コロナ新「分科会」が初会合…感染対策と経済の両立議論

2020年07月06日 17時40分02秒 | 社会・文化・政治・経済

配信

新型コロナウイルス感染症対策分科会の初会合であいさつする西村経済再生相(6日午後1時4分、東京都千代田区で)=横山就平撮影

 政府が新型インフルエンザ等対策有識者会議の下に新設した「新型コロナウイルス感染症対策分科会」の初会合が6日午後、東京都内で始まった。

感染症対策の専門家に加え、経済の専門家や自治体関係者らがメンバーに入り、感染症対策と社会経済活動の両立や検査体制の拡充などが議論される。

【写真特集】写真で見るキーワード コロナが生んだ風景  

分科会は、廃止された政府の専門家会議に代わる組織。同会議は感染症や公衆衛生の専門家が中心だったが、今回は経済学者、労働組合幹部、県知事らも加わり、計18人で構成。同会議の副座長だった尾身茂・地域医療機能推進機構理事長が会長を務める。

 初会合では〈1〉東京都を中心とした首都圏などの感染状況分析〈2〉イベントの入場制限緩和など経済活動の段階的引き上げ〈3〉PCR検査や抗原検査の戦略的拡大〈4〉クラスター(感染集団)の発見につなげるデータの把握・分析――などをテーマに話し合われる。

 会合の冒頭、西村経済再生相は「次の(感染拡大の)大きな波に備え、検査の戦略的拡大などが重要な課題となる。政府としては分科会の意見を聞きながら、新型コロナウイルス対策を進めていきたい。忌憚(きたん)のない議論をしていただきたい」とあいさつした。

 

【関連記事】


コンピュータ将棋が6億手読むとはどういうことか? 最強将棋ソフト開発者・杉村達也さん(33)に聞く 松本博文 | 将棋ライター 7/4(土) 18:00

2020年07月06日 17時34分50秒 | 社会・文化・政治・経済

2019年世界コンピュータ将棋選手権にて、水匠開発者の杉村達也さん(撮影:筆者)
 2020年6月28日におこなわれた棋聖戦五番勝負第2局▲渡辺明棋聖(36歳)-△藤井聡太七段(17歳)戦は歴史的な一局でした。

 

 中でも、藤井七段が指した61手目△3一銀は現在の最強コンピュータ将棋ソフト「水匠」がすぐには最善と判断できなかった一手として話題となりました。

 その発端は開発者・杉村達也さん(33歳)の以下のツイートからです。

 

 このツイートの真意について、杉村さんにうかがいました。

「6億手読む」とは、おおよそ28手先まで読むこと

 

――なんだかおそろしく話題になりましたね。

杉村「いやもう、びっくりしてます、正直なところ(苦笑)。けっこう今までも『これだけ読ませたら』みたいなツイートはちょっとずつしていました。例えば叡王戦の高見先生も相当いい手を指したとか」

 

――2018年、第4期叡王戦七番勝負第1局▲永瀬拓矢七段-△高見泰地叡王戦(肩書は当時)。高見叡王は(72手目)△6五桂と歩頭に跳ねる妙手を指しました。その前に23分、15分の消費が続いた上で、この一手は4秒での着手です。コンピュータ(水匠)が7億手以上読んだ上で最善手、ベストとして浮上した手を人間のトップクラスが指したという一例なんですね。将棋のタイトル戦はファンにとっては注目されます。それでも現在の藤井ブームは特別で、それだけ注目度が高いということでしょう。

杉村「今回みたいなのは初めてで、藤井七段効果だと思います」

――杉村さんのツイートから派生して、いろんな方がいろんな解釈をしています。そもそもコンピュータ将棋ソフトが「6億手読む」とは、どういうことを意味するのか。改めて聞かせていただけるでしょうか。

杉村「基本的には将棋っていうのは『こう指したらこう指す、こう指したらこう指す』というパターンがありまして。だいたい一つの局面において、平均的に100手いかないぐらいの合法的な指し手があります。だから一つの局面で、たとえば90通りの指し手があり、次の局面でも90通りあるとしたら、それで8100通りになります。それを何度も何度も、たとえば100×100×100とやっていくと、すぐに1億手、100億手、みたいになってしまうんですね。それが『局面』『手』ということになります」

――「将棋は100手ぐらいで終わるのに、6億手先まで読むとか意味わかんない」というような声も見られました。「6億局面」「6億手」読むということは、「6億手先」ではなくて「6億通り」なんですね。

杉村「その通りです」

――「6億手」という数字はほとんどの人からすればおそらく「なんだかよくわからないけれど、とにかくたくさん」というイメージかと思われます。一方で、コンピュータ将棋的には、そう厖大な数ではないんでしょうか。

杉村「ええと、難しいところです。仮に全部を読むっていう形にするんだったら、だいたい5手先か6手先までしか読めないです。たとえば100通りずつの合法手があったとしたら、100×100で2手後だと1万。4手後だと1億。5手で100億。6手で1兆ですか。ですので、もう無理なんですよ(笑)」

――なるほど、「組合せ爆発」というやつですね。指数関数的にあっという間にすごい数字になってしまう。

杉村「ですけど、今はコンピュータも不要な手は読まないようにしてるので、それで何とかバランスを取って、広く読みつつ深く読むようにしていて。6億手はどれぐらいなのかと言いますと、今回(棋聖戦第2局)だと6億手は28手先を読んでます。だから全部を読んでいるわけではないですけれど、いらない手を切り捨てつつ、けっこう広めに読んで6億」

――なるほど。28手先といわれると、具体的なイメージがつかめるように思われます。原田泰夫先生が将棋の基本は「三手の読み」と言われています。私クラスのアマチュアだと、3手先でも見通すことは難しいわけですが。

杉村「で、6億手が多いか少ないかっていうのは、本当にそこは難しいところでして。だいたい、世界コンピュータ将棋選手権(WCSC)に出ている際の6億手というのは、正直、そんなに多くはないです」

――コンピュータ将棋界のレジェンドであるYSS開発者・山下宏さんが1991年、コンピュータ将棋選手権に初参加。「この時のYSSはPC-6601のアセンブラで動き、毎秒100手を読めた」と記しています(参考文献)。当時のコンピュータ将棋はまだ発展途上で、アマチュア初段の強さもなかった。ただしPC-6601・・・というのは1983年にNECから発売されたパソコンですが、それでも人間をはるかに超える毎秒100手の速さで読めた。当時と現在とでは単純に比較できないのは承知の上で計算すると、毎秒100手で6億手読むには69日と10時間40分、だいたい70日かかることになりますね。

杉村「私の使ってるコンピュータ(Ryzen Threadripper 3990X:AMD社製の高性能なCPUを搭載しているマシン)だと、6億手は何秒ぐらいで読めるのかというと、だいたい10秒ぐらいです」

――そうなるんですよね。「読むのに70日かかる」というと「なんだかよくわからんけどすごい!」というふうに感じられそうです。一方で「10秒あれば読める」と言われると「なんだそんなもんか」とも感じられそうです。

杉村「一般の方が手に入る最大に近いスペックのパソコンを使っているからですね。平均的なノートパソコンだと6億手読むのには、10分くらいかかるか、かからないかぐらい。思考時間という意味ではそうです。手数としてはまあまあな、28手という深さです」

――それはdepth(デプス)というやつですね。

杉村「その通りです」

――漫画『ハチワンダイバー』では「ダイブ!」と言って主人公は将棋盤に潜っていく比喩があります。棋聖戦第2局61手目の場合は、6億手で「depth28」。28手先まで潜って、その段階での結論だったと。

杉村「そうですね。局面の複雑さによって深さが全然違いますので、初期局面とかだと、28手先なんてすぐ行っちゃうんです。ですけど、あの局面はけっこう複雑な局面だったので、28手先で6億手使ってしまったと」

――渡辺棋聖が▲6六角と打った局面。藤井七段がルール上指せる手、合法手を玉飛角金銀桂香歩の順に数え上げて5+3+48+9+51+43+2+12=173通りです。合ってるかな。そのほとんどが悪手です。有力な候補手がわずかにいくつかあって、最初は△3一銀ではない、他の手が提示されてたんですね。

杉村「そうでしたね。△3一銀はdepth27では上がらなくて、depth28で上がってきた。4億手だと上がらなくて、6億手で上がってきた」

――そうした現象は、これまでにはそんなに見られないことですか?

杉村「そんなにはないです。私は最近『ソフトは相当強くなったけれども、プロの指す手を評価してないコンピュータは本当に正しいのか?』ということをやろうと思ってて」

――面白そうな試みですね。

杉村「それの一環で『浅い時には候補手に出てこないけど、深いと候補手に出てくる』という手をピックアップするようなプログラムを作ったんです。それで試しに棋聖戦第2局でやってみたら、それが浮かび上がってきたっていう。試しつつなんですけど、今まで100局ぐらい調べて、発見できているのは5局ぐらいですね」

――100局のうち5局・・・というのは。

杉村「20分の1とか、それぐらいですね。20局の中の1局で、その中の1手。ということですから、1局平均100手だとして、だいたい1000分の1か、2000分の1か。そういう話なんですかね」

――1000手か2000手に1手ぐらいに現れる、コンピュータがすぐに発見できない一方で、人間が指したという良い手。それが棋聖戦第2局という注目される大舞台の勝負どころで、藤井挑戦者の一手として表れたということなんですね」

杉村「その通りです」

「AIを超える」とはどういうことか?

