人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ファビオ・ルイージ ✕ ヒブラ・ゲルズマーワ ✕ オレシア・ペトロヴァ ✕ ルネ・バルベラ ✕ ヨン・グァンチョル ✕ 新国立劇場合唱団 ✕ NHK交響楽団でヴェルディ「レクイエム」を聴く

2022年09月12日 07時01分40秒 | 日記

12日(月)。わが家に来てから今日で2801日目を迎え、国連ウクライナ人権監視団のボグナー団長は11日までに、ウクライナに侵攻したロシア軍が、拘束した戦争捕虜に虐待や拷問を加えていることを確認したと発表したが、ロシアは監視団に捕虜収容施設の調査を認めていないと批判、水や食料、医療が適切に提供されていない施設があると訴えた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     戦争は「勝てば官軍負ければ賊軍」ウクライナが逆転攻勢に出ればロシアは賊軍だ

 

         

 

昨日、NHKホールで「NHK交響楽団 9月定期公演 Aプログラム」を聴きました 本公演は2022/2023シーズンの開幕を飾る「ファビオ・ルイージ 首席指揮者就任 記念演奏会」という位置づけにあります プログラムはヴェルデイ「レクイエム」です 出演はソプラノ独唱=ヒブラ・ゲルズマーワ、メゾ・ソプラノ独唱=オレシア・ペトロヴァ、テノール独唱=ルネ・バルベラ、バス独唱=ヨン・グァンチョル、合唱=新国立劇場合唱団、指揮はファビオ・ルイージです

ファビオ・ルイージは1959年イタリア・ジェノヴァ生まれ。これまでにメトロポリタン歌劇場首席指揮者、チューリヒ歌劇場音楽総監督、ウィーン交響楽団首席指揮者、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団および同歌劇場音楽総監督、MDR交響楽団芸術監督、スイス・ロマンド管弦楽団音楽監督などを歴任   現在、デンマーク国立交響楽団首席指揮者、ダラス交響楽団音楽監督を務めており、今年9月、NHK交響楽団首席指揮者に就任しました

NHKホールは天井の耐震工事や設備更新のため2021年3月から2022年6月まで閉館となったため、この間のN響の定期演奏会は従来からのサントリーホールに加え、池袋の東京芸術劇場で開催してきました この日は久しぶりのNHKホールです

 

     

 

コロナ前にあったホール入口近くでのチラシの配布がありませんでした チラシ配布業者との間で何かあったのだろうか 東京フィルの定期演奏会(サントリーホール)では以前からチラシの配布がありません 演奏中にチラシをカサカサさせたり、落として音を出したりすると迷惑この上ありませんが、その一方で、私にとってはこれから聴くコンサートの重要な情報源なので、配布していないと寂しさを感じます よい方法はないでしょうか

ロビーに入って、周囲を見回してみたら、エレベーターとトイレが新しくなっているように思いました 会場に入って周囲を見たら、椅子や床などは以前とほとんど変わらないように感じました 天井の耐震工事に力を入れたのかもしれません。見上げたものです

私は前シーズンはCプロ(池袋・東京芸術劇場)会員でしたが、今期からAプロ(NHKホール)とBプロ(サントリーホール)会員に追加・変更しました この日のAプロの自席は1階センターブロックで、後方ながら通路側です この席で向こう1年間聴くことになります

 

     

 

さて、ヴェルディ「レクイエム」はジュゼッペ・ヴェルディ(1813ー1901)が1874年に作曲した鎮魂ミサ曲です その6年前の1868年、ジョアッキーノ・ロッシーニの死に際して13人のイタリア作曲家による「レクイエム」合作の企画があり、ヴェルディは最後の部分「リベラ・メ(われを解き放ちたまえ)」を作曲しましたが、この時は演奏の機会が与えられませんでした その後、1873年に尊敬する詩人・小説家のA.マンゾーニの死を追悼して、他の部分を作曲し全曲を完成、翌1874年5月22日にサン・マルコ教会で開かれた一周忌で初演されました

ヴェルディ「レクイエム」は次のような構成になっています

Ⅰ レクイエムとキリエ

Ⅱ 怒りの日

 ①怒りの日

 ②不思議なラッパの音

 ③書きしるされた書物は

 ④哀れな私

 ⑤みいつの大王

 ⑥思い出させたまえ

 ⑦私は嘆く

 ⑧判決を受けた、のろわれた者は

 ⑨涙の日よ

Ⅲ 奉献唱

Ⅳ 聖なるかな

Ⅴ 神の子羊

Ⅵ 永遠の光を

Ⅶ われを許したまえ

 

ソプラノ独唱のヒブラ・ゲルズマーワは黒海東海岸を臨むアブハジア出身 1994年モスクワ音楽院を卒業、同年、チャイコフスキー国際コンクールで史上初、唯一の女性歌手による最優秀賞を受賞 これまで、マリインスキー劇場、英国ロイヤル・オペラ・ハウス、メトロポリタン歌劇場、ウィーン国立歌劇場など世界の主要な歌劇場に出演しています

