内容紹介
カジノ解禁に向けての動きが急である。雇用促進、経済効果、外国人観光客の誘致と、奇麗ごとが言われているが、ギャンブルは基本的に敗者の犠牲の上に成り立つものだ。依存症の発生を防ぐ手段もない。 著者は韓国で唯一自国民の入場が許されたカジノ「江原ランド」を取材、その自殺者の実態、カジノ周辺に蠢く依存症患者の惨状をレポートする。 なによりも日本には、年間売上で、世界一のマカオの四倍という事実上のギャンブル「パチンコ」が、すでに存在する。これ以上国民をギャンブル漬にし、依存症患者を増やしてどうするつもりなのか。
出版社からのコメント
カジノ解禁論議が盛り上がっているが、とんでもないことだと著者はいう。 いったい、誰が何のために言い出したのか。結局得をするのは誰かと。 著者は、世界一のカジノ都市マカオと、韓国に一か所だけ作られた自国民向けカジノ「江原ランド」を取材し、自殺者の実態や、車まで質に入れてしまって帰れなくなり、ランドの周辺でホームレスしている人たちの様子をレポートする。
また、震災の復興策として仙台にカジノをつくる案が浮上しているが、そんな原発に近いカジノに外国人観光客が来るはずもなく、結局集まるのは地元の人で、最悪の場合、被災者が義捐金を賭けて、すっからぴんにもなりかねないと、著者は警告する。
そもそも日本は、現在すでに世界一のギャンブル大国であることは、意外に知られていない、その最たるものは、もちろんパチンコだが、それに課税すれば、復興資金はすぐに拠出できる。民主党はその案を一度取り上げようとしたが、すぐに取り下げた。原因は明らかである。こんな国がカジノを解禁するなどというのは、とんでもない話なのだ。 著者の主張点、売りになりそうなところは、以下の通りです。
すべてのギャンブルは、構造的に敗者の犠牲の上に成り立っている。 ギャンブルは、必ず依存症を引き起こす。 日本は、すでに世界一のギャンブル大国である。 カジノ解禁で復興金に当てるなら、パチンコに課税すればすむ話である。 いまさらカジノ目当てに日本に来る外国人はいない。
有り金取られるのは日本人。仙台に復興カジノができたら、むしられるのは被災者の義捐金である。 カジノの経営は堅気にはできない。結局得をするのは、闇社会と政治家。
著者について
1940年秋田県生まれ。ジャーナリスト。トヨタ自動車に19年勤務。営業マンとして13年で新車を1200台販売する。独立後、自動車販売会社、損保代理店の経営、タクシー運転手などの職歴を経て、著述、講演に活躍。著書に『タクシードライバー千夜一夜』『失敗から学ぶ』など。早くからカジノとパチンコの依存症問題に取り組み、『なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか』(祥伝社新書)が大きな評判を呼ぶ。
カジノ解禁をして日本人を結局カジノのお客にして食い物にしようとしているものが居る。それはカジノを立法化して推し進めている連中だ!ばかな日本人は黙って従って居るよ!世界から金持ってわざわざ日本へバクチしにやって来るとでも思っているのか!?
結局日本人が食い物にされるだけだよ!カジノ法は日本人を食わせて下さいという法律になっているよ。バクチ病で地獄に突き落とされる大勢の日本人が生まれるというのに、どうして皆で止めないのか?PL法にして賭博を表面的に隠してしまったやり方はまるで詐欺師であり悪党である!
カジノをやろうがパチンコをやろうが結構だと思います。ただし、そこから抜けられなくなる病気もあることを知ってほしい。カジノ解禁が日本を滅ぼすとすれば、世界のゲーム機の60パーセントが集中している日本国はすでに滅んでいます。早急な対策を求めたいところですが、政治家の皆様は自身の保身に忙しいようですね。
「カジノ解禁」反対についての著者の主張にはほぼ同意出来る。著者が「まえがき」でも触れているように、日本には既に実態的には「ダントツで世界一の規模の賭博」のパチンコという存在があるのに、これを放置したまま綺麗ごとばかりを並べてカジノを導入する意味が全くわからない。「依存症対策」が必要な施設をわざわざ大金かけて作りたいとは全く滑稽な話だが、それ程に「推進者」にはオイシイ利権のある話なのだろう。「違法な賭博場」である筈のパチンコ屋が駅前等の一等地で堂々と営業している、という「先進国」にあるまじき惨状を放置しておいて、何がカジノ解禁なのだろうか。
そんなに「カジノ」がやりたいのなら、少なくとも「官」主導で進める事だけはご勘弁頂けないか。「官」主導で進めるとろくな結果を招かないのは例の「クール・ジャパン」の惨憺たる結果を見れば明らかだ。2017/11/06の日経新聞の一面で、クールジャパン機構が出資した案件の過半数が収益などの計画が未達である、という事がとり上げられている。結局のところ、それは「何をどう売り込んでいくか」という緻密な戦略も無しに、「とりあえず『ニッポン』というブランドさえ押し出せば、黙っていても売れるし、商売になる」という極甘の認識と思い上がりが招いた当然の結果とも言える。「カジノ」に関しても、明確な戦略も無しに「とりあえず作れば何とかなるだろう」と思っているのなら「クール・ジャパン」の二の舞になるのは明らか。しかも失敗しても誰も明確な責任をとろうとしない。マカオですら、中国当局の「反腐敗」の引き締めの中で集客減に苦しんでいるというのに、後発組の日本が中途半端に「カジノ」に取り組んで成功すると思っているなら大甘としか言いようが無い。
