人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

読響アンサンブルでライヒ「クラッピング・ミュージック」、メシアン「世の終わりのための四重奏曲」他を聴く / 小林研一郎✕フィルハーモニックアンサンブルの「わが祖国」公演のチケットを取る

2019年11月19日 07時19分20秒 | 日記

19日(火)。わが家に来てから今日で1877日目を迎え、トランプ米大統領は17日、自身のツイッターで北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長に対し、自分が米大統領選有力ライバルのバイデン前副大統領よりも最適な交渉相手だと強調し、「あなたは迅速に行動し、ディールをまとめるべきだ」と呼びかけた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      国民の目を自身の弾劾裁判の動きから逸らそうと焦っているね  分かり易い男だ 

 

         

 

昨日、夕食に「ちぎり厚揚げと豚バラの和風炒め」「オカラとトマトとハムのサラダ」「混ぜご飯」「ジャガイモの味噌汁」を作りました サラダは、娘が旅先でオカラをもらってきたのを早めに食べようということで、自己流で作ったもので、マヨネーズで和えました

 

     

 

         

 

来年2月23日(日)午後2時からサントリーホールで開かれる「フィルハーモニックアンサンブル管弦楽団」第67回演奏会のチケットを取りました プログラムはスメタナの連作交響詩「わが祖国」です 指揮は”炎のコバケン”こと小林研一郎です

 

         

 

昨夕、よみうり大手町ホールで「読響アンサンブル・シリーズ《中川賢一と読響メンバーによるライヒ&メシアン》」を聴きました プログラムは①スティーヴ・ライヒ「クラッピング・ミュージック」、②同「ダブル・セクステット」、③オリヴィエ・メシアン「世の終わりのための四重奏曲」です 演奏はピアノ=中川賢一、小坂圭太、ヴァイオリン=瀧村依里、對馬哲夫、チェロ=遠藤真理、髙木慶太、フルート=倉田優、片爪大輔、クラリネット=金子平、芳賀史徳、打楽器=西久保友広、野本洋介、音響=有馬純寿です

 

     

 

開演前にピアノの中川氏のよるプレトークがあり各曲の解説がありましたが、説明は簡潔にして明瞭ですごく分かり易かったです 現在、お茶の水女子大や桐朋学園大で教鞭をとっているそうですが、学生にとって分かり易い授業でしょうね

さて本番です。1曲目はスティーヴ・ライヒ「クラッピング・ミュージック」です この曲はライヒ(1936-)が1972年に作曲した2人の手拍子による音楽です

会場の照明が落とされ、真っ暗になります しばらくして照明がパッと点くと、ステージ中央に西久保友広、野本洋介の二人の打楽器奏者が何も持たずに立っているのが確認できます 二人は同一パターンの手拍子を始めますが、途中で一人がずれます ずれたまま進行して、最後にはいつの間にか一致して終わります 単純にして明快な4手による演奏に、会場の1000本の手が惜しみない賞賛の拍手を送りました

2曲目はライヒの「ダブル・セクステット」です この曲は2007年10月に完成した作品で、編成が同じ2つの六重奏(ヴァイオリン、チェロ、クラリネット、フルート、ヴィブラフォン、ピアノ)のための曲です 向かって左サイドに瀧村、遠藤、金子、西久保、中川の6人が、右サイドに對馬、髙木、芳賀、片爪、野本、小坂の6人がスタンバイし 向かい合います   この曲は「急ー緩ー急」の3楽章から成りますが、続けて演奏されます なお作曲者の指示によりヴァイオリン、チェロ等にはPA(拡声装置)が使用されます

この曲は、中川氏がプレトークで説明していたように「プログレッシブ・ロック」のような作品です 向かい合わせたピアノとヴィブラフォンの刻む極めて高度な変拍子のリズムに乗って、各楽器がアンサンブルを奏でていきますが、演奏者はほとんど内田裕也ばりの”ロケンロール”です かくして よみうり大手町ホールはフレディ・マーキュリー率いるクイーンを迎えた武道館と化したのでした

 

     

 

休憩時間に、当ブログの読者Nさんとホワイエでコーヒーを飲みました Nさんは最近、浜離宮朝日ホールで開催のクイケンのコンサートに行ったそうですが、新橋から行くのに不便だと言っていました あそこは大江戸線を使うのが一番ですが、新橋からだと遠回りになります また 来年1月に知人が王子ホールでコンサートを開くので打ち合わせに同行したが、よみうり大手町ホールとは違い、アコースティックのみで、PAは使用不可と言われたとのこと どうやら王子ホールは純クラシック音楽しか受け付けないようです 私の方は、右手に包帯を巻いているのは腱鞘炎が完治しないから ということや、最近観た映画で印象に残ったのは 上映時間7時間18分というタル・ベイラ監督「サタン・タンゴ」で、「長回し」と「雨のシーン」が特徴だったという話などをしました(10月4日のブログに掲載)。休憩時間15分は短すぎます

プログラム後半はメシアン「世の終わりのための四重奏曲」です この曲はオリヴィエ・メシアン(1908-1992)が1940年に、第2次世界大戦ドイツ軍の捕虜になり、収容所内で「ヨハネの黙示録」第10章から啓示を受けて曲された作品で、1941年1月15日に捕虜収容所の兵舎で初演されました そんな所で よく楽譜用の紙や楽器や演奏者が揃ったものだと感心します 初演に居合わせたドイツ兵や他の捕虜たちは”オリヴィエを聴きながら”何を想っただろうか

この作品は下記の8つの楽章から成ります。演奏はヴァイオリン=瀧村依里、チェロ=遠藤真理、クラリネット=金子平、ピアノ=中川賢一です

第1楽章「水晶の礼拝」では、ヴァイオリンやクラリネットから鳥の鳴き声が聴こえました

第2楽章「世の終わりを告げる天使のためのヴォカリーズ」では、ピアノに乗せて奏でる瀧村依里のヴァイオリンと遠藤真理のチェロの二重奏が美しく響きます

第3楽章「鳥たちの深淵」では、金子平のクラリネット独奏による最弱音から最強音までの息の長いクレッシェンドが、また その間の音色の変化が素晴らしく、読響にクラリネットの金子平あり という見得を切ったような見事な演奏でした

第4楽章「間奏曲」は肩の力が抜けた楽しい演奏でした

第5楽章「イエズスの永遠性への頌歌」では、中川氏のピアノに乗せて奏でる遠藤真理のチェロが良く歌い、深い感動を呼び起こしました 

第6楽章「7つのラッパのための狂乱の踊り」では、4人の高速アンサンブルが見事でした 速いテンポのメロディーの一部は、カンブルラン指揮読響で聴いた「アッシジの聖フランチェスコ」の一部に似ていると思いました

第7楽章「世の終わりを告げる天使のための虹の錯乱」では、弦楽の2人を中心とするアンサンブルが素晴らしかったです

第8楽章「イエズスの不滅性への頌歌」では、中川氏のピアノに乗せて奏でる瀧村依里の独奏ヴァイオリンが天国的な美しさを表していました

演奏時間約50分というのが信じられないくらい、時間の経つのが速く感じました こういう演奏を名演と言うのでしょう 大きな拍手の中、カーテンコールが繰り返されたのは言うまでもありません