メゾ・ソプラノ独唱のオレシア・ペトロヴァはロシア出身 2014年に「アンドレア・シェニエ」でメトロポリタン歌劇場デビュー その後、世界各地の歌劇場で歌い、2016年からミハイロフスキー劇場のソリストとして活躍しています

テノール独唱のルネ・バルベラはアメリカ出身 2008年メトロポリタン歌劇場ナショナル・カウンシル・オーディションで優勝 ミラノ・スカラ座、ウィーン国立歌劇場などに出演しています。2020年2月には新国立劇場で上演されたロッシーニ「セヴィリアの理髪師」にアルマヴィーヴァ伯爵として出演しました

バス独唱のヨン・グァンチョルは韓国出身 1993年から2004年までベルリン国立歌劇場のアンサンブル・メンバーとして幅広いレパートリーを身に着け、2018年にはベルリンで「宮廷歌手」の称号を与えられました ウィーン国立歌劇場、パリ・オペラ座など世界の歌劇場で活躍しています

最初に新国立劇場合唱団のメンバーが舞台正面のオケの後方にスタンバイします    正確な人数は分かりませんが、女声50名 対 男声40名くらい、合計90名程度です。いずれにしても、これほど多数の合唱団で聴くのはコロナ後では初めてです

次いで、オケのメンバーが配置に着きます オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものN響の並び コンマスは篠崎史紀、その隣はゲスト・アシスタント・コンマスの郷古廉です

 

     

 

拍手の中ソリスト4名がオケの後ろ、コーラスの手前にスタンバイし、ルイージが登場しさっそく演奏に入ります

「Ⅰ レクイエムとキリエ」は最弱音から入ります。そして「Ⅱ 怒りの日」に入ると大太鼓とティンパニの強打、金管の咆哮、弦楽器の渾身の演奏をバックに、世界に通用する新国立劇場合唱団が力強い最強音で怒りの音楽を歌い上げます 次の「②不思議なラッパの音」では、ステージ上のオーケストラと2階左右のバルコニーにスタンバイしたバンダ(別働隊:トランペット各2本)との相乗効果によって高らかなファンファーレが鳴り響き、合唱を引き立てました

次の「③書きしらされた書物は」ではメゾ・ソプラノのオレシア・ペトロヴァが、最高音から再低音までよくコントロールされた歌唱によりドラマティックに歌い上げました 彼女はその後のソロやデュオでも素晴らしい歌唱力を発揮しました 「⑥思い出させたまえ」ではソプラノのヒブラ・ゲルズマーワとオレシア・ペトロヴァとの二重唱が聴かれましたが、はっきり言ってオペラのデュオです この「レクイエム」はオペラティックな側面が強いと言われていますが、こういうところに表れています 「⑦私は嘆く」ではルネ・バルベラのテノール独唱が聴かれましたが、よく通る声で、歌唱力も申し分ありません 次の「⑧判決を受けた、のろわれた者は」ではヨン・グァンチョルのバスが力強く響きました

「Ⅱ 怒りの日」の最後の「⑨ラクリモーザ(涙の日よ)」の主題は、1867年に初演されたオペラ「ドン・カルロス」のために書かれ、初演直前にカットされた二重唱からの転用ですが、オレシア・ペトロヴァとヨン・グァンチョルの歌唱はほとんどオペラそのものです

「Ⅲ 奉献唱」以降もソリスト4人と合唱団の素晴らしいパフォーマンスが繰り広げられ、オーケストラが渾身の演奏で支えました

ソプラノにより「Ⅶ われを許したまえ」の最後の「Libera  me」(われを解き放ちたまえ)が歌われ、オーケストラが静かに曲を閉じると、しばしの”しじま”の後、満場の拍手がステージに押し寄せました

休憩なし約90分の演奏を聴き終わって感じたのは、約200人のオーケストラ・ソリスト・合唱団を束ね、一瞬も弛緩することなく緊張感に満ちた演奏を展開したファビオ・ルイージの卓越した統率力です つくづく、N響は素晴らしい人財を首席指揮者に迎えたと思います

カーテンコールが繰り返されますが、本公演からカーテンコールがスマートフォンで撮影可能(フラッシュは不可)になりました 撮影してSNSで流すのはN響の思う壺ですが、クラシック・コンサートの歴史の中ではエポックメイキングな出来事なので、私もN響の企みに乗って撮影することにしました まさか、N響がこの新しい試みに先鞭を付けるとは思ってもみませんでしたが、クラシック人口を増やすためにも、今後 他のオーケストラにも広がることを期待します いいじゃないですか、撮影したからと言って、減るもんじゃないし

 

     

     

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