現代版組踊 琉球浪漫シアター第Ⅰシリーズ、
2つめは「義の漢 護佐丸~中城落城秘話~」!
ベースになった「花織の宴」が好きすぎて
期待しすぎるのもどうかと気持ちを抑えようとも押さえられずに臨んだ舞台(笑)
しかし、そんな憂慮(?)もなんのその、
ぐさぐさとツボを刺されまくりの舞台でした。
(押すじゃなくて刺す)
も~、ワタシのツボ知ってて作ったのかってくらい(笑)
花織の宴では、グスクという世界遺産の野外ステージと秋の夜空、
超一流の雅楽師、東儀秀樹さんの生演奏と、
大掛かりなライティング装置。
これがすべてなくなり、なにかと制限がでてくるホールで、
よくアレだけ作りこめたな~と至極感動しました。
あれはあれ、これはこれとして、
全然負けてなかったと思います。
ってことは、やっぱり両方見ている人はラッキーということですかね。
なんと言ってもストーリーがぐぐっと深くなってました!
専門用語も結構出ててツッコんだストーリー作りに。
(勝連と中城の領海争いのエピソードとか、尚泰久が越来王子時代の話とかね)
まず、そういうトコがツボ。
個人的に、本でも舞台でも用語や内容を全てを理解できなくても別にいいと思う。
ワタシが初めて肝高の阿麻和利見たときたぶん半分は分かってなかったはず
(あの時は冊封とか志魯・布里の乱とか専門用語もまだあったからね)
なんせ、琉球史の知識ほぼゼロでしたから。阿麻和利って誰?レベル。
でもそういう分からない部分がちょこっとあることで
なんだろうって調べたくなるし、「次」に繋がる気がする
もちろん本土公演とかだと事情は変わるし、
専門用語が難しすぎたり多すぎたりするのは問題ですけどね。
とにかくこの舞台、これで終わりじゃなくて、今後も続けて欲しい!!
って思います!!
今回1時間ちょっと?くらいの短めの舞台でしたが、
まだまだイケる可能性に満ち溢れた舞台だと思います!!
では、忘れたくないので記録する、
備忘録レビュー。
順番、なんかバラバラだけど…
≪伊是名の狐、金丸の義≫
まさかのトップ記事が金丸(笑)
でもこれね、スゴイなんか印象的だった。
肝高の阿麻和利でも小説「百十踏揚」でもフォローなき悪役っぷりの金丸。
今回の金丸は確かに「悪」の雰囲気はありつつも、
でも金丸には金丸なりの「義」があることが見れ取れました。
ただ単に自己保身や欲のために護佐丸や阿麻和利を利用したわけではなく、
金丸なりに尚泰久王を守り、王統を守り強くしようとしていたというか。
こういうの、いいよね。
誰が悪とか正義とか、そういう単純な歴史ってないと思う。
同じ事象や人物であっても捉えかたによって悪にもなりうるし善にもなりうる。
それぞれの立場でそれぞれの義があるしそれぞれの言い分がある。
(その「義」を通すための手段が後に間違っていたと判断されることはあるかもしれないけど)
なんか、そういうことが感じられたのも「肝高の阿麻和利」には描かれなかった部分として
すごい意味があった気がします。
そしてそんな金丸に対しての尚泰久。
王に進言する金丸に対して最初は拒否するも、
金丸の「琉球を思う義」の説得に
「お前に任せる。余は詳しいことは知りたくない」
というスタンス。
そんな王に対して
「それが良いでしょう」
と金丸。
これもね、すごい深いと思うよ!!
人間・尚泰久と、国王・尚泰久のせめぎあい、
仏教に帰依していた尚泰久の葛藤。
「知りたくない」「知ってはいけない」
人間・尚泰久という一個人の気持ちだけで判断できない(してはいけない)
王としての性というか辛さというか。
すごい短いやりとりではあったけど印象的でした。
それにしても、
中城の虎、勝連の狼、
そして伊是名の狐。
…うまい!!!
(この揶揄、妙に納得(笑))
≪義の漢・護佐丸≫
時間通りの開幕と同時に舞台中央に浮かび上がる護佐丸のシルエット。
「我が名は護佐丸盛春」
第一声の力強い声と、体躯のいいその立ち姿。
かっこいい!!
