本屋もレコード屋も経営的には厳しい時代になった。旧宅の近くでは、地元駅前の本屋はもう10年以上前に撤退、前後数駅の繁華街にあった本屋も次々となくなり、今年初めには最後に残った隣の駅の本屋が店を閉めたらしい。
幸い現宅の近くにはまだ駅ビルやモールなどに本屋がいくつかある。なるべくそうした店で買うようにはしているが、かさばる紙の本を買うのは気が進まなかったり、ネットで注文することが多いことも事実だ。
レコード屋は都心の大型店もほとんどなくなった。これも、近所の大型モールにはそこそこの規模のものが残っている(というか、4年前にできた)。機会があればその店で買ってみたいと思っていたが、探し見てると欲しいものがあまりない。先月ジャズを買ってみるかと思い、ようやくその店で買うことができた。
とはいえ、何かジャズを、という気持ちで探したので、選ぶのは結構難儀した。。
『へヴィー・ウェザー』は硬軟2枚(というか、聞きやすいか歯ごたえがあるか)で選んだうちの軟のほうだが、もちろんこちらも聞きごたえ十分です。
1977年のリリースなので、時代的にはほぼリアルタイムで聞けたかもしれないが、そのころは洋楽ロックがせいぜいでこのアルバムのことは知らなかった。ので、後学習となる。77年て、自分のジャズの感じでいうと新しい感じがしますけどね。しょうじき、50年代、60年代の全盛期のジャズは、嫌いではないが聞くのにちょっと覚悟がいるが、この時代の曲はわりとすっと入れる。
若いころ住んでいた街に、将棋みたいな名前の餃子屋があった(回りくどすぎるか。。)太ったあんちゃんが一人、または弟子とやっていて、10人もすればいっぱいになるような小さな店だった。結構面白いというか、自動ドアが壊れて手動と書いてあったり、テレビも前はあったのが壊れてそのままになっていたりと、妙に味のあるみせだった。。それはともかく。
このあんちゃんは、調理の合間に客、または弟子とよくおしゃべりをするのが好きだった。僕が聞き手になることは全くなかったが、店が狭いから良く聞こえる。ちょっとテレビドラマか何かに出てくるような人だった。
そのひとがあるとき、マイルスの話をしていた。このアルバム(『ビッチェス・ブリュー』、1969年)は高校生の頃に出たそうで、「ビートルズが出てきて、すげえな、毎年どんどんすごくなっていく。ジャズもどんどん進化して、このアルバムが出たとき、こりゃすげえ、今がこれだけすごいんなら、この先いったいどうなるんだろう・・と思っていたら何のことはない、あれが一番すごいときだったんだね。。」
こういう話はとても興味深いですね。リアル・タイムでビートルズとかマイルスとか聞いていたら、いったいどういう思いをするのだろうというのは。生憎最近の音楽家でそういう体験ができる人って、思い浮かばないです。
今聞くと、新しいタイプのアプローチであることはわかるが、たぶん昔からよくFMなどで聞くともなしに聞いていたのだろう、それほど抵抗感は感じない。
というわけで、こちらもなかなか結構でございました。。