人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

小泉和裕 ✕ 清水和音 ✕ 新日本フィルでブラームス「ピアノ協奏曲第1番」、同「交響曲第1番」を聴く ~ 大地に根を張った堂々たる演奏:第9回すみだクラシックへの扉

2022年09月17日 07時04分22秒 | 日記

17日(土)。わが家に来てから今日で2806日目を迎え、欧州連合欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長は15日に公開されたインタビューで、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領のウクライナでの戦争犯罪について、国際刑事裁判所で裁かれるべきだとの見解を示した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシア兵はウクライナを破壊尽くし 無実の市民を虐殺したのだから責任は免れない

 

         

 

昨日、夕食に2週間に一度のローテにより「鶏の唐揚げ」を作りました いつも通り、栗原はるみ先生のレシピによる「うまみ醤油」(醤油、ニンニク、生姜、削り節)に漬け込んで、2度揚げしています。味が浸み込んでとても美味しく出来ました もちろん唐揚げにはサッポロCLASSICです

 

     

 

         

 

昨日、すみだトリフォニーホールで新日本フィル「クラシックへの扉」第9回演奏会を聴きました プログラムは①ブラームス「ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 作品15」、同「交響曲第1番 ハ短調 作品68 」です   演奏は①のピアノ独奏=清水和音、指揮=小泉和裕です

錦糸町に着いて万歩計を見たら3000歩しか歩いていなかったので、駅の近くの錦糸公園を散歩して歩数を稼ぎ、6000歩まで歩きました ホール内の受付でパトロネージュ部の登原さんに「1日8000歩 歩かなくちゃならないので、公園を散歩して歩数を稼いできました」と話すと「毎日のようにあちこちのコンサートに通っていらっしゃるから、相当歩いているんじゃないですか。でも、腰の痛みはもう大丈夫なんですか?」と訊かれました    今年に入って左腰の椎間板を痛め しばらく歩くのも大変だったので、そのことを心配してくれていたのです 「もう全然平気ですよ」と答えると「本当ですか~、心配ですねぇ」と返されました。余計な心配をおかけして申し訳ない気持ちでいっぱいです せめて階段から転げ落ちて頭を5針縫う手術をしないで済むように気をつけたいと思います

さて、コンサートです 小泉和裕は東京藝大指揮科で山田一雄に師事。第2回民音指揮者コンクール第1位、第3回カラヤン指揮者コンクール第1位入賞 その後、ベルリン・フィルを指揮してベルリン・デビューを果たす。新日本フィル初代音楽監督、カナダ・ウィニペグ響音楽監督、都響首席指揮者、九響首席指揮者、日本センチュリー響音楽監督、仙台フィル首席客演指揮者などを歴任。現在、都響終身名誉指揮者、九響音楽監督、名古屋フィル音楽監督、神奈川フィル特別客演指揮者を務める

清水和音は1981年パリのロン・ティボー国際コンクール・ピアノ部門優勝。2016年4月から「芸劇ブランチコンサート」を主宰するなど室内楽にも力を入れている 桐朋学園大学・大学院教授

 

     

 

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの新日本フィルの並び コンマスは西江王子。隣は山田容子さん(今年6月退団)カムバックか?   チェロのトップには笑顔が魅力の長谷川彰子さんと並んでサミュエル・エリクソンがスタンバイします

1曲目はブラームス「ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 作品15」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833ー1897)が1854年から58年にかけて作曲、1859年1月22日にハノーファーで初演されました 第1楽章「マエストーソ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「ロンド:アレグロ・ノン・トロッポ」の3楽章から成ります

小泉氏の指揮で第1楽章がオーケストラによる力強い演奏で開始されます 開演前にホール隣のホテルの一室で開かれた小室敬幸氏の「60分ワンコイン講座」で、この曲がいかにシンフォニックに作られているかが解説されましたが、冒頭から交響曲のような迫力で迫ってきます 独奏ピアノが加わりますが、悠然とした音楽運びは指揮者・小泉ペースで進んでいると思わせます 第2楽章は重心の低い演奏が続き、ブラームスの秘めた情熱を感じさせます 第3楽章は推進力に満ちた音楽が展開し、ピアノとオーケストラが混然一体となったアグレッシブな演奏でフィナーレに突入します