ただ、残念ながら、本書は幅広い読み手に「カジノ解禁の愚」を訴えるには完成度が低すぎる。まず、あまりに推敲が甘すぎる。同じ事を繰り返しているような部分が散見されるし、第3章のマカオに関する部分は、正直3分の1位には刈り込めるのでは無いかと思える冗長さ。これは著者のみならず、編集者にも大きな責任がある。ただ原稿を右から左に流すのが「編集」では無い筈だ。編集者は一体どういう仕事をしているのか、と首を傾げたくなってしまう。また、既に他のレビュアー諸氏もご指摘なさっているように、ほとんどが著者の「感情論」に終始しており、まるで「論証」になっていない。書籍は、著者の見解に同意しない読者に対してもそれなりの筋道を立てて「論じる」必要がある筈で、その点で本書には著者の「思い」は横溢しているものの、ほとんど著者の「独り言」のレベルから脱却出来ていない。著者の主張には共感するので★3つにはしたものの、辛い評点が多いのもこれでは止むを得ない。おカネをとって読ませる「商品」を出す以上は、著者にも、編集者、出版社にももっと丁寧な仕事を望みたいと切に思う。
どんな政治や思想の立場の方は知りませんが、何らかの理由でカジノ反対派の筆者が賛成派や
カジノ設立に関して意見を持っていない対して脅すために作ったとした考えられません。
反対という立場から、理由をひたすらに並べているものの、その理由に全く根拠がありません。
ところどころに出てくる「日本にカジノをつくるのはやめとけ」という言葉。反対の潜在意識を植え
付けるためだと考えられます。発したのは有識者ではなく海外の一般人です。
外国人を呼び込むためのカジノにも関わらず外国人観光客が減っているので反対。むしろ2020年の
東京オリンピックで大幅な増加が期待されています。他国の成功事例が述べられてたのかは覚えて
ないけど日本では無理だとかいうんでしょうかね。
候補地で筆頭であるのは東京、横浜、大阪であるにも関わらず、放射能で汚染された仙台に外国人が
来るわけがないと主張するのも反対意見を述べるために敢えて選んでいるのでしょう。
依存症などのデメリットはもちろんあります。ただ、賛成派もそれは承知の上でデメリットを回避できる策
を考えるはずです。どのカジノに関する書籍でも一番最初に乗っているような問題です。読んだことが無
いのか、無視しているのか…
何も考えずにカジノ法案を推し進める政治家がいたら、一度冷静になってもらうために見るのはいいかもしれないです。
韓国には公営・民営のカジノが15箇所以上あるが、韓国民が利用できるカジノは「江原カジノ」の一箇所のみで、他は全て外国人観光客用である。
江原カジノの周辺では、カジノ開業から10年以内にギャンブルが原因の自殺が35件発生している。
韓国カジノ業観光協会によれば、カジノの外国客1人の誘致は半導体76個、あるいはカラーテレビ4台を輸出したことと同一であり、外国人客11人を誘致するのは自動車1台を輸出したのと同じ効果とされる。
ギャンブルが社会問題化する中、韓国政府は2004年10月からカジノの利用客の一ヶ月の入場日数を20日に制限した。さらにその後、2010年には15日に制限した。
ハンナラ党(当時)のアン・ヒョンファン議員が明かしたデータによれば、江原カジノの「出入り禁止者」は、2008年の2558人から2009年には4818人に増加した。この出入り禁止者の半分以上は、ギャンブル依存症に悩む本人が自分を出入り禁止にしてくれと申し出たものである。
米ウィスコンシン州が作成した「ギャンブルの社会的コストの研究」によれば、ギャンブラーが起こす社会的コストは合計で約3億ドルにも上る。この費用は、雇用問題(ギャンブルで失われた労働時間。失業保険のコストなど)、深刻な負債(ギャンブラーが起こす犯罪の捜査費用、裁判費用、収監費用など)、保険福祉費用(治療費、手当てなど)を含んでいる。
著者が言っている通り、日本でも「カジノ」に関する議論が活発になりつつある。ただ、そういった動きに対して、カジノに関する本(特に中立的なもの)が少ないのが現状です。
この本はそういう意味では貴重です。著者の文章自体はとても読みやすく、また現地で自分の目で見てきたことに基づいた記述は、負の側面を良く描き出しています。
しかし、勿体無いことに、著者はデータや数字をしっかりと調べていないようです。あくまで自分の目で見て感じたこと、つまり主観に基づいた記述のみを書いてしまっていて、事実と反する事柄が書かれています。
例えば、著者は日本のパチンコ市場とカジノ(全世界)の売上を比べて、パチンコだけでマカオに匹敵すると書いてありますが、利益を比べてみないと意味がありません。
こうした記述が少なからずあるため、何も知らない読者がこれを読んだ場合、過剰なカジノ嫌いになる可能性があります。
筆者の言うように、ギャンブル中毒などの問題はありますが、シンガポールなどはうまく抑えて魅力ある国作りにカジノを利用しています。
ジャーナリストを名乗るのであれば、もう少し、客観的な分析が必要です。
全てウソが書いてあるわけではないので、カジノに興味がある人は読んでも良いと思います。(ただし、他の本や情報にもあたってください)
パチンコ全廃を成し遂げた韓国を例にとり、日本もパチンコを全廃すべきと主張した(「なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか」)著者の続編的新書。
マカオなどのカジノを例に挙げその周辺で増加する依存症となった人々の実態を詳細に伝え、日本にカジノはいらないと主張する。
著者の意見には基本的に共感できるものの、著者の主張はやや独断的な意見が多く、物事を多面的に検証・分析するような手法は不得手のようだ。
ただ、カジノ反対の立場を主張しているジャーナリストは少数派のような気がする。
このため、引き続き日本人を堕落させるような業界については、鋭くメスを入れて欲しいと思う。