在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

コッレステファノ

2008-05-14 22:19:22 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
Collestefano -Marche
ヴェルディッキオと言うと、カステッリ・ディ・イエージが有名だが、マテリカもある。
マテリカの方が生産範囲が狭くなり、またかなり内陸に位置するので、その分デリケートなワインとなる。
両者を比べると、マテリカの方が、ぶどうの成長が3週間くらい遅いのだそうだ。
そのマテリカにワイナリー、コッレステファノがある。
夫婦二人で経営していて、本当に小さなワイナリーである。造っているワインはヴェルディッキオ1種のみ。
しかし、経営者の夫の方は、長くアルザスで勉強したという経験を持つ。そのせいか、イタリアワインらしくないワインである。

最近のイタリアワインはアルコール度が高過ぎて、と彼は言うが(確かに私もあまりの高アルコール度には時々閉口する)、それほどアルコール度の高くない飲みやすいワインを造りたい思って造っている。
なるほど、アルコール度12.5度程度で、いまどきのイタリアワインにしてはだいぶ低い。
(これからも、アルコール度を抑えたワインを造りたいという人が出てきて欲しいものである。)
そして、ビオ。自然な選択である。畑には適度に草が茂り、小さな花が咲き、ブドウと自然が共存しているのが確認できた。

それから、造り方が面白い。
発酵させた後、すぐにボトルに詰め、ボトルのみで熟成させている。
少し違うが、アブルッツォの有名なビオワインを造っているエミディオ・ペペEmidio Pepeも、ステンレスや樽の熟成を一切せず、すぐにボトルに詰め、ボトル熟のみとしているところは共通するかもしれない。
どうして、そういう造り方をしてるのか?と聞いてみたら、昔は、みんなこんな造り方だったんだよ、と。確かに、日本ではワイン造りの長い伝統はないが、イタリアでは、ブドウの樹を持っていれば、また、持っていなくでも、ワイン用のブドウを買って、適当に自家製ワインを造っていた。そんな時代は確かに、発酵が終わったら、ボトルに詰めておいておいたのだろう。そして、飲むまでは自然にボトル熟となる。
出来上がったワインは、非常に酸味の強い、爽やかでいてやさしいワインであった。
まだ隠れたところに、こんなに良いワインが眠っているなんて。
そして信じられないほど値段が安い。現地で買って5ユーロである。
(縦型試飲をしたので、それについては、また。)