今年もあと2週間。
大阪・梅田のデパートはおせち料理を申し込む人で連日にぎわっています。
Q.ご予算は?
「2万5千円くらい。あまり高くついてもしょうがない」(客)
今年の人気は少人数で食べられ、そして価格が抑え目のものとのこと。
「おひとり様用のおせちが2つ付いている」(阪神梅田本店 石原正人さん)
おせち以外にもオードブルの段もあって、
正月はもちろん、大晦日などお酒のお供にもなる内容です。
そして、やはり根強い人気があるのは、
エビやカズノコなどが入った定番のおせち。
こちらの1段重はお子さんが独立したご夫婦や若いカップルに人気とのこと。
しかし今、このおせち料理が危機に直面しているというのです。
たくさん卵ができることから子孫繁栄の意味が込められる数の子やイクラ。
しかし、数の子は1割アップ、イクラにいたっては倍の値段になっているというのです。
「高かった。鮭を買おうと思ったら2切れで7〜800円した。
鮭がその値段だから、イクラが高いのはわかる」(主婦)
北海道での鮭の水揚げは例年の6割。
漁獲量の減少が価格を引き上げているのです。
成長して今年獲られるはずだった鮭が、
稚魚の時に海水温の上昇などなんらかの影響を受けたことが
不漁の原因とみられています。
そして、正月といえば「めでたい」という縁起物、
尾頭付きの鯛はどうなのでしょうか?
『明石鯛』のブランドで有名な兵庫県明石市。
取材班は状況を調べるため、鯛つり一本で勝負している釣り船に乗せてもらいました。
鯛釣りは今年21回目だという男性に最近の状況を聞くと…
「7月8月はちょっとひどかった、今年は。去年は良かったけど」(男性)
鯛もピンチなのか?正月料理の華、焼き鯛に黄色信号が灯り始めたその時!
「来た来た」(男性)
上がってきたのは40センチほどあるマダイ。
一方こちらはなんと64センチ。
卸値で1万円は超えるそうです。
船長によると、夏から秋にかけては水温が高くて鯛が釣れませんでしたが、
正月を前にして適温になってきたというのです。
「この時期12月はなかなか鯛釣りはできない。
今年に限ってはまだ水温が高いので明石で鯛釣りができる」(海豚 大村健治船長)
地元の鮮魚店に聞いても量、値段ともに例年通りとのこと。
「おめで鯛」お正月が迎えられそうです。
他にピンチの食材はあるのでしょうか?
大阪市中央卸売市場、海産物の加工食品を扱う仲買人に聞くと、
やはり値段が上がっているおせちの食材がありました。
「ごまめがね、今年は夏から量目が悪くて、
上物が少なくなっている」(上市 淨弘悠木彦代表取締役)
豊作を願う意味を込めたごまめ。
材料となるカタクチイワシの価格が3割ほど上がっているのです。
「去年やったら1万5、6千円だったものが今年は2万円とかそういう状態が続いています」
今年のカタクチイワシは、ごまめに丁度いいサイズのものが少ないのだといいます。
棒だらも、去年より2割ほど価格が上がっているとのこと。
いったい、おせち料理はどうなってしまうのか?
大正元年創業の老舗佃煮店。何十年も継ぎ足しながら使っている
秘伝の煮汁で炊き上げ、
1晩寝かせて作る昆布巻きが看板商品です。
ニシンや鮭を巻いた昆布巻きは「喜ぶ」に通じて縁起がいいと
おせちの定番ですが喜べない事情が…
「秋鮭が少ないので他の鮭も値段があがった」(やまもと 山本卓秀社長)
北海道の鮭の不漁は昆布巻きにも影響を及ぼしていました。
「ちょっと身を細くしたり、工夫で値上げせずやっていこうと」
価格高騰は海産物だけなのでしょうか?
大阪府門真市、
沼地が多いこの場所では昔からある作物が作られてきました。
『クワイ』です。
「芽が出る」として出世の願いを込めるクワイ。
クワイはほとんどが正月に消費されるため、
1年に2日しか出荷日がありません。
今年の出来はどうだったのでしょうか。
「(悪いところで)去年を10としたら6くらい。
気候(の変化)が激しい。
暑かったり、雨がバーンと降ったり」(クワイ農家 中道隆英さん)
5月に種付けし半年。
正月前のこの時期に勝負をかけるクワイ農家。
天候に翻弄され憤懣やるかたない様子です。
収穫量が前年の6割だと、
小売価格にもかなりの影響が出るとみられます。
年末の大仕事、これからおせち作りをする人も戸惑いを隠せません。
「イクラが欲しいんだけど手に入らない。ずっと11月から注文しているのに」(女性)
「カズノコは去年より高い。買わないわけにはいかない。買ってきました」(女性)
芽が出る前に目が飛び出そうなお値段。お正月の買物は今週いよいよ本格化します。
BY MBS