「抵抗までいかず“洗脳状態”で犯される」

2020年01月12日 18時19分02秒 | 事件・事故

高校で教師から2年半性的暴行を受けた女性が語る「娘に暴行で無罪」への疑問

1/12(日) FNN PRIME)

全国各地で行われた性暴力の撲滅を訴える「フラワーデモ」

2019年3月、19歳の実の娘に性的暴行を加えた罪に問われた父親に裁判所は「性的虐待はあった」と認めたものの、判決は「無罪」だった。子どもへの性的虐待がなぜ「無罪」なのか。判決が波紋を広げている。

【画像】雨の中「フラワーデモ」には多くの人が集まった

小雨の中、名古屋の栄の広場に集まった人々。その数約200人。

参加者:
娘が今も言葉に表せない悲しみ、苦しみと闘っています

別の参加者:
「短いスカートを履いているのが悪い」、「痴漢ぐらいで学校に迷惑をかけるなんて」と言われました

訴えているのは「性暴力の撲滅」。

被害者に寄り添う気持ちを表そうと花を持って集まり、「フラワーデモ」と名付けられたこの街頭活動。今、全国各地で行われている。

参加者:
全て奪われるのが性暴力です。もうこんなこと本当に嫌なので、こうやって集まっている人たちの声が、きちんと社会を変えるようにやっていきましょう

別の参加者:
こういったこと(性暴力)があった時に、私はいろんな方に助けを求めました。一緒に声をあげましょう

きっかけになったのは、ある“無罪判決”だった。

「同意がなかった」だけでは罪が成立せず…まさかの無罪判決

2017年、当時19歳の実の娘に性的暴行を加えたとして、準強制性交の罪で父親が起訴された。

2019年3月の判決、名古屋地裁岡崎支部は「性的虐待はあった」と認定、しかし言い渡されたのは「無罪判決」だった。

その理由について名古屋地裁岡崎支部は、「強い支配関係があったとは認めがたく、被害者が『抗拒不能』な状態にあったとは認定できない」と説明した。

この「抗拒不能」。耳慣れない言葉だが準強制性交罪の重要な要件だ。

國田武二郎弁護士:
心理的に抵抗できなかったかどうかが1つのポイントになるんです

こう話すのは元検事で、数々の性犯罪事件を担当してきた國田武二郎弁護士。

國田弁護士:
娘の立場からすれば、父親から犯されるというのは生涯に渡って深い傷を負うという意味では許せない行為。ただし、これはあくまでも道義的、倫理的な問題であって、これを法的にどういう犯罪で処罰するかというのは、これは別の問題で、今回の判決は考えさせられるものが多々あると思います

今の法律では「同意のない」性行為だけでは罪に問うことはできない。

暴行や脅迫、心身喪失、そして抵抗できない状態である「抗拒不能」。このどれかが認められなければ罪は成立しない。

今回の裁判では、「娘の同意がなかった」ことは認められたが、暴行、脅迫、心身喪失はなく、娘が父親に抵抗して拒んだ経験があることなどから、抵抗できない状態「抗拒不能」とは認められなかった。

國田弁護士:
被害届を出して警察に父親が逮捕されると、後の生活が兄弟の生活が困るということで、なかなか言えなかったということ、それが果たして心理的にも抗拒不能、抵抗できない状態までなりえたかどうか。我々弁護士の世界でも賛否両論あります

2017年の刑法改正で、親などによる18歳未満の子どもへの性的行為について暴行や脅迫などがなくても処罰する「監護者性交(等)罪」が新設されたが、今回の事件では被害者が当時19歳で、適用の範囲外だ。

國田弁護士:
処罰的に抗拒不能というためには、継続的に支配と被支配の関係があって、他に取るべき方法がなかったというところまで(ハードルを)高めないと、単に職場でのパワハラも抗拒不能かといわれると、それはあまりに処罰範囲を拡大し過ぎる。上司にものを言えない状態も抗拒不能なのかとなってしまう。

無罪判決を聞いた、性的被害経験のある被害者たち

10代の時、性的暴行の被害を受けたという3人の女性に話を聞くことができた。

被害を受けた女性:
ただただ唖然としちゃったなという感じ。抵抗だけで判断されると違うかなと

同・別の女性:
まずありえないの一言。それ(無罪)が判例になってしまうと基準になってしまうと

同・涌井佳奈さん:
(判決内容は)なんかあまりにもズレているなと思います

涌井佳奈さんは高校生の時、2年半にわたり、教師から繰り返し性的暴行を受けたという。

涌井さん:
性的暴行は血も何も出ないから、抵抗するとかじゃないんですよね。洗脳に近いよね。洗脳されたお前が悪いみたいになってきちゃうんですけど。やりやすい立場の人がいるんですよ。教師とか治療者とか親とか。性犯罪というよりも虐待に近いよね