――今回、杉村さんのツイートを見て、いろんな方がいろんな解釈をしています。「藤井七段が指した△3一銀はAIを超えたんじゃないか?」という声も多く耳にしました。

杉村「うーん、そうですね(苦笑)。『AIを超えた』ということをAIで言うっていうのは、ちょっと自己矛盾だと思うんです。つまり、AIで深く読んだ手を藤井七段が指したわけだから、じゃあ深いAIだったら読めてるじゃん、って話なので。『AIを超えた』っていうのは、ちょっとわからないところで」

――なるほど。

杉村「特に『6億手で読めた』というところをピックアップするよりも、『4億手で読めなかった』という方がレアだと思うんです」

――なるほど。

杉村「つまり最近のプログラムでは、通常であれば有力手っていうのは、少ない深さとか、少ない局面で読めるように読めるようにしてるんです。だから有力とされる手がそこまで浮かび上がってこないという方がむしろレアです」

――なるほど。たとえば王位戦第1局の封じ手直前、藤井七段が長考で踏み込んだ53手目▲7三歩成。水匠に読ませたら、最初の数百手も読まないうちから▲7三歩成を最善手として、あとは数億手以上読んでも結論が変わらなかったですね。

杉村「そうそう、そうなんです。コンピュータは深いところの指し手を浅い局面でも出せるような学習を最近はしているんですよ。深く読まなくてもいい手を指せるっていう学習をどんどん進めてるので、深くないと読めないという手は減ってきてるわけなんです」

――人類の達人はそう多くの手を読まなくても「大局観」で有力手をしぼることができます。人間の大局観にあたるコンピュータの評価関数は、現在それだけ洗練されているのですね。

杉村「ですから▲7三歩成というのも、いまのソフトの評価関数や探索であれば、最初から一貫してそういう手になるんです」

――なるほど。少なからぬ人は漠然と『コンピュータが読む6億手とは、しらみつぶしにほとんど無駄な手を読んでいる』とイメージしているかもしれませんが・・・。

杉村「そういうわけではないです。全部読んだら6手先で1兆手行っちゃうんで。だから読むべきところは、ちゃんと読んでいます」

――なるほど。人間のように、ちゃんとポイントを押さえた上で読んでいると。

杉村「だいたい1手先しか読んでないコンピュータがアマ二段ぐらいあるんです」

――そういう触れ込みでWCSCに参加しているプログラムもありますよね。

杉村「そうそう。先ほどいったように一つの局面における合法手がだいたい100手だとして、100手、200手(つまり1手先)しか読まないコンピュータでも『級位者だと勝てるの難しいかな』ぐらいの実力があります。もう無駄な手はあまり読んでないんです」

 

――私はネット将棋のレーティングではアマ五段ぐらいで、二枚落ちに特化した水匠Uには二枚落ちで指し分けぐらいです。1手しか読まないソフトがアマ二段ということは平手(ハンディなし)でも勝てそうですが、もう数手先まで読まれると、絶対に勝てませんね」

杉村「いま、プロの先生は何手先ぐらいまで読めるコンピュータには勝てるんですかね」

――それはレーティングなどである程度は推測できそうですが、実際のところは、やってみてもらわないとわからないでしょうね。

杉村「100万手ほど読めばコンピュータが勝つのではないかな、という予想はします。何手先かはわからないですけどX先生(強豪若手棋士)がたしか『技巧のdepth12でいい勝負』と言われてましたね」(※『技巧』はWCSCで2016年2位、2017年3位の強豪ソフト)

――へええ。私から見れば、さすがプロは強いとしか感じられませんが、違う受け取り方をされそうな気もしますね。

杉村「15手先ほど読んでいれば(現在のコンピュータ将棋ソフトはプロ棋士に)ほぼ勝てるのではないかと思います」

――はー。なるほど・・・。

杉村「15手を読むには、基本的には200万手か300万手ですみますから。深く読めば読むほど指数関数的にどんどん手が広がりますので、だから27手か28手の時に、2億手使ってしまうんです」

――強豪プログラムはWCSC出場時、1手につき、最大どれぐらい読むんですか?

杉村「10分+5秒(フィッシャールール)ですから最大1分ぐらいでしょうね」

――ということは・・・。

杉村「私の持っているパソコン(Ryzen Threadripper 3990X)は1秒で6千万手探索しますからので、6千万×60秒だと36億手ですね。それぐらいは探索できる」

――あの藤井七段も使っているというAMDで。

杉村「そうですね、それが一般の方でも手に入る最大のスペックですかね」

――棋聖戦第2局で印象に残ったのは、新時代の感覚であろう△5四金の構想。そして渡辺棋聖が「全く浮かんでいませんでした」とブログに記していた、戦いが始まった後の△3一銀。以上が特に印象に残りました。藤井七段は桁違いの終盤力を誇りながら、実に周到に序中盤を研究していることでも知られています。今回、杉村さんの目から見て、藤井七段は事前にどのあたりまで想定していたと思われますか?

杉村「最初は(△3一銀ではなく)△4六桂を考えてたって、確か言ってたじゃないですか」

――局後のインタビューでそう言ってましたね。

杉村「ABEMAの『SHOGI AI』は△4六桂を最善としていましたね」

――はい、そうでした。『SHOGI AI』はABEMA独自のシステムですね。

「SHOGI AI」は、将棋の対局をAIにより自動で形勢判断するシステム。既存の将棋コンピュータソフトと違い、3つのAIが同時に局面を判断する「マルチ形勢AI」をAbemaTV独自に採用することで、より正確な形勢判断と候補手を表示することができる。

出典:「ABEMA TIMES」2020年1月15日
杉村「水匠は△4六桂を5番手にも挙げてないじゃないですか」

――そうでしたね。

杉村「だから△4六桂をどこまで水匠がいい手と言ってたのかは、調べないとわかんないんですが・・・」

――私の手元のパソコンにインストールされている水匠2でも、最初から最後まで△4六桂は5番手以内に入っていません。

杉村「だから△4六桂はたぶん悪い手だと思うんです。どう想定していたのかは、正直、藤井七段に聞いてみないとわからないんですけど、ただ、第一感で浮かんだであろう△4六桂をはずして指さなかった。一方でABEMAの『SHOGI AI』は△4六桂を評価していて、それはたぶん、深く読ませたAIにとっては悪手だった。その(ABEMAの)AIが最初に推奨していた手を避けられるほどの読みと判断能力が藤井七段にはあったんじゃないかなと思います」

――なるほど、そちらの観点からも藤井七段の選択は素晴らしかったと。

杉村「正直、△3一銀と(渡辺棋聖が本線で読んでいた)△3二金はいい勝負で、どちらがいいかわかりません。ただ△4六桂を指さなかったっていう、その判断はたぶん良い判断で、それはABEMAのAIを超えてるかもしれないですね」

――あのABEMAの『SHOGI AI』は、他と比較してどれぐらい強いものなんですか?

杉村「・・・『弱い』って言っちゃあ失礼なんですけど」(苦笑)

――なんと(笑)

杉村「合議システムらしいじゃないですか。合議が誰(どのプログラム)と誰と誰なのかがわからないんですけど、絶対やねさん(※)は入ってると思うんです」(※やねうらおさん、2019年WCSC優勝「やねうら王」開発者)

――そこは秘密なんですかね。

杉村「あとはponanzaとかなんですかね。あとは技巧とか。ちょっとわかんないですけど」

――いずれも現代を代表する強豪プログラムですね。

杉村「その3者の合議なので。そもそも合議って、強くなるパターンてほとんどないんですよ」

――へえー、そうなんですか。合議といえばたとえば、2010年、清水市代女流六段と対戦した「あから2010」は当時の強豪ソフト(激指、BONANZA、GPS将棋、YSS)の合議でした。

杉村「合議をするんだったら、1つのCPUで1つのソフトを使った方が強いので。3つのCPUを使って3つのソフトを使って合議をするんだったら、強くなるかもしれないですけど1つのCPUで3つ合議は、むしろ弱くなる」

――「三人寄れば文殊の知恵」ということわざはここでは当てはまらず、弱くなると。

杉村「ということもあるし、おそらく、あまり深く読んでないと思うんです。ちょっと見てみないとわからないですけど。だからABEMAのAIはそこまで強くないのではないかという想定はあります」

――挑戦してくださいよ、ぜひ(笑)。水匠とABEMA『SHOGI AI』の真剣勝負を見たいです。

杉村「挑戦させていただけるんでしたら、挑戦したいです(笑)。ABEMAさん、ちょっと戦わせてくださいよ、って。ぜひ挑戦状をたたきつけたいですけど(笑)」

――ABEMAの将棋番組、チャレンジングで面白いですからね。いずれそうした企画も見てみたいものです。

杉村「まあまあ、それは置いといて。△4六桂を指した後の評価値ってどうなんですかね。渡辺棋聖有利になっててもおかしくないと思うんです。ABEMAのAIが推奨していた△4六桂を藤井七段が避けたというのが、私はすごいと思います」

――(水匠2で解析してみて)確かに100点か200点ぐらい、わずかに先手(渡辺棋聖側)よしになりますね。

杉村「たぶん深く読めば読むだけ△4六桂は上がってこないでしょうね」

――確かに△4六桂だと、ちょっとずつ評価値は先手よしに傾いていきますね。

杉村「そうでしょうね。たぶんそういう攻め合いの手は、相当深く読めば深い評価値が出てくると思うので」

――藤井七段が△3一銀を指すにあたっては、50分中、23分が使われました。もちろんそこに至るまで、事前に深く読んでもいたでしょう。ではそこで、藤井七段は△3一銀を抜群の読みの力で最善と判断したのか。それとも全ては読みきれないから、ある程度は「大局観」でカバーしたのか。どちらだと推測しますか?

