東京国際映画祭に私が音楽を作曲した映画『そうかもしれない』が上映されたので出かける。この映画祭が渋谷一帯の映画館を巻き込んで開始された時から毎年楽しみにしてきたが、昨年は友人のピアニスト久保田修が音楽を担当した中国映画(『見知らぬ女からの手紙』)が上映され、今年は私が音楽を担当した映画が上映された。映画が大好きな私としては、私を含めた仲間が映画というエンタイテンメント作りに関わっていること自体がとても嬉しい。
久保田修の作った映画音楽は、ピアニストらしく、ピアノとストリングスが活躍するとても素敵なサウンド。ちょっとアンニュイでミステリアスな映画の内容にとってもふさわしかったことを覚えている(『見知らぬ女からの手紙』というタイトルもちょっとミステリアスだが)。しかし、私の担当した映画は、認知症にかかってしまう妻とそれを介護しながらも自らガンに犯され亡くなってしまう老作家の話しなので、音楽の立ち位置はとても難しい。全体がとても静かで重く流れていくので、音楽が軽くしゃしゃりでていくわけにもいかない。かといって、音楽でドラマを説明する必要もまったくない。俳優さんたちの演技がとても上手で余計な音楽はただ芝居の邪魔になるだけ。なので、私は音楽を極力減らし、最後の10分間に音楽を集中させた。なぜなら、映画のクライマックスのラスト10分間にはセリフらしいセリフがほとんどないからだ。逆に言うと、音楽を入れるならここですよと最初から監督に用意されていたような場所でもある。
私がこの映画で使った楽器は4種類だけだ。フルート、リコーダー、ハープ、そしてギター。フルートとリコーダーは私も演奏しているが、オープニングとエンディングの一番大事なところは、私が今プロデュースしているフルフルの6人の女性たちにまかせた。そして、ギターとハープ。ある意味、フルートと組む相手としてはベストな楽器だと思う。でも、ピアノとストリングスが普通にできる表現からすると、この4つの楽器だけでは大分制約されることは確か。しかし、制約されるからと言って、フルートがピアノや弦に表現力で負けているわけにはいかない。私は、あえてこの映画の音楽の中にピアノとストリングスの音を入れることを避けた。使おうと思えば使えたこの2つの楽器を、私はあえて使わなかった。ここは、一つフルートの楽器としての能力に賭けよう。そんな気持ちで書いたスコアだ。
一般公開はまだ先なので、すぐに見てくださいと言えないのがツライところだが、これからいろいろな機会に試写会が催されるはずだ。そんな情報もわかり次第お知らせするつもりだが、これだけは言える。見ておいてけっして損のない映画だ。見る人のそれぞれの立ち位置で感想はすべて変わるだろうが、どんな人の心にも何かを感じさせ、何かを残す映画であることは間違いない。
久保田修の作った映画音楽は、ピアニストらしく、ピアノとストリングスが活躍するとても素敵なサウンド。ちょっとアンニュイでミステリアスな映画の内容にとってもふさわしかったことを覚えている(『見知らぬ女からの手紙』というタイトルもちょっとミステリアスだが)。しかし、私の担当した映画は、認知症にかかってしまう妻とそれを介護しながらも自らガンに犯され亡くなってしまう老作家の話しなので、音楽の立ち位置はとても難しい。全体がとても静かで重く流れていくので、音楽が軽くしゃしゃりでていくわけにもいかない。かといって、音楽でドラマを説明する必要もまったくない。俳優さんたちの演技がとても上手で余計な音楽はただ芝居の邪魔になるだけ。なので、私は音楽を極力減らし、最後の10分間に音楽を集中させた。なぜなら、映画のクライマックスのラスト10分間にはセリフらしいセリフがほとんどないからだ。逆に言うと、音楽を入れるならここですよと最初から監督に用意されていたような場所でもある。
私がこの映画で使った楽器は4種類だけだ。フルート、リコーダー、ハープ、そしてギター。フルートとリコーダーは私も演奏しているが、オープニングとエンディングの一番大事なところは、私が今プロデュースしているフルフルの6人の女性たちにまかせた。そして、ギターとハープ。ある意味、フルートと組む相手としてはベストな楽器だと思う。でも、ピアノとストリングスが普通にできる表現からすると、この4つの楽器だけでは大分制約されることは確か。しかし、制約されるからと言って、フルートがピアノや弦に表現力で負けているわけにはいかない。私は、あえてこの映画の音楽の中にピアノとストリングスの音を入れることを避けた。使おうと思えば使えたこの2つの楽器を、私はあえて使わなかった。ここは、一つフルートの楽器としての能力に賭けよう。そんな気持ちで書いたスコアだ。
一般公開はまだ先なので、すぐに見てくださいと言えないのがツライところだが、これからいろいろな機会に試写会が催されるはずだ。そんな情報もわかり次第お知らせするつもりだが、これだけは言える。見ておいてけっして損のない映画だ。見る人のそれぞれの立ち位置で感想はすべて変わるだろうが、どんな人の心にも何かを感じさせ、何かを残す映画であることは間違いない。