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7月に入って広島県内で公表された新型コロナウイルスの感染者数は11日、広島市9人、廿日市市1人と計10人に達した。うち6人が東京の滞在歴を確認できた人と、その接触者。広島市は、感染者が急増している東京からの感染の飛び火に警戒感を強めている。
【グラフで見る】新型コロナウイルスの影響 東京滞在を確認できたのは、都内から移送され、広島東署(広島市東区)に留置された住所不定で無職の男▽出張した50代会社員▽イベントに参加した20代の広島市の女性職員―の3人。残る3人は接触した家族や同僚だった。
政府は6月19日、都道府県境をまたぐ移動の自粛要請を解除。イベントの入場者数の上限も徐々に緩和している。人の往来や経済活動が活発になる一方、東京都を中心に首都圏での感染拡大は歯止めがかからない状況になっている。
市の女性職員が参加したイベントも、主催者が消毒や人数制限など定められた対策をしていた。しかし、出演者や観客への感染が相次いでいるという。
市は今月1日、約2カ月ぶりに新たな感染者を公表した。その後、断続的に確認されている。阪谷幸春・保健医療担当局長は、東京滞在に関連する感染例の増加に「そういう傾向が強いと認識はしている」と懸念を示した。
一方、感染の経路や接触者をほぼ把握できているとし、「今日の段階で、市として東京など県外への移動の自粛を呼び掛けることはない」と重ねて強調した。
中国新聞社
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出演者、スタッフ計12人と観客2人の新型コロナウイルス感染が明らかになった俳優山本裕典(32)の主演舞台「THE★JINRO―イケメン人狼アイドルは誰だ!!―」(6月30日~7月5日、東京・新宿シアターモリエール)が、体調不良者がいる中で上演を続けていたとみられることが11日、分かった。この日新たに関係者と観客ら6人の感染も判明して計20人となった。
国内で初めて舞台でのクラスター感染が発生した同公演。主催者の発表では、千秋楽翌日の6日に出演者で「スーパーブレイクダーン」のTAKUYA(23)の感染が発覚。このため全共演者とスタッフが8日にPCR検査を受け、10日までに計12人の感染が判明した。この感染拡大の原因とみられるのが、体調不良の出演者がいながら上演を強行した疑いだ。関係者は「楽屋で“体調が悪いのに出続けている出演者がいる”と聞いて大丈夫なのかと思った」と明らかにした。出演者の健康状態については、主催者側も把握していたとみられる。
小規模な劇場のため、楽屋は8畳ほどの大きさで、出演者の多くが同時に滞在することもあったという。検温やマスク着用など気を付けていたが、密になる場面が数多くあったことは否めない。出演者ら全関係者が濃厚接触者と指定されるなどソーシャルディスタンス維持ができていなかったのが実情だ。
シアターモリエールは通常は186席。今回は政府のガイドラインに合わせ、100席弱に減らして上演。同ホールによると、公演以外の時間は窓を開けるなど換気に気を付けていたが、公演中は密閉状態だったという。
主催者は都内で韓流俳優のイベントを数多く手掛けるイベンター。関係者は「今回は舞台公演といっても実際はイケメンを集めて女性ファンを喜ばせるという内容。ホストまがいのイベントだ」と話した。一部の出演者は出待ちしたファンに握手やサインなどをしていたが、こうした感染予防の意識の低さも感染拡大につながった可能性もある。
今週末には東京・帝国劇場や兵庫・宝塚大劇場など、大型劇場での舞台公演が再開される。演劇関係者は「元々舞台役者ではない人たちのイベントでクラスターが出た。コロナ禍でここまで我慢してやってきたことが水の泡になるかもしれない」とこぼした。再出発を切る大手の商業演劇界にも多大なダメージを残すことになった。
≪出演者ら次々…サッシャも陽性≫この日は新たに同公演の出演者で、ラジオDJなどで活動しているタレントのサッシャ(43)が自身のブログで感染を公表。10日夜に陽性反応が確認され、都内の病院に入院中だ。
11日に新たに判明した6人の感染者は、TAKUYAと同グループで活動し舞台にも出演していたHIRO(23)と、「BLACK IRIS」の斉藤広樹(25)、6月30日の公演を鑑賞した相模原市の30代女性が含まれる。
主演の山本は10日から入院しており、関係者は「入院後は連絡が取れないので、現在の体調については分かっていない」と話した。
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【解説】在沖米軍基地で7~11日に61人の新型コロナウイルス感染者が確認され、世界一の感染者を出す米国がフェンス1枚を隔てて存在する危険性が改めて露呈した。
