がじゅまるの樹の下で。

*琉球歴女による、琉球の歴史文化を楽しむブログ*

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伝統組踊×現代版組踊、番外編

2016年10月31日 | ・肝高の阿麻和利レポ

昨日、久しぶりにあれだけの長文で
舞台レビューを書きましたが、

 

(その①とその②を合わせて、
文字数原稿用紙約14枚分だった…

学生の時は原稿用紙3枚書くのにも
四苦八苦してたのに…)

 

後から思い出したものなどを
Twitterで追加ちょこっとレビューしています。

あと数日は続きそう…。

良かったらのぞいてみて下さい。

↓ 

 

けっこ~追加で呟いてます…

 

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伝統組踊×現代版組踊、その②

2016年10月30日 | ・肝高の阿麻和利レポ

 

前記事の続き 本日二投目)


第6回世界のウチナーンチュ大会連携行事

「伝統組踊×現代版組踊」
伝統と未来

2016年10月29日(土)

沖縄コンベンションセンター

≪夜公演≫



二幕 『肝高の阿麻和利』

 

まず、肝高の阿麻和利は
去年の11月公演以来、
つまり約1年ぶりの観劇でした。

50回以上は見ている
阿麻和利の舞台。
ある時期から観劇期間を空けて
敢えてその間の変化の大きさを楽しむ

というのを狙っていましたが
今回これが功を奏したなと思いました!

ある種の新鮮さをもって
観劇することができました!

 

 

 

*生命力あふれる阿麻和利*

 

まず、今回特筆すべきは阿麻和利君。


ほほうっ?!(゚Д゚)

 

キャラクター変わった!

という印象。

これまで見てきた阿麻和利よりも
なんというか
もっとワイルドで力強くて
活発で豪快で、
とにかくエネルギッシュ!!
そんな感じでした。

 

体格も変わった!?
大きくなった!?
って思ったけど、
背が伸びたというより
肉付きなのかな、
それとも大きく見せる演技
に磨きがかかったのかな。

 

発声だったり口調のスピードだったり
(シーンによっては畳みかけるように早かった(*_*))
跳んだり跳ねたり、パンッと手を打ったり、
勝利の舞で槍を受け取った時に一回はじいたり、
とにかく一挙一動、
生命力がほとばしってる感じ。

半面、頑固なジラーに
「ったく、こいつはよ~(舌打ち)」ってなったり
ちょっと好戦的な表情だったり、
望月追放ではぬかりない策士面だったり、
決してクールでもないし優等生でもないんだけど
でも明るくさっぱりしてる。


俺についてこい的な。
一瞬ヤンキーっぽい(笑)って思ったけど
大人のガキ大将って感じかな。

前までは刺された後の
「やはり 首里の 筋書か」の所も
悲しみやどこか悟っていた感があったのだけど
今回はもう悔しさ全開。

もっと生きたかった
もっと色々やりたかった
という
生への執着が感じられました。
全力でエネルギッシュに生きてきたからこそ、かな。

 

そして毎回毎回書いてるけど、
護佐丸討伐を決意するシーン
そして今回は正義党への苦悩に理解を示すシーンでも
「間」の演技が最高でした。

言葉に頼らず、心情の変化を表現する。

やっぱり素晴らしいから毎回でも書く(笑)

(同じように肝高神のシーンもでした!
以前のように向立ても隠したビジュアルで
よりミステリアスで畏怖の存在に!)

 

あと今回割と前の席だったからか
息づかいが感じられたのが良かったな。

一幕の「護佐丸敵討」でも
見事なまでのシンクロに
「息を合わせる」息づかいを感じましたが、


望月追放の作戦を遂行したあと、
息を切らしながらのさわやか笑顔に
阿麻和利の全力の一生懸命さを感じたり
死ぬ時の絶え絶えな息づかいに
悔しさと苦しさを感じたり。

 

レビューで阿麻和利君について書くこと
実は少ないんだけど、
今回は同じ演者さんながら
変化がみられてすごく新鮮でした!

