創作 人間の相性 6)

2024年09月18日 13時20分25秒 | 創作欄

足立幸雄は、水野晃に誘われ大宮の彼のアパートへ行くこととなる。

その日、本橋一郎は大阪へ取材に行っていたので、本橋の弟の明彦が同行する。

兄弟は別々の専門新聞に携わっていた。

一郎は医療関係であり、明彦は保険関係だった。

水野も保険関係であった。

ドアーを開けると奥の部屋で赤ちゃんの泣き声が聞こえてきた。

「遠慮せず、上がってよ」水野が二人を促す。

奥さんが居間で赤ちゃんを抱いて立っていた。

「本橋君、久しぶりね。結婚式以来だわね」奥さんが笑顔で迎え入れた。

「あら、あなたが足立さんのね。聞いているわ。私の父と足立さんお父さんは同じ会社だっのね、偶然なのね」親しみを込めて微笑む。

「もしかして、俺より早く足立君と出会っていたら、二人は結婚していたかもしれないな」水野らしい想像性の領域である。

彼はロマンチストであり、夢を好む男であった。

3人はビールを飲み、奥さんの道子さんの手料理を食べ交歓した。

また、赤ちゃんが泣き出す。

「何で、お前は泣くんだ」水野は赤子の腹をさする。

すると泣き止んで大きな目で二人の客を見上げていた。

座布団に横たわる女の子は、水野にそっくりの瞳であった。

 

 

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