涌井さんは、性犯罪被害者の苦しい立場を司法がもっと汲み取るべきだと訴える。

涌井さん:
地位関係とか支配関係での構造の中での抵抗っていうのは争うところではないんじゃないかなって。背景をちゃんと汲み取ってほしいですね。年齢とか経験値とか。心理的に騙されるとか混乱させられるとか、抵抗までいかない心理状態の中で犯されてしまうことがほとんどだと思うので、例えば信頼している人との関係性の中だったり

被害の声あげなくなると懸念…性暴力被害の治療センターも

性暴力救援センター「なごみ」。

2016年、名古屋市昭和区の八事日赤に開設され、24時間体制で性暴力被害者の相談や治療に応じている。

「なごみ」には現在、約380人が通院していて、そのうち80人余りが家族からの性暴力の被害者だ。(2019年6月末時点)

「なごみ」の片岡笑美子センター長も、今回の事件で無罪判決が下されたことについて懸念を示している。

片岡さん:
親族の関係の人から被害を受け始めるのが小学校の低学年とか、もっと小さい時から始まっていて、おかしいなと気づいた時が中学とか。子供心に経済的なことを気にしたり、家族が壊れてしまうんじゃないかということをものすごく心配している。なのでなかなか(被害を)言えないということもある

内閣府によると、家族などから性被害を受けた女性のうち、誰にも相談していない人の割合は約6割。大半は声を上げていないのが現状だ。

片岡センター長は、今回の無罪判決で被害者が、警察、司法に訴えても無駄と思い込み、さらに被害の声をあげなくなるのではないかと懸念している。

片岡センター長:
これだけひどい状況があるにも関わらず無罪だと言ったときには、今ものすごく苦しんでいる子どもたちがたくさんいるかもしれない。その子たちが声を上げられなくなるんではないか。こういう状況でいくら相談してもやっぱダメなんだとなると、こういうところ(なごみ)に相談しても仕方ないと思う

子どもへの性的虐待がなぜ「無罪」なのか。判決に抗議の声や戸惑いが広がっている。

当時19歳の女性に対する準強制性交の罪に父親が問われた裁判では、一審の無罪判決後、検察側が控訴。12月に始まった控訴審では、娘の精神鑑定をした医師が検察側の証人として出廷し、「中学2年からの性的虐待の体験が積み重なり、諦めや無力感を抱くようになった」と指摘。

その上で、「養育者である父親に心理的・精神的に抵抗できなかった」と証言した。

控訴審で検察側は「被害者の精神状態や心理状態を把握せずに誤った判断がされた」として、父親の有罪判決を求めているが、弁護側は控訴棄却を主張している。

(東海テレビ)

最終更新:1/12(日) 18
FNN.jpプライムオンライン


趣味があることはいいこと

2020年01月12日 18時06分02秒 | 日記・断片

どんな小さな出会いも大切にしたい-と思っている。
取手小学校方面から来た人と視線が会う。
肩を並べて、通称<へび坂>を下って行く。
「今日は、暖かいね」と相手が話しかけてきた。
「そうですね。散歩ですか?」
「本願寺まで、それから取手一高方面を回ると、約7000歩になるんだ」
「本願寺の道、奇麗に舗装されましたね」
「ああ、保育所もできたね」
「朝は、散歩しないのですか」
「散歩は夕方だけなんだ」
「利根川の土手へは行かないのですか」
「散歩は、街中がいいんだ」
「そうですか」
「行ってらっしゃ」
「ああ」と相手は笑顔となる。
その人は左折して通称<芸大通り>方面へ。
当方は道を真直ぐ。その道で、元隣人の奥さんと出会う。
「奥さん、元気?」
「ええ、今日は東京へ」
「誰の追いかけ?」
「今日は、東京大衆歌謡団」
「相変わらずなのね」
「パートの金を、追っかけに注ぎ込んでいます」
「いいことよ。趣味があることは」
「そうですね」


累犯障害者

2020年01月12日 13時15分23秒 | 社会・文化・政治・経済
 
山本 譲司  (著)