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ブロムシュテット ✕ ステュルフェルト ✕ N響 でステンハマル「ピアノ協奏曲 第2番」、ブラームス「交響曲 第3番」を聴く / 東京春祭「マクベス」 & 「プッチーニ 3部作」のチケットを取る

2019年11月18日 07時16分56秒 | 日記

18日(月)。わが家に来てから今日で1876日目を迎え、合成麻薬MDMIを自宅で所持していたとして麻薬取締法違反の疑いで逮捕された沼尻エリカ容疑者が、2020年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」に出演予定だったが、NHK広報局は「事実関係を確認中で、大河ドラマについては今後の対応を検討中」としている というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                大河ドラマじゃなくて 大麻ドラマだったら そのまんま出演続行間違いなしだよね

     

         

 

昨日、NHKホールでN響11月A定期演奏会を聴きました プログラムは①ステンハマル「ピアノ協奏曲 第2番 ニ短調 作品23」、②ブラームス「交響曲 第3番 ヘ長調 作品90」です 演奏は①のピアノ独奏=マルティン・スティルフェルト、指揮=N響桂冠名誉指揮者ヘルベルト・ブロムシュテットです

なお、1曲目は当初ピーター・ゼルキンがレーガー「ピアノ協奏曲へ短調」を弾く予定でしたが、健康上の理由で降板したため、曲目とソリストが変更になりました

 

     

 

オケは左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置を取ります。コンマスは、マロこと篠崎史紀です

1曲目はステンハマル「ピアノ協奏曲 第2番 ニ短調 作品23」です   この曲はスウェーデンの作曲家ウィルヘルム・ステンハマル(1871-1927)が1904年から07年にかけて作曲した作品です  第1楽章「モデラート~アレグロ・モルト・エネルジコ」、第2楽章「モルト・ヴィヴァーチェ」、第3楽章「アダージョ」、第4楽章「テンポ・モデラート」の4楽章から成ります

ピアノ独奏のステュルフェルトは1979年スウェーデン生まれ。ストックホルム王立音楽院とロンドンのギルバート音楽演劇学校で学んだ40歳の油の乗り切ったピアニストです。ピアニストを伴ってステージに登場したブロムシュテットは、1年前に定期公演を聴いた時より足の運びがスムーズで、とても92歳とは思えない矍鑠たる姿勢が印象に残ります

安田和信氏によるプログラム・ノートによると、「この曲はブラームスをモデルにした特徴がある」とのことですが、演奏を聴く限り、それは二人とも「ピアノ協奏曲」を2曲書いていて、調性と楽章構成が同じという共通点しかないように思えます。曲想はどうかと言えば、第1楽章、第2楽章はブラームスというよりはサン・サーンスに似たところがあると思いました。ブラームスと異なる点は全楽章が切れ目なく続けて演奏されることです

初めて耳にする曲ということもあって、その良さを理解するまでには至りませんでした 別の言葉に置き換えると、どこが良いのかさっぱり分かりませんでした 勉強不足を反省しています

ステュルフェルトはアンコールに、ブラームス「幻想曲集作品116」から第4曲「間奏曲」を叙情的に演奏、満場の拍手を浴びました やっぱり、ブラームスの方が良いな、と率直に思いました

 

     


プログラム後半はブラームス「交響曲 第3番 ヘ長調 作品90」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833-1897)が1883年に作曲、同年ウィーンで初演されました 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「ポコ・アレグレット」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります

ブロムシュテットは指揮台に青い表紙の小さなスコア・ブックを載せていますが、演奏中それをめくることはありません   同じ暗譜でも、作曲家に対する敬意を表しているのだと思います。優れた指揮者は必ずこのような態度を取ります

演奏を聴いて、一番印象に残ったのは第2楽章「アンダンテ」です。ゆったりしたテンポによる演奏を聴いて、92歳のブロムシュテットが到達した枯淡の境地を垣間見る思いがしました 私がちょっと驚いたのは、第2楽章、第3楽章、第4楽章を、間を置かず続けて演奏したことです これはブラームスの指示にはないと思われるので、ブロムシュテット独特の解釈によるものだと思いますが、その意図は不明です

第4楽章は、オケのメンバーが、それまで抑えていた感情を一気に爆発させたような熱演を見せ、ブロムシュテットの要請に応えました

演奏全体を通じて感じたのは、N響の楽員のブロムシュテットに対するリスペクトです ブロムシュテットは1981年にN響と初共演を果たし、その後、1986年には名誉指揮者に、2016年には桂冠名誉指揮者に就任しています。この間、N響の定期公演に度々招かれ、数々の名演を残しました 現在のN響の楽員で、ブロムシュテットが1981年にN響を振った時に在籍していた楽員はほとんどいないのではないか、と思います それは、ブロムシュテットの方が、現在のN響の誰よりもN響の歴史を知っているということです。それが彼に対するリスペクトに繋がっているのだと思います

 

     

 

         

 

昨日、「東京・春音楽祭 2020」のチケットを2枚取りました 前回「トリスタンとイゾルデ」のチケット先行発売の時はアクセスが大幅に遅れ、思い通りの席が取れなかったたので、今回は同じ轍を踏まないように受付開始30分前にサイトにアクセスし、そのまま画面を維持しておきました これが功を奏し、受付開始から2分で繋がり、思い通りの席が取れました 今回も前年と同じA席=1階R列の通路側(2公演とも同じ席)を確保しました

 

     

 

1枚目は来年3月13日(金)18時半から東京文化会館大ホールで開かれる「イタリア・オペラ・アカデミー in 東京 vol.2『マクベス』」です リッカルド・ムーティが東京春祭特別オーケストラを指揮してヴェルディ「マクベス」(演奏会形式)を振ります キャストはマクベス=ルカ・ミケレッティ、バンコ=リッカルド・ザネッラ―トほかです

 

     

 

2枚目は4月18日(土)15時から東京文化会館大ホールで開かれる「東京春祭プッチーニ・シリーズvol.1 三部作(外套/修道女アンジェリカ/ジャンニ・スキッキ)」です スペランツァ・スカップッチが読売日響を振ります 出演はソプラノ=ロベルト・フロンターリほかです

 

     

 

2公演とも演出抜きの「演奏会形式」ですが、視覚に捕らわれず音楽に集中できるので良い試みだと思います

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ジョナサン・ノット ✕ 東京交響楽団でマーラー「交響曲第7番 ホ短調」、ベルク「管弦楽のための3つの小品」を聴く

2019年11月17日 07時21分21秒 | 日記

17日(日)。わが家に来てから1875日目を迎え、米議会下院の情報特別委員会は15日、ウクライナを巡るトランプ大統領の不正疑惑についての公聴会を開き、マリー・ヨバノビッチ元駐ウクライナ大使が出席したが、トランプ氏は公聴会中に「ヨバノビッチ氏が赴任した国はどこも悪い状況になった」とツイッターで批判した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      証人を貶める発言は「調査妨害」として弾劾訴訟の根拠になる恐れがあるんだぜ