日本は水際対策として米国からの入国を拒否しているが、米軍については日本の基地に直接飛行機で入ることが可能だ。日米地位協定上、入国時には日本の検疫が適用できない。検疫や行政の感染対策が及ばない「ブラックボックス」としての米軍基地は、深刻な感染症の侵入リスクを沖縄にもたらす。
米軍は厳しい予防策を講じていると主張してきたが、今回の感染拡大で実効性の乏しさが明らかになった。今月4日の独立記念日も各部隊は規模縮小する方針を示していたが、関係者らは非公式に大規模なパーティーを催し、フェンスの外に繰り出している。クラスターにつながった恐れも指摘されている。
今後、基地内の医療体制で対応できなくなった場合、基地外の病院を使う可能性もある。
米軍の方針を追認するだけで、地位協定の改定にも後ろ向きな日本政府の対応は、国内にいる米軍人や軍属の感染症に対して無策であり、県民の健康と生命が脅かされている。
米軍は11日、県が感染者数を公表することを認める姿勢を示したが、感染源や行動履歴についても透明性を高めることが必要だ。県は今後も、地域の安全と県民の生命を優先した積極的な行動が求められる。 (明真南斗)
琉球新報社
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(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授) 懸け橋、という言葉がある。 定かではないが、自分で使ってみた記憶はほとんどない。かつては特にどうとも思わなかったが、韓国に住むようになってからというもの、積極的に使いたいとは思えない言葉になってしまった。
だが、そう思うようになってから、私の目の前では使う人が増えていったような気がする。 「日韓の懸け橋になりたい」 そんなことを言われてしまうのだ。
でも、私はすぐに「そんな無理をするのはやめた方がいいよ」と返事をする。
■ 自己犠牲の精神に何度も驚愕 相談を切り出してくる人の年齢はさまざまだが、記憶をざっとたどると、若い人が多い。日本語を勉強している大学生や、ワーキングホリデーや留学などで韓国で暮らしている日本人もいる。私の教え子数人もそのなかに含まれる。
彼らが私についついそう言ってしまいたくなるのは、理解できなくもない。というのも、私は日本人であると同時に韓国でかれこれ15年も暮らしているし、日韓交流おまつり、という交流事業でもそれなりに積極的に関わっていたことがあるからだ。
だから、私に「日韓の懸け橋になりたい」と切り出すときに、まさかそれを否定されるだなんて、思ってもいないのだろう。その証拠に、「やめた方がいいよ」と答えると、キョトンとした顔をする。顔というのは、正直だ。
「日韓の懸け橋」なんて、いかにも美しい言葉ではないか。でも、私には、そのいかにもの美しさが、好きになれない。「日韓の人たちは、がんばってでも仲良くしましょう、そのために、自分が近くて遠い2つの国を繋いでみせます!」と、自己犠牲に満ちた表現になってしまうからだ。本人たちに聞いてみても、“人生を捧げます”というくらい強い意味で使っているという。 その自己犠牲の精神に、私は何度も驚愕してきた。
「日韓の懸け橋」はいかにも不毛である。まず、国通しの関係が良くない。その上、日本には嫌韓感情があり、韓国には反日感情がある。そんな状況は、数十年単位で改善するとは思えないし、それどころか、両国相互の感情はこれからもっと悪くなるだろう。年を重ねてから「私の人生何だったのか」なんて思うのがオチだ。
そんな若者の将来が見え見えだから、私は、「世の中にはもっと楽しいことがあるから、それは考え直した方がいいよ。日韓はきっと、根本的には変わらないから、もっと気楽に日本のことに関わってよ」と、アドバイスをする
。 ■ 北朝鮮よりも日本に「敵がい心」 とはいえ、そのアドバイスに自信があったわけではない。その根拠としてきた日韓両国民の感情の対立は、あくまでも私が日本人として韓国で生活するなかでの実感として思っていただけだったからだ。
ところが、それをデータとして明確に示してくれる記事がつい先日、出てきた。中央日報による7月8日付の報道で、日本に対して敵がい心を抱いている韓国人は71.9%にのぼり、対北朝鮮の65.7%を上回るという。
この数字が異様に合点がいった。
敵がい心という言葉も微妙な訳だが、原文で使われている「敵対感」は、政治外交上での意味も含む。だから、韓国という国にとって脅威だと思うかを問うアンケートだと考えればよい。
韓国人が日本に敵対感情を抱いてしまうのは、いわゆる歴史認識問題で韓国に厳しい姿勢をとる安倍首相の存在が大きい。ともかく安倍首相のことは無条件に嫌いな人がほとんどで、とくにこの数年は、徴用工裁判の影響もあり、そんな傾向が強い。
では、日本の首相が別の人になれば、対日感情ははっきりと改善するかというと、そうは思えない。というのは、韓国社会が徐々に内向きで排他的になっていることも、記事で指摘されているからだ。