杉村「どうですかね。読みは相当入れてると思うんです。それは前提として、勝ちだとまではさすがに読み切れてないでしょうね」

――藤井七段は対局後のコメントでは、△3一銀と指すところでは、あまり自信がなかった感じでしたね。

杉村「ええ。評価値がだいたいマイナス300(後手の藤井七段が300点ぐらいよし)とかでしたから、水匠でもだいたい勝率6割ぐらいと思っているぐらいです」

――どんな強いコンピュータ将棋ソフトでも、現状では△3一銀と指すあたりでは、到底勝ちまでは読み切れる段階ではないということですね。

杉村「△7七同飛成はたぶん読み切ってるんだと思います」(※2018年竜王戦5組決勝▲石田直裕五段-△藤井七段戦で現れた、藤井七段の代表的な名手)

――あれは鮮烈な一手でした。ずいぶん前から寄せの構図を描いて正確に読み切れてないと、ああした手は指せないんでしょうね。

杉村「(棋聖戦第2局で)△3一銀以降はおそらく藤井七段でも読みきれてないと思うんです。ただ、△4六桂の先を深く読んで、ダメだっていう判断をしてから△3一銀だったのではないですかね。わかんないですけど」

温故知新をうながすAIの発展

――改めて。今回、杉村さんのツイートは大変な反響がありました。杉村さんはかなり言葉を選んであのツイートになったと思うんですけれども。

杉村「そうですね、ええ(苦笑)。少なくとも当然、ウソは言わないようにしました。しかし正直、ここまで反響があるとは思ってなかったです。しかも(6億手という言葉が)相当独り歩きしてるところもあると思うので」

――コンピュータ将棋界隈の人たちからは「ん?」という空気が出されているのを感じました(笑)

画像
杉村「わかります、わかりますよ(苦笑)。言いたいことはすごくわかります。だって私が『6億手ですごい』っていう感じにしちゃってますけど、でも私、Threadripper 3990Xを持ってるわけで、6億手を何秒で読めるか、当然知ってるわけです。ただ、言ってることは真実で、4億手で読めなかったところを6億手で読めた。かつ△7七同飛成はソフト的な難易度は低いので、それよりも判断は難しいのではないかというツイートでしたけど、それはなんらウソは・・・」

――ウソはない・・・。私の記事も、ウソは書いてないですよね(苦笑)

杉村「そうですね。ただ『6億手をわずか23分』のわずか、というところをどう判断するかそこは・・・」(苦笑)

――すみません! 正確には「わずか」という言葉は使ってなくて「最強将棋ソフトが6億手以上読んでようやく最善と判断する異次元の手を23分で指す」という記事タイトルでした。その「ようやく」という表現がどうだったのかという反省はありました。

杉村「でもウソは言ってなくて。それで、6億手でようやく最善というよりは、4億手まで全然出ないという方が全然レアです。普通はやっぱり5位以内の候補手までには普通は出ます」

――杉村さんから見て、藤井聡太七段はやっぱりすごい人ですか?

杉村「それはもちろん。タイトル2つも挑戦していますし。王位戦対局前のインタビューを見ましたが、4年前より角1枚強くなったって言われてましたね」

(記者からの質問)デビュー前に木村挑戦者の対局を見た時(2016年7月、王位戦第1局▲羽生善治王位-△木村一基八段戦)と、いまのご自分で、棋力的に駒でいうと、どれぐらい強くなったですとか、説明できますかね?

藤井「当時はまだ奨励会の三段でしたけど、それからプロになって、トップ棋士の方との対戦というのも経験することができましたし。当時からすると角1枚は強くなっているのかな、とは思います」

出典:2020年王位戦七番勝負第1局前日インタビュー
――藤井現七段は4年前の段階ですでに奨励会三段リーグを1期抜けする力があったわけですからね。ちょっと何言ってるのかわからない、という感じです。でも現実に、プロになって勝率8割半ばをキープしているということは、さらにパワーアップしているのは間違いないんでしょう。

杉村「コンピュータ将棋は1年ごとに勝率7割ぐらい強くなります。だから4年で角1枚強くなっていたとしたら、それはコンピュータぐらいの成長ですよ。そうだったとしたら、本当にすごいなあと思います」

――事実として現在、コンピュータ将棋は人間よりもはるかに強くなりました。棋士が対局する公式戦の中継などでも、コンピュータの形勢判断が表示されることは当然のように認識されてもいます。ただ一方で「コンピュータによって人間の指し手を評価するなどは『冒涜』ではないか?」という趣旨の声も依然、しばしば聞かれます。そうした点についてはいかがでしょうか?

杉村「それはむしろ、そうした人はAIを信望しすぎてるんじゃないですかね。むしろAIをそんなに尊重してない人だったら、AIにどう測られたところで、なんら神聖な領域は侵されたことにはならないでしょうから。むしろAIを信望し過ぎてるがゆえに、AIに測られるのがいやだと思ってらっしゃるのかなあ、と」

――なるほど。逆に見ればそういうことですか。

杉村「羽生先生も言ってらっしゃいますが、そんなにAIって、まだまだ完璧なものではないのです。残念ながら来年には、来年のAIが現在のAIに7割勝つと思うんですよ。ですので、今もまだまだ成長過程です。そのまだまだ間違いが多いAIが言ってるだけなんだから『冒涜』っていうのはむしろ裏返しで、AIに対する信望が入っているのではないかと思います」

――なるほどなるほど。

杉村「私としては、AIもまだまだ間違いがあるよ、と言いたいです。そして棋士が指す一方でAIはすぐには発見できず、100億手読んだら初めて発見できるような手もあると思うんです」

――おお、そんな手が・・・。あるんですか?

杉村「おそらく探していけばあると思うんです。特に一番難しいやつだと羽生-千田戦(▲羽生善治九段-△千田翔太七段戦、2019年王位戦リーグ)というのがあるんですけど。羽生先生が終盤に▲2八金と寄った手は、50億手ぐらい読んで初めて最善になるんです」

――ひえええええ。終盤の一分将棋、時間が切迫してる中で。それはあれですね。「羽生九段はコンピュータが50億手読んで初めて最善と判断できた手を1分未満で指した」ということになるんですね。

杉村「そうなんです。あれはもう超名局だと思うんです。▲2八金が最善というのは千田先生もわかってたと思うんです。あれはめちゃくちゃすごい。それを考えると、それ以上にいい手も埋もれていると思うんです。それで、新しいAIだったら発見できるけれど、今のAIなら発見できないという手もおそらく埋もれていると思うので。AIが浅い読みだったら間違っているけれど、深い読みだったら読めるっていう手を現在調査中です」

――そうした調査が効率的にできるようになれば「昔の人はこれだけ素晴らしい手を指してたんだ」という再発見にもつながりそうですね。

杉村「そうなんです! それをいまは一日100件ぐらいできるので、進めているところです」

――△7七同飛成は升田幸三賞を受賞しました。なるほど、あれは升田幸三九段の全盛期もかくやという、緻密な読みに裏付けられた、豪快な寄せの決め手です。一方で△3一銀は大山流という感じがします。大山康晴15世名人の全盛期は地味な手を積み重ねていって、いつの間にか差がついて勝っているような勝局が多く、どのあたりがすごいのか、同時代の強豪であっても推し測れないところがあったように見受けられます。△3一銀は大山流の地味ながら非凡な受けの系譜なのではないかな、と感じました。だからそうした大山流の一見地味な手の中に、もしかしたらコンピュータを超えるような一手が見つかるかもしれないわけですね」

杉村「そうそう。だから昔の棋士や、江戸時代の棋譜なども検証したいと思っています」

――「宗歩は相手の実力を写す鏡であった」というのは内藤國雄九段の名言です。幕末の棋聖、天野宗歩(1816-1859)の棋譜は奨励会初段ぐらいの人の目には初段ぐらいに見える。一方で「名人の上」升田幸三の目には宗歩は「十一段の力がある」と見えた。同じように、現代のソフトが宗歩の一手の隠された意図などを発見できたりすれば、偉大な先人の顕彰にもつながりそうです。ありがとうございました。

 
松本博文
将棋ライター
フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『あなたに指さる将棋の言葉』(セブン&アイ出版)など。


50代男性死亡 妻が「息子が刺した」と通報…30代息子はその後駅ホームから飛び込み列車にはねられ死亡か 7/6(月) 11:45配信

2020年07月06日 17時27分40秒 | 事件・事故

愛知県豊明市で6日朝、50代の男性が刃物で刺され死亡しているのが見つかりました。その後、近くの駅で列車に人がはねられ死亡する事故があり、警察は30代の息子が父親を殺害後自殺を図ったとみて捜査しています。  

6日午前8時半ごろ、豊明市三崎町の住宅で「息子が夫を包丁で刺した」と女性から警察に通報がありました。  

警察などによりますと50代の男性が血を流して倒れていて、その場で死亡が確認されました。  一方、その後、午前9時前近くの名鉄名古屋本線・前後駅でホームから飛び降りた人が列車にはねられ死亡する事故がありました。  

所持品などから住宅で死亡していた男性の30代の息子とみられるということです。警察は30代の息子が住宅で父親を殺害後自殺を図ったとみて捜査しています。

東海テレビ

 

【関連記事】


好奇心はこどもの人生を変える

2020年07月06日 17時24分21秒 | 社会・文化・政治・経済

cs.sonylife.