 

         

 

昨夕、サントリーホールで東京交響楽団の第675回定期演奏会を聴きました プログラムは①ベルク「管弦楽のための3つの小品 作品6」、②「交響曲第7番 ホ短調 ”夜の歌”」です 指揮は東響第3代音楽監督 ジョナサン・ノットです

 

     

 

オケは左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置をとります。コンマスは水谷晃です

1曲目はベルク「管弦楽のための3つの小品 作品6」です   この曲はアルバン・ベルク(1885-1935)が1914年から翌15年にかけて作曲、その後1929年に改訂した作品です 第1曲「前奏曲」、第2曲「輪舞」、第3曲「行進曲」から成ります

石川亮子さんによるプログラム・ノートには、この曲は「作品にはシェーンベルクとともに、ベルクが敬愛したマーラーの影響が色濃い」と書かれていますが、演奏を聴く限り、確かに大管弦楽による秩序だった曲想は認められるものの、マーラーの影響は感じられませんでした こういう曲は疲れます

 

     


プログラム後半はマーラー「交響曲第7番ホ短調”夜の歌”」です この曲はグスタフ・マーラー(1860-1911)が1904年から1906年にかけて作曲、1908年に初演されました 「夜の歌」という愛称は第2楽章と第4楽章のタイトル「夜曲(ナハトムジーク)」に由来します 第1楽章「ラングザーム:アレグロ・リゾルート、マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「ナハトムジーク:アレグロ・モデラート」、第3楽章「スケルツォ」、第4楽章「ナハトムジーク:アンダンテ・アモロ―ソ」、第5楽章「ロンド~フィナーレ:アレグロ・オルディナリオ」の5楽章からなります

管楽器は4管編成です。ステージ中央の管楽器の手前にはギター奏者とマンドリン奏者がスタンバイします。これは「ナハトムジーク」用です

ノットの指揮で第1楽章に入ります。この楽章では、ホルンが活躍し、中盤でクラリネットとオーボエがベル・アップ奏法を見せました 第2楽章は冒頭、ステージ上のホルンと、舞台袖の裏で吹くホルンとの対話がありますが、舞台袖のホルンの音がやや大きすぎるように思いました もっと奥で吹くか、小さな音で吹くかした方が立体感が出たのではないかと思います 第3楽章は、まるで魑魅魍魎がワルツを踊っているような不気味な音楽が展開します 水谷晃のヴァイオリン・ソロ、青木篤子のヴィオラ・ソロが冴えました そして、問題の第4楽章「ナハトムジーク」に入ります マーラーはこの楽章のためにギターとマンドリンを採用しました。「ナハトムジーク」すなわち「夜の歌=セレナーデ」は、男が女の部屋の窓辺でギターやマンドリンの伴奏で求愛の歌を歌うもの。夜の歌には欠かせない楽器です しかし、マンドリンは微かに音が聴こえるものの、ギターはほとんど聴こえません これはこの日の演奏に限らず、私の聴いた過去の演奏がすべてそうでした CDやDVDであれば特定の楽器の音を増幅することができるので、マーラーの意図がストレートに伝わってくるのですが、ライブだと、オケの音に掻き消されてしまいます この楽章を聴くたびに残念な思いに囚われます これはマーラーの責任でしょうか、あるいは指揮者の責任でしょうか

第5楽章はロマンティックなセレナードの世界から一転、ティンパの連打と金管のファンファーレによって「何の悩みもないかのような」能天気とでも言うべき派手な音楽が展開します この楽章に至って、ノットはメリハリの効いた速めのテンポにより、東響から集中力に満ちた筋肉質な熱演を引き出しました

最後の音が鳴り終わるや否や、満場の拍手とブラボーが飛び交いました

終演後、カラヤン広場に出ると、何とも早めのクリスマス・ツリーが輝いていました

 

     

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モーツアルト&ブラームス「クラリネット五重奏曲」を聴く ~ イシュトヴァン・コハーン、植村太郎、石上真由子、朴梨恵、辻本玲:北とぴあ つつじホール

2019年11月16日 07時15分16秒 | 日記

16日(土)。わが家に来てから今日で1874日目を迎え、中国の習近平国家主席は14日、香港の抗議活動について「暴力的な犯罪行為が続いており、法治と社会秩序を著しく踏みにじっている。香港警察が厳格に法を執行するのを強く支持する」と述べた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       暴力的な犯罪行為をやってるのは香港警察だろうが! 人権問題では中国は小国だ

     

         

 

昨日、夕食に「チキンステーキ」を作りました 決め手は焼き具合と、塩、黒コショウ、日本酒、醤油、オイスターソース、トマトケチャップによる味付けです

 

     

 

         

 

昨夕、王子の北とぴあ つつじホールで「クラリネット五重奏  室内楽演奏会」を聴きました プログラムは①モーツアルト「セレナード第10番変ロ長調K.361”グラン・パルティータ”」より第3楽章「アダージョ」(イシュトヴァン編)、②同「クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581」、③ブラームス「6つの歌より”愛のまこと”作品3-1」(イシュトヴァン編)、④同「5つの歌曲」より”メロディーが導くように”作品105-1(同)、⑤同「クラリネット五重奏曲 ロ短調 作品115」です 演奏はクラリネット=イシュトヴァン・コハーン、ヴァイオリン=植村太郎、石上真由子、ヴィオラ=朴梨恵、チェロ=辻本玲です

イシュトヴァン・コハーンはハンガリー出身。数々の国際コンクールで第1位を受賞しており、現在は東京音楽大学非常勤講師を務めています 植村太郎は現在 東京藝大准教授で、前日、高関健指揮藝大フィルハーモニア管弦楽団の定期公演でコンマスを務めました 石上真由子は高校2年の時に第77回日本音楽コンクール第2位、現在長岡京室内アンサンブルのメンバーとして活躍しています 朴梨恵はハノーファー音楽大学院ヴィオラ科を修了、現在京都を中心に活躍しています 辻本玲は現在、日本フィルのソロ・チェロ奏者を務めています

 

     

 

北とぴあは都電利用によりdoor-to-doorで20分と、自宅から一番近いコンサートホールです さくらホールは何度か聴いたことがありますが、つつじホールは初めてです

