13日(日)。わが家に来てから今日で1319日目を迎え、パワーハラスメントなど職場のトラブルに備える保険の販売が急増している というニュースを見て感想を述べるモコタロです
保険に入る前にパワハラの管理者教育や従業員教育をしっかりやるべきじゃね?
昨日、東京オペラシティコンサートホールで東京交響楽団の第103回オペラシティシリーズ演奏会を聴きました プログラムは①ブルッフ「ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調」、②メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」、③チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」で、いずれもヴァイオリン独奏はアンティエ・ヴァイトハース、指揮は齋藤友香理です
新年度第1回目のこのシリーズ公演は、三大ヴァイオリン協奏曲が1回のコンサートで聴けるとあってか、満席近い状況です 前年度の客の入りが寂しかっただけに、今回の東響の定期会員を含めた聴衆獲得の目論見は、初回としては成功と言えるでしょう
もっとも、このシリーズの真価が問われるのは第2回目以降の公演ですが
三大ヴァイオリン協奏曲に挑むアンティエ・ヴァイトハースは ハンス・アイスラー音楽大学ベルリンで学び、クライスラー国際(1987年)、バッハ国際(1988年)、ハノーファー国際(1991年)の3つのコンクールで優勝している逸材です 現在ハンス・アイスラー音楽大学ベルリン教授を務めるとともに、カメラータ・ベルンの芸術監督、アルカント・カルテットの第1ヴァイオリン奏者も務めています
一方、指揮の齋藤友香理は桐朋学園大学ピアノ科卒業後、同大学の「指揮」の科目履修生として学び、2010年のサイトウ・キネン・フェスティバル松本で青少年のためのオペラ「ヘンゼルとグレーテル」を指揮してオペラ・デビューを果たしています その後、2013年9月からドレスデン音楽大学大学院指揮科で学び、2015年の第54回ブザンソン国際指揮者コンクールで 聴衆賞とオーケストラ賞を同時受賞しています
2018年6~7月にバイエルン州立歌劇場で上演されるワーグナー「パルジファル」で、次期ベルリン・フィル芸術監督・首席指揮者のキリル・ぺトレンコのアシスタントを務めることが決まっているとのことで、日本の指揮界 期待の新星です
コンマスの水谷晃以下オケのメンバーが配置に着きます 弦は左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置をとります
メガネを着用し黒を基調としたシックな衣装を身に着けたヴァイトハースが、何となくB.C.Jのフラウト・トラヴェルソ奏者、前田りり子似の齋藤友香理とともに登場します
1曲目はブルッフ「ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調」です この曲はマックス・ブルッフ(1838-1920)が20代の終わりの1864年から66年にかけて作曲しましたが、彼は満足できず、1867年から68年にかけて改訂を行い 68年1月にヨーゼフ・ヨアヒムの独奏により改定初演されました
第1楽章「前奏曲:アレグロ・モデラート」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「フィナーレ:アレグロ・エネルジーコ」の3楽章から成ります
2曲目はメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」です この曲はメンデルスゾーン(1809-1847)が、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のコンマスだったダーヴィトのために、1837年から44年にかけて作曲した作品です
第1楽章「アレグロ・モルト・アパッショナート」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグレット・ノン・トロッポ~アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」の3楽章からなりますが、続けて演奏されます
以上、前半の2曲を聴いて気が付いたのは、ヴァイトハースはかなり指揮者寄りの位置で演奏しているということです 実際には指揮者の斜め前で 1メートル以上は離れて演奏しているのでしょうが、演奏姿を見ていると、指揮者と会話を交わしながら演奏しているように見えました
ヴァイオリンの音色が美しく響きますが、甘いところがない、というか、ストレートに音楽が伝わってきます
プログラムのプロフィール欄を見ると、使用楽器は2001年ペーター・グライナー製と書かれていました。つまり、彼女はストラディヴァリでもグァルネリでもない、21世紀に作られたヴァイオリンを弾いていることになります。これは信じがたいものがありました
音色は確かにストラディヴァリとは違いますが、音楽の芯は十分伝わってきます。名手は道具を選ばない。「弘法筆を選ばず」といったところでしょうか
一方、ヴァイトハースを支える齋藤友香理は、独奏ヴァイオリンに寄り添って指揮をしつつ、管弦楽だけの部分では思い切りオケを鳴らしていました 会場の特性かもしれませんが、若干うるさ過ぎるほどの音量で迫ってくるところもありました
さて、白眉はプログラム後半のチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」でした この曲はチャイコフスキー(1840-1893)が1878年に作曲し、1881年12月4日にアドルフ・ブロツキーのヴァイオリン、ハンス・リヒター指揮ウィーン・フィルにより初演されました
第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「カンツォネッタ:アンダンテ」、第3楽章「フィナーレ:アレグロ・ヴィヴァ―チッシモ」の3楽章から成ります
第1楽章ではカデンツァがありますが、ヴァイトハースの演奏は確かな技術の裏付けを持った見事な演奏で、聴衆を魅了しました
この日聴いた3曲のヴァイオリン協奏曲の中で、この曲の第2楽章「カンツォネッタ:アンダンテ」が一番素晴らしかったと思います ヴァイトハースは深みのある美しい音色で抒情的に演奏しましたが、バックを支える吉野亜希菜のクラリネット、相澤政宏のフルートを中心とする管楽器群が素晴らしいパフォーマンスを披露しました
第3楽章「フィナーレ」では、ヴァイトハースは超絶技巧パッセージを超高速演奏で駆け抜け、聴衆の熱狂を誘いました
1回のコンサートで複数のヴァイオリン協奏曲を一人で演奏するという試みは、最近では2015年5月の「東響名曲全集」で大谷康子さんがヴィヴァルディ、メンデルスゾーン、プロコフィエフ(第1番)、ブルッフ(第1番)の4曲を弾いたという例がありますが、ブルッフ、メンデルスゾーン、そして一番難しそうなチャイコフスキーの三大ヴァイオリン協奏曲を暗譜で演奏したという例は聞いたことがありません 誰もが出来ることではありません。プロフィールにある通り、世界の3つのメジャー・ヴァイオリン・コンクールの覇者であるからこそ可能なのだと思います
コンサートの内容は以上の通りですが、「満席近い状況」というのは、良いようで どんな人が聴きに来ているか分からないというリスクもあります 今回もそうでした。後半のチャイコフスキーの演奏が始まった直後のことです。センターブロック右サイドの自席の3~4列後方の席のオバサンが、演奏が始まったにも関わらず「パソコンがどうのこうの」と喋り続けていたのです
オバサンは音楽を聴きに来たのではなく お喋りをするためにきたのでしょう。自分に常識が欠けていることが自覚できないオバサンには もう二度と来ないでほしいと思います