11日(金・祝)。新国立劇場のホームページ(2月10日付)によると、2021/2022シーズン オペラ「ばらの騎士」の出演者の一部が変更になったとのことです それによると、「オックス男爵に出演を予定していたクリスティン・ジクムントソンは、健康上の理由により出演できなくなった。オクタヴィアン役に出演を予定していたマリア・カターエワは、本人の都合により出演できなくなった。このため次のとおり出演者を変更して上演する。
オックス男爵:クリスティン・ジクムントソン ⇒ 妻屋秀和
オクタヴィアン:アンナ・カターエワ ⇒ 小林由佳
警部:妻屋秀和 ⇒ 大塚博章
これまでの出演者変更は、「新型コロナウイルス・オミクロン株感染拡大防止に係る外国人の新規入国制限措置のため」というのがほとんどでしたが、今回降板になった2人はどうも違うようです 「健康上の理由」は仕方ないとしても、「本人の都合により」というのは何なんでしょうか 今のところ、元帥夫人役のアンネッテ・ダッシュや指揮者のサッシャ・ゲッツェルは予定通り出演するようですが、予断を許しません 「さまよえるオランダ人」「愛の妙薬」に続いて3度目のオール日本人歌手による公演になることも覚悟しなければならないかもしれません
話は変わりますが、3月10日(木)は19時から新国立オペラ「椿姫」と東京フィル定期が重なっており、同12日(土)は14時から読響マチネーが、18時から東響定期があるため、東京フィルと読響の振替制度を利用して、4日間で各1公演を聴くように日程を組み直しました 10日(木)19時:新国立オペラ「椿姫」、11日(金)19時:東京フィル定期、12日(土)18時:東響定期、13日(日)14時:読響マチネー この週は8日(火)、9日(水)もコンサートが入っているので、6日間連続で聴くことになります 腰痛持ちにとっては最悪の強行軍日程です
ということで、わが家に来てから今日で2589日目を迎え、北京冬季五輪フィギュアスケートの男子ショートプログラム8位の羽生結弦が、フリーの演技の冒頭にクワッドアクセル(4回転半=4A)に挑んで転倒したが、初めて国際スケート連盟が「4A」として認定した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
五輪では結局4位に終わったけど 羽生選手の挑戦は 記録にも記憶にも残るだろう
昨日、夕食に「肉じゃが」「生野菜サラダ」「もやしの味噌汁」を作りました 肉じゃがは、ちょっと煮過ぎて一部が溶けてしまいましたが、逆にねっとりして美味しかったです
昨夜、サントリーホールで読売日響「特別演奏会」を聴きました プログラムは①ショスタコーヴィチ「ヴァイオリン協奏曲 第1番 イ短調 作品77」、②同「交響曲 第5番ニ短調 作品47」です 演奏は①のヴァイオリン独奏=服部百音、指揮=井上道義です
このコンサートは、当初予定されていたヴァイグレ指揮によるリヒャルト・シュトラウス「エレクトラ」の中止を受け、2024年末に指揮者引退を宣言している井上道義と協議の上、急きょ企画・実施されることになったものです
自席は2階RB4列目です。会場は7~8割くらいの入りでしょうか。新型コロナまん延防止等措置のもと、大雪注意報発令のもと、よく入った方でしょう
オケは10型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの読響の並び。コンマスは長原幸太、その隣は林悠介というダブル・コンマス態勢です ハープが2台出ていますが、一人は自称”フリーランスの手酌系ハーピスト”高野麗音さんです
1曲目はショスタコーヴィチ「ヴァイオリン協奏曲 第1番 イ短調 作品77」です この曲はドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906-1975)が1947年から翌48年にかけて作曲、1955年にレニングラードでダヴィッド・オイストラフの独奏により初演されました 曲の完成から初演まで間が空いているのは、当時のショスタコーヴィチの作品が「形式主義的堕落と音楽の反民主的傾向をもっとも顕著に表している」としてスターリン政権から批判されたことにより、しばらく公表を控えていたためで、スターリンの死(1953年)以降、それまで未発表だった作品が表に出たからです