内容紹介

殺人、売春、放火、監禁、偽装結婚……。
彼らはなぜ、罪を重ねなければならなかったのか。
障害者の犯罪をめぐる社会の闇に迫る。


刑務所だけが、安住の地だった――
何度も服役を繰り返す老年の下関駅放火犯。
家族のほとんどが障害者だった、浅草通り魔殺人の犯人。
悪びれもせず売春を繰り返す知的障害女性たち。
仲間内で犯罪組織を作るろうあ者たちのコミュニティ。
彼らはなぜ罪を重ねるのか?
 障害者による事件を取材して見えてきた、
刑務所や裁判所、そして福祉が抱える問題点を鋭く追究するルポルタージュ。

本書より
栃木県の黒羽刑務所に入所した私を待っていたのは、一般受刑者たちに「塀の中の掃き溜め」と言われているところでの懲役作業だった。そこは、精神障害者、知的障害者、認知症老人、聴覚障害者、視覚障害者、肢体不自由者など、一般懲役工場での作業はとてもこなせない受刑者たちを隔離しておく、「寮内工場」と呼ばれる場所。この寮内工場での私は、刑務官の仕事をサポートする指導補助という役目を命じられていた。障害を抱える受刑者たちに作業を割り振り、日常生活においても、その介助をするという仕事だ。(序章「安住の地は刑務所だった」)

目次
序章 安住の地は刑務所だった―下関駅放火事件
第1章 レッサーパンダ帽の男―浅草・女子短大生刺殺事件
第2章 障害者を食い物にする人々―宇都宮・誤認逮捕事件
第3章 生きがいはセックス―売春する知的障害女性たち
第4章 ある知的障害女性の青春―障害者を利用する偽装結婚の実態
第5章 多重人格という檻―性的虐待が生む情緒障害者たち
第6章 閉鎖社会の犯罪―浜松・ろうあ者不倫殺人事件
第7章 ろうあ者暴力団―「仲間」を狙いうちする障害者たち
終章 行き着く先はどこに―福祉・刑務所・裁判所の問題点
解説・江川紹子

山本譲司
1962(昭和37)年北海道生れ、佐賀県育ち。早稲田大学教育学部卒。菅直人代議士の公設秘書、都議会議員2期を経て、1996(平成8)年に衆議院議員に当選。

2期目の当選を果たした2000年の9月、政策秘書給与の流用事件を起こし、2001年2月に実刑判決を受ける。433日に及んだ獄中での生活を『獄窓記』として著す。同書は2004年、第3回「新潮ドキュメント賞」を受賞。他の著書に『塀の中から見た人生』(安部譲二氏との共著)『累犯障害者』『続 獄窓記』などがある。

 

著者が自身の服役をきっかけに、刑務所内に障害者が多いことに気づき、そこから彼らの実情に切り込んだ本です。
「障害者」がタブー視される日本社会で、彼らを知るのにとても役立ちました。
現状の調査については申し分なく、本当に勉強させていただいたのですが、たまに出る著者自身の意見は短絡的で失笑せざるを得ず、コイツ刑務所の外で障害者と長期間生活したことねぇな、と不愉快を隠しきれませんでした。
例えば、社会でろう者相手に頑張ってる健常者が「ろう者は小学生程度の知識しか持つことができない」と肩を落としたことは差別発言だと繰り返す記載があるのですが、著者の視点は一方的で、障害者に関わる一般人の苦労は何も知ろうとせずに安全な場所から差別発言だの弱い者虐めだのと非難したり、彼らを保護する法の整備を怠った政治家らは棚に上げて現場の行政職員を批判したりと、その「政治様」の姿には憤りを感じざるを得ませんでした。

ただし前述したように、社会から腫れ物として扱われ、一般には実情を知りえない彼らの存在を取り扱ったという意味では非常に有意義なので星5つですが、著者の意見が不愉快なので−2です。