全自由席です。K列22番、右ブロック左通路側を押さえました 会場は8割方埋まっているでしょうか。前半は植村太郎が第1ヴァイオリンを務めます

冒頭、植村氏がマイクを持って、「われわれはいつもは京都を中心に活動していますが、今日は初めて東京での開催です 東京で最初のコンサートがなぜ 北とぴあ なのか、と言いますと、私の自宅がすぐ近くだからです いつも北とぴあの前を通って王子駅まで行き来しています。それでは、本日の演奏曲目についてイシュトヴァンに解説してもらいます」とあいさつ、イシュトヴァンにマイクを渡しました イシュトヴァンは いきなりハンガリー語らしき言語で流暢に話し始めましたが、通訳がないので誰もがチンプンカンプンです その後、日本語で「皆さん、ご安心ください。わたし日本語出来ます」と宣言して曲目の解説に入りました たどたどしい日本語でユーモアを交えながらモーツアルトの「グランパルティータ」や「クラリネット五重奏曲」を初めて聴いた時の感動を中心に、結構な時間をかけて解説しました モーツアルトの「クラリネット五重奏曲」の第3楽章「メヌエット」は、曲想が単純であるにも関わらず演奏するのがとても怖い、と語っていたのが印象に残りました 確か彼のパートナーは日本人女性だったと思いますが、そうした環境が人前で躊躇なく日本語を話すことを可能にしたのではないかと思います もう少し要領よく話せると良いのに、とは思いますが、母国語でなく日本語で自分の演奏曲目に対する想いを一生懸命 語る姿勢には好感が持てました

さて、1曲目はモーツアルト「セレナード第10番変ロ長調K.361”グラン・パルティータ”」より第3楽章「アダージョ」(イシュトヴァン編)です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1781~82年に作曲した「13管楽器のためのセレナード」を、イシュトヴァンがクラリネット五重奏用に編曲したものです この曲はミロス・フォアマン監督「アマデウス」で、サリエリがモーツアルトの天才を知り、自分の才能のなさを自覚するシーンで流れる運命的な曲として使われています オーボエが演奏する部分を第1ヴァイオリンが奏で、そこにクラリネットが絡んでくるのですが、このアダージョは聴くたびに感動で鳥肌が立ちます 本当はオーボエとクラリネットで聴きたいところですが、イシュトヴァンの編曲は本質を捉えていました

2曲目は「クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581」です この曲はモーツァルトが1789年に、クラリネットの名手アントン・スタードラーのために書いた作品です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「メヌエット~トリオ1・2」、第4楽章「アレグレット・コン・ヴァリアツィオー二~アダージョ~アレグロ」の4楽章から成ります

イシュトヴァンはもうすぐ30歳になる、とプログラム・ノートで自己紹介していますが、彼の演奏を聴く限り、とても20代の演奏とは思えない壮年期の円熟した演奏に感じられます 確かな演奏技術に支えられた歌心は人を惹きつける力を持っています 第2楽章「ラルゲット」は至高の音楽ですが、イシュトヴァンは天上の音楽のように明るく清らかに演奏しました 植村氏をはじめとする弦楽四重奏がしっかりソリストを支えました


     


プログラム後半はヨハネス・ブラームス(1833-1897)の3曲です 第1ヴァイオリンが石上真由子に代わります

最初の「6つの歌」より”愛のまこと”作品3-1と「5つの歌曲」より”メロディーが導くように”作品105-1は、ブラームスの歌曲をイシュトヴァンが編曲したものですが、前者はほの暗い雰囲気の、後者は憧れを感じさせるような曲想でした

最後は「クラリネット五重奏曲 ロ短調 作品115」です この曲はブラームスが1891年にクラリネットの名手リヒャルト・ミュールフェルトの演奏に刺激を受けて作曲した作品です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アンダンティーノ~プレスト・ノン・アッサイ、マ・コン・センチメント」、第4楽章「コン・モト~ウン・ポコ・メノ・モッソ」の4楽章から成ります

第1楽章冒頭の石上真由子と植村太郎のヴァイオリン二重奏が素晴らしい 一気にブラームスの世界に引き込まれます モーツアルトではあまり目立たなかった辻本玲のチェロが俄然前面に出てきます さすがは ブラームスだなあ と思います 第2楽章「アダージョ」におけるクラリネットによる寂寥感に満ちた演奏に深い感動を覚えます   さらに石上真由子のヴァイオリンが良く歌います 第3楽章、第4楽章ともクラリネットを中心とする5人のアンサンブルが見事です

演奏を聴き終わって、引退を決めていたブラームスの前にミュールフェルトという天才クラリネット奏者が現われなかったら、晩年の傑作、クラリネット・ソナタ(2曲)、クラリネット三重奏曲、クラリネット五重奏曲は世に出なかったんだな、と感慨深いものがありました モーツアルトにはアントン・シュタードラーがいたように、ブラームスにはリヒャルト・ミュールフェルトがいた 作曲家に作曲する気持ちを起こさせる力を持った演奏家の存在がいかに大きいかを感じざるを得ません

5人はアンコールに、モーツアルトの「クラリネット五重奏曲」第4楽章のフィナーレを演奏、明るくコンサートの幕を閉じました

 

     

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高関健 ✕ 藝大フィルハーモニア管弦楽団でマーラー「交響曲第5番嬰ハ短調」、藤倉大「Glorious Clouds for Orchestra」を聴く

2019年11月15日 07時23分02秒 | 日記

15日(金)。わが家に来てから今日で1873日目を迎え、トランプ米大統領は13日、ウクライナ疑惑をめぐる米議会の公聴会について「いかさまで、こんなことは許されない」と述べ、20を超えるツイートを連発し民主党を非難した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     人間だれしも 本当のことを言われると 怒りを露わにするものだよ ワトソン君! 

 

         

 

昨日、夕食に「肉豆腐」と「ホウレン草の胡麻和え」を作りました 超コスパ料理ですが、あったまります

 

     

 

         

 

昨夕、東京藝大奏楽堂で藝大フィルハーモニア管弦楽団「第395回定期演奏会」を聴きました プログラムは①藤倉大「Glorious  Clouds for Orchestra」、②マーラー「交響曲 第5番 嬰ハ短調」です 指揮は藝大教授・高関健です

 

     

 

全席自由です。1階16列25番、右ブロック左通路側を押さえました

開演に先立って6時半からプレコンサートがあり、ウェーベルン「弦楽四重奏のための緩徐楽章」が、第1ヴァイオリン=河野由里恵、第2ヴァイオリン=宮本有里、ヴィオラ=麻柄明日香、チェロ=山澤慧の入団歴の浅い4人によって演奏されました この曲はマーラーが第5交響曲を書いた後の1905年に作曲され、12音技法による作曲より前の時期の、マーラーの影響下にある作品とのことです 演奏を聴いていると、なるほどマーラーの「ピアノ四重奏曲断章」のような雰囲気を漂わせていて、映画音楽にでも使えそうだな、と思いました とても素晴らしい演奏でした

次いで高関健氏によるプレトークがあり、演奏される2曲について簡単に説明がありました マーラーの研究をしている彼のプレトークはとても有益で、いつも感心します

さて本番です。オケは左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置をとります コンマスはソロ・コンマスの植村太郎です

1曲目は藤倉大「Glorious  Clouds for Orchestra」です この曲は藤倉大(1977~)が名古屋フィル、WDR交響楽団、イル・ド・フランス管弦楽団共同委嘱により作曲し、2019年2月に第67回尾高賞を受賞した作品です 藤倉大といえば、このブログでもご紹介した映画「蜜蜂と遠雷」の課題曲の「カデンツァ」を作曲した作曲家です 長木誠司氏のプログラム・ノートによると、この曲は「腸内微生物の生態やその環境世界でのあり方を音楽にするという発想から生まれたもので、大量の微生物が『輝ける雲(グロリアス・クラウズ)』のようにあちこちをうねり回り、踊り回るような音楽」とのことです