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次期大統領有力候補としてその名が挙がっていた朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長。セクハラ事件に巻き込まれてから、わずか1日でこの世を去ることになった。享年64。
2011年から3期連続でソウル市長を務めてきた朴氏は、最近の世論調査で60.5%の支持率を得て、市政において肯定的な評価を受けていた。1990年代初頭から継続して反日の態度を取ってきた代表的な政治家としても知られる彼は、一方で日本から寄付金を受けるなど親日の顔もあり……。
人権派弁護士で市民運動家出身でもある朴市長は、慰安婦被害者のための法的支援活動に注力してきた。その勢いでソウル市長に当選した後、慰安婦少女像の建設によって大衆の反日感情を煽るのに一役買ってきた。
一方で朴市長は、過去に自身が設立した市民団体にトヨタから巨額の支援金を受けた事実があり、それが非難の対象となり、親日派としての疑惑が絶えず提起されてもいたのである。
警察によると朴市長は、7月9日、行方不明になってから7時間後に発見された。実は8日に、元秘書であるAさんがセクハラなどの疑いで朴市長をソウル地方警察庁へ告訴していた。加えて、朴市長がセクハラを行った被害者は他にもいることが予想されることから、これらは合わせて「Me too疑惑」と呼ばれている。
ここで改めて彼の経歴を紹介しておこう。生まれは慶南昌寧で、当時エリートの必須コースと言われていた、別名「KSライン(京畿高校⇒ソウル大学)」に進学したものの、朴正煕政権の維新体制に抵抗する学生運動に参加した結果、ソウル大学から1975年に除籍された過去がある。
除籍された翌年に壇国大学史学科に入学、そして卒業。1980年、第22回司法試験に合格し、大邱地検検事に任用された後、間を置かず辞任し、後に人権弁護士として活躍した。
1994年には、韓国進歩市民社会の礎となったとされる参与連帯を設立。その後、「小口株主運動」や「不正腐敗候補者落選運動」などで政界にインパクトを与え、新しい形の市民運動を創案したという評価を受けた。2000年代初頭からは、財団法人「美しい財団」、「希望製作所」を開設し、取締役として寄付運動、民間研究所の養成に力を注いだ。
もちろん彼を語るうえで外せないのは、代表的な反日政治家、慰安婦弁護士としての顔だ。
「慰安婦問題」で日本政府の謝罪と賠償を執拗に主張してきた人物の一人であることは間違いない。2000年の国際人権キャンペーン「女性国際戦犯法廷」に参加し、南北共同検査団に検事として参加した後、日本の天皇を従軍慰安婦強制性労働搾取戦犯として起訴している。
当時朴市長は、「韓半島は10万人以上が従軍隊慰安婦に動員された最大の被害国であり、植民地支配がその背景であった」と語っている。「過去を覚えていることが出来ない人は、その過ちを繰り返すしかない」として、日本天皇の処罰と日本政府の賠償を強く要求した。
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現代ビジネス
新型コロナウイルスの感染が止まらない東京。これまで都内で確認されている感染者数は累計で7721人、死者は325人になっている。毎日200人以上の感染者が3日以上連続で確認されており、10日には過去最多となる243人の感染を確認。都は感染が広がっている夜の街を中心にますます警戒を強めている。
【写真】コロナ第二波が迫る中、ニューヨークの「いま」はどうなっている? 一方筆者の住むアメリカ・ニューヨーク州はというと、州内で確認されている感染者数は累計で40万5000人以上、死者は3万2004人と東京と比べても桁違いに多い。感染者は今でも毎日500~700人以上が増え、死者は1日10人弱の日が続いている。
決して良い状態とは言えないが3、4月の最悪期に比べれば、感染流行を示す波が低い位置で落ち着いているので最悪の状態とも言えない。何しろ最悪期には、毎日感染者が多い時で1日1万人以上増え、死者は1日700人以上を超える日が続いた。
感染の流行がいったん落ち着いた現在でも州内のナイトスポットはまだ閉鎖されたままだが、経済活動は少しずつ再開している。
例えば6月22日より州内の飲食店は屋外スペースのみ利用可となった。よってレストランは道路の一部を閉鎖してテーブルを置き、そこを顧客に利用してもらっている。他州と比べてマスク着用率が高いことも影響してか、感染がいまだ激増しているアメリカの中でもニューヨークは押さえ込みに成功している都市の1つになっている。
クオモ州知事は8週間にわたって感染率を低く抑えられていることについて、「州民1人ひとりの努力の賜物だ」と人々を讃えている。
消極的な意見が目立つ日本
