人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

諸井誠「クラシック名曲の条件」を読む ~ ”傑作”は数多くあるが”名曲”は少ないという著者の理論とは?

2019年12月25日 07時21分54秒 | 日記

25日(水)。昨日は大掃除第2弾としてレンジ周り+キッチン、床の雑巾がけをしました 例年 面倒なのは 油まみれになったガスレンジ・フードの掃除です   今回も散々苦労しました。ただ、一日中良い天気だったので第2弾としては はかどりました

ということで、わが家に来てから今日で1913日目を迎え、ボルトン前米大統領補佐官は23日、トランプ米政権の対北朝鮮政策について「北朝鮮の核保有は認められないと言うが、実際の政策を考えると、きれいごとを言っているようだ。政策は失敗している。米国が北朝鮮に最大限の圧力をかけているというアイデアは、残念だが事実ではない」とツイッターで表明した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプに解任されたから文句を言ってるのではないと思う 実際その通りだから

 

         

 

昨日、夕食に「とん平焼き」と「野菜とハムのスープ」を作りました   昨夕はクリスマス・イヴということで多くのご家庭では”にわかクリスチャン”になって「鶏もも+ケーキ」でお祝いしたのではないかと思いますが、わが家では、娘の誕生日が12月25日なので、今夜 誕生祝いを兼ねてお祝いします

 

     

 

         

 

諸井誠著「クラシック名曲の条件」(講談社学術文庫)を読み終わりました 諸井誠(1930-2013)は東京生まれ。作曲家。1952年、東京音楽学校本科作曲科を卒業。翌年、ベルギーのエリザベート王妃国際音楽コンクール入賞 国際現代音楽協会世界音楽祭に3回入選。作品に「ピアノ協奏曲第1番」等がある

 

     

 

本書は 1982年に中公新書から「名曲の条件」として刊行された著書を原本に文庫化されたものです

著者は「名曲の条件」を次のような章立てで解説しています

1.プロローグ ~ モーツアルトに名曲を求めて

2.英雄の条件 ~「英雄交響曲」と「英雄の生涯」

3.名曲が認められるまで ~ チャイコフスキーの2大協奏曲

4.編曲の魅力を捉える ~ ドビュッシーとラヴェル

5.「雨だれ」の構造 ~ ショパンの省略法について

6.「指環」の構図 ~ ヴァーグナーのライトモチーフとは

7.「トロイメライ」をめぐって ~ 情緒か、構造か

8.改作の意味を探る ~ ブルックナーの交響曲をめぐって

9.三つの未完成交響曲 ~ シューベルト、ブルックナー、マーラー

10.形式のコンプレックス ~ 「第九交響曲」を解剖する

11.エピローグ ~ マーラー「復活の歌」

以上のすべての章をご紹介する訳にはいかないので、特に興味を惹かれた章や気付いた点をご紹介したいと思います

「1.プロローグ ~ モーツアルトに名曲を求めて」の中で筆者は、モーツアルトの交響曲を取り上げながら、「名曲として称揚される限りにおいては、何よりもまず『一度聴いたら忘れられない』何かがなければいけない」「(名曲とは)一聴しただけでそれと判り、番号を言われただけで調性を思い出し、第1楽章冒頭を聴いただけで各楽章のテーマが思い出せるような曲である」とし、「モーツアルトだからといって、ことごとくが『名曲』というわけではない」と述べています その上で、彼が「名曲」として挙げているのは第40番 ト短調、第41番 ハ長調、第25番 ト短調の3曲のみです 第35番 ”ハフナー”、第36番 ”リンツ”、第38番 ”プラーハ”はかなりの”傑作”ではあっても”名曲”ではない、と断定しています

個人的な感想を言えば、モーツアルトの ある曲の第2楽章を聴いて、「ハフナー」か「リンツ」か「プラハ」か判別がつかないことがあるので、筆者の考えも理解できるところがありますが、その反面、なぜあれほどの名曲 ”第39番 変ホ長調” が入っていないのか不思議だと思います

「2.英雄の条件」でいう「英雄交響曲」とは、言うまでもなくベートーヴェンの交響曲 第3番であり、「英雄の生涯」はリヒャルト・シュトラウスの交響詩です

「3.名曲が認められるまで」でいう チャイコフスキーの2大協奏曲とは、ピアノ協奏曲 第1番とヴァイオリン協奏曲とのことです 両曲とも作曲当初は認められず、後になって世界的に演奏されるようになった点で共通しています

「9.三つの未完成交響曲」でいう未完成とは、シューベルトの「第7番 ロ短調」(この本では第8番となっています)、ブルックナーの「第9番 ニ短調」、マーラーの「第10番 嬰へ長調」を指しています 筆者は「名曲の条件を考える時、かなり上位の優先順位で『完成度』と『完結性』が問題になりそうだが、この3曲の未完成交響曲が存在し、ひときわ強く光彩を放って、作品の永遠性を誇っているので、完成度と完結性は『名曲の条件』としての効力をほとんど失ってしまうかのように思える とはいえ、これらの三大『未完成』交響曲のために、本来重要に考えられるべき条件を取り下げてしまうのは本末転倒ではないか あくまでも未完成作品は例外として、『番外の名曲』と認識するべきだろう」と述べています

上に挙げた曲のほか、ピアノが弾ける方には「5.『雨だれ』の構造 ~ ショパンの省略法について」と「7.『トロイメライ』をめぐって ~ 情緒か、構造か」が面白いと思うし、ワグネリアンには「6.『指環』の構図 ~ ヴァーグナーのライトモチーフとは」が参考になると思います ただし楽譜がふんだんに出てきますが

自分が好きな曲は諸井氏のいう「名曲の条件」に当てはまっているのかどうか、考えてみてはいかがでしょうか

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