がじゅまるの樹の下で。

*琉球歴女による、琉球の歴史文化を楽しむブログ*

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「グスク・ぐすく・城」展、みどころ10

2019年11月28日 | ・琉球歴史/文化風景

 

先週の19日から始まっている県立博物館の企画展、
『グスク・ぐすく・城』

前売り券もゲットして(しかも複数枚)、
早々と行ってきました!

 

会期は2か月間、
来年の1月19日までなので
これから行く、という方のほうが
多いかもしれませんね。

そこで、和々的見どころをまとめてみたいと思います★

 

まず、

内容もりだくさん

キャプションや説明パネルはやや専門的で固め

です。

専門用語もそうですが、言い回し(言葉選び)とか漢字の変換とか
一般的でないものも多かったので(ルビもほぼ無いし)
ちょっと固く、難しめな感じはしました。
正直なところ(^^;)

 

そこで、
まずアドバイスをするならば、

キャプションやパネル、
全部読んで全部理解しようとしなくてOK!

本読む時と一緒。
おいしいところ取りでいいんです!

最初から全部理解しようと頑張りすぎたら
後半疲れちゃうよ(^^;)

 

もちろん、ある程度知識があって苦に感じない人は
がっつりじっくり読んでもらっていいんですが、

う~ん、なんだか少し難しいな…と思った人は、
そういう部分は流し見程度にして、
「おっ!」と気になった「モノ」を見ることに
時間と気力を注ぐのが吉です★

 

大丈夫。

「おっ!」っていうモノ、たくさんあるから!

 

では、初心者でも大丈夫!
和々的、見どころ&押さえどころ10!

 

1 集落のAR(拡張現実)

普天間後原第二遺跡の集落跡。
発掘現場の写真や図面からだけではわかりにくい集落の様子が
タブレットを通してARで見ることができます。
タブレットを動かして色んなアングル、距離で見てみましょう★

 

2 与論グスク全景模型

様々なグスクのジオラマ模型を一堂に集めているのですが、
中でも与論グスクはこの企画展に合わせて作られた新作…だとか!?
かっこいい…!!
与論グスク、いつか絶対行く…!

なお、グスクジオラマ模型は
1階の常設展にも4つほどあるので
(座喜味、知念、下田原遺跡、浦上有盛遺跡)
常設展を見たことない方は、こちらも一緒に見るのをおすすめします♪

 

3 中城グスク防御ゲーム

兵士たちを任意の場所に配置し、
中城グスクの正門から攻めてくる敵から
一の郭にいる王様を守るというシミュレーションゲーム。

最初ゲームのシステムや操作が「???」だったのですが、
一度理解できれば何度でもやりたくなります。

ちなみに、私はゲームオーバーしました…。
(グスクの構造上、兵士をどこに配置すれば効果的なのかはわかってるんだよー!
操作に手間取っただけだもーん!)

今のゲーム操作に慣れている子なら
もっとすんなりできるのかもね(^^;)

 

4 今帰仁グスクVR(仮想現実)

今年の初めに5Gの実証実験として
今帰仁グスクで行われたVR。

あの時は限られた人しか体験できませんでしたが
やっと一般にもお披露目!

動画で自分自身がまるごとその世界に入り込む、という感覚なので、
高所恐怖症な私は、前半の演出に胆が冷えました(笑)

テレビではないので、正面だけを見てじっとしているのではなく
自分で横とか後ろとか下とか
いろいろ振り向いてみるのがポイントですよ★

動画自体は短いので、
もし空いてるなら2度3度見るのもおすすめ。

 

5 想定復元図

『歴史群像』などに掲載された
香川元太郎氏のグスクの想定復元図が
どでかく拡大されてどーーーん!!と!!

1枚だけじゃないよ!
那覇港!浦添!今帰仁×2!!
(…首里城も…?)

