人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「ベルリン便り メンデルスゾーンが聴きたい」(9/10:ブルーローズ)のチケットを取る / 佐藤典雅著「カルト脱出記 ~ エホバの証人 元信者が語る25年間のすべて」を読む

2022年09月05日 07時04分26秒 | 日記

5日(月)。9月10日(土)午後2時からサントリーホール「ブルーローズ」で開かれる「ベルリン便り メンデルスゾーンが聴きたい」公演のチケットを取りました プログラムはメンデルスゾーン①ヴァイオリン・ソナタ ヘ長調 MWVQ26、②チェロ・ソナタ第2番 ニ長調 作品58、③無言歌より、④ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調 作品49です   演奏はヴァイオリン=石原悠企、チェロ=藤原秀章、ピアノ=野上真梨子です メンデルスゾーンが大好きなので、今からとても楽しみです

 

     

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2794日目を迎え、アメリカのトランプ前大統領が3日、11月の中間選挙の激戦州、ペンシルベニア州で演説し、多くの時間をFBIによる強制捜査の批判に費やした上で、「我々こそ、この国の民主主義を救おうとしている。我々は立ち上がり、病的で無法で死の独裁からこの国を取り戻さなければならない」」と約1万人の支持者に訴えた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     「病的で無法で死の独裁」はトランプの大統領時代そのものじゃね? 聞いて呆れる

 

         

 

佐藤典雅著「カルト脱出記 ~ エホバの証人 元信者が語る25年間のすべて」(河出文庫)を読み終わりました    佐藤典雅氏は1971年広島市生まれ。株式会社1400グラム代表取締役。少年期の大半をアメリカで過ごし、ハワイの高校を卒業。グラフィックデザイナー、医療コンサル営業、BSデジタル放送局を経てヤフーに入社。2005年にブランディング社に入社しLAセレブ、東京ガールズコレクション、キットソン等のプロデュースを行う この間、9歳から35歳まで「エホバの証人」の信者だった

 

     

 

本書は、2013年1月に河出書房新社から刊行された「ドアの向こうのカルト ー 9歳から35歳まで過ごしたエホバの証人の記録」を文庫化したものです

本書は次の10章から構成されています

第1章「カルト生活の幕開け」

第2章「自己アイデンティティの上書」

第3章「信者としての自覚と芽生え」

第4章「信者としてのアイデンティティ」

第5楽章「激動の活動時代」

第6章「芽生える疑問」

第7章「アイデンティティとの闘い」

第8章「脱宗教洗脳」

第9章「ミッション・インポシブル・・・親族洗脳解約」

第10章「死と再生・・・人生バージョン2.0」

著者は上記の全10章の中で、まず最初に母親が「エホバの証人」に入信し、彼女を通じて「私」、弟、妹、そして夫である父親が次々と入信させられていき、「私」は組織の中ではそれなりの存在になり、信者としての自覚を持つようになったものの、次第にその教義に疑問を感じ始め、調べていくうちに「教え」に矛盾があることを突き止め、まず自分が脱会し、家族を一人一人説得して脱会させるまでの25年間にわたる信仰生活を、トータル380ページで振り返っています

著者は第1章の中で、「『エホバの証人』は宗教法人『ものみの塔聖書冊子協会』の一般名称である」と説明しています

第2章では次のように解説しています

「証人たちは信者でない人たちを『世の人たち』と呼んでいる 証人たちはキリストによって選ばれているので、サタンの世から嫌われることになる 真の宗教は世の人である親族から反対を受けて当然である。組織は前もって『聖書を学んで組織に入ると周りから反対が起きるよ』と予告する。研究生が聖書研究を始めると身内や友人から『そんな変な宗教やめておきなよ』と言われる すると、『あの予告はやっぱり本当だわ。周りが反対するからこそ真理である証拠だ』と信仰を深めてしまう

これはまさに旧統一教会とほぼ同じやり口ではないか、と思います

また、著者は母親たちから、何か悪いことが起こると「サタンの仕業」と決めつけられ閉口したと書いています 「風邪を引いて伝道に出られなくなれば、それはサタンの邪魔」「学校で子どもが苛められるのも、サタンが悪い」「テレビや漫画の見過ぎはサタンの罠」「讃美歌以外はサタンの音楽」・・・すべてサタンが原因だと言われる 当時中学2年生だった著者にとって、これらがいかに我慢ならない行動制限だったか、容易に想像がつきます