ニューノーマル(新しい日常)では、歩道にも顧客用の椅子が置かれるようになった/photo:Kasumi Abe
一時はアメリカで一番の感染爆発スポットだったニューヨーク。この街に住む筆者はかねてから、世界的に見て日本の新型コロナウイルスの感染対策は成功しているとずっと思っている。
日本はPCR検査が充分に行われていないから感染者も少ないのだという一部の声も聞こえてくるが、4月ごろまで、誰でも気軽に検査を受けられる状態ではなかったのはニューヨークも同じ。何より日本は死者の数が他国と比べて圧倒的に少ない。
例えば、日本もアメリカも医療現場は最新設備で整っている先進国だが、日本全体の死者数は981人だ。一方、人口が日本の2.5倍強のアメリカ全体では死者数は13万3885人と、こちらも桁違いなのはどういうことだろうか。日本は押さえ込みに成功している方だと、もう少し胸を張ってもいいはずなのだ。
なのに、日本のメディアの報道を見たりメールマガジンを読んだり、また一般の人々の会話などで聞こえてくることと言えば、「都会(特に東京)はコロナ感染が広がっているので怖くて行けない」「東京からの旅行者は来て欲しくない」「なかなか収束しないのは多くの人々が出歩いているせい」「再度の非常事態宣言は必要ないのか?」など、異常なまでに「自粛」が強調され、とても消極的な意見が目立つ。
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【AFP=時事】(更新)ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は11日、初めて公の場でマスクを着用した。全米で新型コロナウイルスが猛威を振るう中、公衆衛生上の模範を示すよう求める圧力に屈した形だ。
【写真特集】ウイルス対策も工夫次第? 素材も形もさまざまな「マスク」
トランプ氏は負傷した米兵たちを見舞うため首都ワシントン郊外にあるウォルター・リード米軍医療センター(Walter Reed National Military Medical Center)を訪れ、大統領の紋章があしらわれた黒いマスクを着用して同センターの廊下を歩いた。
ホワイトハウス(White House)を出発した際、「私はマスクに反対したことはないが、マスクには(ふさわしい)時と場所があると考えている」と語ったトランプ氏は、同医療センターでマスク着用について報道陣に話すことなく歩き去った。
先週の報道によると、米国の一部の州で新型コロナウイルス感染者が急増し、また今年11月の米大統領選を前に世論調査で民主党のジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領に水をあけられている中、側近らはトランプ氏にマスク着用を「懇願」したという。
深く分断された米国にあってマスク着用は保守とリベラルを分ける一つのポイントになっている。トランプ氏を支持する保守派はマスクは自由を侵害するとして着用を拒否する一方、進歩派は生死が懸かるコロナ危機への集団的な責任を示すものだとしてマスク着用に賛成する傾向がある。【翻訳編集】 AFPBB News
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【サンパウロ時事】新型コロナウイルスを「感染しても心配ない」と軽視してきたブラジルのボルソナロ大統領の「お膝元」である大統領府で、職員100人以上が新型コロナに感染していたことが分かった。
【グラフ】新型コロナウイルス 世界各国の状況 ボルソナロ氏も7日に検査で陽性と分かり、現在は公邸にこもっている。
大統領府によると、3日までに全職員3400人の3.2%に当たる108人が検査で陽性だった。9割以上が軽症または無症状で済んだという。
大統領府は「庁内でのマスク着用やアルコール消毒、職員間の適切な距離の確保などを指導している」と説明。もっとも、感染者と「濃厚接触」にまで至らない接触者の隔離について規則などは定められていない。ボルソナロ氏の感染を機に対策を見直す方針だ。
ただ、大統領府内の感染率は国全体の4倍近くに当たる異常な高さ。マスクなしで公の場に出ていた「あるじ」の態度が、大統領府全体の緩みにつながっていた可能性は否定できない。ブラジリアの連邦公務員組合は8日、「ボルソナロ大統領や閣僚らが、病のまん延を抑えるための保健衛生指導を習慣的に守っていないのは無責任だ」と強く批判した。 米国に次ぎ、世界で2番目に新型コロナ禍が深刻なブラジルでは10日現在、180万人が感染。7万人が死亡している。
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そもそも斜めの関係とは、利害関係が存在しない第3者こと。
つまり、社外の人であり、世代を超えた先輩や後輩、他社の社長や他部署の上司や仲間なども斜めの関係にあたります。