「才能を伸ばしたい」と、子どもに習い事をさせる親は多いもの。


習い事を通して、何かに夢中になった子どもは、好奇心旺盛な人に育つといわれています。好奇心は脳を活性化させ、何歳になっても脳を成長させることがわかっています。

脳と知的好奇心との関係を脳医学の視点からひもとき、子どもの脳を育てる習い事、大人の脳を活性化する習い事・趣味を紹介します。

瀧 靖之(たき・やすゆき)先生
東北大学加齢医学研究所教授
東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター副センター長

1970年生まれ。東北大学大学院医学系研究科博士課程修了。東北大学加齢医学研究所および東北メディカル・メガバンク機構で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍。読影や解析をした脳のMRIは、これまでにのべ約16万人に上る。著書に『「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)、『「好きなこと」で、脳はよみがえる』(大和書房)、『生涯健康脳』(ソレイユ出版)など多数。
習い事には始める適期がある

「習い事を始めるのは早いほどいい」「あれもこれも習わせたい」と、つい熱心になってしまうのも親心ゆえ。しかし、脳科学の視点で見ると「できるだけ早く」「できるだけ多く」と意気込む必要はないといいます。
なぜなら脳の機能は、領域ごとに発達のピークが異なるからです。
例えば、音楽や運動の能力の発達は3〜5歳、語学の能力は8〜10歳がピークといわれています。この脳の発達に沿って、最も適した習い事を始めれば、より効率よく能力を伸ばすことができます。
脳は「後ろから前」に向かって発達する

脳の発達は、後ろから前に向かって起こります。生後すぐに発達するのが「後頭葉」で、ここはものを見る機能を司ります。同時期に音を聞く能力に関わる「側頭葉」も発達し始め、言葉を理解し始めます。
次に発達するのが「頭頂葉」。手触りなどの感覚と、運動機能を司る領域です。最後に発達するのが「前頭葉」です。思考や判断、コミュニケーションなど「高次認知機能」に関わる領域です。
能力によって「伸びやすい時期」は違う

スキンシップ
生後すぐに発達するのは、視覚や聴覚、嗅覚、触覚といった五感の領域。この時期は親子の触れ合いが大切になります。赤ちゃんをぎゅっと抱きしめるなど、触れ合いを通じて愛着形成がされると、精神的に安定した子どもに育ちます。
読み聞かせ
この時期には絵本などの「読み聞かせ」で日本語をどんどん聞かせましょう。生後6カ月くらいから、話せなくても言葉の理解ができるようになります。日本語の文法も無意識に覚えていきます。子どもは親の声を聞くと安心するので、寝る前の読み聞かせは特におすすめです。
楽器、運動
運動脳の最も発達する時期。スポーツはもちろん、この時期に楽器を始めると器用さが身に付き、音感も養われます。細かい音の聞き取りと言語の聞き取りは、脳の同じ領域(言語野)で行われるので、この時期にピアノやバイオリンなどの楽器を習った子どもは、その後、英語のリスニングが得意になるという傾向もあります。
語学
語学の能力が総合的に伸びます。外国語も効率よく習得できる時期なので、英会話を始めるならこの時期がおすすめです。乳幼児期の英語教育に対する関心も高まっていますが、日本語の土台がつくられてから英語を習うほうが効率よく、深い読解力も身に付くといわれています。
コミュニケーション能力
小学校高学年から中学生にかけて、コミュニケーションを司る領域が発達。スポーツならチームプレー、音楽なら吹奏楽団など、同世代だけではなく、大人や年下も含めて仲間と活動する機会を増やしましょう。企業の採用ではコミュニケーション力や協調性を重視するというデータがあり、将来の就職にもメリットがあります。
脳の発達って?

生後すぐの赤ちゃんの脳内では、脳細胞同士がどんどんネットワークをつくり、情報伝達を行っています。道路に例えると、下のような仕組みで形成されます。
とにかくたくさん道路をつくる(どんな環境でも生きていけるように)
実際に使ってみる
その結果、よく使う道路は高速道路のように太くし、あまり使わない道路は壊す
(維持するのにエネルギーが必要なので、取捨選択して効率よく使う)
小さな子が何にでも興味を示すのは、脳内で盛んに道路がつくられているから。成長とともに、興味を持ったことに関する道は太くなり、興味がないものに関する道は減っていきます。ですから、どんどん道路がつくられている5歳くらいまでに、いろいろなことに触れさせることが大切です。
適した時期を逃しても慌てない!

前述した能力が伸びやすい時期を過ぎてしまったという親御さんもいらっしゃると思いますが、ご心配なく!英語でも音楽でも、ベストな時期を逃しても必ず習得することは可能です。
なぜなら脳には「可塑性(かそせい)」があり、何歳になっても変化する力を持っているからです。つまり、習い事は何歳から始めてもいいのです。ただし、可塑性は加齢とともに低下していくため、伸びやすい時期と比較すると、あるレベルに達するためにより多くの努力が必要になります。
もし1〜2歳の子どもがいるのであれば、脳の発達に沿った習い事を試すチャンス。適期にスタートすれば、「より」効率よく伸びる可能性大です。
三日坊主でもOK! 経験が財産になる

習い事を始めたのにすぐにやめてしまった、という話はよく聞くもの。親自身にも「身に付かなかった習い事」の記憶があるのではないでしょうか。
実は、脳科学から見ると、それでもいいのです。たとえ1年でピアノのレッスンをやめても、ピアノに触った経験は残ります。「0」と「1」の差は大きいもの。成長する過程で、楽譜が読めること、音感がいいこと、曲を知っていることなどが役に立つ場面もあるでしょう。さらに大人になって、「またピアノを弾きたい」「絵を描きたい」「バレエをやりたい」などと思ったとき、過去の経験が背中を押してくれます。
子どもをよく観察して、興味を示したものは体験させてあげましょう。「これをしなさい」と強要したり、イヤイヤ続けさせたりするのは逆効果です。
好奇心を育てる最強アイテムは「図鑑」

「高校、大学で伸びた子どもは、幼い頃から図鑑を見ていた」と瀧先生は分析しています。特に3〜4歳くらいまでに図鑑に触れると効果大。植物や動物、乗り物、星空、恐竜など子どもが興味を示すものをどんどん見せてください。
視覚や言語などの発達時期とも重なり、「これは何だろう」「何が書いてあるのかな」と好奇心が膨らみます。脳の発達にとって、知的好奇心こそが最高の栄養だといいます。
大切なのは、親も一緒に図鑑を楽しむこと。子どもの「これは何?」などの質問に答えることも大切です。さらに、野山や博物館に出かけ「実物」にも触れさせましょう。図鑑+リアル体験によって、子どもの脳は幅広く刺激されます。図鑑で知ることは、学校の授業の先取りにもなります。
何かに熱中する子どもは伸びる

何かに夢中になると、子どもは「もっと知りたい」と考えるようになります。
例えば、図鑑を見て恐竜に興味を持ったら、ジュラ紀・白亜紀などの時代変遷、地層や地理、さらにほ乳類、鳥類、植物……と、次々に興味を広げていきます。そして、「これを調べたい」「実物を見たい」と好奇心も旺盛になり、本で調べたり、博物館に行ったりと、行動範囲を広げていきます。
音楽やスポーツでも同じこと。将来への夢も膨らみ、コンサートやスポーツ観戦に出かけるように。熱中体験を通じて、子どもは努力の仕方や習得のコツを自然に学びます。これこそが勉強です。親が口うるさく言わなくても、学校の勉強・受験勉強はもちろん、将来の仕事にも役立つスキルを身に付けていきます。
子どもの習い事は、大人の脳にもいい!

習い事を始めても、「練習しなさい」と尻を叩くだけでは、子どもの好奇心はそこで止まってしまいます。重要なのは、親も一緒に楽しんで、その姿を子どもに見せることです。一緒に楽器や英語のレッスンを受ける、ハイキングに出かける、など何でもOKです。
親子一緒の習い事や趣味は、親の脳にも大きなメリットがあります。好奇心がかきたてられると、脳の老化スピードが抑えられると同時に、脳は成長し続けることができるのです。
脳の活性化には好奇心が効く!

加齢とともに、脳内では少しずつ神経細胞が脱落していき、脳の体積が萎縮していきます。それに伴い、「名前が出てこない」「判断ミスが増えた」など、認知機能も低下していきます。
これは自然な老化で、病気によって引き起こされる認知症とは違うものです。健康な人でも、加齢による脳の萎縮は避けることはできず、20代後半から認知機能は落ち始めているといわれます。高齢になると、脳は子どもの脳の発達とは逆のルートで萎縮し始めます。一番早く萎縮が始まるのが「前頭前野」。思考や判断、コミュニケーションといった高次認知機能に支障が出てきます。趣味や習い事には、こうしたことを抑える効果があります。「リタイアしてから」などと悠長に構えず、今すぐに始めてみましょう。
また、仕事一辺倒の生活は脳の海馬(記憶を司る領域)や扁桃体(感情を司る領域)に悪影響を与え、記憶力や気力を低下させます。だからこそ、好きなことをして「楽しい」と感じる時間は大切。楽しい気持ちで脳はリラックスします。仕事や人間関係からくるストレスを解消するためにも、趣味や習い事はおすすめです。

 趣味や習い事に夢中になると、好奇心がかきたてられます。「楽しい」と感じると、脳は神経伝達物質のドーパミンを分泌。
ドーパミンには記憶力を高めたり、やる気を出させたりする働きがあり、高次認知機能が活性化されることがわかっています。
 1日30分ほどの軽い有酸素運動をすると、海馬の萎縮が食い止められ、認知機能が向上することがわかっています。ウォーキングや水泳、ダンスなどの運動系の習い事は脳の健康維持に効果的です。山登りやハイキング、歴史スポットを巡る旅などの趣味もおすすめです。
 一人で没頭する趣味や習い事も楽しいですが、仲間と交流すれば、もっと世界が広がります。スポーツ、ツーリング、バンド演奏、ガーデニング、カメラ、鉄道……と、趣味仲間によるイベントやオフ会は盛んに行われています。趣味を介して知り合った相手とは、職業や肩書、学歴、年齢性別などを問わず、フランクな付き合いができ、知らず知らずに会話も盛り上がります。コミュニケーションは脳をフル回転させる行為です。言葉や表情から相手を理解したり、お互いに共感したりすることで、高次認知機能も高まります。
自分に合った趣味・習い事の見つけ方

