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うさぎくん

小鳥の話、読書、カメラ、音楽、まち歩きなどが中心のブログです。

無力

2019年08月06日 | 日記・エッセイ・コラム
74回目の8月6日を迎え、人々は怒りや憎しみではなく、まずは悲しみや慈しみでつながることができれば、などと考えながらデスクに向かっています。
しかし現実の世界、特にネットに流れてくる様々な言葉は、実に剣呑であります。
できれば多くの声なき人々は、より賢明であると信じたいものです。。

直接事件に触れるつもりはありませんが、今話題になっている(美術展に関し議論されている)表現の自由、という言葉を聞いて、米のドラマ「ザ・ホワイトハウス(season 6) - In The Room 」のエピソードを思い出しました。

ホワイトハウスのイーストルームで開かれた大統領の末娘ゾーイの誕生パーティに、マジシャンのPen & Tellerが招かれます。Penはホワイトハウスで仕事ができることを光栄に思うと言い、権利章典の書かれた紙と、アメリカ国旗を使ったマジックを披露します。

権利章典を筒状にして、そこに折りたたんだ国旗を差し入れて「火をつける」。すると煙があがって国旗は消えてしまう。だが権利章典は焦げもせず無事だ、というマジック。
国旗は火をつけられ「燃えた」ように見えたため、その意義を知る上級職員たちは凍り付きます。

記者たちは「ホワイトハウスで国旗を燃やしたのか?」と政府に質問を浴びせかけ、職員たちは「火消し」に追われる。
次席補佐官ジョシュはPen & Tellerに釈明と謝罪文を求めるが、Penに「国旗を燃やすのが抗議の意味ではなく、国旗を燃やすこともできる自由を祝う意味だとしたら?ここの職員たちはみんな、どんなことがあっても国民の自由を守ろうと誓いを立てているのでしょう?」とかわされ、思わず「(あなた)ロースクールの出身?」とPenに尋ねる。
ドラマではこののち共和党の大統領指名候補として中心的な存在となる、アーノルド・ヴィニック上院議員。ホワイトハウスで国旗を焼いた(かもしれない)事件は、その気になれば政府(民主党)を攻撃する材料となり得る話題です。しかし彼は、訪ねてきたジョシュに「二度とホワイトハウスで国旗を焼くな」と抗議しつつ、党内の声を抑えて批判の先鋒となることを避けます。

記者から「どう思うか?」と聞かれても、あれは大統領家のプライベートなパーティだ、詳細を問いただす権利はないと追及を避け、「これこそは(ちょうど中国訪問をしている)大統領が彼らに教えようとしていることだ。つまり「自由」だ。マジシャンが焼いたのが中国の国旗や権利章典でなくてよかった。もともと中国に権利章典などないが・」と切り返します。

基調となるのは「星条旗を焼く」ことに対する、人々が潜在的に抱く嫌悪感と、表現の自由を尊重しようとする考え方とのせめぎあいです。アメリカでは国旗をないがしろにする行動は特に保守派を刺激するようです。(自国の)国旗を焼くことを禁じる法律は、米国ではまだ立法化されいていない?様ですが、ドラマでは立法化しようという動きがあったことが示唆されています。

他方、人々の自由を尊重し権利を守る思想は、アメリカのアイデンティティそのものでしょう。拳銃を持つ権利だって、なかなか手放せないぐらいです。。

Penはマジックで権利章典を紹介するとき「僕のお気に入りはやはり修正第一条だね。すべての国民、すべてのマジシャンに表現の自由を認めるという・」と語っています。
Pen & Tellerは実在のマジシャンで有名なコンビらしいのですが、ドラマではユーモアと気骨を兼ね備えたエンターテイナーという描写になっています。

これはドラマだから、話としてきれいにまとまっているということはありますが、表現の自由という問題について、色々考えさせられるエピソードだな、と改めて思います。

で、話は現在の日本に戻りますが、ネット上の剣呑な雰囲気を見ていると、ふと自分がこうして何か書くことに対する無力感のようなものを感じることがあります。。

コメント
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