そして「出発の朝」の総踊り。
通常だと平田さんが唱っていた掛け声(?)とくどぅちを
舞台上の護佐丸がこなすという演出にも
護佐丸のリーダー像が現れていて「なるほどぉ!」
(ちなみに歌はカナサの京子さん、女性ボーカルオンリーでした)
そして一転、
次場面は護佐丸の寝巻きとまさかの坊主頭(笑)
おおっとぉ!だいぶ印象変わるなぁ!
(えーと、犬を連れている西郷隆盛のイメージをしてもらえればそれにかなり近いです(笑))
でもがたいの良さ、力強さ、声の張り、目力、気迫や意思の強さなど
もう護佐丸そのもので、さすがにさすがと言ったところでした。
そして舞台最後の挨拶でのギャップに
またファンが増えるんでしょうね(笑)
個人的には護佐丸もっと見たかったなー。
死に際とか、もうちょっと引っ張って欲しいくらい(笑)
死んだ後も、昇天して、割とすぐダイナミック琉球だったから
あともうヒトツ伸ばしてもっと見たかったな♪
あと、ふと思ったんだけど、
晩年の護佐丸像って結構白髪(or それに近いグレー)だったりするんだけど
舞台化粧のヒゲ、そんな色か付け髭にしてみたらどうなるんだろう。
ちょっと見てみたいかも…。
≪護佐丸の子、盛親≫
琉球一の武将・中城按司の子らしく、
品のいい按司息子っぷりでした。
でも最初の護佐丸との会話も若干冗談も入っていたりして
いい親子像が見れました(^^)
そして…、あぁっ、やっぱり死んだ盛親…。
でも殺され方は前より非道ではなかったのでよかったです(笑)
(前回はある意味見せしめに殺されましたからね…)
妙に印象的だったのが
護佐丸共々死んだあと。
立ち上がって、正面を見つめるあのまなざしと立ち姿。
なんだろう。
なんだろう。
怒りでも悲しみでも、もちろん無表情でもなく、
凛としてるんだけど力強いのというのともちょっと違って、
なんか惹きつけられるものがありましたよ。
≪新キャラ・津堅≫
津堅……。
阿麻和利の部下だろうとは予想はしてましたが
まさかこんなキャラだったとは。
かなり想定外(笑)
鬼大城紹介のくだりではバッチリ笑いも起きてたし
OKじゃないでしょうか!
クールな賢雄、お調子者津堅、間に立つ阿麻和利、
3人の関係・立ち位置が非常におもしろかったです。
それにしても中学生の成長って驚異的…。
たった3ヶ月で『月下に語る』の頃の面影ナッシング(笑)
≪神女・百十踏揚≫
あああぁ、百十踏揚の絡め方もよかったなぁ!
でしゃばりすぎず、でもしっかりと意味合いを持たせつつ。
演者さんがもう抜群の姫ということもあるし、文句なし。
特に「星のゆりかご」の場面。
この曲は鉄板とも言っていいほどの力があってすごく人気もあるらしいので
様々な舞台で様々な使われ方を見てきましたが、
今回の使われ方、
今まで見た中でピカイチ!!!
というのは、やっぱり「百十踏揚」という存在が大きい。
護佐丸討伐の命を受け、やむ得ず軍備を整え中城に向かうことになった阿麻和利。
「直接護佐丸殿と話をし、戦を止めてみせるから」と。
そして去り際、護佐丸と阿麻和利の心配をする百十踏揚に対して
「無事を祈っていてくれ」と。
その流れで百十踏揚の口から紡がれる「星のゆりかご」のくどぅち。
神女である百十踏揚の、祈りの唱、あのメロディー。
百十踏揚の「願い」や「想い」「祈り」がバッチリ表現されていて
なんとも切ない…
≪好青年★阿麻和利≫
そして、阿麻和利好青年!!
いや、あの津堅を連れている時点でかなりの好青年像になるんでしょうけどね(笑)
百十踏揚を気遣う小さな動作の1つ1つがいちいちツボでした(笑)
護佐丸同様、花織の宴と同キャストではありましたが、
前回よりもワイルドさは若干押さえてきた感じ?