すでに趣味がある人は、そのまま続けましょう。「自分には趣味がない」「何を習えばいいかわからない」という人は、次のようなことがきっかけになります。
憧れていたことをやる
「ギターを弾きたかった」「絵を描きたかった」など、子どもの頃に憧れていたことを始めましょう。懐かしい風景やモノもきっかけとなります。「そういえば、おじいちゃんと一緒に畑仕事をしたな、懐かしいな」と思ったら、家庭菜園を始めてみるのもいいでしょう。
昔の習い事に再チャレンジ
「モノにならなかった英会話」「1週間で飽きたお習字」……。誰にでも挫折した経験はあるのでは。長いブランクがあっても、一度でも触れたことがあれば、意外と体が覚えているものです。まったく新しい趣味・習い事に挑戦するより、ハードルは低いといえます。
友だちや家族をまねる
例えば「写真を撮りたい」と思っても、カメラの機種や操作がわからない。そういう場合は、カメラを趣味にしている人を見つけて教えてもらいましょう。山登りが趣味の友だちに連れていってもらう、家庭菜園が趣味の家族を手伝うなど、とりあえず"人まね"から入るという手もあります。
旅行
やりたいことが見つからない人には、旅行がおすすめ。誰かと一緒でも一人でもOK。わざわざ遠くに行かなくても、沿線一人旅でも発見はたくさんあります。旅行は準備から実際の旅先、帰宅後まで、やることが盛りだくさん。好奇心が刺激され、体を動かし、人との交流も生まれるなど、脳にいいことずくめです。
料理
食べることや飲むことが好きな人は、料理に挑戦してはいかがでしょう。メニューを考えて材料を選ぶ、手先を使う、食卓を囲む……と、料理は脳の活性化にもってこい。料理は同時に複数の作業を行う必要があるので、さまざまな脳の機能が鍛えられます。
続けるコツは楽しむこと

脳は楽しんでいるときに最も活性化されます。「脳にいいから」と修業のように取り組んだり、苦手なことをイヤイヤやったりすると、かえって脳にストレスを与えてしまいます。例えばランニングなら、雨の日は休んでもいいし、気分がのらなければ別の日にするなど、無理せず行いましょう。
子どもと同じで、「やっぱり合わなかった」と三日坊主で終わってもかまいません。一歩踏み出したことはまぎれもない事実で、「やってみた」という経験は残ります。それに趣味・習い事は世の中に無限にあります。一つがダメならほかのものを試してみるうちに、必ず「これだ」というものが見つかるはずです。
<取材・文>奈良 貴子

 


覚醒剤、大麻、MDMA…違法薬物、それぞれの恐ろしさを確認する 

2020年07月06日 16時13分23秒 | 事件・事故

2020.2.11  産経


合成麻薬「MDMA」を所持したとして起訴された女優の沢尻エリカ被告(33)の初公判が1月31日に、東京地裁で開かれ、即日結審した。

沢尻被告は、合成麻薬「LSD」や大麻(マリフアナ)、コカインも使用していたとの趣旨の供述をしていたという。違法薬物は種類も危険もさまざまで、軽い気持ちで手を出した若者が“破滅”にいたるケースも少なくない。間違っても手を出さないように、それぞれの恐ろしさを確認しておきたい。
新聞やテレビなどでよく聞かれるのが覚醒剤。

主原料は、漢方にも使われる植物「麻黄(まおう)」から抽出される「エフェドリン」だ。強い興奮作用があり使用すれば高揚感が得られる一方、その後、脱力感や疲労感に襲われる。繰り返し使うと依存症になり、幻覚・妄想状態に陥る。

 摘発も多い。捜査当局による押収量は平成28年から3年連続で1トンを超え、30年は約1.2トン。検挙人数は違法薬物事案全体(1万4755人)の68%を占める1万30人に上る。


 使用の“入り口”

 近年、特に若者の間の広がり、検挙が増えているのが大麻だ。20代の検挙人数は30年に初めて覚醒剤を上回った。全体でも5年連続増加し、過去最多の3762人となった。「身体への悪影響がない」「依存性がない」などの誤った情報が流布されていて、心理的にハードルが低いせいか、さまざまな違法薬物使用の“入り口”となる「ゲートウェイ・ドラッグ」とも呼ばれるが、実際は危険性が高い。乱用すれば幻覚作用で集中力がなくなったり、情緒が不安定になったりする。何もやる気がしない状態(無動機症候群)が引き起こされ、社会生活に適応できなくなることもあるという。

 沢尻被告が所持していたとされるMDMAも「ゲートウェイ・ドラッグ」の一つだ。カラフルな錠剤型で、ラムネ菓子のような見た目から、抵抗感が薄いともいわれるが、覚醒剤と似た化学構造を持つ。別名「エクスタシー」と呼ばれ、精神錯乱や記憶障害を引き起こす。

 LSDは純粋な形態では透明な結晶だが、液体として製造することも可能。錠剤などのほか、チューインガムや菓子などに垂らして使われることもある。よく知られる違法薬物では最も強力とされる。高揚感や不眠状態が続き、幻覚症状によりビルから飛び降りたり、電車に飛び込んだケースも報告されている。

 コカの木の葉を原料とする「コカイン」、ケシから作られる「ヘロイン」も強力で危険だ。コカインが神経を興奮させる作用があるのに対し、鎮静・鎮痛効果もあるヘロインは、禁断症状として全身の痛みや悪寒、失神が生じるという。
社会からの孤立

 厳しく規制されるのは、薬物そのものの作用のほかにも理由がある。関西学院大の佐藤哲彦教授(社会学・薬物政策研究)は「暴力団など反社会的勢力の資金源となっていること。もう一つは、薬物を所持・使用した人が社会から孤立し、キャリアを失うなどの損害を被ることだ」と指摘する。
海外では一部薬物について個人的な所持に刑罰を科さない「非刑罰化」や、所持を法律で禁止しない「合法化」の潮流も一部であるが、だからといって安全なわけではない。むしろ薬物が蔓延(まんえん)してしまった結果、やむなく「非刑罰化」「合法化」したという面がある。
いわゆる違法薬物を1回でも経験した「生涯経験率」は日本が覚醒剤0.5%、大麻1.4%、MDMA0.2%なのに対し、米国(覚醒剤4.9%、大麻44.2%、MDMA6.6%)、カナダ(4.8%、41.5%、4.4%)、フランス(2.2%、40.9%、4.2%)と、欧米は軒並み高い。佐藤教授は「西洋諸国では若者の薬物使用を厳しく取り締まった結果、彼らのキャリアを摘み、社会的にも損失だと考える風潮が起こった。日本では、薬物を持ち込ませない水際作戦や厳罰化が浸透している」と指摘。海外の傾向は、薬物を完全に断つことがいかに困難であるかを示している。

---------------------------------------------------------------

無動機症候群

知っておきたい薬物の乱用・依存に関する基礎知識

大麻が心身に及ぼす影響

1)大麻の主成分THCによる動物実験でみられる行動変化

 大麻の動物実験に関する図表は、福岡大学名誉教授の藤原道弘先生から提供されたものです。
 大麻の主成分であるTHCをラットの腹腔内に注射する動物実験で見られた行動変化を見てまいりましょう。
 集団飼育されているラットではほとんど見られないのですが、特に単独飼育条件のラットにTHCを注射しますと、全例が激しい攻撃性を発現します。
割り箸に噛みついたり、マウスを入れるとムリサイドといってマウスを噛み殺し、跡形残らず食べてしまうそうです。ヒトにおける大麻精神病でも、非常に攻撃性が強くなります。
 一方、集団飼育されたラットにTHCを注射すると、ラット同士が体を寄せ合い静かにしております。
また外から刺激を与えるまでは、不自然な姿勢をいつまでも取り続けることもみられます。これらは大麻乱用者にしばしば認められる、何かやろうとする意欲をそがれた「無動機症候群」のモデルと見なされます。
 次に、プラスチック製の8方向の放射状迷路の装置の各コーナーに餌を置いてラットを訓練しますと、比較的短期間に上左側の軌跡のごとく、非常に効率よく餌をとるように空間認知が完成します。
この状態で、大麻主成分のTHCを注射しますと、学習したはずの空間認知が乱されて、何度も同じところに行ったり来たりする失敗をして、全部の餌を食べきるのに、上右側の軌跡のように非常に時間が掛かります。
これは大麻を乱用する学生にみられる「学習障害」のモデルと考えられております。
大麻のヒトに対する影響

急性効果
 大麻が心身に及ぼす影響は、「急性効果」と「慢性効果」に分けられます。

大麻を吸って現われる急性効果のうち、身体に及ぼす作用はまちまちですが、心拍数の増加、結膜の充血、食欲の亢進などは共通して見られる症状です。
 一方、精神に及ぼす影響ですが、大麻は幻覚剤の一つで、使用すると<トリップ(trip)>といって、感覚・知覚・気分・思考・自我体験などの上で、日常の自分とは異なった主観的体験をするのです。大麻使用時の<セット(set:使用者の心構え、疲労など身体内状況)>と<セッティング(setting:使用を取り巻く環境的状況)>によって大麻の作用は大きく違います。
普段の使い慣れた状況においては、陶酔的な快感を伴うgood tripを経験していても、例えばその場に見慣れないヒトがいて心配したりしていると、bad tripといって、急激に錯覚・幻覚、不安感・恐怖感を伴う妄想が発現して、異常な興奮・錯乱状態を呈する強い反応が治まらないで、「急性精神病」として、緊急に警察に保護されたり、友人に伴われて精神科病院に受診したりするのです。
慢性効果
大麻吸煙のヒト精子に及ぼす影響
 大麻による<慢性の身体障害>としては、煙の刺激による慢性の喉頭炎・気管支炎、精子の減少、月経異常のほか、白血球減少に伴う免疫力の低下などが報告されています。
また、男性の大麻乱用者の場合、精子の構造やその運動性に明確な異常がみられたり、男性ホルモンであるテストステロン含有の低下をみとめることがあります。
 一方、<慢性の精神障害>としては幻視、幻聴や妄想など精神病症状が大麻を使用していない時にも持続して見られる「大麻精神病」が重要です。
海外留学中にかなり濃厚に使用した場合には、学業から落ちこぼれて、ほとんど普通の会話も成り立たないような病的状態で帰国する例も見られます。
このような場合には、治療によって幻覚や妄想が治まっても、その後に感情の平板化、関心・自発性の減退、思考内容の貧困化などの<無動機症候群(amotivational syndrome)>を長期にわたって呈する「人格変化」が特徴的です。
 大麻を乱用した患者が治療によって幻覚妄想が治まった時点で書かされた反省文です。
高校とデザイン学校を卒業しているのに、漢字が全くみられないです。また簡単な文章しか書けず、「知的障害」を引き起こしているのがよく分かります。
今は亡き徳井達司先生のお話では、ある乱用者の親によると、「本当にあれっと思うくらい幼稚で、漢字で全然書かない。
仮名ばかり書いてある。まるで小学校1年か2年みたいだ」とか、「複雑な話をしても、込み入ると全然理解できないようだ」という訴えがあったそうです。
この症例は親が訴えた例ではないのですが、大分時間が経ってくると、漢字が増えてきたそうです。