第1楽章「ノクターン:モデラート」、第2楽章「スケルツォ:アレグロ」、第3楽章「パッサカリア:アンダンテ ~ カデンツァ」、第4楽章「ブルレスク:アレグロ・コン・ブリオ」の4楽章から成ります
ソリストの服部百音(はっとり もね)は1999年生まれ。2009年にリピンスキ・ヴィエニャフスキ国際コンクール(ジュニア部門)が史上最年少優勝したのをはじめ、数々の国際コンクールで1位を受賞しています 現在、桐朋学園大学院に在籍しています
黒のエレガントなステージ衣装で登場した服部百音が中央でスタンバイし、井上の指揮で第1楽章の演奏に入ります この楽章は闇の世界です。服部は弱音によりモノローグを語ります まるでスターリン時代の暗い世相を表しているかのようです 第2楽章は一転、活気のあるスケルツォで、独奏ヴァイオリンとオーケストラとの丁々発止のやり取りが生き生きと展開します 第3楽章はティンパニと低弦を中心に荘重な主題が奏でられ、独奏ヴァイオリンが切々と変奏を展開します この楽章の最後に長大なカデンツァが演奏されますが、服部はまるで何かに取り憑かれたかのように狂気迫る演奏を展開します クールな顔の表情からは伺い知れない内に秘めた情熱をヴァイオリンの音として表現しているかのようです それは演奏中の激しい足踏みの音に現れていました。靴で床を踏む音が2階席まで轟きました 第4楽章は超高速演奏で、協奏曲というよりは競争曲と言った方が良いほどのアグレッシブな演奏が展開しました 最後の音が鳴り終わった瞬間、ひょっとして今年の「マイベスト3」に入る演奏を早くも聴いてしまったかもしれない、と思いました
服部百音は身体を45度に折って前に一礼、左に一礼、後ろに一礼、右に一礼し、熱狂的な拍手に応えました これほど礼儀正しいアーティストを知りません
会場割れんばかりの拍手に服部は、シューベルト(エルンスト編)「魔王」をストーリー性豊かに超絶技巧で演奏、会場の温度を2度上昇させました
プログラム後半はショスタコーヴィチ「交響曲 第5番 ニ短調 作品47」です この曲は1937年に作曲、同年レニングラードで初演されました 共産党機関紙「プラウダ」がショスタコーヴィチのオペラ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」を「音楽でなく荒唐無稽」と批判したことから、それに対する回答として作曲したものです 第1楽章「モデラート」、第2楽章「アレグレット」、第3楽章「ラルゴ」、第4楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります
オケは14型に拡大します 井上の指揮で演奏に入りますが、終始、弦楽器群の渾身の演奏が素晴らしく、特に遠藤真理率いるチェロ・セクションのエネルギー溢れるアグレッシブな演奏が印象に残りました また、第3楽章「ラルゴ」におけるオーボエの金子亜未、クラリネットの中館壮志(共に新日本フィルからの移籍組)の寂寥感溢れる演奏が素晴らしかった 高野麗音のハープもしみじみと良かった 終楽章の音楽は、「苦悩を通しての勝利」か、「スターリン政権に対する当てつけやパロディー」か、と様々な解釈がありますが、井上 ✕ 読響の演奏は純音楽として"輝かしい喜び”を表現していました
聴衆の熱狂的な拍手にカーテンコールが繰り返されましたが、井上は舞台中央で身体を2回転させダブルトゥループに挑戦、着地に成功しました 彼は2024年末に指揮者を引退すると宣言していますが、引退後はアイススケートに挑戦するつもりでしょうか
帰りも雪が降っていましたが、雪の中を腰痛を押し切って聴きに行って良かったと思いました 何だかんだ言っても、生で聴かなければ作品の本当の良さは分からないと思います