とんでもない曲想を予想していましたが、曲を聴いた第1印象は「洗練された 統率のとれた作品」でした。現代音楽に特有の”こけおどし”的な爆音がなく、音楽が一定の秩序を保ちながら進んでいきます。とても聴きやすい現代音楽だと思いました


     


休憩時間にトイレに行って驚いたのは、男子トイレだけに長蛇の列が出来ていたことです トイレのある地下から1階に続く階段の途中まで列が続いています。藝大奏楽堂でこれほどの列を見たのは初めてです ブルックナーの交響曲のコンサートでは男子トイレに長蛇の列が出来ることは30年くらい前から気が付いていましたが、マーラーでこれほどの列が出来るのには驚きました マーラー愛好家に男性が多いことをあらためて感じました

さて、プログラム後半はマーラー「交響曲 第5番 嬰ハ短調」です この曲はグスタフ・マーラー(1860-1911)が1901年から翌02年にかけて作曲し、1904年に初演されました 第1楽章「葬送行進曲:正確な歩みで。厳粛に。葬列のように」、第2楽章「嵐のように激動して。最大の激烈さをもって」、第3楽章「スケルツォ:力強く、速すぎずに」、第4楽章「アダージェット:非常に遅く」、第5楽章「ロンド:アレグロ~フィナーレ:アレグロ・ジョコーソ」の5楽章から成ります なお 第1、第2楽章は間を置かずに演奏、この2つの楽章を第1部とし、第3楽章を第2部、そして続けて演奏される第4、5楽章を第3部と捉えています

ステージ上のホルンは7人、右サイドにはハープが2台スタンバイしています。文字通りフルオーケストラ態勢です

第1楽章冒頭はトランペットのソロによりファンファーレが奏でられますが、この女性トランペット奏者が素晴らしい演奏を展開しました 彼女は この演奏を成功裏に導くパイロット的な役割を果たしました 木管を見ていると、マーラーの指示によるものでしょう。時にクラリネットとオーボエが楽器の先端を持ち上げて吹く「ベルアップ奏法」を見せます 彼らは第4楽章「アダージェット」を除くすべての楽章でベルアップ奏法を見せました 第2楽章はマーラーの指示通り「嵐のように激動」した演奏が展開します オケは高関氏のメリハリのある指揮にピタリとついていきます

第3楽章に入るにあたり、高関氏がプレトークで予告していた通り、ホルン独奏者が指揮者の左サイドにスタンバイします。ほとんど「ホルン協奏曲」の態勢です かなり若いホルン奏者ですが、時にベルアップ奏法を交えながら素晴らしい演奏を繰り広げました 第3楽が終わると彼は定位置に戻り、オケはチューニングを始めます

さて、この独奏ホルンの演奏位置変更には大きな意味があります 一つは、プレトークで高関氏が語っていたように「マーラーは第5番を10回くらい指揮しているが、最後の3回ほどは独奏ホルンを指揮者の傍らで演奏させた」という事実です もう一つは、第3楽章に入る前と第3楽章が終わった後に”間”を置くことによって、この作品が第1部(第1、2楽章)、第2部(第3楽章)、第3部(第4、5楽章)の3部から構成されていることを時間的な感覚の中で示したことです 高関氏はダテに独奏ホルン奏者の位置を変更したのではないのです

第4楽章「アダージェット」はヴィスコンティの名作「ヴェニスに死す」のテーマ音楽としてあまりにも有名です あの映画における演奏はイタリア・ローマのサンタ・チェチーリア管弦楽団による演奏ですが、あまりにも甘くロマンに満ち満ちた演奏です この日の高関氏の指揮による演奏は、過度な甘さを抑えたビターで引き締まったシンフォニックな演奏でした 第5楽章の「ロンド:フィナーレ」はアルマとの結婚を果たしたマーラーの喜びを表したかのような極めて楽観的で無防備な音楽ですが、藝大フィルハーモニアは高関氏の明快な指揮のもと渾身の演奏を展開、マーラーの喜びを素直に表出しました

最後の一音が鳴り終わるや否や、満場の拍手とブラボーがステージに押し寄せました 高関健のマーラーはいい 来年は交響曲第10番(アダージョ)を取り上げるとのことです

なお、この日の演奏は12月20日(金)午後9時からNHK-Eテレ「ア・ラ・ラ? クラシック」、もとい、「ラ・ラ・ラ・クラシック」で放送されるそうです ご覧になってはいかがでしょうか

 

     

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山根一仁 ✕ 小林海都でモーツアルト「ヴァイオリン・ソナタ第21番」、ブラームス「ヴァイオリン・ソナタ第1番」、クライスラー「愛の喜び」「愛の悲しみ」を聴く:芸劇ブランチコンサート

2019年11月14日 07時18分36秒 | 日記

14日(木)。わが家に来てから今日で1872日目を迎え、招待客の選定基準が不透明で、首相の後援会関係者(850人)はじめ 他の閣僚や与党議員の後援会員が多数招かれていたことで批判が出ていた「桜を見る会」について、安倍晋三首相は13日夜、来年は中止すると発表した というニュースを見て、首相官邸の立場に立って感想を述べるモコタロです

 

     

     桜散る! 来年は「梅を見る会」で出直しだ~  表向きは会費制にして梅酒持参でね 

 

         

 

昨日は、夕食に「ビーフ・カレー」を作りました カレーは時々食べたくなります

 

     

 

         

 

昨日、池袋の東京芸術劇場コンサートホールで、芸劇ブランチコンサート「名曲リサイタル・サロン  第4回  山根一仁」を聴きました    プログラムは①クライスラー「愛の喜び」、②モーツアルト「ヴァイオリン・ソナタ 第21番 ホ短調 K.304」、③ブラームス「ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ト長調 作品78 ”雨の歌”」、④クライスラー「愛の悲しみ」です 演奏はヴァイオリン独奏=山根一仁、ピアノ=小林海都です

山根一仁は1995年生まれ、札幌市出身。中学3年在学中の2010年、第79回日本音楽コンクール第1位。同コンクールで中学生の第1位は26年ぶりの快挙だった 現在、ドイツ国立ミュンヘン音楽演劇大学に在籍中。小林海都は山根と同年生まれ。マリア・ジョアン・ピリスのもとで研鑽を積み、現在、スイスのバーゼル音楽院に在学中

 

     

 

1曲目はクライスラー「愛の喜び」です この曲はフリッツ・クライスラー(1875-1962)が1905年に発表した「3つの古いウィーンの舞曲」(「愛の喜び」「愛の悲しみ」「美しきロスマリン」)の1曲です クライスラーは10歳でウィーン高等音楽院を、12歳でパリ高等音楽院を首席で卒業したという天才肌の音楽家でした 曲間のトークで 山根君が「名ヴァイオリニストのハイフェッツがクライスラーの肖像画を壁に掲げていたほど、神様のような存在だ」と語っていました    山根君はかなり自由に、そして軽快に演奏しているように見えました