第3章の中では「エホバの証人」の教義について次のように書いています

「神が支配していた王国(エルサレム)が崩壊したのは西暦前607年。ここから2520年の間は神は民を見捨てる。しかしこの期間が終わると、神がイエスを通して再び神の民を支配する。その年が1914年に相当する この時にイエスは天で支配を開始された。そして近いうちに天の王国を地上に持ってくる。この時に今存在するサタンの事物の体制が滅ぼされないといけない したがってハルマゲドン(世の終わり)のカウントダウンとなる『終わりの日』は1914年から始まっている。つまり1914年は事物の体制の終わりの日の始まりであるから、ハルマゲドンはいつ来てもおかしくない。さらに、1919年に『エホバの証人』がイエスによって『真の宗教』として指名された(根拠不明)・・・というのが協会の理論の根拠となっている

第6章ではハルマゲドンについて次のように書いています

「ものみの塔聖書冊子協会は1914年から数えて2000年までには世が終わるという見解を出していた ところが1995年の教義変更で、いつ来るのか分からなくなってしまった ハルマゲドンのデッドラインが大幅に引き延ばされたことに対し、(著者は)どうにも腑に落ちなかった 預言の解釈を変えたのは百歩譲って仕方ないとしても、一体なせこの組織は謝罪の言葉一つも述べられないのかが不愉快だった

そして、第8章では「エホバの証人」に不信感を抱いた著者が自らの調査を通じて「エホバ」という言葉が聖書には一切出てこないことを突き止めます

「証人たちは『新世界訳聖書』という独自の聖書を用いており、協会は『他の聖書訳とは違って、原本の聖書に一番忠実である』と説明していた しかし実際には協会独自の特殊な教義に合わせて、聖句の文法や言葉を改ざんしていた 一番露骨なのはギリシャ語聖書の『エホバ』という部分である。協会の説明では、他のキリスト教会は神の名を隠蔽しているという。そのために、聖書を改ざんしてエホバという名前を聖句から抹消したという だから他の聖書にはエホバの名前が出てこない。証人たちは自分たちの聖書の中にはエホバの名前がたくさん出ているので鼻が高かった ところが、私が読んだ本には『ギリシャ語聖書にはエホバという名前は出てこない』と書いてあった 協会はギリシャ語聖書に勝手にエホバという名前を追加したという 全て『神』『主』と書いてあるところを独断で『エホバ』に置き換えたのだ。しかし聖書には『その言葉に何も付け加えてはならない』と書いてある

こうして、著者は「エホバの証人」の教義は信用できないと判断、脱会に向けて行動を開始します はっきり言って「カルトに洗脳された」信者を普通の真人間に戻すのには、並大抵の努力では成し遂げることが出来ないようです 著者は母親や兄弟から「サタンの回し者」と罵倒されながらも、自分で調べた「エホバの証人」に関する資料やデータを基に、いかに組織が矛盾に満ちた教義を押し付けているか、時間をかけて説明していきます。彼の素晴らしいところは、決して無理強いしないことです 「無理に脱会しなくてもいい。でも話だけは聞いてほしい」というスタンスで攻めていきます。そして納得づくで脱会まで持っていきます 自分自身が信者だったからこそ、どうしたら脱会させることが出来るかが解ったのだと思います

最後に付け加えると、「エホバの証人」は、彼らの主張によると「聖書を読むための組織」であり「宗教」ではない、とのことです 旧統一教会と違って、霊感商法で高い壺を売りつけたり、多額の寄付を強請したりすることはなく、寄付は自由とのこと。その代わり伝道活動は自由とはいえ 実際には大変なようです 街の公園や街角でカバンを下げた真面目そうな数人の男女が集まって何やら話し合っていたら、それは「エホバの証人」が戸別訪問の打ち合わせをしているのだと思ってよいそうです もし証人たちに家に来てほしくなければ「訪問拒否にしてくれ」と強く言うと、区域カードに「訪問拒否」と記録され、1年間は家にやってこないそうです

現在、同じ「カルト」である世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と全国の国会議員、都道府県議、知事らとの関係が大きな問題になっています 朝日新聞のアンケート調査によると、教団や関連団体と接点があったことを認めたのは447人(うち国会議員=150人、都道府県議=290人)で、ともに自民党が8割を占めたそうです(9月4日付朝日朝刊)。言うまでもなく、なぜ議員がカルトと関係を持ってはいけないかと言えば、議員がカルトの「広告塔」として利用される恐れが強いからです 旧統一教会は多くの信者から多額の寄付を巻き上げていると言われており、全国的に寄付金返還の訴訟が起こされていると報道されています もし、旧統一教会の信者で「脱会したい」、あるいは家族を「脱会させたい」と考えている人がいれば、本書は大いに参考になると思います また、一般読者にとっても、カルトとはどんなものかを知る意味で参考になります いま読むべき書籍として強くお薦めします

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