 



 


B-CAS不正 国交省技官ら逮捕 7/6(月) 13:51

2020年07月06日 16時09分46秒 | 事件・事故

テレビの有料放送を無料で視聴できるよう「B-CASカード」を改ざんするプログラムを友人に譲り渡したなどとして、国土交通省の技官の男らが警視庁に逮捕されました。

 「国交省の技官の男が警視庁の捜査員に連行されていきます」(記者)  

6日朝、不正競争防止法違反などの疑いで逮捕されたのは、東京・足立区に住む国土交通省航空局の技官・常安亮裕容疑者(40)で、友人の46歳の男も逮捕されました。

 常安容疑者はおととし、契約していない有料番組の視聴が可能になるようにB-CASカードを改ざんするプログラムを別の友人に譲り渡した疑いなどがもたれています。常安容疑者の自宅のレコーダーには、不正なカードを使って録画したサッカーの有料番組が残っていました。  

常安容疑者は容疑を認めたうえで、「他の人にもプログラムを渡した」と供述しているということです。(06日11:30)

 

「ヤクザの女に手を出したら…」ホントはどうなる?【暴力団幹部が解説】

2020年07月06日 15時57分04秒 | 事件・事故

配信

「オイこらっ!」ヤクザ100人が街中で殴る蹴る【新宿スカウト狩り】発端は美人女性をめぐる”掟破り”《警視庁は捜査本部設置》 から続く

【画像】女性トラブルで山口組系幹部の男が銃殺事件を起こした事件現場  

新宿・歌舞伎町で働く女性をスカウトする男性たちが、暴力団関係者に襲われる「スカウト狩り」が問題になっている。  

その背景には、暴力団業界の「女はカネになる」という認識がある。ヤクザと女をめぐっては、スカウト業だけでなく、恐喝、売春、美人局など話題は尽きない。

実際に起きた「ヤクザと女」の事件

「オレの女に…」秋葉原ではメイドカフェ店長が恐喝未遂事件の被害者に(写真はイメージ) ©iStock.com

 交際相手の秋葉原のメイドカフェに勤める女性店員をめぐって、同店の男性オーナー(29)から現金200万円を脅し取ろうとした指定暴力団稲川会系幹部の男(44)が6月上旬、警視庁に恐喝未遂の疑いで逮捕された。

 組幹部の男は2019年11月、この女性店員をめぐってオーナーとトラブルになっており、「ヤクザの女に手を出したら分かっているのだろうな」とのセリフで脅していたという。

 コワモテの男が突然現れて、「オレの女に手を出したな」と脅し、多額の金品を要求される――これが、世間一般の想像する典型的な「ヤクザと女」をめぐるトラブルだろう。  

近年では、出会い系サイトで知り合った女性と交際を始めようとすると、暴力団関係者とみられる男が現れるという“美人局”の事件も多いという。

 しかし、ある指定暴力団の幹部が打ち明ける。 「美人局のような事件は、最近は身近でほとんど聞かなくなった。そもそも、引っかかった男の前に姿を晒さなければならないから危険は多い。ハイリスクだ。今では、こんなことをやっているヤツはほとんどいないのではないか。オレオレ詐欺のほうがはるかに安全にカネを取れる。ローリスク、ハイリターンだ」  

さらに、ヤクザのシノギ(資金源)をめぐる大きな変化を口にした。

「美人局にしても、別のシノギにしてもヤクザの“恐ろしさ”を見せつけることになる。これは今となっては利口ではない。はるかに前からヤクザは『脅し』ではなく、『だまし』で稼ぐようになった」(同前)

 この言葉を裏付ける警察庁の統計データがある。暴力団関係者による恐喝事件の摘発人数は、2015年までは年1000人以上で推移していたが、2016年以降は減少の一途をたどり、2019年には約600人となった。一方、特殊詐欺については、2015年には826人にまで増加。2019年は527人となったが高止まりしている。  

警察庁は暴力団の資金について、「覚醒剤」「賭博」「ノミ行為」、そして「恐喝」の4種類を「伝統的資金獲得犯罪」と位置付けているが、将来的には特殊詐欺も常習的な資金獲得犯罪として検討の必要性がありそうだ。

 

【関連記事】

最終更新:

河井克行・案里夫妻に1億5000万円を渡した安倍は「共犯」だ【サンデー毎日】

2020年07月06日 15時57分04秒 | 事件・事故

配信

第一次安倍政権の顔ぶれ。2列目左から3人目が河井克行氏(当時副法相)=首相官邸で2007年8月29日午後0時49分、藤井太郎撮影

通常国会閉会の翌日、現職国会議員夫妻が公職選挙法違反容疑で逮捕された。 2019年の参院選をめぐり、94人に現金約2570万円を配った大規模な買収容疑だ。 夫妻の足跡とともに、新人候補に破格の1億5000万円が提供された舞台裏とその責任を問う。

 ◇自民党広島県連と党本部が激突!

広島でいったい何が起こったのか?

参院・広島選挙区は、定数4。 3年ごとに半数が改選されるため改選議席は2議席で、過去の参院選の多くは与野党で1議席ずつを分け合ってきた。 その〝慣習〞を打ち破ろうと自民党が2人の公認候補を擁立したのが、昨夏の参院選だ。

当選5回の現職、溝手顕正元防災担当相とともに、新人で立候補したのが前広島県議の河井案里容疑者(46)=自民党を離党、広島選挙区=だった。

夫は、前法相の河井克行容疑者(57)=同、衆院広島3区=である。 自民党広島県連は、「2人候補者を出しても当選する保証は全くない」と猛反発したが、党本部は県連の反対を押し切る形で2人を公認した。

結果は、新人・案里氏が当選し、ベテラン・溝手氏が落選。 2019年の参院選は、自民・公明の与党が改選議席の過半数を上回る71議席を獲得し、勝利を収めた。その後、9月に行われた内閣改造人事では克行氏が法相で初入閣を果たした。 熟年カップル議員の前途は洋々のように見えたのもつかの間、翌10月、案里氏陣営が、車上運動員に1万5000円が上限と規定されている日当について、倍の3万円を支払っていたことが報じられると、克行氏は法相を辞任。

車上運動員の違法日当は、案里氏の公設第2秘書が公選法違反(運動員買収)に問われ、6月16日に広島地裁で懲役1年6月、執行猶予5年の判決を言い渡された。 判決が確定すれば、連座制が適用され、案里氏は失職する。

 ◇選挙に弱く、菅・安倍氏との個人的な関係に頼っていた河井克行氏

今回、夫妻が逮捕されたのは、車上運動員の違法日当どころではない、巨額の買収容疑だ。

 

【関連記事】


コロナ危機、際立つ官邸主導 制御不能に焦り、増幅する不信感 緊急事態3カ月

2020年07月06日 15時10分55秒 | 社会・文化・政治・経済

配信

政府専門家会議の在り方について記者会見する脇田隆字座長(国立感染症研究所長)=6月24日、東京都千代田区

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府が史上初の緊急事態宣言を発令してから7日で3カ月を迎える。

【図解】新型コロナ都道府県別感染者数・死者数  

この間、コントロールの効かない危機に焦りを募らせた首相官邸は、しばしば感染症専門家の異論を押し切って対策を主導してきた。宣言解除下で感染拡大の兆候が再び見え始める中、関係者の間では不信感が増幅しつつある。  

◇「これで当確」  

「これで当確ですね」。宣言解除目前の5月22日夕、官邸で開かれた連絡会議。この日の東京都の感染者は3人との情報が飛び込んでくると、加藤勝信厚生労働相はこうつぶやいた。

安倍晋三首相は「まだ隣の票田が空いてないよ」と近隣県の情報を待つようたしなめたが、選挙に絡めて冗談で応じた横顔には経済活動を再開できることへの安堵(あんど)感が漂った。

 国内初の感染者が1月中旬に確認されて以降、首相に突き付けられてきたのは感染拡大防止と経済活動維持という相反する二つの命題だ。ウイルス対策を最重視する感染症専門家は都市封鎖にすら言及。

一方、経済への打撃を回避したい首相周辺は強力な措置に一貫して消極的だった。  

当初、首相が優先したのは感染拡大防止だった。周辺に反対論が残る中、4月7日に緊急宣言を発令。さらに同16日には対象地域を全国に広げた。

対象拡大には現金給付の方針を転換するための言い訳づくりの思惑も働いたとはいえ、底流にあったのは制御不能の感染爆発への恐怖心だ。

 しかし、経済的な打撃が浮き彫りになるにつれ、首相も経済重視に傾斜していった。  

◇曖昧な基準

 官邸と感染症専門家の意見対立が顕著になったのは5月以降。同1日の専門家会議の提言からは、「1年以上持続的対策が必要」との文言が官邸の意向を背景に削られた。同4日に月末までの宣言延長を決めてからは、宣言解除の数値基準づくりに向け、両者の間で激しい綱引きが繰り広げられた。