ここで八塩圭子さんのナビゲートにより二人へのインタビューに移りました この日のプログラムのリハーサルは、スイスに住む小林君が 列車で5時間位かけてドイツに住む山根君のもとに赴いて、3日間生活を共にしながら練習したそうです さすがは国際的に活躍する演奏家はスケールが違うな、と思いました

2曲目はモーツアルト「ヴァイオリン・ソナタ第21番ホ短調K.304」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が、母親とともにマンハイムからパリへ旅行中の1777~78年にかけて作曲されたと推測されています 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「テンポ・ディ・メヌエット」の2楽章から成ります

山根君の演奏は「柔らかさ」を感じさせるもので、短調特有のそこはかとない悲しみを切々と歌い上げていきます 小林君のピアノがピタリとつけています。彼も相当巧いです


     


3曲目はブラームス「ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ト長調 作品78 ”雨の歌”」です   この曲はヨハネス・ブラームス(1833-1897)が1879年に作曲した作品です 第3楽章にブラームス自身が書いた歌曲「雨の歌」「余韻」のメロディーが引用されていることから「雨の歌」という愛称で呼ばれるようになりました   第1楽章「ヴィヴァーチェ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ・モルト・モデラート」の3楽章からなります

山根君は肩の力を抜いて、ゆったりしたテンポで音楽を進めます 一音一音慈しむように音楽を紡いでいく姿に好感が持てます 彼の音楽作りは真摯で丁寧です。小林君のサポートも見事で、しみじみと良い演奏でした

最後の曲はクライスラー「愛の悲しみ」です この曲は1曲目の「愛の喜び」とともに作曲された3曲のうちの1曲です 山根君はこの曲でも丁寧に音楽を進め、曲の持つ悲しみをそこはかとなく歌い上げました

二人はアンコールにシュ二トケ「古い様式による組曲」から第5曲「パントマイム」を鮮やかに演奏、大きな拍手の中 リサイタルの幕を閉じました

とんがったイメージを抱いていた山根君でしたが、この日の真摯で丁寧な演奏を聴いてイメージが覆されました なかなかクールでクレバーな演奏家です

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井上道義 ✕ 音楽大学フェスティバル オーケストラのチケットを取る / 「僕たちは希望という名の列車に乗った」を観る

2019年11月13日 07時21分28秒 | 日記

13日(水)。わが家に来てから今日で1871日目を迎え、国の予算を使って首相が毎年4月に開く「桜を見る会」について、野党は安倍政権下で支出が右肩上がりになっていることや、後援会の招待枠を自民党の中で割り振っている疑いがあるなどとして、後半国会で追及を強める というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      著名な芸能人らと会食している延長線上にある話  公私混同も甚だしい  僕を呼べ

 

         

 

昨日の夕食は「秋刀魚の塩焼き」「カンパチの刺身」「生野菜サラダ」にしました 秋刀魚は今年日本デビューが遅れたこともあり、わが家では初サンマです 暦の上ではまだ秋、何とか「冬刀魚」と呼ばれるのを免れました   お酒はもちろん日本酒の熱燗です

 

     

 

         

 

「第9回音楽大学フェスティバル オーケストラ」公演のチケットを取りました プログラムは①ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ「天体の音楽」、②伊福部昭「シンフォニア・タプカーラ」、③ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」です 管弦楽は上野学園大、国立音大、昭和音大、洗足学園音大、東京音大、東京藝大、東邦音大、桐朋学園、武蔵野音大、京都市藝大の選抜メンバーです 指揮は井上道義。井上の伊福部はイイですよ

 

     

     

 

         

 

昨日、神楽阪のギンレイホールで、ラース・クラウメ監督による2018年ドイツ映画「僕たちは希望という名の列車に乗った」(111分)を観ました

舞台はベルリンの壁が建設される前の1956年の東ドイツ。高校に通うテオとクルトは、列車に乗って訪れた西ベルリンの映画館でハンガリーの民衆蜂起を伝えるニュース映像を目の当たりにする クラスの中心的な存在である二人は、級友たちに呼びかけて授業の冒頭に2分間の黙とうを実行した それは自由を求めるハンガリー市民に共感した彼らの純粋な哀悼だったが、ソ連の影響下に置かれた東ドイツでは「社会主義国家への反逆」と看做される行為だった やがて調査に乗り出した当局から、1週間以内に首謀者を告げるよう宣告された生徒たちは、人生そのものに関わる重大な選択を迫られる 大切な仲間を密告してエリートへの階段を上がるのか、それとも信念を貫いて大学進学を諦め、労働者として生きる道を選ぶのか・・・

 

     

 

この作品はディートリッヒ・ガルスカが自身の実体験を綴ったノンフィクション「沈黙する教室  1956年東ドイツ ~  自由のために国境を越えた高校生たちの真実の物語」をもとに、「アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男」のラース・クラウメが映画化した作品です

たった2分間 黙とうしたに過ぎないのに、教諭から校長へ、そして当局へと情報が上げられ、「国家に対する反逆行為」として追及され、誰も首謀者の名前を言わないことに対し、連帯責任としてクラス全員が放校処分になってしまいます   権力の恐ろしさを思わざるを得ません 高校生たちの親の代はナチスに苦しめられた経験があり、ナチスからハンガリーや東ドイツを救ってくれたのが共産主義大国・ソ連だという意識があるのに対し、高校生たちは、純粋に自由が欲しいと思って行動するところに世代間のギャップが現われています 放校処分となった高校生たちは、それぞれが自分自身の判断で、西側に行って試験を受けるために列車に乗ります そのシーンを観ながら、タイトルどおりその列車が「絶望」ではなく「希望」に向けて走っていくことを願って止みませんでした

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METライブビューイング2019-2020のムビチケカード3枚セットを取る / 又吉直樹著「劇場」を読む

2019年11月12日 07時19分46秒 | 日記

12日(火)。わが家に来てから今日で1870日目を迎え、中国で「独身の日」とされる11日、ネット通販最大手のアリババ集団が始めたセールが、100億元(約1560億円)の大台に到達するのにかかった時間が1分36秒と過去最高速となり、記録を塗り替えている というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      独身の日といっても既婚者も買ってるんだろうな  どうでもいいけど君だれよ?