社会全体で子どもを育て守るためには、親でも教師でもない第三者と子どもとの新しい関係 イコール 「ナナメの関係」をつくることが大切である。
地域社会と協同し、学校内外で子どもが多くの大人と接する機会を増やすことが重要である。
安田女子大学大学院紀要 第24集 2019
教育学専攻
子どもにとって「ナナメの関係」は
どのような役割を果たしているのか
―生徒指導・進路指導において児童生徒の多面性を受容する存在として―
澤 田 英 三
地域の人間関係の希薄化が指摘されるようになって久しい。特に,子どもと関わる大人が地域の中からも親戚の中でも少なくなり,また関係を持たなくても生活できる便利な環境にもなってきた。
一方,子どもたちが日々生活する学校に目を転じると,教職員の多忙化が進み,担任であっても子どもと関わる十分な時間を取ることが難しくなってきている。
担任以外の教職員はなおさらである。このように,子どもを取り巻く人間関係の希薄化は,大人との関係,特に「ナナメの関係」の希薄化と言い換えることができる。
本稿では,子どもの人間関係を「タテ」「ヨコ」「ナナメ」の3方向からとらえ,かつては地域や親戚の中で多くの大人とのつながりとしてあった「ナナメの関係」のもつ役割・機能を明確に示すことが第1の目的である。
そして,現代において子どもたちが日々過ごしている学校が,「ナナメの関係」を形成する場所として相応しいことを指摘し,その関係を生徒指導・進路指導に活かす必要性について論ずることを第2の目的とした。
なお,本稿では,「ナナメの関係」についてカタカナ表記を用いる。
この関係について初めて論じた笠原(1977)は「斜めの関係」と漢字で表記していたが,その後の論者などがカタカナ表記を用いていることや,文部科学省も文書等でカタカナ表記を採用していることから,本稿でもそれに倣う形をとった。
1.ナナメの関係とは
精神療法家の笠原(1977)は,子どもの人間関係を3つの方向からとらえた。
子どもの人間関係といえば,子どもと親や担任教師のようなタテの関係と,友だち同輩同士のヨコの関係があげられるが,親や担任とは異なる大人との関係を「斜めの関係」(以下,ナナメの関係)と名付けた。
そして彼は,大人との関係を避けて内閉する青年への精神療法について論じる中で,青年に対する有効な治療者の立ち位置として,父親や教師,上司といった直系的関係ではない中立的な関係の有効性を指摘した。
それでは,直系的関係である親や担任教師との関係はどのような特徴があり,精神療法においてなぜそのような関係がうまく作用しないのであろうか。笠原(1977)によると,息子にとっての父親は,「対世間的面目や責任」をとる立場にありながらも,親子であるがために「情緒的にまきこまれたり,愛憎のしがらみに溺れるといった危険」がある。
また,担任教師は,「自分のクラスの子どもの不登校に対し中立の態度はとれない。
登校しない子どもの存在が教師としての自負をゆるがす以上,意識的無意識的に子どもを責める気持ちになることはやむをえまい」として,学校において担任は子どもに対して第一に責任を持つタテの関係であるととらえた。
この直系的関係に対して,ナナメの関係の例として,子どもとは近しい間柄である「叔父-甥(ないしは叔母-姪)的関係」をあげている。この関係は「父親とは違い,叔父はとらわれない視点を青年に向けることができ」,「甥のほうも叔父に対してなら,息子として父に対する場合には見せられない顔を見せることができる」のである。
そしてナナメの関係を,青年に対して「無責任でありうる程度に応じて,それだけ青年の言葉に素直に耳をかし考える自由度を増す」関係として特徴づけている。
このように,子どもに対して育て導く責任を負っている親や担任教師は,子どもに対して中立的な立場から関わることが困難であり,情緒的に巻き込まれた関わりとならざるを
得ず,これがタテの関係の特徴といえるだろう。
一方で,その子どもを育て導く責任が軽くなればなるほど,情緒的に距離をとることができ,目の前の子どもを育ちつつある一人の子どもとして冷静に受け止めることができ,一人の大人として意見を返していくことができる。
それでは,このようにとらえることができるナナメの関係は,その後の研究や言説でどのように扱われてきたのであろうか。
2.笠原(1977)以降の「ナナメの関係」
子どもの人間関係の希薄化が問題になる中で,親子関係や仲間・友人関係などの研究と比べて,笠原(1977)以降,「ナナメの関係」の重要性を指摘した研究や言説は少ないがいくつかはみられる(澤田,2003,2014;藤原,2005;宮澤,2011;竹内・池島,2012;枝廣,2016など)。
「ナナメの関係」の機能と学校における展開
