人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

バッティスト―二 ✕ 辻彩奈 ✕ 東京フィルでチャイコフスキー 「ヴァイオリン協奏曲」、「交響曲第6番”悲愴”」、「アンダンテ・カンタービレ」 を聴く ~ 文京シビック響きの森クラシック・シリーズ

2018年05月27日 07時48分44秒 | 日記

27日(日)。わが家に来てから今日で1333日目を迎え、26日早朝 札幌中央卸売市場の初競りで 夕張メロン1箱(2玉)が過去最高の320万円で落札された というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      量産してけば市の財政再建も早いんじゃね? えっ そういう問題じゃないって?

 

         

 

昨日、午後3時から文京シビックホールで「響きの森クラシック・シリーズ」公演を、午後6時からサントリーホールで東京交響楽団第660回定期演奏会を聴きました ここでは「響きの森クラシック・シリーズ」第64回公演について書きます

オール・チャイコフスキー・プログラムで、①弦楽四重奏曲第1番ニ長調より第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」(弦楽合奏版)、②ヴァイオリン協奏曲ニ長調、③交響曲第6番ロ短調”悲愴”です ②のヴァイオリン独奏は2016年モントリオール国際音楽コンクール優勝者・辻彩奈、管弦楽は東京フィル、指揮は東京フィル首席指揮者 アンドレア・バッティストー二です

 

     

 

いつものように会場はほぼ満席です。このシリーズは人気があります

弦楽器メンバーが配置に着きます。左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという並びです。コンマスは三浦章宏氏です

1曲目はチャイコフスキー「弦楽四重奏曲第1番ニ長調」から第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」(弦楽合奏版)です この作品はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840‐1893)が1871年に作曲しました 弦楽四重奏曲全体として素晴らしい曲ですが、とくに第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」は単独で演奏される機会が多い名曲です

このシリーズ初登場のバッティスト―二が指揮台に上がり、さっそく演奏に入ります この曲に関してはタクトを持たず両手で指揮をします。この曲を聴いた文豪トルストイが涙を流して感激したという逸話が分かるような気がする優しく感傷的なメロディーです バッティスト―二は両手で オーケストラから どこか懐かしい音楽を紡ぎ出します

管楽器が加わり、2曲目の「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」の演奏に備えます この曲は1878年の春、ラロの「スペイン交響曲」(実質的なヴァイオリン協奏曲)に刺激を受けて作曲に取り掛かり、わずか1か月で完成させた作品です 当時のロシアの巨匠レオポルド・アウアーに初演を依頼したのですが、”演奏不能”として拒否されてしまい、3年後の1881年12月に アドルフ・ブロズキーの尽力によってウィーンで初演されました 第1楽章「アレグロ・モデラート~モデラート・アッサイ」、第2楽章「カンツォネッタ:アンダンテ」、第3楽章「フィナーレ:アレグロ・ヴィヴァチッシモ」の3楽章から成ります

赤の衣装に身を包まれた辻彩名が指揮者とともに登場します 赤は情熱を表します。彼女にとってこの衣装は 四大ヴァイオリン協奏曲の中で最も技巧を要する難曲と言われるチャイコフスキーに挑む勝負服なのでしょう バッティスト―二のタクトで第1楽章が開始されます。序奏に続いて独奏ヴァイオリンが入ってきますが、辻彩名は最初から ただ者ならぬ雰囲気を漂わせ、集中力に満ちた演奏を展開します それが極限に達したのがチャイコフスキー自身が残したカデンツァでした 確かな技術を背景に説得力のある演奏を展開、思わず聴き惚れてしまいました 第2楽章ではホルンやクラリネットのしっかりしたバックのもと、独奏ヴァイオリンが良く歌います 切れ目なく移行する第3楽章では、躍動感あふれる演奏を展開、独奏ヴァイオリンとオーケストラとの激しい掛け合いが見事で、熱狂のうちにフィナーレを迎えました

以前、彼女の演奏を聴いたときも感じたことですが、辻彩名という演奏家は若くして”自分自身の音”を持っているような気がします 他の人にない「私はこういう風に弾きたいんだ」という明確な意志のもとに演奏に臨んでいるように思います 若手のヴァイオリニストの中では最も期待できる演奏家の一人です 彼女はアンコールにバッハ「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番」から「アンダンテ」を、これが1挺のヴァイオリンから出ている音か と驚くほどの超絶技巧で演奏し、聴衆のクールダウンを図りました

 

     

 

プログラム後半は「交響曲第6番ロ短調”悲愴”」です この曲は、1893年から本格的に作曲が開始され、8月末に完成しました。10月28日にチャイコフスキーの指揮によりペテルブルクで初演されましたが、彼は11月2日にコレラを発症し、11月6日に死去しました。悲壮です

この曲は第1楽章「アダージョ~アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アレグロ・コン・グラツィア」、第3楽章「アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「フィナーレ:アダージョ・ラメントーソ」の4楽章から成ります

バッティスト―二のタクトで第1楽章が、低弦とファゴットの序奏で開始されます 甘美な第2主題はこの楽章の山です。展開部における強烈な爆発の時、バッティスト―二は指揮台の上で飛び上がり、隣のおじさんは身体をピクっと震わせていました。あなた、寝てましたね 第2楽章は優美なワルツです。メロディー・メーカーのチャイコフスキーはこういう曲は得意ですね 第3楽章は行進曲です。怒涛の快進撃が続く中、私は密かにこの楽章が終わった瞬間を心配していました その心配は不幸にも当たり、2階席を中心に拍手が起きたのです フル・オーケストラによるダイナミックな音楽が高揚感の中で終結したので、これでこの曲も目出度く終わったか、と拍手をしたくなる気持ちは分かりますが、まだ演奏は終わっていません。第4楽章が残っています この曲を初めて聴くのであれば、少なくともプログラム・ノートの曲目解説を読んで、この交響曲は4つの楽章から構成されていることを把握しておくべきです なぜ、楽章間で拍手をしてはいけないかと言えば、演奏する側の集中力を削ぐことになるからです。さらに言えば、他の聴衆がシラケるからです

さて第4楽章が、何事もなかったかのように開始されます この楽章は「アダージョ・ラメントーソ」の指示がありますが、「ラメントーソ」とは「悲しく、悲し気に」という意味です 勉強不足かも知れませんが、私は他の作曲家の作品でこの「ラメントーソ」を見たことがありません バッティスト―二指揮による東京フィルの演奏は、まさに悲壮感あふれるもので、初演の9日後に息を引き取ることとなったチャイコフスキーの無念が伝わってくるようでした

終演は5時6分でした。私は6時からサントリーホールでのコンサートがあるため、拍手もそこそこに会場を後にしました したがってアンコールがあったのかどうかは分かりません

 

     

          

コメント
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