 

         

 

昨夜はかなり冷え込んだので 夕食は「牡蠣鍋」にしました 鍋料理なので、つい日本酒を飲んでしまいました まだ風邪薬を飲んでいるのに酒なんか飲んでいいのか?と自問しましたが、自答する前に飲んでました 全然反省の色が見えない寒い夜は 鍋と日本酒が一番です

 

     

 

         

 

いよいよ11月15日からプッチーニ「トゥーランドット」を皮切りに「METライブビューイング2019-2020」が開幕します

全10作品のラインアップは以下の通りです

①プッチーニ「トゥーランドット」 クリスティーン・ガ-キーほか。

②マスネ「マノン」 リセット・オロペーサほか。

③プッチーニ「蝶々夫人」 ホイ・へーほか。

④フィリップ・グラス「アクナーテン」 アンソニー・ロスほか。

⑤ベルク「ヴォツェック」 ペーター・マッティほか。

⑥ガーシュイン「ポーギーとべス」 エリック・オーウェンズほか。

⑦ヘンデル「アグリッピーナ」 ジョイス・ディドナートほか。

⑧ワーグナー「さまよえるオランダ人」 プリン・ターフェルほか。

⑨プッチーニ「トスカ」 アンナ・ネトレプコほか。

⑩ドニゼッティ「マリア・ストゥアルダ」 ディアナ・ダムラウほか。

10作品のうち目玉はターフェルの「オランダ人」、ネトレプコの「トスカ」、ダムラウの「マリア・ストゥアルダ」の3本です

 

     

 

チケット代は1作品につき一般3,700円、学生2,500円ですが、ムビチケカード3枚セットだと9,600円で、1枚当たり500円安くなります さっそく新宿ピカデリーで1セット購入しました

 

     

 

         

 

又吉直樹著「劇場」(新潮文庫)を読み終わりました 又吉直樹は1980年、大阪生まれ。吉本興業所属のコンビ「ピース」として活躍中のお笑い芸人。2015年に「火花」で芥川賞を受賞しています

 

     

 

高校卒業後、大坂から上京し劇団「おろか」を旗揚げした永田と、地方から出て来た大学生の沙希は、それぞれ夢を抱いて東京で出会う 公演は酷評に晒され劇団員にも見放され何事も思うようにいかない永田にとって、自分の才能を信じて心の底から応援してくれる沙希だけが救いだった 沙希はろくに収入のない永田のためアルバイトをして生活を支える。しかし、自尊心が強く不器用な永田はちょっとしたことで沙希に冷たく当たり、沙希も次第に永田と一緒にいることが苦痛になってくるのだった

又吉は「『劇場』という小説は、恋愛というものの構造がほとんど理解できていない人間が書いた恋愛小説です。恋愛小説と呼べるものになっているかすらわかりません」と告白していますが、本人が自覚している通り、沙希に対して普通そういう態度はとらないだろう、というシーンがそこかしこに見られます その背景にある心理は自尊心だったり、あるいは嫉妬心だったりしますが、それだけに、どこまでも明るく純粋な沙希を愛おしく感じます。又吉はそこを狙っているのかも知れません

この作品においても、ところどころにきらりと光る文章があります その一つ。「演劇は実験であると同時に発見でもある。演劇で実現できたことは現実でも再現できる可能性がある」。

さきの「火花」はラストシーンがいただけませんでしたが、「劇場」は泣かせてくれました

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東京春祭「トリスタンとイゾルデ」のチケットを取る / 東京藝大うたシリーズ2019「ウィーン 愛の物語 ~ ウィーンを歌う、ウィーンは謳う」を聴く~浜田理恵、櫻田亮にブラボー!

2019年11月11日 07時49分57秒 | 日記

11日(月)。わが家に来てから今日で1869日目を迎え、最近の世界情勢について感想を述べるモコタロです

 

     

      今朝はトランプ・スキャンダルのニュースがないよ  1年のうち何日もない日だね

     

         

 

昨日は「東京・春・音楽祭2020」の先行予約開始第1弾でした 朝10時からWEBサイトで受け付け開始なので30分前に一度、繋がることを確認し、5分前に再度アクセスするともう繋がりません 10時ちょうどから何度かアクセスしましたが、まったく繋がらなくなってしまいました ツイッターで「繋がらない」とつぶやくと、いいねが2つきました。同じように困っている人がいるんだな、と思いちょっと安心しました 11時半頃にやっと公式ツイッターで「現在繋がりにくい状況になっている」とコメントが出ました。対応が遅すぎます こちらは「エラー」と表示が出ていたので「システム・エラー」と思っていました 午後3時から上野でコンサートがあるので2時には家を出たいと思って、それまで何度もアクセスしましたが、結局2時までには繋がらなかったので諦めて上野に向かいました 最近5年以上、東京春祭の先行販売でオペラのチケットを取っていますが、昨年まではもっと早くスムーズに繋がっていました これほどひどい状況は初めてです コンサート終了後、家に帰ってやっとサイトに繋がったのは午後6時頃でした。しかし、思った通り、すでに条件の良い席はすでに取られていて、ろくな席が残っていませんでした

ということで、来年4月2日(木)午後3時から東京文化会館大ホールで開かれる東京春祭ワーグナー・シリーズVol.11「トリスタンとイゾルデ」のA席を取りました 昨年までは1階R席の通路側が取れたのですが、今回は通路から入ったど真ん中です 東京文化会館の座席は狭くて窮屈なので嫌いなのですが仕方ありません

 

     

 

         

 

昨日、東京藝大奏楽堂で、東京藝大うたシリーズ2019「ウィーン  愛の物語 ~ ウィーンを歌う、ウィーンは謳う」を聴きました プログラムは第1部「多彩なリートを訪ねて」~モーツアルト、シューベルト、ヴォルフ、マーラー、シェーンベルク、ベルク、コルンゴルトの歌曲、第2部「華麗なオペレッタの世界」~レハール:オペレッタ「微笑みの国」より、同:オペレッタ「メリー・ウィドウ」より、J.シュトラウス2世:オペレッタ「こうもり」より~という2部構成から成ります ピアノ伴奏は山口佳代、居福健太郎、三ツ石潤司の3人が役割分担します

 

     

 

全席自由です。1階15列27番、右ブロック左から3つ目の席を押さえました 同じ午後3時から始まる令和天皇の即位に伴う天皇・皇后両陛下のパレード「祝賀御列の儀」を観ない約1000人の聴衆が集まりました

第1部「多彩なリートを訪ねて」は以下の順番で歌われました

モーツアルト「おいで、いとしいツィターよ K.351/367b」、「クローエに K.524」(テノール=櫻田亮)

シューベルト「春に D.882」、「小人 D.771」(メゾ・ソプラノ=手嶋眞佐子)

ヴォルフ「ミケランジェロの詩による3つの歌曲」より「私の魂は感じとるだろうか」、「私はしばしば思う」(バリトン=甲斐栄次郎)

マーラー「少年の不思議な角笛」より「ラインの伝説」、「トランペットが美しく鳴り響くところ」(ソプラノ=平松英子)

シェーンベルク「4つの歌」より「期待」、「あなたの金色の櫛を私にください」(ソプラノ=菅英三子)

ベルク「7つの初期の歌」より「ナイチンゲール」(ソプラノ=浜田理恵)

コルンゴルト「6つの素朴な歌」より「マツユキソウ」(テノール=吉田浩之)

前半の7曲の中では、ベルクを歌った浜田理恵が豊かな声量と抜群の歌唱力で聴衆を圧倒しました 彼女の歌で会場の空気が一変しました 男性陣ではバッハ・コレギウム・ジャパンでお馴染みの櫻田亮が透明感のあるテノールで聴衆を魅了しました また新国立オペラでもお馴染みの甲斐栄次郎が圧倒的な迫力と説得力で迫ってきました