とにかくでっかいから、絵の端から端まで、
そりゃあもう、隅々まで見てほしい。
もうね、これだけでも1時間は眺めていられるわ。

歴史群像に載っていたときとは違って
細かい場所の解説などはないんだけど、
普通に絵としてもきれいだし、
細かいところまで描きこまれていて見応えあるので
じっくり観察してみてほしいです。

ちなみに今帰仁グスク図は2種類ありますが、
(北山戦と、北山看守時代)
北山戦のものはだいぶ昔に描かれたもののようで、
今見るといろいろと違う点があります。
(例えば「参道」が戦後に作られた直線道になってるとか)
今帰仁グスクに詳しい人は
そういう点を探すのも、ある意味面白いかもしれない。

 

6 兜の前立て

武器や武具のコーナーも充実!
琉球の武具は日本式。
だけど兜の前立て(鍬形)の形が琉球のものは独特で……

…って、あれ!?
「あの」前立てが展示されてる!?

あの前立ては首里城の「KUMIODORI300」展で展示されていて
例の火災で焼失してしまったはずでは…!?

学芸員さんに質問したところ
このタイプの前立てはいくつか出土していて
首里城で展示されていたのは似ているけど別のもの、
とのこと、でした。

なるほど、
KUMIODORI300のリーフレットと見比べると
確かに違う…。
(グスク展で展示されてるのはこれ↓)

このタイプの前立ては1つしかなくて
完全になくなったと思い込んでたから、
正直、びっくり&うれしかったのです…。

 

7 紅釉水注

グスクから発掘された遺物展示のうち、
特に注目してほしいのは、
首里城京の内から出土した陶磁器類の数々
…のうち、
「紅釉水注」という、赤っぽい水差し。

これ、世界でも4点しか確認されていないという
超絶スーパーレアものなのです!!
(北京の故宮博物院に2点、景徳鎮窯跡から出土した破片が1点、
そして、首里城京の内から1点)

これはとりあえず見ておこう!!

 

8 琉球のお金

尚泰久時代の大世通宝や
尚徳時代の世高通宝、
そして尚円時代の金圓通宝!

金圓通宝は佐慶グスク(レベルD)からの出土っていうのが
個人的にはツボだったのよね。

この琉球のお金を作るという
これまたマニアックなプログラムが
会期中行われます!

詳しくはこちらから→

 

 国宝・千代金丸

おなじみ、琉球宝刀「千代金丸」の実物(国宝)が来ています。

12月の途中からは今帰仁村文化センターのレプリカに変わるようなので、
実物で見ておきたい方は、お早めに!

 

10 君南風の勾玉

「君南風」とは王国時代から現代まで続く久米島の神女(ノロ)の名前です。

尚真王代のオヤケアカハチ討伐の際、
首里軍に従軍して功績をあげた神女として有名です。

王国時代から代々受け継がれてきた君南風の勾玉が…!!
テレビでしか見たことなかったのが、目の前に!!
さすがに、重厚感がすごかったです。

 

 

…うむ、キリがいいからこれくらいにしておこう。

 

本当はまだまだ語り足りないし、
マニアックポイントもあったりするのですが、
とりあえず、
初心者は初心者なりに、
マニアはマニアありに、
それぞれのレベルで堪能できる展示会だと思います。

 

じっくりがっつり見ると
所用時間2~2.5時間ってところでしょうか。

 

この機会にぜひ「グスク」の世界を楽しんでほしいです♪

 

 

【追記】

なお、マスコミで報道された見どころは
「首里城正殿1/10模型」です。
(首里城火災の影響でもっぱらこれ)

各マスコミがトップにしているので
あえてここでは取り上げませんでしたが…。

展示の様子がわかるニュース動画もはっておきます。

QAB 琉球王国のグスク展 首里城の姿も

RBC 首里城正殿の精緻な模型も グスク展始まる

 

 

+ + +

 

グスク展会期中に、
まだ記事にしてないグスク訪問記事、
色々アップしていけたらな~と思います。

とりあえず、

グスク100登城

レベル別グスク散策

の過去記事リンクを貼っておきます。


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雷岩と歴史の道

2019年11月13日 | ・琉球歴史/文化風景

 