 

 

*クール一徹の賢雄*

 

演者さんつながらりもう一人。

賢雄ウォッチャーの和々です。

賢雄ね。

彼も今回面白かった。

スパイとして阿麻和利を陥れる悪役ですが、
阿麻和利最期の姿に改心し
己の行いを後悔する…

これが従来の賢雄でしたが、

 

今回、改心せず。

 

最後の最後まで
密命を遂行したスパイそのものでした。

死にゆく阿麻和利に
敬意は表していたけど、
己のやったことに後悔はしていない。

「これも琉球のお国のため」という
自分の正義を遂行しただけだ
というクール一徹!

(ああ、でも百十踏揚に戦の報告するところは感情だしてたな)

 

うむ。

それでこそ武士、
それでこそ賢雄だ。

 

…と、ワタシは思う。

でも、改心したほうが
キャラクターとしては魅力的だけどね(^^;)

それまで悪役一辺倒だった彼が
そうではない姿をみせる、という意味で。

 新たな賢雄を見た気がしました。

 

 

*アンサンブルさん*

 

いつぞやの演出でも見た
阿麻和利誕生シーンでの
連続演舞はやっぱり見てて楽しくなるな!♪

花踊→櫂の踊り→男サン→総踊り
と畳みかけるように次々と繰り広げられて
すごくにぎやかで華やか。
(演舞の名前わかんないけど…)

櫂の踊りはまた見たかったから嬉しい!

でもこれまでのゆんぐとぅは
もうなくなったのかな…?

 

そして相変わらず三つ巴の演舞には
ぞくぞくします(笑)

大好き。
もっと見たい。

 

今回印象的だったのは
平敷屋エイサーのシーン。

いつもならハケる踊り手たちが
舞台に残ったまま、
首里から急ぎの知らせが来る。

さっきまで楽し気に踊っていた民たちが
阿麻和利の一言で兵士になる。

女たちは女たちで
それを受け入れる。

そうなんだよな。

兵士という人間が元々いるわけじゃなくて、
普段漁をしたり作物を作ったり
モノづくりをしたり
歌ったり踊ったり、
そんな普通の生活をしている人が
戦に駆り出されるんだよな。

 

同じように望月按司追放でも
作戦が成功したか
民たちが様子を窺うように
舞台から顔を出す。

望月を追放をしたのは
阿麻和利だけでなく
民たちが一緒に行ったもの。

民がいて初めて
勝連按司・阿麻和利が存在した。

今回はこんな「勝連の民の姿」が
アンサンブルさんたちで
とても効果的に表現されてたように感じました!

 

 

*きむたかバンド*

 

ボーカルさん、安定の歌声ですね~~~

お見事でした。

すごく伸びやかで
耳にキンキン響くこともない。

幕開け・冒頭シーンの
オリジナルのワンコーラス
もステキでした。

 そろそろ今のアレンジバージョンの
CD出してもいいんじゃないかな??
(要望)

 

コーラスと言えば、バンドじゃないけど
百十踏揚の琉歌のシーンも綺麗だったな。

ああゆう独特な声色って
スゴイ不安定で難しいと思うんだけど
高音もぶれることなく
安定していました!

 

 

*解説チラシ*

 

方言セリフ、専門用語、相関図、
そして各章ごとのあらすじ紹介。

完璧です。

観劇する人が予習できるように
公式サイトにも載せてもいいかも!

 これがあるなら
もうこれいらないな。

 

 

あの…でも…
イラスト採用してくれたのは嬉しいんですが…

画像の縦横比率は…いじらないでほしかった…
(オリジナルよりも横長になってます…)

もし引き続きこのチラシを使うなら
オリジナルの比率に直してほしいデス…

 

+

 

 *スペシャル演出*

 

今回ならではのスペシャル演出について備忘録。

伝統組踊のエッセンスやつながりを
よりわかりやすく、全面に。

 

冒頭はまさに阿麻和利が鶴松・亀千代に
襲われるシーンから。

「逆賊・阿麻和利」というキーワードも
敢えてセリフに入れて。

ここでは実際には刺されず
舞台からハケるという演出も同じくして
護佐丸敵討とのリンクを強調。

 

それから鶴松・亀千代に
刀を直接渡すシーンも追加。

護佐丸敵討では母から、
肝高の阿麻和利では賢雄から。

 

屋慶名・平安名・南風原の正義党も
クライマックスはいつもあの黒の衣装だけど
今回は護佐丸敵討の「供1~3」と同じ
というのも気づきやすかったのでは。

 

ワタシは琉球史の世界は
肝高の阿麻和利から入ったので、
後から伝統組踊を見るようになりました。

肝高の阿麻和利の物語が
単なる正史のものではなく
(正史では阿麻和利は賢雄に直接討たれます)
「護佐丸敵討」からのエッセンスも
積極的に入れようとしていることに
後から気付いていきましたが、

今回は立て続けに2つの舞台を見ることができて
それがより比較しやすかったんじゃないかな!