子供の頃知的障害者からの性的いたずらに遭遇してずっと分からなかったりどうして?何で?が消えずに今まできて、そもそも障害者とは何なのか知りたくて検索して出てきたこの本に興味を持ち読みました。
結果から言えば、ふーん。です。
知的障害者の親がモンペにならざるを得ないのは声高に叫ばなければ福祉の援助もお金も得られないからで、無知であれば生活困難者になる、国がまず障害者雇用を誤魔化して水増ししてたのを見れば明らかですよね、どうしょうもないってこと。出来る限り無かったことにしたい。これに尽きる。
私は後天性の精神障害(3級)と難聴を患っている身ですが、健常者と言われてる人達に混じって健常者と同じ量を働いています。3級では援助もクソも無いですから、働かなければ国民保険も税金も払え無くて督促状だらけの将来得られる(のかも謎な)年金の宛も無くなり、生活困難者になるだけ。何の為の手帳なのか。今のところ精神安定剤(薬代)とバス代が半額ってぐらいです。生活を送る為の年間経費からすれば雀の涙程の援助です。
レッサーパンダ事件の真相は実に悲惨ですが、犯罪を犯してしまったからには人間としての責任を負うのは当然で、被害者の父親が、「貴方に対しての怒りは不思議と無くなってきました」と述べているのを見て、福祉行政に無視された知的障害者を憎むべきなのか、というのと、こんな責任能力の無い人間を野放しにしていた国を憎むべきか、分からなくなってしまったからではないでしょうか?
障害者雇用に一度、ハローワークに行ったことがありますが、リクルートスーツに身を包み、何回も会社を訪ねて面接し、担当者と職務経歴書作りを練り、結果は不採用。採用される為に見てみた2chの障害者雇用板には、採用は偶然や運としか書かれていなく、あぶれた人達(グレーゾーン)の、疲労の溜息のレスに溢れていたのが印象的でした。
人として、認められているのかいないのか、分からい状態です。読んでも結果、モヤモヤは解消されず性犯罪に遭遇したとて泣き寝入り、そんな経験をしても忌避すれば差別者と見なされ人間的見地から非難の眼差し。それで精神の均衡を崩して病んだ自分は一体どうすれば?分からない。
健常者(と言われてる)人達優位の社会なんて当然ですよ、税金も何もかも納めているのだから。
面倒臭い人と見なされない為には一生懸命働いてる姿をみせなければ、結果を出さなければ、切られるだけ。
グレーゾーンの人達に切り込んで欲しかった、というのが本音です。
ダラダラ不満ばかり書いてしまいましたが、ろうあ者のデフ・コミュニティの話は目から鱗でした。


よく世間ではヘレン・ケラーやバラリンオリンピックで努力、成功した障害者
達が強調される、しかし彼らに共通するのは特別な教育と福祉、そして
理解者の存在だ。 しかしこの累犯障害者に登場する障害者達は満足な教育
も受けられなかった、福祉も受けられなかった、理解者もいなかった。
放火するもの、路上生活するもの、売春するもの、ヤクザにくいものにされる
もの、精神病院の閉鎖病棟にいれられるものたち。
本当に哀れだ、しかしこの本を書いた山本さんには希望を感じる
この本書いた山本さんには敬意と感謝いだきます。


なぜ犯罪を繰り返すのか。障害を抱えた犯罪者の実態と現在の「隔離」を基本にした懲役が、累犯障碍者に対して、まったく「更正」になっていない事実が明らかにされる。
 ほとんど報道されることのない問題に深く切り込んだ力作だが、解決への方策は見えてこない。それでも知っておかなくてはいけない事実だ。


知的障害者であるから繰り返し犯罪を犯すのか。その繰り返す障害者の犯罪を健常者が捕まえ、刑罰を科すことは当然と考えるべきか。深い闇の縁で苦しむ障害者の悩みを私は知らないことに気づかされた。読めば読むほど、迷宮に陥る。人が人として生きてゆくこと、人としての共通の幸福を追い求める権利について、改めて考えさせられる素晴らしい本であると思います。



 


 
 

代議士が刑務所に入って気づいたこと 排除ではなく手を 

2020年01月12日 13時10分50秒 | 社会・文化・政治・経済

1/11(土)  47NEWS
 司法×福祉、次の10年へ(7)

インタビューに応じる山本譲司氏

 作家の山本譲司元衆院議員(57)は、衆院議員時代に秘書給与詐取事件を起こし2001年から1年2カ月、黒羽刑務所(栃木県)で服役した。

この時の経験をノンフィクションに著し、福祉施設化する刑務所の実態と「累犯障害者」の存在を明るみに出した。いわばパンドラの箱を開けた人物で、司法と福祉の連携が動き出すきっかけとなった。山本氏はこの10年をどのように振り返り、次の10年に何を見据えているのかを聞いた(共同通信=真下周)。

 ▽まだまだと痛感

 ―現在も刑務所と関わり続けている。

 「18年前の今ごろは囚人服だった。その1年前は赤絨毯の上を歩いていた。黒羽刑務所で私に与えられた懲役刑は、高齢・障害受刑者の世話だった。議員時代はえらそうなことを言っていたが、福祉のことを何も分かっていなかった。服役後は障害者福祉施設で働き、今も週に1、2回は各地の刑務所に行き、受刑者の社会復帰を支援している」

