人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

オーケストラ来日コスト上昇 = 円安影響 ⇒ 招へい激減も ~ 日経の記事から / 伊坂幸太郎著「クジラアタマの王様」を読む ~ 夢の世界の出来事が現実の世界を左右する

2022年09月24日 07時00分48秒 | 日記

24日(土)。昨日、台風が近づく不穏な天気の中、埼玉県S市の菩提寺に墓参りに行ってきました 春にもお盆にも行けなかったので久しぶりです。帰りに寄った実家の飼い猫「ミラ」(体重7キロのミラクルデブ)と久ぶりに対面しましたが、かなりスリムになったようです 朝は寝ている人間を起こしに来て、夜は早く寝ろと催促するそうです    妹夫婦の家では もはや”ヌシ"的存在になっている様子です 幸いにも、墓参りも行き帰りの道中も雨に降られることがありませんでした 普段の心がけが・・・みなまで言うまい

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2813日目を迎え、ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻を巡り部分動員令を出して以降、ビザなしで入れる隣国モンゴルにロシアから入国する人々が急増している  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     誰だって独裁者プーチンの犠牲になって死にたくないからね 朝青龍が待ってるかも

 

         

 

昨日、夕食に「真鯛の塩焼き」「マグロの山掛け」「生野菜とアボカドのサラダ」「冷奴」「豚汁」を作りました 出来るだけ魚を食べるようにしていますが、和食はいいですね

 

     

 

         

 

22日(木)の日経朝刊 文化面に「オーケストラ来日コスト上昇  円安影響、招へい激減も」という見出しによる同社編集委員・瀬崎久見子さんの記事が載っていました リードには、「新型コロナウイルスの影響で、大人数が移動するオーケストラの来日ツアーが困難になって2年半。今秋からいよいよ本格的にツアーが再開するが、円安などを背景に招へい元のコスト負担が重くなっており、今後は不透明だ」とあります 本文の概要は以下の通りです

「9~10月はサイモン・ラトル指揮ロンドン交響楽団、クラウス・マケラ指揮パリ管弦楽団、11月はアンドリス・ネルソンス指揮ボストン交響楽団、12月はダニエル・バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団の来日公演が予定されている これほど短期間に大物が大挙して来日することは、コロナ前でもあまりなかった クラシック音楽界が平時に戻りつつある証左といえるが、一方で今年は、戦争の影響などによる物流コストの上昇に円安が加わり、日本の招へい元のやり繰りは苦しい ボストン響を招へいするサントリーホールの白川英伸副支配人は「平時に比べるとコストは1億円増」と予測する 大編成のオーケストラの場合、100人以上の人と楽器が移動するが、ロシアによるウクライナ侵攻や原油高などの影響で、航空運賃や燃油サーチャージは高騰している さらに関係者が口をそろえるのは、航空貨物運賃の値上がりだ。加えて、円安がコストを押し上げる パリ管を招へいするエイベックス・クラシックス・インターナショナルは入場料を当初、2万8000円~1万2000円と発表していたが、チケット発売日が迫る中、3万2000円~1万5000円に値上げした 同社の中島浩之社長は「円安がここまで進むとは想定していなかった」と異例の変更の理由を話す。一方、老舗のジャパン・アーツの二瓶純一社長は、今秋のような一流オケの来日ツアーが『今後、激減するのではないか。大きなスポンサーがつく公演は別として、中小の民間事業者が、今のようなコスト高の中で一流オケを呼び続けるのは無理』と語る さらに、ウクライナ侵攻や、環境問題への関心の高まりから『航空機での移動を減らすことを考える音楽家やオーケストラが増えている』と語る そんな中で、今年のように一流オケが短期間に4団体も来日することが、来年以降も続くかというと疑問なのだ その一方、ドイツのカンマー・フィルのような中規模で個性的なオケや、地方都市の有力オケ、ソロのピアニストやヴァイオリニストの来日は増えるかもしれない 一流オケも、例えばサントリーホールと縁の深いウィーン・フィルなどは、来年以降も来日するはずだ 著名オーケストラの演奏は、今や配信でも聴けるようになった もし来日が減っても、それらとは違う新しい音楽家と出会う機会が増えると前向きにとらえたい

 

     

     