 

また、今回は電光掲示板もあったので
各章ごとにタイトルが提示されて
とても映画的でかっこよかったデス!

セリフの英訳は全部ではなく
ポイントポイントで出てきてましたが
肝高神のシーンでは
日本語・英語ともに表示できたら
よかったんじゃないかな?

日本人でも、沖縄人でもつまづくシーンだからネ…。

 

90分の短縮バージョンということで
どう縮小されるかなと思ってましたが、
実際には2時間弱、
ほぼそのままという印象でした。

正義党との出会いも
首里のシーンも金丸宅も
愛の劇場もあったし。

主に最初と最後のきむ子のシーンのカットでしたね。
演舞はかぎやで風とエイサーの2曲目がカット。

 

+

 

個人的に望んでいた
あまをへと阿麻和利の
直接コラボはありませんでした(´;ω;`)

 もちろん劇中ではできないにしても
カーテンコールとか
そんな時に何か一緒にやってくれないかな
と思ってたけど…。


やっぱり立場上できないかな…
なんても思ったり。

 

でも最後に紹介という形で
同じステージに立つことはありました。

それが見られただけでも
感慨深かった!感動した

二人の阿麻和利
二つの阿麻和利像。

代表の方がおっしゃってたけど、
逆賊と英雄、
どちらがどう、というわけではなく
阿麻和利という人間を描くことを
大切にしてきた…

うんうん、ホントそうだよね!

どっちが正しいとかじゃない。

どっちも阿麻和利。

それをどうとらえるかは
受け取り手次第。

それも歴史を楽しむ醍醐味。

これからもそれぞれの場所で
それぞれも阿麻和利像を
守り、築いて行ってほしいです

 

 

今回は本当に貴重な機会に
立ち会うことができ光栄でした。

出演者の皆さん
スタッフの皆さん
本当にありがとうございました!

そしてお疲れ様でした!!

 

 

阿麻和利、大好きです!

 

写真は最後のご挨拶。
取り巻く観客たちもすごかったの図(笑)
現代版組踊チームたくさんいましたね♪
北海道から八重山まで!
今日の合同合宿は楽しめたかな?

 

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レビュー、あとで思い出したり細かなトコは
ツイッターの方で追記していくこともあるかも?


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伝統組踊×現代版組踊、その①

2016年10月30日 | ・肝高の阿麻和利レポ

 

第6回世界のウチナーンチュ大会連携行事

「伝統組踊×現代版組踊」
伝統と未来

2016年10月29日(土)

沖縄コンベンションセンター

≪夜公演≫

 

 *

 

ユネスコ無形文化遺産の組踊と、
ユネスコ未来遺産の現代版組踊の
二本立て公演!

同じ出来事、
同じ人物を扱った舞台でありながら
かたや逆臣、
かたや英雄。

歴史の二面性を存分に味わえる
公演だったのではないかと思います。

他にも
伝統と未来
古典と現代
小人数と大人数
大人と子供
という対比もありました。

阿麻和利について
これほど味わえる公演は
ないでしょう。

まさに
‟歴史を楽しむ”
醍醐味でした。

ウチナーンチュ大会ということで
パンフレットは英文も掲載
舞台には日本語、英語の両方の
電光掲示板が設置され
アナウンスも二か国語で。

いつもとは違った雰囲気に
期待も高まります

 

公演は二幕構成。

 

一幕は伝統組踊「護佐丸敵討」
(二童敵討から護佐丸敵討という呼称に統一するようです)

二幕は現代版組踊「肝高の阿麻和利」

 

その①とその②に分けて
レビューを書くことにします。

 

 

 

一幕 『護佐丸敵討』

(阿麻和利=あまをへ)

 