こちらは「勝連按司・阿麻和利」というよりは、
「人間・阿麻和利」を結構前面にだす演出だった気がする♪
(その点が後に阿麻和利がハメられる原因であり弱点でもあった…って考えるのは深読みしすぎかなぁ?(笑))
≪扇子の舞≫
新演舞の扇子の舞
「お~!朝薫伝が活きてる!!」って思いました。
(実際、“朝薫”いたしね(笑))
男子で、扇子踊りで、力強くてかっこいいってツボ!
(「琉舞」ではないのがまだいい)
そして攀安知のテーマ(笑)をベースにしたような
若干ダークでワイルドな曲。
開く、閉じる、そのメリハリ、扇子の音、かっこええ!!
女性アンサンブルからは四つ竹なども使った琉舞もありました♪
(四つ竹アクシデントの対応、ワタシの周辺から密かに“お~”って声が上がってましたよ(笑))
≪ナニコレ、大城賢雄≫
冒頭の「出発の朝」の総踊りで登場したのを見たととたん
鼻血ブー
(※心象表現)
なにこの、美形賢雄!!!!
現・肝高の阿麻和利で見てた美形賢雄の
スーパーバージョン!?
って思ってたら、肝高の阿麻和利OGの歴代賢雄役だった方なんですねぇ~!
でも2007年度卒業くらいらしいのでワタシが肝高の阿麻和利に出会う前だわ
前回の男らしい低音ボイスのワイルド賢雄ももちろんツボでしたが
今回の賢雄もこれはまた…
この美形っぷりに、あの悪っぷり、抜群の演技力、
も~、宝塚か!!
ってくらい。
(いや、宝塚TVとかでしか見たことないけど)
護佐丸に対する警戒心・敵対心、嫌味の聞いた挨拶、
阿麻和利へのけん制、絶対に媚びず笑顔もみせないあの態度、
武将としてのプライド、津堅を見下すあのまなざし(笑)
はぁ~、もう、完璧。
(個人的に護佐丸討伐に際して揺らぐ阿麻和利とのすれ違いざまに肩に手をかけて釘を刺す
あの仕草と距離感が好きでした←マニアック)
しかし、それでいてなおかつ!!!!
金丸からの指令にちらりと見せた「人間・賢雄」像。
「しかし、阿麻和利が悪い人間だとは思えない」
そこだよ、そこ!!!
こういうとこ!!
しかし、そんな賢雄が金丸の「御主加那志のため」「琉球のため」
そして「武将」という言葉に覚悟を決める。
「一度決めたからにはもう決して揺るがない」
「鬼になりましょう」
と。
まさに「月下に語る」の世界ですよ。
ワタシのイメージをまんま具現化してくれたようで、
なんかもう、
ありがとうって感じ。
*
できれば、VS盛親や、VS阿麻和利のシーンでは
刀がせめぎ合う効果音欲しかったな~
あと賢雄の去り際も意味深…。
これ、もうちょっと深められそう…。
そして護佐丸最期の場面を伸ばす、と(笑)
ああ、去り際といえば、
「花織の宴」で1番印象深かった
護佐丸・阿麻和利と賢雄がすれ違うシーン。
これはもちろんグスクが舞台だったならではの構成・演出だったと思うので
今回はなかったのですが、
でも、それを彷彿とさせるように、東義さんの「鳳凰伝説」のBGM、
肝高の阿麻和利とリンクするセリフもあり、グサグサ…(※ツボ刺され中)
そんでもってリンクするセリフといえば、
ラジオ小説「月下に語る」にリンクするセリフもありましたよ?
(原作の小説にはないセリフ)
これはまた…。
っていうか、
「津堅」とか、賢雄の立ち居地とか、
阿麻和利が中城に兵を出さざるを得ない事情とか
中城戦のアレコレとか、
設定的に結構かぶるところありました
この後、阿麻和利や大城賢雄、百十踏揚、津堅がどうなったのか、
「月下に語る」に続く!
って言っても無理ないかも。
(津堅のキャラ設定以外ね(笑))
というわけで、
FMよみたん+TAO Factory制作 Teamシンカヌチャー出演
ラジオ小説「月下に語る」、
8/1~8/6 15:45~ FMよみたんにて6日連続再放送です!
(詳しくはこちらから)
って、宣伝で終わりか?
来週はこの人たちの出番です!!!きゃー、楽しみ~(≧∀≦ 笑
歴史ブログ 琉球・沖縄史
ゴサマルだけに55!
さ~、今日は今帰仁グスク。
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