 ―今の刑務所でどんな光景が見えているか。

代議士が刑務所に入って気づいたこと 排除ではなく手を 山本譲司元議員に聞く 司法×福祉、次の10年へ(7)
静岡県地域生活定着支援センターの啓発研修で講演する山本譲司氏
 「先日、再犯者向けのある刑務所を訪問すると、黒羽で一緒だった受刑者を何人か見かけた。ある知的障害の男性は10年ちょっとの間に5回も出所と入所を繰り返していた。彼は、当時は周りの受刑者におびえていたが、今では懲役生活も板につき、肩をいからせ歩いていた。外見ですぐに障害があると分かるのに、すくい切れていないと思うと、本当に切ない気持ちになった。

 私も06年に厚生労働省と法務省に働き掛けて、地域生活支援に乗り出すきっかけとなる研究班をつくったり、ホームレス支援の関係者らと更生保護や就労支援の団体を設立したりして頑張った気になっていたが、まだまだだと痛感した」

 ▽隔世の感

 ―司法と福祉の連携はどの程度進んできたか。

 「全国の刑務所に社会福祉士が配置されるなど、国の対応も少しずつ改善されている。今は年約2万人の出所者のうち600人が福祉事業所につながる。私が獄中体験を描いた『獄窓記』(03年)を出した頃は出所者が2万8千人ぐらいいたが、福祉につながるのはわずか10―15人だった。隔世の感がある。
出版した当時は福祉関係者から『罪を犯した障害者の話が世に出れば、障害者への誤解と偏見を生む』と抗議が相次いだものだ。だが今は『彼らは罪を犯すところまで追い込まれた最大の被害者』との共通認識で一緒に動けている」

 ―本人の幸せよりも再犯防止にばかり力点が置かれていないか。

 「福祉が『再犯防止』の標語を唱えてしまうのは考えものだ。福祉は生き直しを手伝うだけで司法の肩代わりではない。『絶対に真人間に』と肩に力が入った支援では駄目だ。累犯障害者は『刑務所が楽で生活しやすい』と思いがちだが、『社会の方がいい』と本気で思えたら、必ず変わる。再犯しなくなる」

 ―どういう支援のあり方が望ましいか。

 「各地の『地域生活定着支援センター』を見ていると、障害福祉や高齢者介護よりも、ホームレス支援の事業者が運営する方が合っていると感じることが多い。生活全般を地域の中でサポートするからだ。障害者や高齢者向けの福祉はある意味、制度の枠組みにくくりつける。受刑者にとっては1本のレールに乗せられる感覚だ。窮屈に感じ、支援を求めない人も多い。

 京都アニメーション放火事件の青葉真司容疑者は(定着支援センターが出所時に支援したが)、結局、社会に出てから独りぼっちだったようだ。行政は『生活保護を受給させておけばいい』といった対応で済ませていなかったか。支援は形だけ整えても意味はない。  03年に障害者福祉サービスが(行政主導の)措置から(事業者と利用者の)契約に変わった。その結果、事業者が利用者を選んでしまっている現状がある。出所者から選ばれる福祉を目指してほしい」

 ▽排除でなく包摂を

 ―次の10年、司法と福祉の連携はどうなっていくか。

 「定着支援センターはもう少し使い勝手をよくするべきだろう。現状は刑務所の所在地にあるセンターと帰住予定先にあるセンターとがやりとりをしながら進めていくが、ワンストップにすべきだ。同時に就労支援も一緒に行うようになればいい。

 刑務所のあり方もこの先、劇的に変わっていくだろう。国際的な刑事司法の流れは、犯罪をした人の社会内処遇の追求に向かっている。受刑者の処遇を、福祉的な視点で社会の中でやる。社会の中に刑務所があり、刑務所の中にも社会があるというイメージだ。そう思えるだけで受刑者も変わる。責任感が増し、自律性が高まるだろう」
 ―社会に向けてのメッセージを。

 「一番困っている人、排除されやすい人にもっと手を差し伸べよう。司法の人は罪ばかりを見て、福祉の人は障害ばかりを見て、多くの市民は自分との違いばかりに目を向けてしまっている。異質なものをイクスクルージョン(排除)せず、インクルージョン(包摂)したい。

 出所者本人の安心、安全はいずれ地域社会の安全につながる。塀の中の住人約4万人の半分は毎年、社会に出てくる。いつ電車で乗り合わせるかもしれない。想像することから始めたい。(終わり)