護佐丸敵討を生で見るのは
首里城中秋の宴の時以来。

あらすじは知っていたし、
映像なんかではちょこちょこ見てはいましたが
今回は全セリフ、全音楽の歌詞が
同時進行で電光掲示板に提示されたので
前回よりも細かい所まで理解することができました。

前回はリスニングとしては
ほぼ全滅だったからね…

 

 

さて、組踊のセリフは
基本8・8・8・6の琉歌形式になっており
抑揚をつけて歌うように発するのも特徴。

 

あまをへが供の者たちを呼んだ時の

「うー」(はい)

鶴松が弟の亀千代に話しかけるときの

「やー、かみじゅ」(ねえ、亀千代)

の言い回しが
すごく気に入りました。

「うー」なんか
「うー♪」だもん。

絶対音感だったら音程言い当てられたのに。「ラ」か?

 

なんかほっこりした(笑)

 


それから組踊の特徴は
極力、表情や動作をそぎ落とし
最小限の要素で表現すること。

大きな身振り手振りや
表情の喜怒哀楽はなく
ちょっとした視線の向き、
顔の傾き、
指先の表情で
その人物の心情を表します。

だからもんのすごく繊細な表現。

そしてきっと
もんのすごく難しい。
体力もスゴイ使うはず。

(動けって言われるより動くなって言われるほうがしんどいしね)

 

鶴松・亀千代が仇討ちを覚悟して
母に別れを告げるシーンは
びっくりするくらい
両者とも動かない。

 

ただ音楽だけが朗々と流れる。

ピンと張り詰めた指先の緊張、
握ったこぶしに込めた決意、
伏せた顔に漂う悲しみ、

長すぎるくらいの
ストップモーションだったこのシーンに
母子のいろんな感情が渦巻いていたんだろうなと
それを観客に想像させるシーンだったんだなと。

初めて見た冊封使は
もしかしたらここで涙したのかな
なんて想像したり。

この「静」のシーンがあったからこそ、
続く野遊び→仇討ちの「動」のシーンに
メリハリがつくんだな、と感じました。

仇討ちを決意した母子の別れのシーンと言えば
『北山の風』ですね。

それを思い出したりもしちゃいました。

 

 

さて、主人公のあまおへ(阿麻和利)、
やっぱりかっこいいですね!

…ですが、

今回感じたのは

あれ、意外とかわいいかも…

でした(笑)

 

思い出したのは
『夏姓太宗由来記』
に出てくる阿麻和利像。

悪いヤツなんだけど、
黒いこと考えてるやつなんだけど、
単純というか
憎めないというか
なんかそんな感じ。

今回セリフを全部理解できたのが
大きかったな。

 

春の陽気を喜んでいるなぁ

とか

あれ、普段はあんまりお酒飲まないんだ

とか

鶴松・亀千代の舞に純粋に喜んでいるな

とか

楽しくなってきたから一緒に踊ってる様子

とか

 

なんか人間味あふれる感じで
親近感湧きました(*'ω'*)

 

ここにもまた一つの「阿麻和利像」があるなぁ
と感じましたよ。

 

音楽も、古典のゆったりとした調べを基調としつつ
時折強く打たれる太鼓や効果音にハッとさせられたり
(特に鶴松が一人早って討とうとしたシーンとか)
一斉にやんだり一斉に再開したり、
単に劇の合間に音楽や踊りがあるだけでなく
演出として音楽が組み込まれている
立派な歌舞劇なんだなぁ、と改めて思いました。

さぞ革新的だったことでしょう。

 

やがて300年になる伝統と
300年語り継がれている阿麻和利像、
生で体感することができて光栄でした

 

 

 

*おまけ*

 

あまをへがお酒を飲むシーン、

盃が「耳盃」でしたね!
(両方に耳のような取っ手のついたコップ)


 

お供の者は普通のだったのに。

身分の高さを盃でも表現。

あー、新春の宴とかで見たあれだ!
こんなところにも琉球の文化が!
って思って
ちょっと嬉しくなった和々なのでした。

 


写真は2010年1月1日の新春の宴より

 

では、
その②に続く!

