2日(月)。わが家に来てから今日で1890日目を迎え、スマートフォンや携帯電話などを使いながら車を運転する「ながら運転」の罰則と反則金、違反点数の引き上げが12月1日から実施された というニュースを見て感想を述べるモコタロです
罰金や反則金を上げるよりも スマホやケータイを取り上げた方が痛みを感じね?
昨日、NHKホールでN響第1927回定期演奏会(12月A定期)を聴きました プログラムは①メシアン「忘れられた捧げもの」、②ブロッホ「ヘブライ狂詩曲”ソロモン”」、③コレッリ:合奏協奏曲 第8番 ト短調 ”クリスマス協奏曲” 」、④メンデルスゾーン「交響曲 第5番 ニ長調 作品107 ”宗教改革” 」です ②のチェロ独奏=二コラ・アルトシュテット、指揮=鈴木優人です
オケは左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置をとります。コンマスは1970年ブルガリア生まれの客員ヴェスコ・エシュケナージです
1曲目はメシアン「忘れられたささげもの」です この曲はオリヴィエ・メシアン(1908-1992)が1930年に作曲、翌1931年にパリで初演されました メシアンはカトリック信者でしたが、タイトルの「忘れられたささげもの」は、メシアンが楽譜に記した序文の一部「私たちを愛して下さる。優しきイエスよ、私たちはそのことを忘れていた」に表れています 曲は緩ー急ー緩の3つの部分から成ります
N響デビューの鈴木優人が指揮台に上がりさっそく演奏に入ります 第1部「十字架」では弦楽器群のすすり泣きのような弱音により十字架上のイエス・キリストの悲しみが醸し出されます 第2部「罪」では一転、全楽器による悲痛な”叫び声”のような音楽が急速テンポで演奏されます そして、第3部「聖餐」に入ると、穏やかな音楽が奏でられます 同じメシアンでも初期の作品だけに聴きやすい曲想でした
2曲目はブロッホ「ヘブライ狂詩曲”ソロモン”」です この曲はエルネスト・ブロッホ(1880‐1959)が1916年に作曲、1917年5月にニューヨークで初演されました 彼はスイス出身のユダヤ人ですが、1916年にアメリカに渡り作曲を続けました 星野宏美さんによるプログラム・ノートによると「ブロッホは、ユダヤ教の聖典の一書である「コヘレトの言葉」を題材にした作品の作曲を考えていた 紀元前10世紀のイスラエル王ソロモンは、神から非常に豊かな知恵と心を授けられ、王国に繁栄をもたらした。『智恵も知識も、快楽も労苦も、才能も富も、名誉も長寿も、どれもみな空しい』と説く『コヘレトの言葉』は、智恵王ソロモンに遡るとされている」とのことです
非常に哲学的な内容ですが、初めて聴くこの曲を理解するのは相当の時間を要すると思いました 演奏で印象に残ったのは二コラ・アルトシュテットによる心の底に深く響くチェロです
ソリスト・アンコールはJ.S.バッハ「無伴奏チェロ組曲第5番」から第4楽章「サラバンド」でした
プログラム後半の最初はコレッリ:合奏協奏曲 第8番 ト短調 ”クリスマス協奏曲” 」です この曲はアルカンジェロ・コレッリ(1653‐1713)が作曲した「合奏協奏曲集」の中の1曲ですが、作曲年代などは不明です この曲は本来、弦楽トリオと弦楽オーケストラに通奏低音を加えた編成により演奏されますが、この日は、鈴木優人がオーボエ2とファゴット1を加えて編曲した版により演奏されます 第1楽章「ヴィヴァーチェ~グラーヴェ~アレグロ」、第2楽章「アダージョ~アレグロ~アダージョ」、第3楽章「ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アレグロ~パストラーレ:ラルゴ」の4楽章から成ります
ステージ中央にはチェンバロが鍵盤を客席に見せる配置で置かれ、その奥にオルガンが置かれています つまりチェンバロを指揮振りする鈴木優人とオルガン奏者は対面する形でスタンバイします
曲を聴く限り、オーボエとファゴットを加えた編曲は成功したようで、第2楽章でその成果を発揮しました ただ、肝心のチェンバロとオルガンの音がほとんど聴こえてきません 第4楽章に入って辛うじてそれぞれのソロが聴こえる箇所があったので救われた感じです そもそもバロックのコレッリの曲をNHKホールのような大ホールで演奏すること自体が無理があると思います
最後の曲はメンデルスゾーン「交響曲 第5番 ニ長調 作品107 ”宗教改革” 」です この曲はフェリックス・メンデルスゾーン・バルトロディ(1809-1847)が1830年に、宗教改革300年祭に演奏する予定で作曲、1832年11月15日にベルリンで作曲者自身の指揮により初演されました 第1楽章「アンダンテ~アレグロ・コン・フォーコ」、第2楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第3楽章「アンダンテ」、第4楽章「アンダンテ・コン・モート~アレグロ・ヴィヴァーチェ~アレグロ・マエストーソ」の4楽章から成ります
鈴木優人の指揮で第1楽章の序奏に入りますが、管楽器によるコラールのアンサンブルが深い響きで素晴らしかった 第2楽章は実質的にスケルツォですが、メンデルスゾーンらしい木管と金管の弾むような音楽が楽しめました 第3楽章は弦楽セクションのアンサンブルが美しく、また独奏フルートが素晴らしい演奏を展開しました 第4楽章はオーケストラ総力を挙げての溌剌とした演奏で、堂々たるフィナーレを飾りました
演奏が終わって外に出ると、NHKホール前の通路でどこまでも続くイルミネーションが出迎えてくれました