うさぎくん

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既存不適格

2018年06月18日 | 社会・経済

大阪のほうで大きな地震が起きたということで、夜のニュースはその話題で持ちきりだった。亡くなられた方、怪我をされたり、あるいは移動中に困難に遭われた皆様、心よりお見舞い申し上げます。

とりわけ、崩れてきた塀に巻き込まれて亡くなられた方が何名かおられるということで、大変痛ましく思う。ニュースでも、こうした事故は地震のたびに繰り返されるので、対策を取るべきだと解説していた。

この件に関しては他人事とすることはできない。7年前の3.11のとき、我が家(旧宅)でも、ブロック塀の上にあった大谷石が落ちていたからだ。

ブロック塀は袋小路となっている私道に面して作られ、直角に奥に向かっていく塀と連結されており、太い門柱ともつながっていた。ただ、塀の最上段に飾りのつもりなのか、門柱と同じ大谷石がセメントで取り付けられていた。大谷石というのは表面が割とやわらかくて、ボロボロはがれる傾向がある。上の写真でも門柱が、近所の車にこすられて白い表面が出ているが、門柱の様に表面積が大きいものはともかく、ブロック塀のような細い接着面では、剥がれる恐れはありうる。経年もあっただろうけど(この10年ほど前には、ここにフックをつけてプランターをひっかけていた)、機会があれば取り除いておいた方が良かったのかもしれない。塀の高さは1.5mほどだが、小さな子供が脇にいたら、けがをさせる恐れは十分にありえた。

築年は昭和47年2月で、耐震性に対する基準を引き上げた新建築基準法施行前の建築、いわゆる既存不適格の建築に相当した。

ずっと前に書いたかもしれないが、この家は昔ながらの日本家屋ではなく、一時期流行した今風(当時なりの)の作りで、柱などは細く華奢な作りだったと思う。

ただし、古い日本家屋と違うのは、部屋をふすまで仕切るのではなく、壁としていたことだ。昔の家は、ふすまを外すと広い間続きの部屋になったものだが、この家は核家族むけというか、個々の部屋が独立している。各階に二部屋(バス、キッチン、廊下等をのぞく)あったので、ちょうど真ん中に壁の仕切りがある形だった。これが地震のときは有利に働いたようだ。建物は中央の仕切りを中心にして、ねじれるように揺れた。仕切りの付近に置かれた本棚等は比較的倒れにくかった。部屋の四隅ほどよく揺れるので、その付近のものはよく倒れたり落ちたりしていた。ふすまで仕切られた家は、応力を壁ではなく柱だけで受けるので、その分不利なこともあろう。

とはいえ、家の四隅に揺れの力が回れば、そこが壊れることになる。

上の写真は地震後に撮影した、建物の四隅の一角で、モルタルが剥がれて柱が露出している。

玄関わきのタイルの飾り。反対側の壁も割れていた。

地震保険の査定員がこれらを見て、建物半壊という認定を下した。お客さんがどうするかは自由だが、といって、保険金の手続きをしてくれたが、たしか10万円くらい支給されたと思う。

旧宅は遠目には丈夫だがあちこちに痛みが目立ち、地震のときもほんとうによく揺れた。各地で大きな地震が起きるたび、今度首都圏で大きな地震が起きたら、間違いなく全壊してしまうだろう、そうしたらご近所に迷惑かけるよな、と思い、気が気ではなかった。かといって、一度改修に手を出したら、それこそ全部立て直すくらいの覚悟が必要だろう、どうしたものか、と悩んでもいた。

家を処分して解体したのは、かなり急なことだったが、今でも関係者の方と話すとき、やっぱりあのとき解体して正解だった、という話になる。家に対するセンチメンタルな感情もないではないが、現実的な結論としては、うなづかざるを得ない。

コメント
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