 

 

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いよいよ開幕、伝統×未来

2016年10月29日 | ・肝高の阿麻和利レポ

 

琉球史人物キラキラ化企画をしてた時の
阿麻和利没イラスト。

あまりにも普段のと変わらなさ過ぎて(^^;)

採用版はこちら

 

 

さて、今日はいよいよ
『伝統組踊×現代版組踊』伝統と未来公演!

護佐丸敵討(二童敵討)を見るのも
スゴイ久しぶり!

肝高の阿麻和利を見るのも
去年の11月公演ぶり!

 

当日券販売もあるようですので
伝統と未来を同時に体感できるこの舞台、
お時間ある方はこの機会にぜひ!

 

 

10月29日(土)
沖縄コンベンションセンター劇場棟

昼の部 13:30開場 14:00開演
夜の部 17:30開場 18:00開演

S席 4000円
A席 3000円
B席 2000円

(今日は当時なので更に500円増)

 

 

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琉球/沖縄、一問一答 【第67問】

2016年10月26日 | ・琉球/沖縄、一問一答

【第67問】


ハワイに移民を送り出し
海外移民のきっかけを作った人。

移民の父と呼ばれる。


 


 

(答えはランキングバナーの下)

 

 

 

琉球/沖縄、一問一答シリーズについて

 

 

 

 

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【答え】

 

當山久三(とうやまきゅうぞう)

 

世界のウチナーンチュ大会、
始まりますね~!



出身である金武町にある
當山久三像。

 

 

像の後ろには1935年に建造された
當山記念館があります。

老朽化などもあり
一時は取り壊すことになったのですが
住民の要望により存続決定。

このたび補修工事が完成し、
移民の資料館として開館しているようです。


写真は2014年撮影。


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悪女・百十踏揚

2016年10月23日 | ・和心な本、琉球な本

歴史上の人物がどんな人だったのか…

見る人や、立場によって変わるのが当たり前で
1つの人物像だけが真実ではないというのが
ワタシのスタンスです。

多面的に見てみる。
いろんな説や人物像を調べてみる。
その上で自分なりの人物像を描いていけばいい。

それがワタシの歴史の楽しみ方。

 

史料に乏しい古琉球の人物なら尚更、
英雄像がある反面、反英雄像もあって然り。

それが阿麻和利だろうが、
護佐丸だろうが、
鬼大城だろうが、

百十踏揚だろうが。

 

そう!

何度かこのブログでもチラっと触れてきた
百十踏揚悪女説!

この原典はもしかしてこれか!?

という物語を、やっと見つけることができました!

 

 

 

『ザ・阿麻和利』
(比嘉美代子 英語劇団赤バナー訳)

…ってか、この本自体は知ってたんだけど、
劇の脚本集だったのでノーマークでした。
何年も前にパラ見はしてたはずなのに!


(以下、ネタバレ注意)

 

キリスト教短期大学で行われていた
英語劇用に作られた歴史劇の和訳本。

本の発行は2009年ですが、
『ザ・阿麻和利』が書かれたのは1987年。

英雄阿麻和利像を描いており、
乱の黒幕は金丸(と尚泰久)なのですが、
特筆すべきは
百十踏揚の悪女っぷり!

大城賢雄(※本では大城里之子)に想いを寄せ、
彼と夫婦になるべく、
祖父(護佐丸)や夫(阿麻和利)の
命を奪う事すら一切躊躇しない
気性の激しい情念の女性
…として描かれています。

大城に夜這いに来いとまで言うし、
民には厳しくしないとつけあがると意見するし、
阿麻和利に絶縁状まで渡すし、
とにかく高飛車で強い女。

ってゆーか、
絶縁状のくだりなんか結構サイテー女…。

完全に私利私欲のために動いているので
そこに正義はありません…。 

 

「主体性を持ち
努めて主張する女として描いた」
と紹介文で書いているので
筆者のこだわりでもあったようですが…。

ちなみに一人称は「わらわ」
これでなんとなくイメージできるかな?