 専門家がまず提案したのは、感染を「直近1週間の10万人当たりの感染者0.5人以下」まで抑えることだった。欧米に比べると「桁違いに厳しい基準」(政府関係者)とされる。だが、西村康稔経済再生担当相が連絡会議でこの意見を紹介すると、今井尚哉首相秘書官は「東京で解除できなくなる」と猛反発した。  

最終的に官邸は「専門家には経済の視点が全くない」(首相周辺)と提案を却下。「10万人当たりの感染者が1人程度以下の場合は総合的に判断する」と0.5人基準を骨抜きにする文言を入れ込み、いかようにでも判断できるようにした。  

実際、神奈川県などの10万人当たりの感染者が0.5人を上回る中で同25日に宣言を全面解除できたのは、この文言があったからだった。  

◇「それが政治」

 宣言の全面解除を5月25日と決めたのも官邸だった。専門家会議は28日に感染状況を分析して可否を判断する想定で動いていたが、首相は21日に日程の前倒しを記者団に表明し、独断で「今の状況が継続すれば解除も可能」と言い切った。ともに感染症専門家への事前の相談はなかった。  

政府関係者は「完全に官邸主導。首相が経済を心配する声に抗し切れなくなった」と解説する。  

官邸の対応に専門家は不満を募らせる。感染第2波に備えて仕切り直しを図るため、専門家会議の脇田隆字座長らは6月24日に新たな専門家組織の在り方を提言。しかし、西村氏は脇田氏らに連絡しないまま、同じ時間帯に専門家会議の廃止を発表し、かえって不信感を増幅させた。  

専門家の一人は「提言だけが報じられれば政府に批判的に響いただろう。西村氏は提言内容を先取りし、印象を薄めたかったのだろう」と分析した上で、諦めるように語った。「それでもいい。それが政治だ」。専門家会議に代わる分科会の初会合は6日に開かれる。 

 

【関連記事】


【特集】「コロナうつ」自粛解除から日常へ戻る今が危険 "心の不調"相談件数も急増

2020年07月06日 15時10分55秒 | 医科・歯科・介護

2020年06月02日(火)放送

新型コロナウイルスの影響で心の不調を訴える人が増えています。『コロナうつ』とも呼ばれ、日常に戻りつつある今、増加する可能性があるといいます。少しでも早く気付いてもらおうと、専門医が作ったチェックテストの活用も広がっています。

「コロナうつ」自粛解除の今が危険 “心の不調”相談件数が急増

緊急事態宣言の解除が発表された5月21日の夜、大阪・ミナミのアメリカ村にある心療内科「アウルクリニック」には多くの患者が訪れていました。診察に訪れた40代の会社員の男性は、上司とのトラブルがきっかけでうつ病を発症し、今は休職しているといいます。院長の片上徹也さんが症状を聞いていきます。

(片上院長)「ご気分の方はどないですか?」
(男性患者)「ちょっと前回よりも若干、天気のいい日は散歩してみようかな、という気持ちにはなってきていますね。」

この男性の場合、外出自粛で症状は以前より落ち着いているようでした。しかし1人になった時、今後のことを考えると急に不安に襲われるといいます。

「(緊急事態宣言が)解除されて、景気の方がどうなのか。(会社の)業績が悪くなって、じゃあ固定費下げるためにリストラしようかとなった時に、必ず自分はこういう疾患(うつ病)を持っているし、(リストラの)候補には上がってくるんじゃないかと心配をしてしまうんです、どうしても。苦しいのは苦しいです。」(男性患者)

新型コロナウイルスの感染拡大につれ、心の不調で「うつ病」を発症する人たちが増えています。『コロナうつ』とも呼ばれます。

「大阪府こころの健康総合センター」によりますと、新型コロナウイルスに関連した心の不調についての相談件数は、3月は18件だったのに対し、4月は130件、5月には212件と急増しています。環境の変化や感染への不安が原因とみられますが、自粛生活が解除されると、今度は先ほどの男性のように症状が落ち着いていた人たちが危険だと、片上院長は言います。
1c.jpg
「一時的なストレスが無くなったところで、また(社会活動が)始まることで、どっと(うつ病患者が)増えるかもしれないですね。今まで感染症が一番問題で、どう防ぐかという話だったんですけど、精神不調の人が今度は社会問題として出てくると思っています。」(アウルクリニック 片上徹也院長)

在宅勤務から通常の出勤に戻った会社員の中には、急激な生活の変化に疲れの色を見せる人もいます。6月1日午前8時頃、大阪・淀屋橋で街の人に話を聞くと…

「起きる時間が変わるので、また通常のリズムに戻ると、朝起きるのがしんどい。」(男性)
「きょう(月曜日)の出社が先週木曜日くらいに決まったんですけど、それからずっと憂うつでした。」(女性)
「今までずっと家にいるのに慣れていたので、(会社に)行くのがおっくうになるというか、オフィスのあの環境に戻らなあかんのかというのがちょっとありますね。」(男性)

うつ病の早期発見に 約140問のチェックテスト

大阪市平野区の心療内科「伊藤クリニック」では、うつ病の早期発見につなげようと、医療機関向けのチェックテストを作成しました。院長に説明して頂きました。

「私が作りました『JIメンタルヘルスプログラム』の1つです。男性の場合は144問、女性の場合は148問あります。」(伊藤クリニック 伊藤英樹院長)

チェックテストは約40万人の患者データやWHOの診断基準などをベースにしています。インターネット上で設問に答えると、うつ病をはじめとした11の精神疾患に加えて、どの程度うつになりやすい性格か、その場で判定してくれるといいます。

質問は「小さな決断をするのでさえおっくうだ、できない事が多い。」「朝(午前中)の気分は夜の気分(夕方以降)より悪い。」といったものや、「体重減少がみられる」「何かしらすぐ涙が出てしまう」というように体の変化を問う質問もあります。質問には「いつも/しばしば/ときどき/ない」の4択や、「はい/いずれでもない/いいえ」の3択で答えていきます。

「基本的には電車に乗っていてもできますし、自分が集中しさえすれば、周りが気にならなければどこでもできます。トイレの中なんか最適かもしれませんね。」(伊藤英樹院長)

記者も体験してみました。

(記者)「集中していると、どんどん、ポンポンポンといけますね。」

質問に答えていきます。そして15分後…

(記者)「テスト終了を押すわけですね。お、早い!」

テスト終了ボタンを押すとすぐに結果が出ました。記者はうつ病をはじめとした精神疾患の可能性は認められないと分かったものの、うつ病のなりやすさを示す「うつ病的性格」が86%との結果が示されました。これは…

「『オレうつになりやすいんや』と思うかもしれないけど、うつ病になりやすい人はまじめで陽気で誠実なんですよ。それを表しているだけなんです。だから逆に言うとそういう性格だから気をつけてくださいよと。自分の気づきになりますよね。」(伊藤英樹院長)

「コロナうつ」など心に不調をきたす人はこれからも増えると想定されるため、伊藤院長は9月までこのチェックテストの無料公開を決めました。

「全ての人が心療内科・精神科外来に行くということは考えられないし、今のコロナの状況で行けるはずがないじゃないですか。そういう時に自分でセルフチェックで(チェックテストを)していただいたら、少しは世の中の役に立つのではないかと。」(伊藤英樹院長)

コロナと共存しながら歩みを進める「新たな日常」。感染対策とともに十分な心のケアが求められます。

(6月2日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)


キャシュレス 決済額8・5兆円 還元額約3530億円

2020年07月06日 15時10分55秒 | 野球

2020年06月29日 16時50分 

経済産業省が2019年10月に始めた「キャッシュレス・ポイント還元事業」が6月30日で終了する。
4月13日までに還元総額は3530億円を超えた。

キャッシュレスポイント還元事業は消費増税に伴う経済対策の一つ。クレジットカードやQRコード決済アプリ、電子マネーなどのキャッシュレス決済で、決済額の2%か5%相当のポイントを還元する。

 事業に参加した加盟店は全国で約115万店。5%還元を行った中小企業や小規模事業者が105万店、2%還元を行ったチェーン店が5.2万店、コンビニが5.5万店となった。

 4月13日までにポイント還元対象のキャッシュレス決済は約40億回行われ、合計で約8.5兆円が消費された。還元額は約3530億円に上る。
決済に使われたのはクレジットカードが約11.6億回で消費額は約5.4兆円、QRコード決済が約6.4億回で消費額は約6000億円、電子マネーなどが約22億回で消費額は約2.5兆円。1回当たりの決済額は1000円未満が61%と過半数を占めた。

 経済産業省が6月26日に開いたキャッシュレス検討会で、参加委員はポイント還元事業について「店舗と消費者によいインパクトを与えた好取組」「消費押し上げ効果などメリットを実感」など高く評価した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


日本にキャッシュレス決済は根付くか 「2025年40%」の高いハードル

2020年07月06日 15時04分03秒 | 社会・文化・政治・経済

毎日新聞2020年6月29日 21時16分

消費税率の引き上げに合わせて昨年10月に始まったキャッシュレス決済のポイント還元策が30日で終了する。対象となった中小事業者の6割弱が参加するなど、キャッシュレス決済の普及に一定の役割を果たした格好だ。しかし、制度を通して浮かび上がってきた課題は少なくない。異例の還元制度は日本の決済市場に何をもたらしたのか。【古屋敷尚子】

 東京都新宿区の商店街にある小さな書店。早稲田大学2年の男子学生(20)がレジでQRコード決済の「ペイペイ」を利用していた。

以前は現金か交通系電子マネー「パスモ」しか使っていなかったが、昨年から複数のQRコード決済の利用を開始。政府がポイント還元制度を始めて以降は、制度に参加した店での買い物を優先してきた。「少しでも節約したいし現金より支払いが短時間で終わる。クレジットカードは持っておらずパスモより使える店も多いので便利」と話す。
経済産業省によると、還元制度には全国の中小店舗約115万店が参加し、当初想定の50万店を大幅に上回った。


「キャッシュレス・ポイント還元事業」の本当の役割

2020年07月06日 14時37分32秒 | 社会・文化・政治・経済

鈴木 淳也/Junya Suzuki

2019年10月4日 watch.impress.

