人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

METライブビューイングでモーツアルト「コジ・ファン・トゥッテ」を観る~斬新でスピーディーな演出によりアンサンブル・オペラの傑作を堪能~ケリー・オハラのデスピーナにブラボー!

2018年05月09日 07時48分10秒 | 日記

9日(水)。わが家に来てから今日で1315日目を迎え、野党各党が8日午後に開かれた衆議院本会議に出席し、空転していた国会が19日ぶりに正常化した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      与党も野党も税金から給料が出てることを忘れてんじゃね? 議員が多すぎだよ!

    

         

 

昨日、夕食に「鶏肉とホウレン草の卵とじ」「生野菜とサーモンのサラダ」「トマトとタケノコとベーコンのスープ」を作りました 「鶏肉~」は初挑戦ですが、美味しくできました

 

     

 

         

 

昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、モーツアルト「コジ・ファン・トゥッテ」を観ました これは今年3月31日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です

キャストは、フィオルディリージ=アマンダ・マジェスキー、ドラベッラ=セレーナ・マルフィ、フェルランド=ベン・ブリス、グリエルモ=アダム・ぺトヘトカ、ドン・アルフォンソ=クリストファー・モルトマン、デスピーナ=ケリー・オハラ、管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、指揮=ディヴィッド・ロバートソン、演出=フェリム・マクダ―モットです

 

     

 

「コジ・ファン・トゥッテ」は、「フィガロの結婚」「ドン・ジョバンニ」に続いてロレンツォ・ダ・ポンテの台本を基にモーツアルトが作曲したオペラです 邦題では「女はみなこうしたもの」と訳されますが「恋人たちの学校」という副題を持っています 二組の恋人たち(女性は姉妹)と老哲学者、小間使いの6人が主人公で、男たちが変装してお互いの恋人を口説き、貞操を試すというのが大雑把な筋書きです

今回の「コジ・ファン・トゥッテ」の大きな特徴は、舞台をモーツアルトが生きていた時代(1756-1791)の約200年後の1950年代のアメリカ・ニューヨークに移していることです 基本的に私は、作曲者が想定した時代と場所を 演出家が勝手に違う時代と場所に移すやり方には嫌悪感を抱いています しかし、今回の正味3時間の公演を観て思ったのは、「こんなに楽しい演出なら、モーツアルトも許してくれるのではないか」ということでした。舞台がニューヨークのコニーアイランド(遊園地)をモデルにしているので、回転木馬や 回転ティーカップなどが大道具として使われるばかりでなく、剣飲み、火吹き、ヘビ使いなどの大道芸人や小人などの”サーカス要員”が登場し プロのパフォーマンスを見せて聴衆を飽きさせません 何よりも感心したのは、演出が音楽を駆逐していないということです。あくまでも音楽が主役で演出はわき役です

また、主人公の姉妹と小間使いは遊園地近くのモーテルに宿泊しているという設定ですが、3つの部屋がそれぞれ回転し舞台転換をスピーディーにしています 歌手たちは歌いながら演技をするわけですが、常にあちこちに動き回らなければならないので相当な苦労を強いられているはずです

歌手陣では、姉のフィオルディリージを歌ったアマンダ・マジェスキーはアメリカ生まれのリリック・ソプラノですが、透明感あふれる歌唱が魅力です 妹のドラベッラを歌ったセレーナ・マルフィは昨年のMETライブ「ドン・ジョバンニ」でツェルリーナを歌い絶賛されたメゾソプラノですが、美人だけれどコケティッシュな容姿がモーツアルトにピッタリで、深く艶のある歌声で魅了します

フィオルディリージの婚約者グリエルモを歌ったアダム・ぺトヘトカはチェコ出身の若手バスバリトンですが、声に張りがあり、存在感抜群です ドラヴェッラの婚約者フェルランドを歌ったベン・ブリスはアメリカ出身のテノールですが期待の新星です

このオペラの「賭けの仕掛け人」ドン・アルフォンソを歌ったクリストファー・モルトマンはイギリス出身のバリトンですが、軽快な演技力とともに説得力のある歌唱力の持ち主です

さて、今回のオペラの大きな呼び物は小間使いのデスピーナを歌ったケリー・オハラの歌と演技です ご存知の通り、ケリー・オハラはブロードウェイの代表的なトップスターで、2015年の「王様と私」では渡辺謙と共演しトニー賞主演女優賞を受賞したことで話題になりました 3年前のMETライブでは「メリー・ウィドウ」でオペラ・デビューを果たしましたが、あの時は、オペレッタというよりもミュージカルの歌い方でした それが、今回はまったくそういう印象は受けず、しっかりオペラの歌い方になっていました もっとも、ヨーロッパのオペレッタがアメリカに渡ってミュージカルとして花開いたということを考えれば、彼女がミュージカルの歌い方でオペレッタを歌ったというのは それほど違和感のあることではないのかも知れません いずれにしても、歌は抜群に上手いし、演技力はミュージカル仕込みで、自然体で歌ってコミカルに演技をしているという印象を受けます

 

     

 

このオペラは「アンサンブル・オペラ」として有名です 二重唱、三重唱、四重唱、五重唱、六重唱と、登場人物の組み合わせで次から次へと重唱に次ぐ重唱が歌われます もちろん、単独のアリアも歌われますが、むしろ重唱の方が圧倒的に多く、名曲揃いです 指揮者のロバートソンは速めのテンポで軽快に音楽を進め 歌手陣のアンサンブルを支えました

演出上のことで言えば、「いくら外国人に変装したからといって、恋人が自分のパートナーを見破れないわけがないだろう」という誰もが抱く疑問を、「見破れないことを いかに本当らしく見せるか」が演出家に課せられた大きなテーマとなります その点で今回の演出は、二人の男たちが出兵する時、彼らだけでなく、多くのカップルを登場させ、別れを惜しむのは彼ら2組だけではないという形をとることで、姉妹が恋人たちが戦地に出兵すると信じることに説得力を持たせています

もう一つは、二人の男たちの変装力です 真面目で実直な士官二人が、プレスリーみたいな雰囲気の男に変装し、町のあんちゃんみたいな態度で姉妹に接するのを見ていると、まるで別人が登場したと勘違いするほどです

ところで、幕間のインタビューでMETのピーター・ゲルプ総裁が 指揮者のヤネク・ネゼ=セガンに 「当初の予定を前倒しして、来年からMETの音楽監督をお引き受けいただくことになりました」と語りかけていました これは過去のセクハラ疑惑でMET名誉音楽監督を解任されたジェイムズ・レヴァインの後任になる時期が早まるということを意味します 昨年から今年にかけて世界中で ME too の嵐が吹き荒れましたが、クラシック音楽外も例外ではなかったわけです

コメント
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