     


プログラム後半は第2部「華麗なオペレッタの世界」です 最初にレハール:オペレッタ「微笑みの国」よりスー・ホン殿下の「私の心はすべて君のもの」を櫻田亮が情熱的に歌い上げました

次いでレハールのオペレッタ「メリー・ウィドウ」よりハンナの「ヴィリアの歌」を浜田理恵が歌いましたが、力強くも叙情に満ちた美しい歌唱でした ダニロ役の萩原潤が加わり「唇は寒し」をデュエットしましたが、萩原潤が浜田理恵に負けて堪るかとばかりに熱唱し、二人そろってブラボーと拍手の嵐を浴びました

最後はJ.シュトラウス2世:オペレッタ「こうもり」より抜粋です ロザリンデ=佐々木典子(ソプラノ)、アデーレ=小玉友里花(ソプラノ)、オルロフスキー=手嶋眞佐子(メゾ・ソプラノ)、アルフレート=吉田浩之(テノール)、アイゼンシュタイン=萩原潤(バリトン)、ファルケ/ウランク=福島明也というキャストです

最初に居福健太郎と三ツ石潤司のピアノ連弾により「序曲」が鮮やかに演奏されました もう一人のピアニスト山口佳代が譜めくりを務めましたが、その機敏な動きに目が点になりました

最初にアデーレ役の小玉友里花が「侯爵さま、あなたに教えましょうか?」をコケティッシュに歌い、ファルケ役の福島明也とアイゼンシュタイン役の萩原潤が「ついてきたまえ、踊りに行こう!」を日本語で歌いながら踊り、楽しい雰囲気を醸し出しました 次いでロザリンデ役の佐々木典子とアデーレ、アイゼンシュタインの3人で「一人になるのね、もう明日から」を悲しく、そして楽しく歌い踊りました すると今度はオルロフスキー役の手嶋眞佐子が「僕が呼び招くお客たちは」を歌い出し、アルフレード役の吉田浩之とロザリンデ、フランクの3人で「グラスをあげて、飲み干せ酒を」を賑やかに歌い上げました 次いでロザリンデ役の佐々木典子が「チャールダーシュ」を熱唱、最後は全員で「乾杯の歌」を合唱し華やかに幕を閉じました 彼らの手にワイン・グラスがなかったのがちょっぴり残念でしたが、そこは全員のパワーで押し切りました

予想以上に楽しいコンサートでした。これで2,000円は超格安です


     

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新国立オペラでドニゼッティ「ドン・パスクワーレ」を観る ~ ロベルト・スカンディウッツィ、ピアジオ・ピッツーティ、マキシム・ミロノフ、ハスミック・トロシャンにブラボー!

2019年11月10日 07時21分46秒 | 日記

10日(日)。わが家に来てから今日で1868日目を迎え、9日午前4時ごろ、大阪市新町の路上で、覚せい剤取締法違反などの罪で起訴され 大阪地検が護送中だった被告の男が護送車両から逃走した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     またか! 手錠だから逃げられるんだ 足枷をはめとけばそう遠くへは逃げられない

 

         

 

昨日、新国立劇場「オペラパレス」で新国立オペラ、ドニゼッティ「ドン・パスクワーレ」を観ました キャストはドン・パスクワーレ=ロベルト・スカンディウッツィ、マラテスタ=ピアジオ・ピッツーティ、エルネスト=マキシム・ミロノフ、ノリ―ナ=ハスミック・トロシャン、公爵人=千葉裕一。管弦楽=東京フィル、合唱=新国立劇場合唱団、指揮=コッラード・ロヴァ―リス、演出=ステファノ・ヴィツィオーリです

当初ノリ―ナを歌う予定だったダニエル・ドゥ・ニースが降板したのは非常に残念です   彼女はMETライブビューイングでもお馴染みのソプラノ歌手で、ライブで聴くのを楽しみにしていました

 

     

 

大金持ちの老人ドン・パスクワーレは、跡継ぎである甥のエルネストが縁談を断るので、自分が結婚して子どもを作ると宣言する   実はエルネストは若い未亡人ノリ―ナと愛し合っていたのだ ドン・パスクワーレはエルネストが跡を継がないため遺産は相続させず、おまけに家から出ていくように言う 医者でエルネストの友人マラテスタは、若い二人のために一計を案じる 自分の妹と偽り、ノリ―ナをパスクワーレに紹介する。清純な娘を演じるノリ―ナにパスクワーレは一目ぼれし、結婚契約書に署名するが、その途端にノリ―ナはわがままで贅沢三昧の悪妻に豹変する パスクワーレは困り果て、あまりの自己チューにとうとう堪忍袋の緒が切れ、彼女に出ていけ、と告げる

 

     

 

この作品は新国立オペラで初上演ということもあり、がこのオペラを観るのはこれが初めてです

ドン・パスクワーレを歌ったロベルト・スカンディウッツィはイタリア生まれのバスですが、新国立オペラでは2001/2002シーズン「ドン・カルロ」以来の出演です 終始 力強く余裕のある歌唱で聴衆を圧倒しました  喜劇の主役というと笑いを誘う過剰演技をしがちですが、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」です その点、演技力も節度を保った真面目なもので好感が持てました

マラテスタを歌ったピアジオ・ピッツーティはイタリア・サレルモ出身のバリトンですが、良く通る声で歌唱力も抜群でした 彼は身のこなしが柔軟で演技にスピード感があり、老人ドン・パスクワーレの緩慢な動作と好対照な動きを見せました

エルネストを歌ったマキシム・ミロノフはロシア生まれのテノールですが、甘く輝く歌声はベルカントそのものです

ノリ―ナを歌ったハスミック・トロシャンはアルメニア生まれのソプラノですが、声が良く通り、とくに高音が美しく、演技力も申し分ありませんでした

新国立劇場合唱団は第3幕を中心に迫力ある合唱を展開しました

コッラード・ロヴァ―リス指揮東京フィルは、歌手に寄り添いながら、ときに自らベルカントを歌い上げました

コンピューター制御による舞台転換はスムーズで、ストーリー展開を弛緩させないという意味で大きな役割を果たしました

ところで「ドン・パスクワーレ」はドラマ・ブッフォ(滑稽な劇)です 「金持ちの老人が年甲斐もなく若い女性に恋をして結婚するが、それには裏があり、ひどい目に遭って結局は捨てられる」というストーリー。ここから得られる教訓は・・・『金にまかせて若い女性と結婚しても 決してうまくいかない』というものです 作品の舞台となった19世紀において、それは極めて”常識的な”考えだったでしょうし、21世紀の現代においても通用する考えだと思います 「ちょっと待て 加藤茶のケースがあるじゃないか」というご仁もおいでになるかもしれません しかし、あれはあくまで”例外”です。彼に一般人以上の経済力があったことは誰も否定できないでしょう 歌の文句ではないけれど「愛があれば 歳の差なんて」なんて考えるのは無分別というものです。人はそれ幻想と呼びます

 

     

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