今日の「 お気に入り 」は 、今読み進めている本の
ところどころにある 、どこか気になる 、心に残る
フレーズ 。
備忘のため 、抜き書き 。
引用はじめ 。
「 人間というものは 」( 中略 )「 自分でこれが正
しい 、と思うことを固執するときには 、その眼
が狂い耳も聞えなくなるものだ 、なぜなら 、或
る信念にとらわれると 、その心にも偏向が生じる
からだ 。」
「 俗な譬(たと)えだが 、人間には食物にも好き嫌
いがある 。或る者には焼魚がもっともうまいし 、
他の者には魚は煮るのが本筋だと思う 、また料
理人は魚によって区別をし 、これは焼くものこ
れは煮るものと 、流儀によっておよそきめてか
かるようだ 、それが固執であり 、その固執は人
にかたよった考えをいだかせる 、魚に限らずど
んな食物でも 、自分でうまいと思う料理法で喰
べるのが正しいので 、料理人の主張だからこう
して喰べよう 、と思うのはすでに心が偏向して
いるからだ 」
「 人間はいつも 、正しいだけでは生きられない
ものだからな 」
「 一つのことが習慣になると 、それが変化するの
を嫌うのは 、人間の普遍的な本能だが 、その反
面 、無意識にその習慣を変えようとするのも 、
本能の中には慥 ( たし ) かにある 。 」
引用おわり 。
句点でなく 、読点で区切るのが 、この作家の文章
に見受けられる 癖 というか 、そこは句点でしょう
っと 、ちょっと気になる 文章作法 。
とは言え 、上の二つの文章は 、登場人物同士の会
話の中で 、登場人物の一方が 、もう一方の相手を
諭す 、その反論を許さない 、会話の流れを途切れ
させないよう 、読点でつなぐことこそが 、作家の
意図するところだったのかも知れません 。