その中で宮澤(2011)は,子どもをめぐる教育関係の歴史からみて,近代化される前の伝統指向社会においては「タテとナナメとヨコの人間関係が,全体として子どもを社会化する機能を果たしていた」と指摘し,かつては「「ナナメの関係」が,タテとヨコという,対抗する関係が生みだす葛藤を緩和するための独自の機能をかかえていた」と述べている。
筆者も,昔の伝統が残る地域へのフィールド研究を通して,親以外の様々な大人との関係の中で地域の子どもが育っていることを報告してきた(澤田,2013,2014)。
しかし,近代の家族では「親以外の影響力をでき人の影響力を排除するばかりか,<中略> 子どもが自然発生的につくる異年齢共存の集団を解体しつつ,ひとりの大人の指導者が統制する同一年齢集団へと子どもたちを編成した(近代的学級集団)」と指摘する(宮澤,2011)。
そして,この歴史を踏まえて,「タテ・ヨコ・ナナメの多様な関係のネットワークの重要性を再認識する」必要性を説いている。
このように,子どもの成長には近代以前の社会ではタテ・ヨコの関係と並んでナナメの関係が重要な役割を果たしていたが,現代では多様なナナメの関係が家庭でも学校でも排除されてきた。
子どもを取り巻く人間関係の課題は,「ナナメの関係」の復権にあるといえよう。
一方で,学校の実践において「ナナメの関係」を取り入れ始めたのは藤原(2005)である。
彼は民間企業から公募に応じて公立中学校長に転身した教育者の一人で,これまでの公立学校にはなかったプログラム(よのなか科)の開設や,地域が学校の運営を支援する地域本部を立ち上げるなど,公立学校の教育に新しい視点を取り入れて実践してきた。ここでは,ナナメの関係を重視する点を,彼の言説を引用しながら述べていく。
藤原(2005)は,少子化等で学校の規模が小さくなると子どもが学校で出会う大人の数が減ることの弊害を指摘し,次のように述べている。
「この先生は音楽の先生じゃないのにギターが弾けてスゴイとか,体育系でおっかないけど放課後も遊ばせてくれるとか,図工の先生が変人で面白いとか…多ければ多いなり,担任だけでなくナナメの関係からも影響が受けられる」と。
また,保健室に通う子どもが多くなった理由として,「昔は怪我をしたり病気だったり,カラダの問題で保健室を訪れるものだったのが,いまではココロを癒やす場所として機能している感がある。
<中略> 子どもたちはここでも,授業モードとは違う「ナナメの関係」を欲して保健室に集うのだ」と指摘し,養護教諭の学校の中での立ち位置が子どもにとって心を癒すナナメにあたる存在と位置づけている。
そして,子どもの人間関係について,「直属の上下関係だけでは息苦しい。
家庭における父と母との関係,学校における先生,とりわけ担任との関係のことである。
かといって,友だちとの横の関係だけでも行き詰まる。
<中略> 私たちは,「ナナメの関係」に支えられながら,より豊かな世界観や人生観を育むのだと思う」とナナメの関係が果たす独自の役割を述べている。
つまり,ナナメの関係にあたる大人との関係から,子どもの生き方や人生観を広く学ぶ機会が与えられるとして,様々な生き方をしている講師を招いた「よのなか科」や地域の人がかかわる「地域本部」においてその実践を展開している。
そして,彼の実践はその後の文部科学省の会議でも取り入れられ,議論されることとなった(文部科学省,2007)。
近年,学校や児童館等において,大学生などがボランティアとして子どもにかかわる機会が増えてきた。
そして,その実践を「ナナメの関係」から検討した研究もみられる。竹内・池島(2012)は,中学生や小学生に対する進路支援において,「ナナメの関係」にあたる卒業生からの
支援も取り入れ,ナナメの関係にあたる先輩からのメッセージが,児童生徒にとって先輩のモデルとして機能していることを報告している。
また,枝廣(2016)は,中高生年代の生徒が「ナナメの関係」にあたる大学生や大学院生とかかわることによって,「紆余曲折してる人」と出会って優等生という縛りから解放された事例を紹介しつつ,「ナナメの関係」が生き方や具体的な未来を示すモデルとして機能し,進路に対する生徒の自己効力感を高めていることを報告している。
これまで紹介してきた研究では,学校等における「ナナメの関係」の重要性を指摘して行われてきた研究である。
しかし,これらの研究で指摘している「ナナメの関係」が持つ役割や心理学的機能は,子どもにとってモデルや緩衝帯など,限定的なものである。
生徒指導提要(文部科学省,2010)が指摘するように,学校には「援助資源が豊富」であることを「ナナメの関係」が豊富として読み替えると,ナナメの関係が持つ役割や心理学的機能をより広くとらえて分類・認識すること,そしてそれぞれの教員が担任というタテの関係からだけではなく,ナナメという役割や機能をあらためて意識しながら子どもと関わることは,生徒指導・進路指導上,非常に重要であると考える。
北朝鮮の核問題は解決にいたらず、米ロ間では緊張が高まっている。いま、地域や相手にあわせた新しい核戦略論が必要とされている!