 

 

阿麻和利は民を思ういい按司なんだけど
夢見がちで世間知らずで
ちょっと女々しい。

尚泰久も権力を拡大・誇示しようと
結構腹黒い。

阿麻和利の元恋人「ナビー」と
ユタの「カマドゥ」が面白い立ち位置でした。

 

筆者はシェイクスピア劇に影響を受けているようで
物語の結末としては、
なんとも、こう、
シェイクスピア的悲劇でした。
(えー!?こんな終わり方!?ってなったヨ)

 

劇脚本をそのまま和訳した本なので
小説のように情景描写や心理描写などはなく
セリフのみで進んでいくので
(ト書きもあんまりない)
文字だけで読むとやや淡々とした印象はありますが
これを演劇で見たかったな~
というのが読み終わっての感想。

 

とにかく新鮮な百十踏揚像でした。

百十踏揚は割とどの本でも
麗しく悲劇の王女として描かれているので
このような真逆の人物像はかなり貴重。

百十踏揚という女性像を
より深く、
より自分のものにするためにも
一読をおススメいたします。

 

 

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ま、とは言っても
ワタシは悪女説はとりませんけどね!
小説「百十踏揚」の人物像が不動のベスト。


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中頭方東街道(西原エリア)

2016年10月22日 | ・琉球歴史/文化風景

↑クリックで説明文拡大

 

西原町の幸地グスクのそばには
琉球古道が残っています。

その名も中頭方東街道。

中城にあるそれは以前歩け歩けして
記事にもしているのですが
その同じ街道の西原エリアの道です。

(現在は全てがきちんとつながっているわけではありません)

 

 

幸地グスクから中城に向かって
歩いてみたのですが、
住宅地に出たところでいったんおしまい。

そんなに長くはなかったかな。
距離測で測ったみたら500mくらいだった

写真はその場所からの逆ルート、
つまり首里向けの目線で紹介します。

 

 

いかにも古道って感じです。

 

 

舗装された道に出たら
そこはもう幸地グスク。

幸地グスクの内部を街道が通っています。

15世紀前半に立てられたとされる幸地グスクは
関所のような機能を持ち、
戦争になると封鎖するという役割も
あったのではと推測されています。

詳しくは幸地グスクの過去記事へ→ 

15世紀前半…

第一尚氏最盛期やん。

勝連を脱出し首里へと急いだ鬼大城と百十踏揚は
この道を通ったのかもしれない…。

 

 

グスク内を抜けると首里に向かう道が
もう少しだけ続いています。

もう首里はすぐそこです。

 

 

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琉球/沖縄、一問一答 【第66問】 1966年の貴重な映像

2016年10月21日 | ・琉球/沖縄、一問一答

【第66問】


12年に1回、午年の時に久高島に行われる、
30歳から41歳の島の女性が
神になる行事(儀式)とは?

 


 

(答えはランキングバナーの下)

 

 

 

琉球/沖縄、一問一答シリーズについて

 

 

 

 

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【答え】

 

イザイホウ



島で生まれ島の男性と結婚し
島で暮らしている女性のみのみが
神となる資格があるため、
1978年を最後に途絶えています。

今では超!貴重なこの儀式を記録した映像が
明日10/22、県立博物館美術館の講堂で公開されます!

 

神の島・久高島の祭祀『イザイホウ』
OKINAWA,back to 1966

 

関連講演、クロストークもあり。

世界のウチナーンチュ大会関連イベントのため
英語字幕版もあります!

詳しくはチラシをチェック↓


(クリックすると拡大します)



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【描いてみた】琉球史人物、を、25【キラ男子】

2016年10月20日 | ・琉球史散策/第一尚氏

9月25日(日)にスタートした
澪之助との共同企画、
「琉球史人物キラキラ化企画」!

 

遅くなりましたが、
4人目のお題は

阿麻和利でした!

 

 

 

 

 

 

イメージ台詞
『さっ、逃げるわよ☆』

『運命なんてのは既に決まってるモンじゃなくて、
自分で切り開くモンなんだよ』

 

 

これまでと違って
めっちゃ女性的に描いてみました。

ナゼナラバ、


阿麻和利は色白の長身、
女のようにきれいな男であった
という伝えがあるそうだから。
(『真説 阿麻和利考』(高宮城宏著))

また過去記事で紹介しましたが(→  
阿麻和利は女装して城内に侵入した
大城賢雄に討たれたとなっていますが、
この決死の女装劇は
阿麻和利にもありまして。

その際、
あまりにもきれいな男だったゆえに
女装した姿にほとんどの中山兵が気付かなかった、
とあります。

 

しかし結局は見つかり
討たれてしまうわけですが、

なんで女装がバレたのかというと…

 

