みつとみ俊郎のダイアリー

音楽家みつとみ俊郎の日記です。伊豆高原の自宅で、脳出血で半身麻痺の妻の介護をしながら暮らしています。

私の文章を使った入試問題が参考書に掲載されるたびに

2017-08-15 13:35:19 | Weblog

「使われました」的な通知が著作権を管理してくれている会社から届く(もちろんこれは「だから印税が支払われますよ」という意味でもある)。

ただ、一方で、これがないと自分の著作がどの学校でどういう形で入試問題に使われたかは一切不明というのも「なんだかナ…」だ。

つまり、(信じられないだろうが)どなたかの文章を入試に使用した学校は(そのことを)著作権者に報告する義務はない。

もちろん、事前許諾のお伺いなどするはずがない(「アナタの著作のこの部分を入試で使いますがよろしいですか」といった事前承諾をやっていたら入試問題が漏洩されることになってしまうからだ)。

では、「使いました」という事後承諾があるかと言えば、これもごくごくたまに通知が来る程度で(それはかなりレアなケース)基本的に学校側が何を入試問題に使ったかは一切どこにも通知しないのが普通(学校って、どこまで上から目線なんダ!)。

しかも、さらに信じられないことに、この著作物の(入試問題への)転用には一切印税が発生しないことになっている(これって、普通「著作権の二次使用」にあたるんだけどな)。

つまり、勝手に使い放題どころか、入試は「タダで無断で使い放題」なのだ。

著作権法というのは複雑極まりない存在なのだけれども、ちょっと前に騒がれたように全ての音楽教室から印税を徴収するよと( JASRACが)言ってみたり、こういった目的(入試など)の使用は印税フリー扱いだったりと、どうもこの法律自体いい加減な「悪法」なのではという疑いを持ってしまう。

毎年、最低3、4カ所の学校入試で自著の中のどこかの文章が国語の問題として使われ続けているのでその頻度はかなり高いと思う。

自分のプロフィールに「最も入試で文章の使用される音楽家」などというコピーまで作っているが(笑)、これってあながちウソでも誇大広告でもないと思う。

最初に使用された頃(30年ちょっとぐらい前かナ?)はほとんど大学でばかり使用されていたが、最近は中学入試や高校入試の方が圧倒的に多い(中学や高校の国語のレベルが上がったというわけでもないんだろうけど)。

どういう形で使用されるかというと、いわゆる国語の入試問題のメインである最後の「長文読解」というヤツ。

9冊ある著作のうちどれが使われるかはわからないが、これまで新潮選書を5冊も出しているので、入試はこの選書のどれかから選ばれることが圧倒的に多い。

(問題を作る)先生たちは、岩波新書とか新潮選書とかそういった「権威ある著作物」からネタを探そうとする傾向が強いからだ(朝日新聞の天声人語が入試問題になるのも同じ理由に違いない)。

で、私がなんでこんなことをわざわざブログに書くかと言えば、入試問題にいくらたくさん使われても著作権者に印税が一切支払われないという著作権法のトンデモない実態を少しでも拡散して(これがどの程度の拡散になるのかはよくわからないが)、「え?そんなのアリ?」と皆さんに思ってもらいたいからだ。

30年以上前に最初の著作が某有名女子大の入試問題に使われた時、なんで著作権料が支払われないのか不思議でならなかった。

調べると著作権法の特例で「入試は営利目的ではないから印税を免除される」のだという。

これを聞いて「え〜?ウソ〜!入試って営利じゃん」と思われる人はけっして少なくないと思う。

ある意味、学校法人にとって入試こそが「稼ぎ時」だと認識している人も多いはず。

なのに、それがなぜ「特例」扱いされるのか。

まあ、こんな理不尽な悪しき日本の慣行がまかり通るのが世の中だと諦めてしまえばそれですべて終わりなのだが(ここに個人が首突っ込むとかなり「政治的マター」になってしまうので)、私は、一度知り合いの編集者に頼んで(あるメジャーな雑誌で)「これってオカシイんじゃないですか、入試問題」といったコンセプトの記事を特集してもらったことがある。

それでも、以来法律が変わったという話しはまったく聞かないので、相変わらず「学校の権利関係はブラック」のままなのだろう。

 

だから、私が自分の著作物が入試で使用され(二次使用料)という印税がいただけるのはその問題が「問題集」として出版された時だけ。

つまり、「二次使用料」は、学校が払うのではなく、入試問題集を出版する出版社が販売の利益の中から支払ってくれるのダ(でもこれって「印税」じゃないよネ。単なる「利益の分配」にしか過ぎないと思うんだけど)。

今回も問題のコピーが同封されてきた(学校と違って出版社は律儀だ)。

いつも思うのは、問題を出題する先生方は「正解」をどうやって考えられているのだろうかということ。

「この斜線部分で作者が言いたいことを30字以内で述べよ」といった問題、正解は何なのだろうか?といつも思う。

案外著者自身の点数が一番悪かったりして…(問題集の模範解答を見ると、案外それは当っているかもと思う、ハハハ)。