(写真は中国雲南省の玉龍雪山近く。)
2007年5月27日公演分
7月27日。
テレビで、念願の俳優祭『白雪姫』を観ることができた。
白雪姫は一般的には義母的考えが広まっているが、本来の『白雪姫』は実母論が有力視されている。
この舞台ではグリム兄弟(作)の義母説で、脚本が書かれていた。
尾上菊五郎作・演出による『白雪姫』は、私のような歌舞伎にわかファンでもわかりやすい遊び心が多い。
『銘木先代萩』の「うれしい~うれしい~。」や、『鎌倉三代記』の絹川村閑居の場の時姫。
『五斗三番叟』の目抜き?の連中が出てくる部分。
『道成寺』の蝶の場面(初めは二人。但し、この芝居では本当は蝶ではなく、小鳥という設定。)。
琴場面の『阿古屋』。
『勧進帳』の読む場面。
團十郎のハタキor箒(ほうき)六法。
どはでな『児雷也豪傑譚』のメークなどなど。
・・・他にも多くのパロディが盛りだくさんに織り込まれている。
どこかしこに、ここもあった、あそこもあった・・・といったシーンが多くて、芝居心をくすぐる。
市川團十郎と海老蔵の鏡であわす場面は、笑った。
「くどい!」と「ここは暗転」の台詞には噴出してしまう。
市川團十郎のメークと表情、おばはん的な動きが魅力的だ。
團十郎の花道での『ハタキ六法』或いは『箒六法』とでも申しましょうか・・・とにかくおかしく、また魅力的でした。
小鳥役の中村時蔵と中村芝雀は美しくて品がよく好きだ。
他にも好きな中村福助や片岡孝太郎、中村七之助等が、小鳥役を演じられている。
小人役(童 )の中村吉右衛門、片岡仁左衛門 、中村梅玉、市川左團次、市川段四郎、片岡秀太郎、波乃久里子等の、意識的な一本調子は見事に心をとらえる。
中でも 片岡秀太郎の愛くるしさは、たまらなく魅力的だった。
片岡仁左衛門の大きなみの動きは見ていて飽きない。でも、台詞が・・・少ないよ~~もっともっともっと多ければよかったのに・・・
中村吉右衛門の幸四郎に対する、
「もし、そこのわしによく似たお方・・・」
という台詞には、笑ってしまった。
動物たちの市川染五郎と尾上菊之助の可愛らしいこと、可愛らしいこと・・・・・・
また、 中村橋之助のわざと外した見得の切りようも楽しい・・・。ちなみに私は橋之助の見得も、好き・・・。
片岡愛之助も声よく、男前だ。
他の動物たちを演じられた役者さんも、それぞれに個性的。
先ほども少し触れたが、尾上菊五郎のわざと施した『児雷也豪傑譚』を思わせるグロテスクなメークは、逆に心地が良い。
後ろに黒衣をひかえ、千手観音。
その見事なまでに美しくしなやかな、洗練された千手観音の手の動きは、尾上菊五郎の実力には、魅了される。
おそらく菊五郎劇団の人たちなのだろうか・・・
千手観音はやがて黒衣を利用して、電車に・・・
完璧な練習の上に成り立つ技を、みせてくださった。
白雪姫役の坂東玉三郎は美しい。
白雪姫だが、若さと愛らしさを表すため、赤姫の衣裳。
琴を奏でる場面と花道での舞は、歌舞伎も観ているという満足感が味わえる。
加えて松本幸四郎の王子様は、洋風の幸四郎では無く、歌舞伎の型を大切にした台詞で、見ごたえがある。
素敵・・・
この場面を守り立てているのが、何を隠そう、小人役(童 )。
中村吉右衛門、片岡仁左衛門 、中村梅玉、市川左團次、市川段四郎、片岡秀太郎、波乃久里子等の、意識的な一本調子が、幸四郎の伝統の言い回しを生か氏、パロディーかしているといえる。
幸四郎はこの舞台では昔の面影を感じ、大変美しかった。現染五郎が昔の染五郎(現幸四郎)とだぶり、また昔の染五郎と現幸四郎がだぶり、なんだか嬉しい舞台。
まじめなイメージの幸四郎が『はにかみ王子』などと照れる仕草は、心がときめく。
好きなグリム童話に好きな歌舞伎、好きな役者の方々が多く出ておられる舞台。テレビとはいえ、見ることができて、私はとても満足な時間を過ごすことができたと、大いに喜んでいる・・・
【乱鳥のグリム童話関連記録】
グリム童話の世界 ↓
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ブラザーズグリム(映画) ↓
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グリム童話4 (ほかにグリム童話1~3が別ページにあります) ↓
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グリム童話のふるさと ↓
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グリムの中の呪われた話 ↓
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ほか
作・演出 尾上菊五郎
振付 初代尾上辰之助(三代目松緑)
美術 市川團十郎
配役
白雪姫 坂東玉三郎
お妃実ハ魔女 市川團十郎
鏡の精 市川海老蔵
王子様 松本幸四郎
童 中村吉右衛門
童 片岡仁左衛門
童 中村梅玉
童 市川左團次
童 市川段四郎
童 片岡秀太郎
童 波乃久里子
動物たち 中村橋之助
動物たち 市川染五郎
動物たち 尾上松緑
動物たち 尾上菊之助
動物たち 中村勘太郎
動物たち 片岡愛之助
小鳥 中村時蔵
小鳥 中村芝雀
小鳥 中村扇雀
小鳥 中村福助
小鳥 片岡孝太郎
小鳥 中村七之助
小鳥 市川高麗蔵
小鳥 市川門之助
狩人 坂東彦三郎
北千住観音 尾上菊五郎 ほか
最後に・・・
今回、全ての役者さんに丈やさん付けを記入しなかった失礼を、お許しください。
お気づきの点があれば、お教えくださいましたら、うれしいです。