  ×  ×  ×

 1962年、札幌市生まれ。菅直人氏の公設秘書、東京都議を経て衆院議員(旧民主党)。著書に「獄窓記」「累犯障害者」など。近著に若者向けの「刑務所しか居場所がない人たち」がある。

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<人間のため>という原点

2020年01月12日 13時00分18秒 | 伝えたい言葉・受けとめる力

▽自分らしい努力でいい。
誰かを見て、「私は大して頑張っていないんじゃないか」と悩む必要はない。
「これだけやれば、自分の勝利だ!」と言える目標でいい。
▽我が一念を定めることが、勝利への軌道を確立することになる。
まずは、何か目標を立ててみよう。
その際の大切な点は「より具体的具体的に」ということだ。
それを自分の見えるところに張り出しておくといい。
▽希望の哲学が凝縮されている指針は、悩みと格闘し困難と戦いながら、深く心に刻で前進していくための原動力だ。
▽世界に混沌とした暗雲が立ち込めているいまこそ、どこまでも<人間のため>という原点を忘れてはんらない。


「死ぬんじゃねーぞ!!」 いじめられている君はゼッタイ悪くない

2020年01月12日 08時36分43秒 | 伝えたい言葉・受けとめる力
 
中川 翔子  (著)
 

内容紹介

いじめに悩む子どもたちが、未来の扉を開くために――

あなたの時間はあなたのもの。
あなたの命はあなたのもの。
誰にも奪うことはできない。

タレント、女優、歌手、声優として活躍する中川翔子さんが、いじめで不登校になり、「死にたい」とまで思い詰めた先に見つけた気持ちを文章と漫画で綴ります。
大人になったいま、中川さんがなによりも伝えたいのは「ゼッタイに、死を踏みとどまってほしい」という切実な思い。
本書では中川さんがSNS時代のいじめの現状を専門家や子どもたちにも取材して、「いじめをなくすためにいまできることは何なのか」についても考えていきます。
いじめで傷つき悩んでいる子供たち、さらには、その周囲のすべての親や教育関係者にも向けた渾身のメッセージです。

学校に行くのがつらい、そんな夜に読んでほしい。

内容(「BOOK」データベースより)

いじめられて不登校になった中川翔子が“死にたかった夜”の先に見つけた気持ち。いじめで傷つき悩むあなたに言葉と漫画で綴る。

中川/翔子
1985年5月5日生まれ。東京都出身。2002年、ミス週刊少年マガジンに選ばれ芸能界デビュー。タレント、女優、歌手、声優、漫画など、多方面で活躍。近年は自身の経験をふまえて「いじめ・引きこもり」のテーマと向き合い、多数の番組に出演。2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた「マスコット審査会」委員、2025年開催の国際博覧会(万博)に向けた「万博誘致スペシャルサポーター」も務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)



読んでいて色んなことを思い出し、すごく複雑な感情になりました。
今のいじめはSNSが発達し、より陰湿になっています。
LINEで、対象の人がいるグループ内で「退会させようぜ」「こいついじめよう」など公開処刑にされたり
都合が悪くなったら送信取り消しで証拠を隠滅したりもするようです。
ただスクショで証拠をとってツイッターなどで拡散し、いじめた側がいじめられる側になることもよくあるとのこと。
デジタルタトゥーといってネットにあげたものは一生消えないんです。
のぞき見アプリというのもあって、LINEで送信取消されても、その通知内容がみれるアプリも存在しています。

そしてこうしている今現在も一日1,000件、年間41万件のいじめが発生しています。
文部科学省の研究機関の国立教育政策研究所によると
小四〜中三まででいじめられたことがある人は89%、いじめたことがある人は79%とのデータがあります。
つまり今のスクールカーストはいじめる側にもいじめられる側にもなりうるということ。

いじめている側はよく「冗談だった」などと言い訳をします。
某社長も会見でそんなことを言いましたね。
ただ受けている側はそれが「いじり」なのか「いじめ」なのかはすぐわかります。
度を超えていたり、そこに自分に対しての愛があるかどうか当事者ならわかって当然です。僕自身がそうでした。

