理事長就任のご挨拶 丸井一郎
まずは前任の井上正雄さんに、法人の初代理事長としてのご努力を顕彰し、深く感謝します。
東北大震災と原発事故による放射能汚染という現実、また国の自立、とくに農業と地域の生活を売り渡すTPP導入という近未来の危機を前に、日本の社会全体と我々一人一人の生活について、これまでにない深刻な反省と油断のない未来の構想が求められています。その意味で、「土といのち」の存在意義は、ますます大きなものとなっています。一方で、とくに共同購入部門を中心に、多くの困難を抱えてもいます。ここで法人設立以前にもさかのぼって、会の意義・目的の根本を再確認する必要があります。
定款にあるように、この法人は、安全な農と食と環境を守るために、
①地場産の有機農産物や自然食品等の共同購入
②農産物の生産者と消費者の相互交流
③農と食と環境に関する学習・啓発等の活動
を通じて、地産地消・循環型農業の実現と地域経済の活性化に寄与するとともに、豊かな農と食と環境を子どもたちに残すことを目的とするものです。命の元(食べ物)がどこから来るか分からないということは亡国のもとです。互いのやり取りを通じて、生活の糧を受け渡すことの大切さを再確認したいものです。自分たちの生活の個々の場を自分たちの手に確保することなく、利便と気散じだけを求めていては足下をすくわれます。
私は長年コミュニケーション(言語相互行為)の研究をしてきました(飲食文化・料理だけじゃないです)。その上で言えるのは、上の3つの活動はすべて、種類は異なっても、オープンなコミュニケーションを必要不可欠とするということです。協力的な批判、批判的な協力が我々のような自発・自治・非営利の市民団体(正確には「特定非営利活動法人」)の基本であり根源です。
法人の意義・目的、目指すべき方向性や今後の運営方針の根本などについて、様々なレベルで大いに議論をしましょう。一般にこのような法人組織では任務・役割の区別はありますが、それは個々人の人格や主体性とは別です(もちろん人格を盾に役割を無視してはならないのですが)。様々に意見の相違もあるでしょう。しかし開かれた議論では、意見と人格は別です。それを前提にして、法人の運営については、できるだけ公明正大な理屈の通る方式を目指していく所存です。会員の皆々様と運営担当者各位の方々の自発的貢献を期待します。
管理人記
3月17日の定期総会で新しい役員が選任され、理事長も交代しました。
この挨拶文は『お便り・お知らせ』5月号より転載したものです。
3月17日の定期総会で新しい役員が選任され、理事長も交代しました。
この挨拶文は『お便り・お知らせ』5月号より転載したものです。