うさぎくん

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ゆきねえのセイ!ヤング

2018年03月29日 | 昔のラジオ、テレビ

深夜放送をよく聞いていたのは中学生ぐらいのころで、高校生になるころにはそれほど熱心には聞かなくなっていた。あの頃、友達が聞いていて学校で話題になるから、と番組を聞いたりしていたが、年齢とともにあまり話題にしなくなったのだろう。夜更かしして2-3時間寝ただけで学校に行く、なんてことをしていたから、身長が伸びなかったと、若いころ悔やんでいたこともあったな。まあ後悔後を絶たずみたいな話だけど。

ので、高校生ぐらいになると夜更かしもほどほどにする知恵もついてきたのだろう。今回これを書くために、wikipediaでセイ!ヤング(東京の文化放送が深夜1時~3時ごろ放送していたラジオ番組)のことを調べたら、僕が放送を聞かなくなってから間もなく、放送枠自体がなくなっていたことを初めて知った。

文化放送自体、それほど熱心に聞いていたわけではなかった。セイ!ヤングで多少でも聞いていたのは、谷村新司さんや、吉田拓郎さんの放送ぐらいか。

吉田拓郎は結構好きで割と聞いていたけど、放送当時の拓郎さんは、斯界の大御所ではあったものの、その活動状況は爆発的な人気を誇っていた20代の最高の時期ではなくて、そのせいかなんというかやや地味な番組という印象があった(そこが好きだったような気もする)。

とはいえ、最終回のとき、放送を担当してリスナーの声を聴いているうちに、新たな活躍をする良い刺激になったと、コメントされていたとおり、放送の期間はもちろん、その後も精力的な活動を継続していくことになる。

もう一人印象に残っているのが、兵頭ゆきさんだ。これもwikipediaを調べると、当初は東海地区を中心に活躍していたものが、ちょうど放送を担当してた頃から次第に全国的な人気を博すようになってきた、のだという。そもそもラジオを聞いたころ、兵頭ゆきというひとがどんな顔の人なのか、見たことがなかった。あのさばさばした語り口は昔から変わらないが、その後テレビで見かける兵頭さんは、また別のキャラクターを見せているような気もしないではない。ラジオの頃のゆきねえは、どちらかというとやはりとても地味な存在だったのだ(友人に兵頭ゆきのラジオを聴いている、と言ったら、あのシャンプーのCMの、と言われた。それは兵頭まこ。長い髪が素敵なモデルさんでしたね。ちなみにちなみに、これまたwikiで調べて、その後は声優として活躍されていたということを、これまた初めて知った・・)。

などと書いているが、正直ゆきねえのセイ!ヤングを聞いていたのはたぶん数回とか、そのくらいかもしれない。ただ、関心があったことは確かで、それが証拠に最終回のさいごの部分を、テープに録音したのが残っている。

だいたい、こういう昔話を書くときは、その放送を録音して、あとから繰り返し聴いているから、ということが多い。このゆきねえの最終回もそうだ。放送終了は3月の末頃なので、たぶん春休みで、たまたま遅くまで起きていたのだと思う。聞いているうちに最終回と知って、慌ててテープを探して録音したらしい。

セイ!ヤングでは最終回なのだが、聞いているうちにどうやら、来週からはTBSラジオ(パックインミュージック)のパーソナリティとして放送が続くことが決まっていたらしい。「来週赤坂(TBSのスタジオがある場所)で会えちゃうんだもん!(だから寂しくない)」などと言っている。

放送終了間際になって、リスナーのはがきを読みながらお悩み相談のようなこともしている。

たぶん高校生ぐらいの女の子だと思うが、「どうして何をやってもうまくいく人と、努力してもうまくいかない人がいるのでしょうか。あまりの不公平に私何も言えません。。」「幸せってどういうことなのでしょう。私のうちはふつうのサラリーマンで、お金持ちのうちの子からみたら不幸なのかもしれないけど、もしそのうちの子が病気だったりしたら、一家健康なうちは幸せなのかもしれない・・」などというはがきを紹介している。それを受けて、ゆきねえがなにか良いと思うことがあったら、夢中になってやってごらん、みたいなことを言ったのかな。細かいことは忘れたけど、ゆきねえがこういうストレートな悩みに答える姿を見ると、なんというか説得力があって、いいもんだな、と当時も思ったのだと思う。

最後に答えたのが、28歳のサラリーマンだかの人の投稿で、前半録音が残っていないが、「大人になるというのはいとおしさとか悲しさとか、そういうものを全部飲み込むことなのだ、と悟りました」みたいなことを言ったらしい。これに対し、「そんなことはない。そういうものが心の中にたくさんたまって、あふれ出てしまっている人のほうが、むしろ素敵ね。」と答える。

ゆきねえは、大人になって、そんなに堅苦しく自分を抑えるのではなく、もっと自分の粗野な部分を出してしまっても大丈夫、通用するから、という。もし通用しないなら痛い目にあって、それはダメなんだとわかる(そしたら直せばいい)。今日、仕事で会った43歳の中年のおじさんに、将来どんな風になりたいか、と聞いたら、「社長になりたんだ!」と言われた。なんか子供が意地はっていってるみたいで、いとおしい感じがした。だから、あなたもそんなに堅苦しく考えないで・。

当時の僕はまだ大人の世界など知らず、しかし、そろそろそこに仲間入りする自分を想像できる時期に入りつつあり、より身近に期待や不安を感じられるようになっていた。ので、28歳(すごい大人だ)の人も色々悩むことがあるんだなあ、とか、粗野な部分を出していいよ、という言葉に勇気づけられるなあ、と思ったりした。

そんなこんなで、僕にとってゆきねえは、フランクで頼りになる姉御、という印象が強い。

ずいぶん長く書いたが、もう一つ言いたいことがある。放送の最後に流れていた曲のことだ。wikiではセイ!ヤングの後テーマ曲は「夜を横切る君には」となっているが、僕が記憶しているのとは違う曲だ。エコーの効いた女性の声の歌だった。イントロはピアノで静かに始まる。歌のが始まるとすぐ、ゆきねえのおしゃべりが入ってしまうので、歌詞前半はほとんどわからない。雰囲気、少年が深夜に、部屋の窓を開けて星を眺めながら夢想するという、内容のようだ。

星降る夜は・・(以下歌詞不詳)

風に炎は ゆらめいて

ガラス窓が たたかれる

落ちて行け 落ちて行け

あなたの部屋に 僕の愛

今宵恋が僕を 染めて行く 

今宵恋が僕を 染めて行く

もしかしたら兵頭さんが歌っているのかもしれないし、正式にレコードとして発売されたものではないのかもしれない。いずれにしても、この曲に関する情報はネット上でも目にしたことがない。


今日もまた長い夜。

日中色々な人と会い、色々な話をした。

何年かしたら、今日のことを思い出すこともあるのかもしれないな。

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