人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ヌーベルバーグの旗手、ジャンリュック・ゴダール死す / 西條奈加著「隠居すごろく」を読む ~ 孫に振り回されながら充実した人生を送る隠居の物語

2022年09月15日 07時11分25秒 | 日記

15日(木)。新聞各紙によると、『勝手にしやがれ』などの作品でヌーベルバーグの旗手と言われたフランスの映画監督ジャンリュック・ゴダール氏が死去しました スイスで認められている『自殺幇助』により亡くなったとのことです(享年91歳)

映画は120年以上の歴史の間に3度の革命を経験しました ①1920年代に「無声」から「トーキー」へ、②1930年代に「モノクロ」から「カラー」へ、③1960年代に「スタジオセット」から「屋外撮影」へという革命です ③の革命はフランスで起こったヌーベルバーグ(新しい波)と呼ばれる映画革新運動です ゴダールは1960年、初の長編「勝手にしやがれ」(主演=ジャン=ポール・ベルモンド)を監督し、セットから街へカメラを持ち出し、若者の風俗や気分を活写しました 彼の手法はその後の映画の撮り方やテーマを大きく変え、もう一人の先駆者フランソワ・トリュフォーとともに後進の映画監督に大きな影響を及ぼしました

あらためてゴダールさんのご冥福をお祈りします

 

     

     

ということで、わが家に来てから今日で2804日目を迎え、米主要メディアは13日、ロシアが2014年以降、20か国以上の政党や政治家などに対し、少なくとも3億ドル(約430億円)を供与していたが、選挙干渉による民主主義体制の弱体化や、ロシアに有利な世論形成を図る工作の一環だったと報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     せっかくの裏工作だけど  ウクライナ侵攻で退却を強いられ 誰も相手にしなくなる

 

         

 

昨日、夕食に「牛モモステーキ」「メカジキのソテー」「生野菜とアボカドのサラダ」「冷奴」「舞茸の味噌汁」を作りました 今週は娘が残業ならぬ超早出勤務で始発電車で出勤するため、スタミナをつける必要があるので、食事量が多めになっています

 

     

 

         

 

西條奈加著「隠居すごろく」(角川文庫)を読み終わりました 西條奈加は1964年北海道生まれ。2005年「金春屋ゴメス」で第17回日本ファンタジーノベル賞を受賞しデビュー 2015年「まるまるの毬」で第36回吉川英治文学賞文学新人賞を、2021年「心淋し川」で第164回直木三十五賞を受賞

 

     

 

私は普段 時代小説は読まないし、「サラバ!」の西加奈子に著者名が似ているな、という印象しかありませんでした 新聞の読書欄でこの本が紹介されているのを読んで興味を持ちました 小説の舞台が現在 私が住んでいる巣鴨であるところにも親近感を感じました

主人公の隠居というのは巣鴨で6代続く老舗糸問屋の店主・嶋屋徳兵衛です 還暦を機に息子に身代を譲り、店と離れた土地に隠居家を構え念願だった隠居生活を始めます しかし、33年間商売一筋に生きてきた徳兵衛には趣味がありません 退屈を持て余していたところにやってきたのが8歳の孫・千代太です 千代太は犬や猫を拾ってきては動物嫌いの徳兵衛を困らせます 徳兵衛は孫の優しさを否定してはいけないと、「その優しさを人のために使ってみてはどうだ」と諭します 「我ながら良いことを言った」と一人悦に入っていると、その一言が彼の隠居生活を一変させる契機となることを思い知らされます 千代太は今度は 貧乏な子どもを連れてきて、「食事を与えてほしい」と言い、さらに 働き口のない彼らの親まで連れてきて面倒を見てほしいと言い出します 千代太の要求はどこまで広がっていくのか・・・徳兵衛は頭を抱えます

これまで商売一筋に生きてきた徳兵衛が、孫との接し方も分からず、あたふたと対応する様子は微笑ましく感じます しかし、徳兵衛はそれまで培ってきた商人としての知見と経験により、孫が次々と持ち込む難題に対処していきます それは多くの貧しい人たちの雇用を生み、彼らの生活を安定させていきます

純粋で優しい心を持った幼い千代太の行動が、人生の大先輩の徳兵衛を徐々に変えていくところは痛快です 徳兵衛の隠居生活は”穏健”からは程遠いものになってしまいますが、反って生き甲斐に満ちた第二の人生を送ることになり、まさに隠居のすごろくは上がりとなったわけです

西條奈加の作品を読むのは本作が初めてでしたが、江戸時代の隠居の生活を描くだけの物語なのにストーリー展開が見事で、その上文章力が優れており、読み進めるにつれて心揺さぶられました 彼女の別の作品も読んでみたくなりました タイトルは地味ですが、中身は素晴らしい作品です。お薦めします

コメント (2)
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