いじめはいじめた側が100%悪いです。
どんな理由もいじめていい理由になるわけがありません。
証拠は簡単に隠蔽でき、クラス全体のいじめならいじめられた側が嘘つきだと言われることもあるでしょう。
いじめは大人の保身で隠蔽されることもよくあります。
これもいじめに加担しているのと同じです。いじめられている側にとっては大人に言ってもダメなんだとさらに絶望の淵に落とされるからです。
こんな時に先生を含めた周りの大人がいかに親身になって話を聞いたり、選択肢を与えてあげられるかが重要だと思います。
学校という一つのコミュニティに縛られると自分がこの世界にいてはいけないのかとどんどん自分で自分を追い込んでしまいます。
通信制学校やスクールコミュニティ、学校外のクラブなど他のコミュニティに属することで救われたり
SNSをうまく使って自分の支えになる誰かと繋がることもできるはずです。

そしてどうかDo(やったこと)ではなくBe(居ること)を褒めてあげてください。
生まれてくれてありがとう、ここにいていいんだよと存在を肯定してあげてください。
その言葉だけで救われる命があります。

いじめはきっと無くなりません。
けど減らすことはできるはずです。
色んな人にこの本をきっかけにいじめについて一度真剣に考えるきっかけになることを祈ります。



この本には中川さんの中学時代のいじめ体験がかなり細かく書かれています。それだけ強烈に記憶に残っているのでしょう。当時の光景を想像すると恐ろしくなりました。
その他に少し前までいじめを受けていた人達との対談、趣味のこと、家族のこと、今いじめを受けている子供達への中川さんのメッセージで締めくくられています。
漫画も収録されていますが数ページ前に語られた文章がそのままモノローグで載せられていて、漫画にする意味はあったのか?と少々疑問でした。
今いじめにあっている子にこの本が届くかはわかりませんが(子供がホイホイ買える値段じゃないし)、学校に通う以外の方法が色々書いてあるので道筋になると思います。ネットを使った通信教育は素晴らしいですね。


中川さんの実体験を綴られてあり、生々しい体験談とともに被害者と語り合い解決案やこれからの対処が書かれています。今、現在もいじめの被害にあってる学生に読んで死なないで考え直して貰いたいです。私自身もこれを読んで「あの時、死なないで良かった」と思えました。具体的な対処もちゃんと書いてあり、被害者目線で書かれています。辛くてもこれを読めば糸口が見つかるよ。被害者が自殺などしなくて被害者にとって一縷の光になれたら中川さんも本望でしょう。もしいじめの被害者が近くにいたらこちらを勧めてみて下さい、いじめられてるお子さんのためにも被害者の親なら読んでいただきたい。夏休みや冬休みを使って親子で話し合ったり語り合ったりしてこの本を糧に自殺はしないで踏み止まって、君の未来は暗闇ばかりじゃないよと中川さんが背中を押してくれる…フリースクールや通信制高校などの対処を教えてくれたりします。被害者に読んでいただきたいだから「うちの子もしかして」と思ったら購入を検討してみてはいかがですか。辛いのは今だけ、まだ未来は変えられる。



いじめが社会問題化し、何人もの尊い命が失われているにも関わらず、いっこうに改善しない。それはなぜなのだろう。彼女なりに出した答えがこの本だ。冒頭、彼女自身のいじめ体験が赤裸々に語られている。とてもアイドルの告白というレベルではない(もはやアイドルというより文化人だが)。いじめはなくならないかもしれないけど、いじめによる自殺者はなくせるかもしれない。その言葉がつき刺さった。

この本を多くの人に読んでもらいたい。いじめられっ子も、いじめっ子も、親も、先生も、教育関係者も。そして今まで、いじめなんて全く関係なかった人も。少しでも不幸な人生を減らしたい、その彼女の切実な思いを世に広めたい。


生きてさえいれば、好きなことが出来るようになってくる。死ぬんじゃねーぞ。
中川翔子さんの心からの叫びが詰まった一冊。

学生時代は、多かれ少なかれ、親の影響の外に出られない。
今までの価値観外の人間が多くいるので、知っている対処方法が少ない。同じ目的をもって一緒に行動するわけでもないから、とにかく感情論が飛び交う。

学校は特殊な空間だと、今でも強く感じる。
社会に出てからのほうが行動しやすいと感じるはず。
社会では、理性的に判断して目的に向かって行動する。粗野で下品な人間でも、理性的に行動するように矯正されていく。感情論を吹っかける人間は良しとされない。

