今日は、野菜ソムリエ協会名古屋支社が開催する
「あなたの知らない機能性みかんの舞台裏~静岡みかんの取組み~」
に出席させていただきました。
静岡県経済連 みかん園芸部 萩原様のお話を伺いました。
機能性表示食品制度は2015年の4月に始まりました。
そして、その年の11月 静岡県の三ケ日みかんが
生鮮食品としては初めてその認定を受けました。
その機能性表示内容は
「β‐クリプトキサンチンは骨代謝のはたらきを助けることにより、
骨の健康維持に役立つことが報告されています。」
さて、あれから丸2年が経ちました。
現在、機能性表示食品に認定されているものは1110件。
そのうち、生鮮食品はわずか9件。
しかし、9件とは言っても、その内容はみかんともやしだけ。
そして、みかんの中で認定を受けたものは、
三ケ日みかんに加えて、「とぴあ浜松」、「清水」、「南駿」、「広島」の5件で
「広島」以外は、すべて静岡県のみかんということになります。
どうして、生鮮品の機能性表示は広まらないのでしょうか?
その理由をまとめてみます。
●届け出が大変
トクホのように莫大な時間とお金がかかるわけではありませんが、
認定を受けるためには、多くの書類を準備しなければなりません。
その中でも特に大変なのが、SR(システマティックレビュー)の提出。
いくつかの論文を調査し、データの偏りがないように
分析を行わなければなりませんが、
これは研究機関や大学の先生にお願いして作成してもらいます。
必要書類の中でも、このSRに時間を要します。
●生鮮食品は、機能性をアピールして販売しにくい。
サプリメントや飲料は、機能性成分を添加することで一定量を表示できますが、
野菜や果物は、採れる時期によって成分にばらつきが出ます。
つまり、「〇〇を▲▲mg含んでいます。」と言った表示がしにくいわけです。
●容器包装にもルールが!!
機能性表示食品として販売できるのは、届出済の容器包装のみ。
つまりこういうことです。
この箱は届出済なので、
この箱に入った三ケ日みかんは、機能性表示食品として販売できます。
この箱から出して、小分けして売る場合、
このポリ袋なら、機能性表示食品として売ることができます。
このスタンドパックでも、機能性表示食品として売ることはできます。
しかし、同じ箱から出したみかんでも、このネットに入れて売ったら、
機能性表示食品とは認められません。
なぜならば、このネットは届出をしていないからです。
どのみかんにも、β‐クリプトキサンチンは含まれていて、
骨の健康維持に役立つのに、容器が違うだけで機能性表示食品にはならず、
「普通のみかん」になってしまう・・・。
なんか、おかしいですよね。
おまけに、小売店はこの「特別な容器」をわざわざお金を払って
購入しなければならないのです。
こんないくつもの「関所」があるため、
生鮮食品の機能性表示はなかなか広まらないのです。
でも、静岡県のみかん産地に加えて、広島県が手を挙げてくれたのは
大切な「一歩」のように思えます。
これがきっかけで、みかんの消費量が増えると良いと願っています。