内容説明
かつてオバマ前米国大統領は核廃絶を唱え、専門家の間でも「核の忘却」が語られた。しかし近年、核兵器は復権しつつある。しかも地域や相手によって異なる認識枠組みが必要だ。本書では米中ロや欧州・南アジアそれぞれの核戦略、サイバーセキュリティと核兵器、核兵器による「世界の分裂」、そして日本にとっての核抑止を論じる。
【動画】
笹川平和財団日米グループでは、2015-2017年度に実施した研究プロジェクトの議論を土台とした書籍「『核の忘却』の終わり―核兵器復権の時代」(勁草書房)の出版を記念し、執筆陣による本書の議論の紹介と共に米国から専門家を迎えてパネル講演会を開催いたしました。
目次
序章 「核の復権」の現実[高橋杉雄・秋山信将]
1 核をめぐる二つの知的方向性
2 核兵器の「復権」
3 本書の論点
第1章 米国――核抑止戦略の再構築[高橋杉雄]
はじめに
1 冷戦期の核戦略をめぐる戦略的前提
2 冷戦終結と核戦略をめぐる前提の変化
3 プラハ演説から「核の復権」へ
4 核兵器「復権」後の核戦略の課題
おわりに
第2章 ロシア――ロシア版「エスカレーション抑止」戦略をめぐって[小泉悠]
はじめに
1 宣言政策と運用政策
2 「非対称戦略」としてのロシアの核ドクトリン
3 核戦力整備の実際
おわりに
第3章 中国――「最小限抑止」から「確証報復」への転換[神保謙]
はじめに――「非対称な均衡」の維持か脱却か
1 中国の核戦力――「最小限抑止」から「確証報復」へ
2 米中の核関係――暗黙の「戦略的安定性」の形成
おわりに
第4章 NATO――「核の忘却」の終焉?[戸﨑洋史]
はじめに
1 在欧戦術核撤去問題――1991~2012年
2 対ロ抑止態勢の強化――2013~2016年
3 トランプ政権とNATO――2017~2018年
4 核態勢強化と脅威低減の課題
おわりに
第5章 インド・パキスタン――「抑止のための兵器」の20年[栗田真広]
はじめに
1 パキスタンの核戦略・核態勢
2 インドの核戦略・核態勢
3 「核戦争遂行」との距離
おわりに――抑止の安定性をめぐって
第6章 核管理とサイバーセキュリティ[土屋大洋]
はじめに――サイバー戦場の霧
1 サイバースペースと情報技術
2 ハイブリッド戦争と戦略的安定性
3 堅牢なシステムの追求
第7章 「秩序の兵器」としての核と分裂する世界[秋山信将]
はじめに――核と国際政治を考えるための枠組み
1 核兵器の存在を規定する要因
2 「秩序の兵器」としての核
3 核兵器をめぐる新たな国際環境
4 核と道徳性――核をめぐる世界の分断
おわりに
終章 日本――世界で最も厳しい安全保障環境下での核抑止[高橋杉雄]
はじめに
1 拡大抑止に関する日本の宣言政策
2 北朝鮮に対する抑止
3 中国
おわりに
著者紹介
著者について
コーネル大学公共政策修士課程修了、一橋大学より博士(法学)を取得。広島市立大学講師、日本国際問題研究所主任研究員、在ウィーン国際機関日本政府代表部公使参事官などを経て、現在:一橋大学大学院法学研究科教授、専門は国際政治学、安全保障論。主著:『核不拡散をめぐる国際政治――規範の遵守、秩序の変容』(有信堂高文社、2012年)、『NPT――核のグローバル・ガバナンス』(岩波書店、2015年、編著)、『日米安保と自衛隊(シリーズ日本の安全保障2)』(岩波書店、2015年、共著)など。
高橋 杉雄(たかはし すぎお)
