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1958年以降に死刑求刑された事件
最高裁に記録の残る1958年以降、死刑求刑された事件での一審での無罪判決は10件ある(別件で有罪が確定した事件を除く)。一審判決順に以下の通りである(カッコ内は一審判決年)。
- 中華青年会館殺人事件(1958年):一審、二審ともに無罪判決、確定。
- 玉名一家殺傷事件(1959年):二審で破棄差戻、差戻し審で懲役12年判決、最高裁で確定。
- 宮崎県三ヶ所村雑貨商一家強盗殺傷事件(1961年):二審で無期懲役判決、最高裁で確定。
- 名張毒ぶどう酒事件(1964年):二審で逆転死刑判決、最高裁で確定(第7次再審請求棄却。第8次再審請求準備中)。
- 豊橋事件(1974年):一審判決がそのまま確定。
- 北方事件(2005年):一、二審ともに無罪判決、確定。
- 高岡暴力団組長夫婦射殺事件(2006年):一、二審ともに無罪判決、確定。
- 広島家族3人放火殺人事件(2007年):一、二審ともに無罪判決、最高裁で確定。
- 土浦一家3人殺害事件(2008年):一審では心神喪失とされ無罪、二審では心神耗弱とされ無期懲役判決、最高裁で確定。
- 鹿児島高齢夫婦殺害事件(2010年):一審で無罪判決、検察側控訴中に被告人が死亡し公訴棄却。
- 平野母子殺害事件(2012年):一審で無期懲役、二審で死刑判決を受けるも最高裁が差し戻し。差し戻し一、二審ともに無罪判決、確定。
別件で有罪判決が出た事件
死刑求刑事件で事実上一審無罪となった事件は他にも数件あるが、これらは別件の微罪の事件において有罪が言い渡されているため、記録上は懲役刑となっている。一審判決順に以下の通りである。(カッコ内は一審判決年)。
- 春日事件(高松市の夫婦強盗殺人放火事件)(1961年):一審、二審ともに無罪判決、確定。
- 土田・日石・ピース缶爆弾事件(1983年):一審、二審ともに無罪判決、確定。
1957年以前に死刑求刑された事件
最高裁に記録が残っていない1957年以前の判決では、以下の事件で一審無罪判決が出ている(別件有罪も含む)。一審判決順に以下の通りである(カッコ内は一審判決年)。
- 西多摩妻子人食い事件(1949年):心神喪失のため一審で無罪。
- 北海道音江村一家8人殺害事件(1949年):一審で無罪、最高裁で確定。
- 富山県南保村祖母・孫殺害放火事件(1949年):一、二審無罪、確定。
- 香月事件(1950年):一、二審無罪、確定(別件では有罪)。
- 三鷹事件(1950年):一、二審無罪、最高裁で確定。
- 弘前大教授夫人殺し事件(1951年):一審は無罪、二審で懲役15年の判決、最高裁で確定。事件発生から28年後に再審無罪が確定(別件では有罪)。
- 武生事件(1951年):一、二審無罪、確定(別件では有罪)。
- 葉原トンネル事件(1953年):一審で無罪判決。
- 藍見事件(1956年):一審で無罪判決。
- 二俣事件(1956年):一、二審とも死刑判決を受けるも最高裁が差し戻し、差し戻し一、二審とも無罪判決、確定。
死刑確定後の再審無罪[編集]
死刑が確定した後、再審で無罪が確定した事件には無罪判決順に次の4件がある(カッコ内は無罪判決年)。
- 免田事件(1983年):事件発生から35年後に再審無罪判決。
- 財田川事件(1984年):事件発生から34年後に再審無罪判決。
- 松山事件(1984年):事件発生から29年後に再審無罪判決。
- 島田事件(1989年):事件発生から35年後に再審無罪判決。
無期・有期懲役確定後の再審無罪
求刑死刑に対し無期・有期懲役の判決が確定した後に再審で無罪となった事件には次の1件がある。再審無罪判決が地裁で言い渡されたもののみを挙げる(カッコ内は無罪判決年)。
- 梅田事件(1986年):一、二審とも無期懲役、最高裁で確定。事件発生から36年後に再審無罪判決(再審では無期懲役が求刑された)。
- 1948年
- 免田事件 - 1948年に夫婦を殺害して現金が盗まれた事件。翌年に逮捕された男性に対して1951年に死刑が確定。1983年に死刑囚としては初の再審無罪判決。
1950年代
- 1950年