身長が大きかったから。

 

こんなデカイ女がいるか!Σ(゚Д゚;)

ってことだったのでしょうか。

それを言ったら賢雄も同じですけどね…( ̄▽ ̄;)

 

賢雄が勝連を討伐した褒美として
阿麻和利の衣装をもらっていることから
大男である賢雄が着ても差し支えないくらい
阿麻和利もそれなりに長身だったのでは、
とも推測されています。

 

 

また、同書では
アルビノ〔先天性白皮症〕説も紹介されているため
銀髪という設定にしてみました。

 

なお、肩から掛けている布の柄は
大和風に菊に流水。

中国風の護佐丸に対して
大和風にしてみたよ。

勝連は京や鎌倉に例えられているくらいだしね。

 

 

さて、


めっちゃ女性的なナリにしてはみたけど、
普段は口調も動作も態度も男らしいという設定。

ギャップ萌。

 

というわけで、
時事ネタもぶち込んでみました(笑)

 

 

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鬼大城そば

2016年10月17日 | ・琉球/沖縄、徒然日記

 

今日は沖縄そばの日!

お昼に食べたぜ!

 

なんで今日が沖縄そばの日なのかは
既にこちらで説明済みなので割愛。

写真は今年の夏に食べに行った
けんぱーのすばやーのそば。

三枚肉、ソーキ、軟骨ソーキの
お肉全部乗せの「けんぱーすば」

 

ううむ、
ここは是非とも
「鬼大城そば」
とかにしてほしかった…。

参→  

 

 

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【描いてみた】琉球史人物、を、24【キラ男子】

2016年10月16日 | ・琉球史散策/第一尚氏

琉球史人物キラキラ化シリーズ、
週1ペースでツイッターにUPして、
その後ブログでも紹介…
という形をとっていますが、

澪之助との共通のお題とは別に
ちょこちょことイラストが溜まってきているので
出しちゃいます。

 

21人目以降の第3弾はメジャー所
…なのですが、

彼は果たしてメジャーに入るのか。

でも現代版組踊ファンなら
誰もが知ってるよね!

ということで今回のターゲットは
平安座ハッタラー。

 

肝高の阿麻和利では↑のように、
明るくてひょうきんで身軽でイタズラ好きで
キジムナーのようなキャラクターです。

でも実際に伝わる平安座ハッタラーは

力持ちで、ほら吹き屋。

 

このイメージではめてみた
キラキラハッタラーがこちら。

 

 

 

 

イメージ台詞
「勝連グスクの石積みは、
全部俺一人で積んだんだぜ!(キラ―ン!)

 

人相悪そうな感じですが、
クールというわけではなく、
めっちゃ表情豊かでお調子者で
愛すべきおバカさん
というイメージです(笑)

 

髪型はスーパーサイヤ人(笑)
金髪にこげ茶のメッシュ。

 

 

怪力エピソードとしては、


1人で船を陸揚げしたとか
牛を担いだとか
米俵3俵担いで首里まで行ったとか

そんな感じです。

 

彼には妹もいて
彼女も怪力だったのだとか。

 

ほら吹きのエピソードは
あまり見ないような…??

 

去記事でも紹介したけど、
『ジーブーの武士』という
金武町の民話絵本に出てくるハッタラーは
また違った感じで面白いですよ(笑)

でも愛すべきおバカさん風ってところは
共通しているかな(笑)

 

 

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キラキラ化企画4人目は…

2016年10月15日 | ・琉球史散策/第一尚氏

 

Twitter上で、9/25から週1で続けていた
澪之助との同時UPキラキラ化企画。

ひとまず区切りとする
4人目のお題は…

 

この流れで言ったら
そら「阿麻和利」でしょう。

 

明日、20:00UPです。

実は護佐丸が難航しずぎて
進まなかった先週に
阿麻和利から先に手を付けていました。

なのでもうだいたいはできています。

ワタシがこれまでに描いたことのない
タイプの阿麻和利になる予定です!

(でも個人的にはこーゆーのもアリかもと思ってます)

 

肝高の阿麻和利メンバーさんたちには
物議を醸しだしそうだけど…(;^ω^)

お楽しみに~♪

 

 

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琉球/沖縄、一問一答 【第65問】

2016年10月13日 | ・琉球/沖縄、一問一答

【第65問】


教育者でもあり
琉球の漢詩人と言えば?


