「以前だったらどうってことのないキリトリ(債権回収)の仕事も、最近は本当に苦労するようになった。なかなか仕事が前へ進んでいかない。やっぱり、暴対法、暴排条例の影響は大きい」
篠田建市(通称・司忍)6代目組長率いる山口組の有力2次団体幹部がこうボヤく。
だが、このコメントは意味深長だ。暴力団、あるいはその組員に対してこれだけ締め付けが厳しくなっているにもかかわらず、相も変わらずキリトリが立派なシノギ(資金獲得活動)になっている。
この幹部は「もちろん、依頼してくるのは、カタギの連中だ」と話した上で、こう続ける。
「交渉相手は詐欺師や元ヤクザといった半端者ばかり。それでも“立派な”カタギであることは間違いない。こちらがちょっと強く出ると、奴らはすぐに警察に駆け込むから始末におえない」
もし暴力団組員に債権回収を依頼したことが明らかになると、たとえ依頼した側が一般市民だったとしても、暴排条例に引っ掛かることとなり、“密接交際者”に認定されて銀行取引などで不利益を被ることになる。
それでも一般市民は、たびたび暴力団を頼ってくるという。
「そんな連中相手のキリトリなんて、弁護士にはとても無理。間違いなく俺たちの出番だ」(先の幹部)
暴力団あるいはその組員が貸し手となった形の闇金も、ここにきて急成長している。
警視庁組織犯罪対策4課は7日、違法な高金利で現金を貸し付けたとして、神戸山口組(井上邦雄組長)の2次団体「英(はなぶさ)組」の組長、藤田恭右(やすみち)容疑者を出資法違反(高金利)などの容疑で逮捕した。
組対4課の調べによると、藤田容疑者らは2010年から今年にかけて、約300人に金を貸し約2億円もの利益を上げていたというのだ。
「もちろんこれは、氷山の一角。英組が闇金で得ていた利益は、2億円なんてものではない。ケタが1つ違う」(山口組関係者)
こうした状況から考えても、闇金が暴力団の有力な資金源となっているのは明らかなようだ。
とはいえ、今の時代、暴力団の組員が前面に出て、シノギを仕切ることはほとんどないという。
「そんなことをしたら、すぐに警察が出てきてしまう。そこは、半グレや元ヤクザを使う形で、ワンクッション置く。あくまでも奴らは、警察から見ればカタギだからね」(同)
暴力団を必要とする一般市民がいる以上、彼らのシノギは安泰とも言える。
出典元
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20161226/dms1612261530002-n2.htm
■須田慎一郎(すだ・しんいちろう) 1961年、東京都生まれ。日大経済学部卒。経済誌の記者をへてジャーナリストに。金融業界から反社会的勢力などフィールドは多岐にわたる。「巨大銀行沈没」(新潮社)、「暴力団と企業 ブラックマネー侵入の手口」(宝島社新書)など著書多数。