学校は、特殊な空間。
社会に出てからのイージーモードさと自由さに、驚く人は多いと思う。
気にせず、卒業してくださいな。


私の場合、いじめるのは自分自身。
うつ病とは、そんな病気です。

私は民放を殆ど視聴しませんが、中川翔子さんはよくNHKに出演されるので、内妻も含めて「しょこたん」のファンです。
歌が上手で、絵画の才能にも恵まれている中川さんに対して、男性である私でさえも、妬みを感じていました。
そんな彼女にも色々悩みがあったようですね。そして、それが彼女を強くしたことは間違いないでしょう。

もう、「はじめに」の部分を読んだだけで、涙を禁じ得ませんでした。
それに続く、自分自身の受けたいじめ体験。本当に重い内容です。

冒頭で紹介させてもらいましたように、うつが改善せず、自死を考えたこともしばしば。
中川さんの飾らない文章に、本当に助けられてました。

ありがとう。「しょこたん」。



夏休みのこの時期に親子で読んでいただきたい1冊です。
命を断とうとした時に猫に救われたから、しょこたんは猫をさらに好きになったのかな?
半年とか1年とか先に、もしオーディオブック版が出たらまた買ってしまうかも


本当にいじめで自殺を考えてる人に、自分をせめてるのは自分自身なんて言葉は、空砲だし、逆に本人を追い込む事になるでしょう。

この殺伐とした世の中で、何も感じないで生きれる人の方が、よっぽど感性が鈍ってると思う。

しょこたんは一軍のイメージでした。
一軍の人達は美人の人をグループに巻き込むからです。

最後の○ろマシーンの話は、読んでいて特につらかった。自分も発作がおきると吐くので。
トラウマからまだ乗り越えられてない。

でも、しょこたんがいじめを乗り越えて、夢を叶えた姿は、とても励みになります。

くだらないと思われるかもしれませんが、一つ言わせていただけると、クラスにカッコいい人や美人な人がいると(恋の力とか?)惹き付けられて、不登校の人が減ると思います。モチベーションが上がるといいますか。

だから、しょこたんも知らぬ間に誰かを救ってたかもしれませんね!

いじめの背景には、戦後からの社会の流れがあります。

"大人のいじめがなくならなければ、子どものいじめはなくならない"

詳しくは、江原啓之さんの「こどもが危ない、いのちが危ない」もご参照ください。

私はSNSはやりませんが、
仕事で使ったり、ルールやマナーが守れるならばいいと思います。

オバマ元大統領の動画のように、AIが進化し、あたかも本人が発信しているかのような詐欺も出てくるかもしれません。
技術が発展し巧妙化すると、便利にもなりますが、なんでも使い方を間違えてしまうと凶器にもなってしまいます。これからの課題だとも思います。気をつけたいですね。
 
 
 
この本には中川さんの中学時代のいじめ体験がかなり細かく書かれています。それだけ強烈に記憶に残っているのでしょう。当時の光景を想像すると恐ろしくなりました。
その他に少し前までいじめを受けていた人達との対談、趣味のこと、家族のこと、今いじめを受けている子供達への中川さんのメッセージで締めくくられています。
漫画も収録されていますが数ページ前に語られた文章がそのままモノローグで載せられていて、漫画にする意味はあったのか?と少々疑問でした。
今いじめにあっている子にこの本が届くかはわかりませんが(子供がホイホイ買える値段じゃないし)、学校に通う以外の方法が色々書いてあるので道筋になると思います。ネットを使った通信教育は素晴らしいですね。



 
 



中3生徒“いじめ自殺”で…第三者委が市民に調査結果報告

2020年01月12日 08時25分43秒 | 事件・事故

 「教職員がもっと鋭敏な感覚を」の声も
1/11(土) 東海テレビ

 去年7月、岐阜市の中学三年の男子生徒がいじめを苦に自殺したとみられる問題で、第三者委員会の調査結果が11日、初めて市民に報告され、出席者からは学校の指導法などについて意見があがりました。

 岐阜市の中学3年の男子生徒(14)が去年7月、マンションから転落死した問題では、自宅からいじめをほのめかすメモが見つかり、第三者委員会がいじめが原因だったとする調査報告書をまとめています。

 市の教育委員会は11日、調査結果を広く公表する会を開き、市民や学校関係者およそ550人が参加しました。

 第三者委員会が問題の調査結果や再発防止策を説明し、出席した学校関係者からは「教職員がいじめについてもっと鋭敏な感覚を持つ必要がある」などの意見があがりました。

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学校の事件事故調査の在り方

「沈静化」体質との決別を

遺族の要望は一切無視される。

国は被害者の声を聴くこと

遺族の不信強い第三者委員会の調査
なぜ、被害者の信頼を得る調査が難しいのか