ヒント:琉球5偉人のうちの一人


 

(答えはランキングバナーの下)

 

 

 

琉球/沖縄、一問一答シリーズについて

 

 

 

 

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【答え】

 

程順則(てい じゅんそく)




以前、北山に住んでいたときに
徹底的に調べました(笑)

だから近世の人の割には
結構記事書いているほうだと思う…(笑)

例えば

子ども時代の話

名護親方になる前の話

かわいそうな話

など。

実は下書きしたまままだ公開してない記事もあります。


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【描いてみた】琉球史人物、を、23【キラ男子】

2016年10月12日 | ・琉球史散策/第一尚氏

9月25日(日)にスタートした
澪之助との共同企画、
「琉球史人物キラキラ化企画」!

3人目のお題は

護佐丸でした!

 

 

 

 

 

イメージ台詞
「やってみなきゃ 分からねーだろ?」

 

 

覚悟はしてたけど…

これまで23人キラキラ化させてきて
1番難航しました。

台風で休みになった日に
1日中描いてても全然ビジュアルが定まらず、
描いては消し、
描いては捨て、
描いてはボツにする、
の繰り返し。

 

なんとか描き終わったのは
UP当日の日のことでした。

間に合ってよかった~

 

これまで描いてきた護佐丸とは変える
というのがキラキラ化のルール。

全く一緒だと企画の意味がないからね。

かといってこれまでと180度違う
滑稽なナリにしてみても
さすがにそれはワタシのイメージする
護佐丸とはかけ離れすぎている…。

これでは「護佐丸」として描く意味がない…。

これまでの護佐丸像と、
新たな護佐丸像を、
どう折衷していくかですごく悩みました

↑に至るまでに
実は10体以上も描いてるんですが
全てまるで違う人です(笑)

何名かはいずれ別のキャラに当てはめて
リサイクルしようとは思ってますが。

 

 

 

これは完成形が見えてきたものの
ボツになったものの1枚。

髪がまだちょっと長めで
表情もちょっと無邪気な感じです。

 

今回、彼に着せた服は
明代の明国の甲冑(綿甲)をアレンジしたもの。

布の服なんだけど
裏地には鉄板が鋲で留められています。

ホントは↑のように肩当もついてるんだけど
採用版では外して着物袖を出してみました。

琉球での戦は日本式甲冑なんだけど
ここはキラキラ護佐丸の好奇心旺盛さを演出するために
独自ルートで手に入れたものを着てみた…という感じ。

服飾も今回は頑張ったよ

 

手に持つのは火矢…のつもりでしたが
肝心の部分が見えてないです⤵

 

 

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謎の琉球ハトサブレ

2016年10月11日 | ・琉球歴史/文化風景

 

キラキラ化男子3人目に描いた
亜蘭匏(あらんぽう)のチビキャラバージョン。

常服のホシ(ゼッケン部分)に描いたのは
琉球ハトサブレ(笑)

 

…ってゆーか、リンク記事で、
またいずれ記事にします
って書いておきながら5年もたっとるわ。

というわけで、
今日はこのハトサブレについて。

 

 

これは北谷・嘉手納・読谷一帯で出土した
『刻画石板』に描かれている造形です。

『刻画石板』は
鳥や船、建物のような絵、
渦巻や三角、四角、その他記号のようなものが
彫られている石板のかけらです。

 

 

沖縄県立博物館サイトより(↑クリックで拡大)

 

しかし、
いつ頃のものなのか、
どのような意味があるの、
何に使われたのか
一切が謎に包まれているため
「沖縄のロゼッタストーン」
とも呼ばれています。

その中の鳥の図柄が
なんともゆるくてかわいいので
個人的にはハトサブレと呼んでいます(笑)


※亜蘭匏のホシに入れたのは特に意味はありません。
ただかわいいと思って。

 

 

『琉球戦国列伝』では
北谷間切つながりで加那時代の阿麻和利に
ペンダントとして装着させています。
文字が読めない人たちのための
身分証明のような印だったりして?
…という私の妄想炸裂コラムも一緒にどうぞ。

 

 

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