40年余りの時を超えて取り壊し中の、
中城高原ホテル。

琉球浪漫ウォークの(満員御礼感謝!)、
ちょっと前の状況がこちら。

 

件の「雷岩」が見えておりました。

初めて見ました。

なんとなく、
もっと奥にあるものだと思ってたので、
意外とグスクからすぐそこにあることにびっくり。

工事で傷つかないように養生されて、
小屋のようになっています。

 

 

さらに、その後の風景。

ついに1番目立っていた高い建物もなくなりました。

なんだかここにきて、一気に進んだように思えます。

 

以前も記事にしましたが、
かつて、雷岩のところは三叉路になっていました。

今、雷岩の右側に見える道が、
宜野湾に向かう歴史の道(方向)。

雷岩の左側には、
中城ハンタ道があったはずです。

ペリーの旗立岩の案内板図に加筆(和々)

 

 

先月、中城ハンタ道(中頭方東海道)
国の歴史の道百選に選ばれました

 

おそらく、ホテル撤去工事が終わったら
ホテル内にあった歴史の道の整備も進むことでしょう。


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あなたにとっての首里城とは

2019年11月09日 | ・琉球歴史/文化風景



久しぶりの更新です。

 

その間、沖縄にとっては本当に悲しい出来事が起こって…
ご存じのように、首里城正殿をはじめ、多くの文化財が火災で失われました。

経緯、原因調査、管理者、現場の様子についてはもちろん、
首里城の歴史、戦後の復元の経緯、携わった人々の想い、意義など
全国的にも多くの報道がなされたので、
今わたしが改めて書くまでもありません。

戦後30年をかけて、多くの人の研究と伝統技術が集結し、
血のにじむような努力があって復元された首里城。
それは戦争でことごとく破壊された沖縄が、
失われた自らの文化を、
沖縄人としてのアイデンティティを、
取り戻す作業でもあったといいます。


首里城は物心ついた時から、生まれた時からあった
当たり前の存在、特に意識したことはなかった
という若い人も多いでしょう。

失われて初めて、首里城の存在の大きさを知った、
自分たちにとって首里城とは?を考えさせられた、
という声も多く聞かれました。

 

この機会に今一度、県民一人ひとりが歴史を知り、
首里城について考える機会になればと思います。

そしてそれをしっかり自分のものにして、
「再建」へのエネルギーに変えていきたいものです。

 

すでに県外や海外をはじめ、
多くの人が再建に向けてアクションを起こしています。

本当にありがたいです。

 

それぞれが考え、できることを、できるところから、
やっていけたらな、と思います。

 

個人的には
琉球沖縄の歴史・文化を知ってもらうこと、
楽しんでもらうこと、親しんでもらうこと。
そして郷土を大切に思えるよう、誇りに思えるよう、
アプローチをしていくこと。

特に、これからの再建を含めた、首里城を支える世代である
子供たちや若い人たちにとって。

 

そうですね、はい。
これまでと変わりません。

これまでと変わりなく、
でもある部分ではもう一歩踏み込んで、
これからも活動していきたいと思います。

 

 

______________________

 

首里城再建にむけての主な募金先まとめ
※募金詐欺も出ているようなのでご注意を!

首里城基金
(ワタシはよりダイレクトなこちらを)

那覇市ふるさと納税クラウドファンディング

沖縄県内メディア8社共同県民募金

 

______________________

 

●首里城再建チャリティー芸能公演~中城からの祈り~

中城村の伝統芸能団体が集まっての首里城再建チャリティー公演。
古典音楽、琉舞、獅子舞、エイサー、
そして県指定無形民俗文化財の伊集の打花鼓(ターファークー)と盛り沢山!

11/10(日)午後6時半〜
中城村吉の浦会館にて
入場無料

知り合いが関係者として頑張っています!お近くの方はぜひ。

 

トップ写真は再掲載。夜景写真+レタッチです。


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