人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

東京新聞 望月衣塑子記者を追う森達也監督映画「 i ー 新聞記者ドキュメント」を観る ~ 今年の「マイベスト3」に入ること間違いなしの近年稀にみる「面白くも考えさせられる映画」

2019年12月20日 07時18分48秒 | 日記

20日(金)。わが家に来てから今日で1908日目を迎え、トランプ米大統領による「ウクライナ疑惑」をめぐり、米下院は18日、トランプ氏を「権力の乱用」と「議会の妨害」で弾劾訴追する決議を賛成多数で可決したが、トランプ氏は中西部ミシガン州バトルクリークで選挙集会に臨み、支持者に「民主党があなたたちを弾劾しようとしている。でも、我々が弾劾されているという気分ではない。米国はかつてないほど成功している。我々は何も悪いことをしていない」と叫んだ というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       弾劾したのは「あなたたち」じゃなくトランプ個人だよ  一蓮托生にしないでよ!

 

         

 

昨日の夕食は「白みそ鍋」にしました 材料は豚バラ肉、キャベツ、モヤシ、玉ねぎ、水菜です。寒い夜は鍋ですね

 

     

     

   

         

 

昨日、渋谷のユーロスペースで森達也監督「 i ー 新聞記者ドキュメント」(2019年・120分)を観ました これは官邸記者会見で官房長官に鋭い質問を投げ続ける東京新聞(中日新聞東京本社)社会部記者・望月衣塑子(もちづき・いそこ)さんの日常の記者活動を追ったドキュメンタリー映画です

結論から先に書きます。近年、これほど面白い映画はありませんでした それと同時に、これほど日本のメディアが置かれた現況について深く考えさせられる映画はありませんでした

 

     

 

森監督が望月記者の取材活動を撮りたいと思った原点は「望月記者はなぜこれほどに目立つのか。周囲と違うのか。言葉が残るのか。特異点になってしまうのか」という疑問です その背景には、「官邸記者会見で、納得できるまで何回も質問を繰り返す望月記者は、記者として当たり前のことをやっているに過ぎないのに、なぜ目立つのか」という単純な問いがあります そこに森監督はメディアの危機を感じ取っています。その結果「日本のメディアはおかしい。一部のメディアはジャーナリズムが機能していない」という結論に達します

映画の中であらためて明らかにされるのは、政権に対する批判媒体としての毎日新聞、東京新聞と、政権べったり媒体としての産経新聞、読売新聞という構図です さらに付け加えれば、反中国・韓国勢力からは「朝日新聞は読むな」という図式があります ただ、政権寄りの新聞社でも、現場の取材記者が政府に批判的な記事を書いても 上層部で直されてしまうという事情はあるようです 「言論の自由」の立場からは新聞社によって主義主張が異なるのは理解できますが、政権の都合が良いことばかりを報道する「政府の広報」のようなあり方には極めて危険な匂いを感じます 発行部数が数百万部という実態に照らすと なおさらそう思います

ところで、望月記者が官房長官にしつこく質問を重ねることができるのは、彼女が社会部記者だからだ、という一面があることは否定できないでしょう 政治部記者が望月さんと同じような質問の仕方をしたら、次の日から出入り禁止になるかも知れません この辺の事情は今年の9月14日、同29日の当ブログでご紹介した相場英雄著「トップリーグ」及び「トップリーグ2  アフターアワーズ」をご覧いただくと理解できると思います

映画には菅官房長官をはじめ、前川喜平氏、籠池夫妻、伊藤詩織さんなど、ここ数年よくメディアに登場した渦中の人物が登場しインタビューに答えています 前川氏の「現在の政権は、国民は皆バカだと考えている」という言葉は重いと思います 一方、籠池夫妻のインタビューはとても面白く館内は大爆笑でした とくに夫人の言動は傑作です

余談ですが、この映画を観て、75年生まれの望月さんには 夫とお子さんがいらっしゃることを初めて知りました てっきり、独身だから怖いもの知らずの「闘う新聞記者」でいられるのだろうと思い込んでいました

最後まで気になったのはタイトル「 i ー 新聞記者ドキュメント」の「 i 」です 大文字なら一人称の  Ⅰ  で「私ー新聞記者」と読めますが、小文字なので違います。しかし、小文字の「 i 」をよく見ると小さな人の形に見えます 「一人の新聞記者は小さいが 大きな存在である」と勝手に解釈しましたが、真相は森監督にしか分かりません

エンドロールが終わると会場のあちこちから拍手が沸き起こりました それは この映画の主役である望月衣塑子さんの頑張りへの拍手であり、「よくぞ映画にしてくれました」という森達也監督への拍手でした

望月さんは昨日のツイッターに「詩織さん勝訴。4年半前に逮捕されていたら刑事事件は全く違った結果が出ていたのではないか。逮捕状執行は見送られ、山口氏は不起訴処分、一か月前には著書『総理』を出版。改めて当時の中村格・警視庁刑事部長の逮捕見送りの判断に問題なかったか。追及重ねたい」と投稿しています

これを見て、望月さんは今この瞬間にもどこかで「闘う新聞記者」として取材活動を続けているんだな、と身の引き締まる思いがしました

この映画は、私が今年観た作品の中で間違いなくベスト3に入る傑作です 是非ご覧になることをお勧めします

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