クラウス・マケラ指揮パリ管弦楽団のチケット代については、最初のチラシと新しいチラシを比べてみて、「これって、ぼろ儲けじゃね」と思ったものですが、ウクライナ戦争や原油高による航空運賃や楽器の輸送運賃の高騰に円安が加わって、とてつもない金額設定になっているのだと分かります 幸か不幸か、私はマケラが都響を振ったショスタコーヴィチ「交響曲第7番”レニングラード」とマーラー「交響曲第6番」の演奏を聴いているので、あえて高額なチケット代を払ってまでパリ管を聴きに行こうとは思いません だいたいにして、D席が15,000円なんて不当以外の何物でもありません 在京を中心に日本のオーケストラの実力が一段と向上している中、ロンドン響、ボストン響、スターツカペレ・ベルリンについても、チケット代に見合った価値(期待値)を見い出すことが出来そうもないので、チケットを取ろうとは思いません 要するに、海外オケの1回のコンサートに在京オケの年間会費の約半分の金額を費やすほどの価値がどれほどあるか、ということです

 

     

 

記事の中で、ジャパン・アーツの二瓶社長が「環境問題等への関心の高まりから、航空機での移動を減らすことを考える音楽家やオーケストラが増えている」と語っていますが、ヨーロッパのように陸続きの国だったら陸路(燃料の代わりに電気を使用する交通手段)で移動すれば環境問題をクリアできるでしょうが、100人規模のオーケストラの楽団員を島国・日本に移動させるのに航空機を使用しないで、どうやって移動させることができるのか?  と考えてしまいます 大型客船くらいしか頭に浮かびませんが、船だとしても燃料費はかかるし、おまけに移動時間が航空機よりもかなり長くなるので滞在費等の負担も多くなります そう考えると、日本への移動手段はやはり航空機しかないように思われ、二瓶社長の指摘の通り、海外の”大物”オケの来日公演は激減するのではないかと思います さらにオペラの場合は200人規模の人たちを移動させることになり、より多額の経費がかかることを考えると、海外のオペラ劇場の引っ越し公演は絶望的になるのではないかと危惧します

 

         

 

伊坂幸太郎著「クジラアタマの王様」(新潮文庫)を読み終わりました 伊坂幸太郎は1971年千葉県生まれ。1995年、東北大学法学部卒業。2000年「オーデュボンの祈り」で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー 2004年「アヒルと鴨のコインロッカー」で吉川英治文学新人賞、2008年「ゴールデンスランバー」で本屋大賞と山本周五郎賞、2014年「マリアビートル」で大学読書人大賞など受賞多数

 

     

 

本書は令和元年7月にNHK出版より刊行された単行本を文庫化したものです

主人公の岸は製菓会社の広報部員。身重の妻と二人暮らしの彼は、ある日会社から新製品のマシュマロ菓子に画鋲が混入していたという女性クレーマーへの対応を命じられる 生真面目な岸は居丈高なクレーマー客や横暴な広報部長と向き合いながら懸命にトラブルを解決しようと奮闘努力する 非難の嵐に疲れ果てる岸だったが、女性クレーマーの夫である都議会議員の池野内征爾や、マシュマロ菓子が大好きだという人気ダンサーの小沢ヒジリとの出会いを通して、3人が同じ夢の中で何者かと闘っていることを自覚するようになり、夢の世界と現実の世界が混在してくる 池野内の推測によれば、現実世界と夢の世界はリンクしていて、夢の世界で彼らは 街の広場に陣取るハシビロコウ(嘴が大きい鳥)に討伐対象のモンスターを指示され、それに勝利できれば現実世界でのトラブルを回避でき、負けてしまうとその逆の結果になるのだという しかし、岸たちはあくまでも夢世界のもう一人の自分と紐付いているだけで、自ら闘いに参戦するわけではなく、その結末を夢で見届けることしかできないという かくして3人は夢の世界での闘いぶりに振り回されながら現実の世界を生きていく

本書は第1章「マシュマロとハリネズミ」、第2章「政治家と雷」、第3章「炎とサイコロ」、第4章「マイクロチップと鳥」という流れで物語が展開していきますが、各章のはじめに川口澄子さんの漫画風の挿画が登場し、岸が夢の中で見ているモンスターとの闘いを描いています これがシンプルながら秀逸です

物語の最後に、鳥の「ハシビロコウ」がラテン語の学名で、「クジラアタマの王様」という意味を持っていることが明かされます

440ページにわたる本書を読み終わって思ったのは、パソコンやスマホのロールプレイング・ゲームに熱中している人たちの中には、岸たちのように夢の世界の出来事が現実の生活を左右する現象を経験している人がいるかもしれない、ということです 伊坂幸太郎ならではのユーモアに溢れたエンターテインメント小説です お薦めします

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