ」とは「音楽家たち」という意味ですが、ローマのサンタ・チェチーリア音楽院出身の12人により結成され、1952年に最初のコンサートを開きました 彼らはコンマスが代わるたびに新しい「四季」を録音し、これまで世界中で2500万枚のLP・CDを売り尽くしたと言われています LPやCDではお馴染みの演奏グループですが、私が彼らの演奏をライブで聴くのは今回が初めてです

メンバーは第1ヴァイオリン3、第2ヴァイオリン3、ヴィオラ2、チェロ2、コントラバス1、チェンバロ1という構成です 第2ヴァイオリンの紅一点の赤い衣装の女性が中心となり弓状に並びます

1曲目はイタリア生まれでフランス国籍を取得したリュリ(1632-1687)のバレエ音楽「愛の勝利」より序曲です コンマスがリードして音楽を進めますが、ヴィブラートをかけないなど、どうやら古楽器奏法で演奏しているようです

それは次のヘンデル(1685-1759)の「合奏協奏曲第1番ト長調」以降においても同様で、コンマスのアグレッシブなリードによって気持ち良いテンポで楽し気な音楽が進められます

3曲目のイギリス生まれのパーセル(1659-1695)作曲ストコフスキー編曲によるオペラ「ディドとエネアス」から「私が土の中に横たえられた時(ディドの嘆き)」は、一転 悲しみの音楽です   チェロとコントラバスによる静かな悲しみが迫ってきます

4曲目のイギリス生まれのエイヴィソン(1709-1770)による「合奏協奏曲第5番(原曲:スカルラッティ)」は、音楽を聴いていても ヴィヴァルディあるいはヘンデルと区別がつきません

最後の曲は、イタリア生まれのボッケリーニ(1743-1805)の「ピアノ五重奏曲ハ長調」から第3楽章「マドリードの通りの夜の音楽」です    この曲では、コンマスとチェロの対話、それをつなぐ合奏の対比が印象的で、音楽を「静」と「動」に区分すれば、対話の「静」と合奏の「動」との対比が鮮やかでした

会場いっぱいの拍手に、アンコールを演奏しましたが、言うまでもなく彼らの代名詞的な作品、ヴィヴァルディ「四季」から「夏」を演奏しました この楽章は映画音楽などでよく使われています

個人的なことを言えば、LP時代にはイ・ムジチの流麗な演奏に反発、私が愛聴盤として聴いていたのはカール・ミュンヒンガー指揮シュトゥットガルト室内管弦楽団による、いかにもドイツ的なゴツゴツした演奏でした

 

     

 

次に午前11時15分からホールCで「公演番号M242」のコンサートを聴きました プログラムは①バルトーク「2台のピアノと打楽器のためのソナタ」、②ラフマニノフ「交響的舞曲(2台のピアノと打楽器版)」です 演奏はピアノ=ロシア出身のボリス・ベレゾフスキー、同じくロシア出身のアレクサンドル・ギンジン、パーカッション=東京藝大非常勤講師・安江佐和子、東京藝大准教授・藤本隆文です 

自席は1階24列29番、右ブロック左通路側最後列です

ステージにはグランド・ピアノが2台ハの字型に並べられ、鍵盤が見えるように設置されており(演奏者は客席に背を向ける)、その間にパーカッションの楽器が置かれています 4人の演奏者が登場し配置に着きますが、ロシアの巨体2人と日本のやせ型2人の組み合わせのように見えます

1曲目はバルトーク(1881-1945)の「2台のピアノと打楽器のためのソナタ」です この曲は1937年、バルトークが56歳の時に作曲されました。第1楽章「アッサイ・レント」、第2楽章「レント、マ・ノン・トロッポ」、第3楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」の3楽章から成ります 

全体を聴いて気が付いたのは、ピアノとパーカッション(ティンパニ、スネアドラム、大太鼓、シンバル、トライアングル、タンバリン他)とが対等の立場で演奏しているということです どちらがメインでどちらがサブか、という区分はありません。すべての楽器が主役です 2人の巨体ピアニストの卓越した演奏はもちろんのこと、2人の日本人演奏家の演奏がとても素晴らしいと思いました まさにピアノと対等の立場で演奏していました

2曲目はラフマニノフ(1873-1943)が亡命先のアメリカで1940年に作曲した「交響的舞曲(2台のピアノと打楽器版)」です 第1楽章「ノン・アレグロ」、第2楽章「アンダンテ・コン・モト」、第3楽章「レント・アッサイ」の3楽章から成ります

全曲を通して聴く限り、1曲目のバルトークとは異なり、あくまでもピアノがメインで打楽器はサブです また、バルトークがリズム主体の音楽だったのに対し、ラフマニノフには美しいメロディーがあります とくに第2楽章における抒情的なメロディーはラフマニノフらしいロマンに満ちた曲想で、心に沁み込みました


     

 

次いで午後1時15分からホールCで「公演番号M243」のコンサートを聴きました プログラムは①モーツアルト:歌劇「ドン・ジョバンニ」序曲、②ストラヴィンスキー「弦楽のための協奏曲二調」、③モーツアルト「交響曲第38番”プラハ”」です 演奏は管弦楽=ロイヤル・ノーザン・シンフォニア、指揮=ラルス・フォークトです

自席は1階21列16番、左ブロック右通路側です

指揮者とオケについては3日「その2」のブログで紹介しているので省略します

1曲目はモーツアルトの歌劇「ドン・ジョバンニ K.527」の序曲です モーツアルト(1756-1791)はプラハで上演された歌劇「フィガロの結婚」が大好評だったことから、1787年に愛好家協会の招聘により当地を訪れました。その時に新作オペラの作曲を依頼されて書いたのが「ドン・ジョバンニ」でした この序曲は、モーツアルトがお酒を飲んで妻のコンスタンツェとおしゃべりしながら一晩で書き上げたというエピソードが残っています フォークト+ロイヤル・ノーザン・シンフォニアの演奏はこの曲のデモーニッシュな側面をよく捉えていました

2曲目はストラヴィンスキー(1882-1971)の「弦楽のための協奏曲二調」です この曲は1946年にアメリカで作曲されました。協奏曲という名前が付いていますが特定の楽器がソロで活躍するわけではありません 第1楽章「ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アリオーソ:アンダンティーノ」、第3楽章「ロンド:アレグロ」の3楽章から成ります 

ストラヴィンスキー特有の変化に満ちた曲想で、弦楽器群が渾身の演奏を展開しました

3曲目はモーツアルト「交響曲第38番ニ長調K.504」です この曲は モーツアルトがプラハを訪問した際に、現地の演奏会で初演されましたが、地名に因んで「プラハ」のニックネームで呼ばれています 第1楽章「アダージョ~アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「プレスト」の3楽章から成ります 通常、交響曲は4楽章から構成されますが、この曲は「メヌエット」楽章がありません その理由は分かっていません

フォークトはタクトを使用しません。両手で音を紡いでいきます。彼の指揮ぶりを見ていると「紡ぐ」というよりむしろ音を「摘んでいく」というのが相応しいかもしれません このオーケストラはオーボエ、フルート、ファゴットといった木管楽器群が優れています。フォークトのテンポ設定は最適です

モーツアルトの交響曲と言うと、オーケストラの演奏会で取り上げられるのは第39番、第40番、第41番と第25番くらいで、なぜか第38番は有名な割には生で演奏される機会が少ないのが不満です 理由は良く分かりませんが、もっと取り上げてほしいと思います

4.5.6.のコンサートについては「その2」に書きます

 

     

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