「減反政策は終了」は建前か…農家への通達文書から判明した“農水省の嘘”《独自入手》
〈「この癒着がコメ不足を招いている」米価1.9倍の裏で 農水官僚28人がJA関連団体に“天下り”していた〉 から続く 【現物入手】「生産の目安を定めました」…農家に届いた「通達文書」
歴史的なコメ不足を巡り、農水省は「いわゆる減反政策は終了し、農家自らの経営判断によって生産量を調整している」などとしてきたが、その説明に矛盾が生じる農家への「通達文書」が存在することが、「 週刊文春 」の取材でわかった。当該文書を入手した。
コメ価格は前年比1.9倍の5キロ4000円前後まで高騰
昨年からのコメ不足を受け、前年比1.9倍にあたる5キロ4000円前後まで高騰している米価。3月10日には政府による備蓄米の入札が始まった。
「コメ不足の背景にあるのは、JAグループの要望を受ける形で、政府が事実上、継続している減反政策です」(農水省関係者)
「減反政策は終了」と説明していたが……
農水省は3月4日、減反政策を事実上継続させていることについて、「 週刊文春 」の取材に対し、以下のように回答していた。
「いわゆる減反政策については、平成30年(2018年)産より終了し、現在は、農業者や産地の自らの経営判断による『需要に応じた生産』を基本としているため、ご指摘には当たりません」
だが、「 週刊文春 」は今回、東日本でコメ作りを営む農家のもとに今年2月に届いた文書を独自入手。そこには次のような記述があった。
<米の生産数量(参考値)=〇〇玄米kg>
〈○○(地名)地域農業再生委員会における経営所得安定対策等の基本方針に基づき、あなたの令和7年産における生産の目安を下記の通り定めましたので、通知します〉 〈米の生産数量(参考値)=〇〇玄米kg/米の作付面積(参考値)=〇〇㎡〉 地域農業再生委員会とは、各地域のJA幹部らによって構成され、市町村と共同で活動している組織だ。つまり、農水省の回答とは裏腹に、農家自らの経営判断ではなく、地域農業再生委員会によって生産量の目安を定められていることになる。
「意思決定の経緯等については承知しておりません」
農水省に見解を尋ねたところ、以下のように回答した。 「国としては、平成30年(2018年)に米の生産数量目標の配分を廃止しています。
これを受け、生産者に『需要に応じた生産』を促すため、国は、食糧部会の意見も聴いて、翌年の需給の見通しを作成しています。各産地の再生協議会や生産者は、この需給の見通しを見つつ、自らの経営判断で作付けを行っており、再生協議会内部での意思決定の経緯等については承知しておりません」
一方、JAの総合調整機能を担うJA全中の会長に見解を尋ねたところ、以下のように回答した。
「JAグループは、国からの生産目安にもとづき、需要に応じた生産をすすめていますが、個々の生産者がどのような生産をされるかは個々の経営判断によるものと認識しています」
3月12日(水)12時配信の「 週刊文春 電子版 」ならびに、3月13日(木)発売の「週刊文春」では、会計検査院が「不適切」と指摘した“転作交付金”の存在、森山裕幹事長と蜜月関係にある“JAのドン”の正体、森山氏との一問一答などについて詳報している。 また、「 週刊文春 」デスクがチャレンジした“脱コメ”生活についても掲載している。
「週刊文春」編集部/週刊文春 2025年3月20日号
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