経済産業省らが主導する「キャッシュレス・ポイント還元事業」がスタートした。同事業に登録した小売店などにおいて、利用者が同事業に対応した“キャッシュレス”な決済手段を用いて支払いを行なった際に、2%または5%の還元が受けられるというものだ。
キャッシュレスな決済手段としては、クレジットカードやデビットカード、電子マネーからスマートフォンを使ったQRコード(バーコード)決済アプリが対応する。
9カ月限定という条件ながら、決済サービスを提供する各事業者は単純な政府側からのポイント還元だけでなく、各社独自のキャンペーンを組み合わせてさらなるサービスの利用を促しており、業界全体で盛り上げていこうとしている。

今回の事業は当初のコンセプトから実施に至るまでの過程、そしてスタート前後の状況まで含め、功罪さまざまなものが折り重なっていると筆者は考えているが、「国としてキャッシュレスを推進する」という方針を示し、具体的なアクションまで踏み込んだ点では評価している。

その効果は後ほどゆっくり検証していくが、今回の「キャッシュレス・ポイント還元事業」に最も期待する部分であり、かつ実際に成功させなければいけない重要なポイントに少し触れたい。

最大のポイントは「認知向上」
「キャッシュレス・ポイント還元事業」そのものを成功させるうえで経済産業省らが重視しているのは、まず「この仕組みそのものを広く利用してもらう」ことにある。

そのため、9月後半から告知ポスターを広く掲示したり、TV CMも積極的に展開するなど、10月1日の開始日に合わせる形でアピール活動を続けている。

街を歩けば、還元事業に対応した店舗が入り口にポスターやステッカーを掲示して還元をアピールしているわけで、否が応でも目に付くことを目指している。


還元事業を上手くまわすには店舗誘導が大事。TV CMを含め、街中へのポスター掲示や地図アプリでアピール
このほか、対応店舗が検索できるモバイルアプリをAndroidとiOS向けに提供したり、地図上で店舗の絞り込み検索も可能な、主にPCを対象としたWeb版アプリケーションも用意している。ただ、モバイルアプリについては急造感が否めなく、そもそも検索機能や絞り込み機能がないうえ、周辺地図に対応店舗をプロットするだけのシンプルな仕組みだ。Web版も含め、対応店舗一覧はデータに誤りがあることも指摘されており、あくまで補助的なものと考えた方がいいかもしれない。


AndroidやiOS向けに提供されているアプリ。周辺店舗を探すことは可能だが、検索やフィルタ機能がないため繁華街では使いにくい

PC向けのWebアプリケーション版では検索機能がある。じっくり今日のランチやディナーの場所を探すにはこちらだろう
正直、モバイルアプリについてはオマケ程度と筆者も考えており、本当に重要なのはアナログな手法であれ街でポスターや決済風景に何度も遭遇することで「認知」が広がることにあると思う。

これまでキャッシュレスに触れたことがない、あるいは興味がなかった人の目にも否が応でも「キャッシュレス・ポイント還元事業」のロゴが映り、街ではこれを機会に何らかのキャッシュレス決済を行なう人が増え、支払い待ちの行列において、自然と現金よりもキャッシュレス的な決済手段を目にする機会が増えるはずだ。

平澤寿康氏が還元事業の対応店舗となった「紀の善」のレポートで紹介しているが、それまでAirレジ導入後のキャッシュレス比率が1~2割程度だったものが、初日で3割まで一気に跳ね上がっており、その翌日に4割近い水準まで達したと聞いている。

紀の善の業態はキャッシュレス・ポイント還元事業で一気に顧客が殺到するタイプの場所ではないと考えているが、それにも関わらずこの数字だ。

つまり、少なくとも普段より2倍以上は同店でキャッシュレス決済を見かける確率が増えたことを意味する。筆者は、この宣伝効果こそが同事業の本当の狙いなのだと考えている。


ポイント還元事業に合わせて宣伝を進めるカード発行会社もある

店頭に大きなポスターを掲示する店舗もあれば、このように配布シールを他のアクセプタンスマークと一緒に掲示するケースもある

ポイント還元未対応の店舗でその旨を掲示しているこのケースは親切な方。チェーン店なので混乱やクレームを防ぐためとみられる
ポイント還元事業のその先
認知が向上するとどういうことが起きるのか。

対応店舗も増え、これまでキャッシュレス的な決済手段に興味を持っていなかった人が参入する機会が増えることになる。

先日PayPayがユーザー数を急増させて1,500万人の大台に達したことを報告したが、加盟店にあたる小売店と利用者ともにキャッシュレス対応が加速するだろう。

還元事業は9カ月限定ではあるが、投入された予算をいかに効率的に使ってこの期間に認知向上に結びつけられるか、特にスマートフォンのアプリを使った決済サービスを提供する各社のユーザー数と加盟店数が期間中にどのように推移したのか、このあたりが効果検証のバロメータになる。

しかし、真に重要なのは認知向上で利用者と加盟店を増やしたうえで、いかにその後も継続して利用してもらえるかという点にある。

PayPayでは今夏から「ワクワクペイペイ」の名称でスーパーやドラッグストアなど特定業態の小売店と提携した期間限定キャンペーンを実施し、「普段使いでPayPay決済を行なうメリット」を小売店とユーザーの両方にアピールしている。

同社はサービス参入時の「100億円キャンペーン」など派手な演出で話題をさらったが、この手の単純な大型キャンペーンは一時的な認知度向上にはなるものの、その後の継続利用には結びつかない。

むしろ、地道なキャンペーンを継続して普段使いの利用を促し、習慣づけさせることの方が重要であり、同社自身も「決済回数を増やすこと」を現在の至上命題にしている。

これは非常に重要な話で、キャッシュレス化比率向上の最大のネックになっているのが「少額決済」の分野だからだ。

日本の年間最終消費支出が300兆円といわれているなか、3年前の時点でキャッシュレス化比率が19%台後半で、現在は24.4%程度といわれる。金額ベースでいうと現金が圧倒的に多いことになるが、実はリアル店舗決済でその多くを占めるのが少額決済だと考えられる。

自分の1日の行動を考えてみるとわかるが、1回の買い物は数百円から1,000円前後としても、数千円単位の買い物は1日に1回か2回程度なのに対し、おそらく数百円から1,000円程度の買い物の回数はそれ以上あるはずだ。

トータルの金額ベースで逆転する人も少なくないだろう。こうした日々の行動をキャッシュレスに置き換える仕掛けを作り、習慣化させることが次のステップだ。例えば次はJCBのスライドだが、「キャッシュレス・ポイント還元事業」を通じて浸透させたいのはこの市場ということになる。


キャッシュレス・ポイント還元事業」で重要となるのは、キャッシュレス決済可能な“すその”を拡大することにある
還元事業が終わった後、キャッシュレス化において次にやってくるのは「地道な普及活動」と「ポイント還元に頼らない便利さのアピール」だ。

JCBは先日、新橋の飲み屋街で「みんなのキャッシュレス」というキャンペーンの開催実施を発表したが、各社が現在考えているのはいかに普段の生活においてキャッシュレスを身近にするかだ。JCBがこの手のキャンペーンを張るのは珍しいが、最近ではメルペイを筆頭に、PayPayやLINE Payなど、各社が地方商店街や高齢層などを中心とした独自のキャンペーンやキャッシュレス決済教室を開催し、地道な普及活動を続けている。

効果のほどは微々たるものかもしれないが、先ほどの紀の善の例のように接触機会を増やすことで、その周囲もまた利用機会が広がる効果が高まることに期待したい。


JCBが東京の新橋駅周辺にある線路下の飲み屋街で実施しているキャッシュレスキャンペーンの様子。こうした地道な普及や宣伝活動が今後につながることになるかもしれない

鈴木 淳也/Junya Suzuki


国内SIerでシステムエンジニアとして勤務後、1997年よりアスキー(現KADOKAWA)で雑誌編集、2000年にプロフェッショナル向けIT情報サイト「@IT」の立ち上げに参画。渡米を機に2002年からフリーランスとしてサンフランシスコからシリコンバレーのIT情報発信を行なう。2011年以降は、取材分野を「NFCとモバイル決済」とし、リテール向けソリューションや公共インフラ、Fintechなどをテーマに取材活動を続けている。Twitter(@j17sf)


スパコン「京」の運用終了。「2位じゃダメなんですか?」は何だったのかを改めて整理する

2020年07月06日 14時30分39秒 | 社会・文化・政治・経済

首相「2位じゃダメだ」…蓮舫氏に当てこすり、スパコン「富岳」世界1位で

2020年07月06日 14時25分41秒 | 社会・文化・政治・経済

2020/06/30 08:09 読売新聞

安倍首相は29日、科学技術振興を巡って「世界1位を目指す。2位じゃダメだ」と述べた。民主党政権時代に蓮舫参院議員がスーパーコンピューター(スパコン)開発について述べた発言を当てこすったものだ。

首相官邸で自民党の人工知能未来社会経済戦略本部から決議を受け取る際、スパコンの計算速度ランキングで世界一となった「富岳ふがく」に触れた上で述べた。首相は笑みを見せ、同本部長の塩谷立・元文部科学相も笑った。

 蓮舫氏は民主党政権下の2009年に行われた事業仕分けで、当時のスパコン「けい」に関して「2位じゃダメなんでしょうか」と発言し、科学界から反発を受けた。蓮舫氏の元には今も問い合わせがあるようで、23日には自身のツイッターで「メディアがいまだにコメントを、と言ってこられる」とつぶやいていた。