- 財田川事件 - 1950年にブローカーに対する強盗殺人を行ったとして起訴。1957年に最高裁で死刑が確定。1984年に再審無罪判決。
- 1954年
- 島田事件 - 1954年に女児が誘拐されて殺害された事件。1960年に最高裁で死刑が確定も、1989年に再審無罪判決。
- 1955年
- 松山事件 - 1955年に一家4人を殺害したとして起訴された男性に対して1960年に死刑判決が確定。1984年に再審無罪判決。
1970年代
- 1972年
- 山中事件 - 強盗殺人罪で主犯として起訴された男性に一審・二審で死刑判決。しかし、最高裁が二審に差し戻して殺人について無罪判決。18年に及ぶ長期裁判で無罪が確定。
- 1975年
- 遠藤事件 - ひき逃げ事件で事件から一年後に男性が起訴。一審、二審で有罪判決も最高裁で逆転無罪判決。13年に及ぶ長期裁判。
1980年代
- 1980年
- 福岡覚醒剤密輸再審事件 - 覚せい剤密輸事件で起訴された男に懲役16年の有罪判決が確定。しかし、共犯とされた人物が証言を翻して再審無罪判決となる。
- 1981年
- 石見町女児殺人事件 - 女児が誘拐されて殺害された事件。男性が起訴されるも一審無罪判決で確定。
- 1985年
- 板橋強制わいせつ事件 - 少女にわいせつ行為を行ったとして男性が起訴。一審無罪判決も二審で逆転有罪判決。最高裁で再び無罪判決が言い渡された。
2000年代[編集]
- 2000年
- 下高井戸放火事件 - 放火をして保険金をだまし取ったとして起訴された事件。一審無罪判決で確定。
- 2002年
- 沖縄県南城市未公開株詐欺事件 - 未公開株で詐欺を行ったとして強制起訴された事件。一審、二審で無罪判決を言い渡されて確定。
- 2004年
- 引野口事件 - 放火殺人を行ったとして起訴された女性に対して一審で無罪判決で確定。
- 2008年
- 大阪府岬町5ヶ月男児虐待死事件 - 男児を死亡させたとして父親が逮捕された事件。父親は起訴されて一審で有罪判決も二審で無罪判決となって確定。
- 保育サービス利用詐欺事件 - 保育サービスを利用した詐欺事件を行ったとして有罪判決が確定。しかし、詐欺ではなかったという証明の書類が出てきて、再審無罪判決。
- 2009年
- 糸島市・福岡市連続放火事件 - 二件の放火事件について女性が起訴。一審では一部有罪判決も、二審で全面的に無罪判決。最高裁で確定。
- 鹿児島老夫婦殺害事件 - 強盗殺人罪で男性が起訴。死刑を求刑されるも、裁判員裁判で死刑を求刑された事件としては初の無罪判決。検察が控訴するも被疑者死亡で控訴棄却。
2010年代[編集]
- 2010年
- 八王子女性暴行事件 - 女性に乱暴をしたとして有罪判決が確定。しかし、目撃者が証言を翻して再審無罪。
- 2011年
- 岩木病院車椅子放火事件 - 病院で患者が火災により死亡。看護師が起訴されるも一審で無罪判決で確定。
- 宇都宮東警察署速度違反大量誤摘発事件 - 速度違反で大量の逮捕者・罰金刑を受けた4200件弱の事案が速度計が正しく作動していないことが判明した。
- 宮崎暴力団ゴルフ場利用詐欺事件 - 身分を偽ったとしてゴルフ場を利用したとして詐欺罪で起訴された暴力団関係者が、一審・二審で有罪判決も最高裁で逆転無罪判決。
- 2012年
- 鹿児島市17歳女性強姦事件 - 女性を強姦したとして男性が起訴された事件。一審で有罪判決が出るも、検察側のDNA鑑定できなかったとするDNA型を弁護側が再鑑定で検出して被告と別人だという結果がでたことで二審で逆転無罪判決。検察は上告せずに確定。
- 大阪府泉大津市コンビニエンスストア1万円窃盗事件 - コンビニエンスストアで発生した窃盗事件。証拠とされた指紋などに疑問があり、一審無罪判決で確定。
- 東京都葛飾区立小学校児童強制わいせつ事件 - 小学校で女児にセクハラをしたとして教師が起訴された事件。一審、二審で無罪判決。
- 広島市東区介護施設放火殺人事件 - 介護施設の入居者が焼死した事件。働いていた職員が逮捕されるも一審無罪判決で確定。
- 2013年
- 大阪市東淀川区下新庄仕出し弁当店菊屋強盗殺人未遂事件 - 弁当屋で働いていた女性が刺されて現金を奪われた強盗殺人未遂事件。男性が逮捕されるも、防犯カメラの映像が不鮮明などとして一審で無罪判決が出て確定。