カーテンコールが繰り返されますが、ソリスト・アンコールはありませんでした。見識です

 

     

 

プログラム後半はブラームス「交響曲第1番 ハ短調 作品68 」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833ー1897)が1855年から76年にかけて作曲、1876年にカールスルーエで初演されました 第1楽章「ウン・ポコ・ソステヌート~アレグロ」、第2楽章「アンダンテ・ソステヌート」、第3楽章「ウン・ポコ・アレグレット・エ・グラツィオーソ」、第4楽章「アダージョ、ピウ・アンダンテ~アレグロ・ノン・トロッポ・マ・コン・ブリオ」の4楽章から成ります

開演前の講座での小室氏の解説によると、「この曲は完成まで20年以上かかったと言われているが、それは『ピアノ協奏曲第1番』の基となった『2台ピアノのためのソナタ  ニ短調』からカウントした年月である 『交響曲第1番』に繋がる素材が最初に書かれたのは1862年で、この時に作曲されたのが第1楽章(冒頭の序奏の後に続く)提示部主部の始まりだった そこから数えた実際の創作年数は1862~76年に至る15年ほどである」とのことです それにしても、1つの曲を作るのに15年もかかるのですからブラームスの曲作りは周到だと思います

小泉氏の指揮で第1楽章の序奏がティンパニの連打で開始されます 悠然たるテンポは小泉氏ならではの音楽づくりです オーボエ、フルートといった木管楽器、そしてホルンが素晴らしい 第2楽章でもオーボエ、クラリネットが素晴らしい演奏を繰り広げていました 第3楽章を経て、第4楽章で印象的だったのは、ブラームスがクララに贈ったというアルペンホルンの旋律です まず日高剛の独奏ホルンが悠然と高らかにメロディーを奏で、それを野津雄太のフルートが受け継ぎますが、このリレーは鳥肌者ものでした さらにその後、ベートーヴェンの「第九」の歓喜のメロディーになぞられる有名なテーマが弦楽器群によって演奏されますが、これが わざとらしさがなく、ごく自然に流れていて好感が持てました    ここまでは悠然としたテンポで進んできましたが、そこから小泉氏はアクセルを踏み、一気に加速して快速テンポで演奏が展開、スケールの大きい圧倒的なフィナーレを迎えました

さて、小泉和裕氏は他の指揮者とは全く違うキャラクターの持ち主です その指揮姿はほとんどカラヤンそのものです これは彼がカラヤン国際指揮者コンクールで優勝したことと決して無関係ではないと思います 強いて言えば、腕の振りがカラヤンよりも大きいと言えます さらに、彼は演奏中に足を動かしません。まるで足に根が生えたように指揮台にピタリと固定し、微動だにしません したがって上半身だけで指揮をするので、両足は前を向いたまま、上半身を右に左に向けて指示を出すことになります これもカラヤン流かもしれませんが、ここまで徹底すると指揮に対するこだわりや信念さえ感じます 今回は楽章間にわずかに足を動かしましたが、これまではその間も足を固定していました 「動かざること山のごとし」(風林火山)ならぬ「動かざること小泉氏の足のごとし」(風鈴花山)です この日の演奏は、その足のごとく、大地に根を張った重心の低い重厚な演奏でした

最近とくに、小泉氏の指揮について「円熟味が増してきた」といった評価をあちこちで耳にするようになりましたが、今回の演奏を聞いて、決して的外れではないな と思いました

帰りがけに受付に寄って「楽章間に小泉氏の足が1センチ動いた」と伝えたら、登原さんとスタッフの方に笑われました 「これを『軽く足らわれる』と言うんだな」と一人呟きながらホールをあとにました

 

     

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