早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、ジョージ・ワシントン大学政治学修士課程修了。防衛省防衛研究所助手などを経て、現在:防衛省防衛研究所政策シミュレーション室長、専門は安全保障論、日米同盟。主著:『日米同盟とは何か』(中央公論新社、2011年、共著)、『アジア太平洋の安全保障アーキテクチャ――地域安全保障の三層構造』(日本評論社、2011年、共著)、『アメリカの外交政策――歴史・アクター・メカニズム』(ミネルヴァ書房、2010年、共著)など。
健康保菌者
健康保菌者とは『検便により対象となる菌を保有していることが確認されているが、菌による症状を発症していない者』を指します。
症状を発症していないため、一見健康そうにみえますが、糞便とともに病原菌を排菌しているため感染源となりうる可能性が高く注意が必要です。2014/08/06
サルモネラ属菌による健康保菌者の問題
トピックス : 腸管系病原菌の検索
2014年8月6日
一般財団法人 東京顕微鏡院
食と環境の科学センター 微生物検査部 柿澤広美
健康保菌者とは『検便により対象となる菌を保有していることが確認されているが、菌による症状を発症していない者』を指します。症状を発症していないため、一見健康そうにみえますが、糞便とともに病原菌を排菌しているため感染源となりうる可能性が高く注意が必要です。
このことから、食品取扱い等調理業務事業者は食中毒事故の危険を回避するために、従事者の検便検査が義務づけられています。
サルモネラ属菌による食中毒の実際
食中毒の病因物質は大きく細菌、ウイルス、化学物質、自然毒等に分類できます。厚生労働省食中毒統計による食中毒発生状況では、サルモネラ属菌による食中毒事件は細菌別事例過去10年間において常に上位を占めています(図1)
図1:原因微生物別食中毒発生状況 2004~2013年
食品取扱い業務従事者からの腸管系病原菌検出状況
当財団では、食品取扱い業務従事者からの腸管系病原菌検査の受託を行っています。2004年から2013年において、主な検査項目であるサルモネラ属菌と腸管出血性大腸菌O157の陽性率の推移を比較してみるとサルモネラ属菌の陽性率は2004年には0.019%でしたが2013年には0.053%まで上昇し、この10年間で年次ごとに高くなる傾向にあります。
これに対し腸管出血性大腸菌O157の陽性率にさほど変化はありません。サルモネラ属菌の感染経路はその殆どが食品からの感染によるものと推察されることから、国内流通食品のサルモネラ属菌汚染率が高まりつつあるのではないかと考えられます(図2)
図2:食品取扱い業務従事者からの保菌者検索結果 2003~2013年
検出されたサルモネラ属菌の血清型別
食品取扱い業務従事者から検出されたサルモネラ属菌は通常デンカ生研のサルモネラ免疫血清(O群血清)を使用してO群型別を実施します。主要な血清型はO4群、O7群、O8群、O9群の4種類で全体の約90%を占めています(図3)
図3:食品取扱い業務従事者から検出されたサルモネラ属菌のO群別構成比年次推移
O7群は分離された菌株の約35%を占めており毎年検出率が高く、O4群がそれに続き25%前後となっています。O8群は徐々に増加する傾向にあり、逆にO9群は1996年頃までは約25%を占めていたものが暫時減少し、2013年では10%を下回る割合となっています。
この結果は食中毒患者から検出された病原体について、地方衛生研究所から国立感染症研究所感染症情報センターに報告されるサルモネラ属菌の検出数においてO9群のSEの検出傾向が減少しているのと同じ推移をたどっています。
しかしながら、食中毒事例にて原因の多くをSEが占めている状況に変わりはありません。サルモネラ食中毒の原因食品は卵類、肉類、野菜類、菓子類等多岐にわたっています。したがって、食品取り扱い業務従事者の検便検査は食中毒事故を防ぐために必要な手段の一つなのです。