ガサシワカチャラ
2018年12月22日(土)
きむたかホール
現代版組踊島シリーズ2018の一環として
きむたかホールで公演された久米島の舞台。
ワカチャラは去年の秋、久米島で初めて観劇し、
(キャラ図鑑・現代版組踊レポの取材の一環として)
12月の久米島フェアとしてのタイムスホール公演も参戦。
その時以来、1年ぶり、4回目の観劇でした。
この日は冬至。
冬に至った日とは思えないくらい、
最高気温が26度も27度とも言われた夏日だったこの日、
夜公演を観劇しました。
+
まずは冒頭。
ワカチャラ最期のシーンに
まるまる変更!
えーーーっ!うっそ!Σ(゚Д゚;)
お父ちゃん(伊敷索按司)らが首里に攻め滅ぼされ
堂之比屋の裏切りが描かれるあのシーン、
リピート観劇者だけが味わえる感じで好きだったのにー!
…と動揺したのですが、
後日談のような感じで
物語の最後の最後に移動になってて
カットされたわけではなかったです。
あ、良かった(笑)
冒頭のワカチャラ最期のシーンは、
もちろん物語が展開したクライマックスでも
まるまるリフレイン。
なるほど、
確かにこの見せかたの方が、お父ちゃんも結局は首里にハメられていた、
という悲劇ぶりも分かりやすいし、
久米島が落とされたという歴史もちゃんと追ってて
初観劇者にもやさしいかも。
だからこそ、
もーね、首里の黒さが前回よりも際立って感じました。
密かに内部に働きかけ、
(賄賂を送ったり、無理難題をしかけたり、優しく見せて騙したり)
分裂させ、
内紛で弱ったところを一気に攻める。
というのは
古今東西、支配するための常套手段だものね…。
尚真、黒いよな…。
(ワタシは尚真は単なる聖人君子な偉大な王ではなく、
尚巴志と似たようなイメージがあります。
野望を持った策士と言うか、時には黒い事や血を流す覚悟も持って
ビジョンを成し遂げていったというか)
このシーンの"裏切者"堂之比屋は
前回レビューでも書いてるのですが、
前までは割と感情が見えないミステリアスな雰囲気があったのですが
今回は割と苦悩と言うかそんな感じを表に出してました。
彼が首里からのアプローチを受けた時、
返答をハッキリさせてないだけに
この時の堂之比屋の心情は色々作れると思うので
色々模索してみてほしいです☆
ワタシは堂之比屋がこの物語の「スパイス」と思ってます!
(肝高の阿麻和利でいう金丸的存在!)
ところで、ロビーで
久米島スタッフのお父さんとお話ししてて知ったのですが、
堂之比屋ってまんま役職名なんですね。
だから色んな堂之比屋という人物がいるのだとか。
へぇ~
歴史上の色んな堂之比屋、調べてみたくなりました!(宿題)
現代版組踊の"聖地"きむたかホールが、各チームの憧れのホール。
+
今回会場がきむたかホールということで
演者さんの立ち位置や動きなども
色々とバージョンアップ!
ワカチャラが神託を受けるシーンは
ガン見すべきは正妃(ウナジャラ)や兄たち、そしてお父ちゃん!
というのは本でも書いたくらい。
怒りをあらわにした正妃が真牛を突き飛ばして
兄たちとともに集団から退場。
えっ行っちゃうの?
と思ったけど、完全退場ではなく
舞台脇の暗がりでしっかりイライラ爆発中。
この物理的な距離感も
ワカチャラたちとの
決定的な心の距離感が生まれてて効果的でした
お父ちゃんはね、
ワカチャラのそばにいるのよ。
とはいえ、
しばらくするとワカチャラ肩をポンと叩いて去っていく…。
複雑な気持ちを隠せない
お父ちゃん、
そしてワカチャラ自身も。
そんな彼らをよそに純粋に喜ぶ儀間之主。
このシーンの人間模様、
どの人もおもしろいのですよーーーー。
これは昼公演後の見送りの演舞
+
今回、正妃と兄二人のやりとりが
新たなシーンとして追加されていました。
兄ちゃんS、お母ちゃんを怖がってるし
(どっちが話しかけるかジャンケンしてるし(笑))
これからどうなるのでしょうと泣きつくし。
そんなの私が知るわけないでしょ!
だいたいね!あなたたちがしっかりしてないからいけないのよ!
と怒りつつも困り果ててる感じの正妃が
なんか可愛かったです(笑)
新たな面が見れたというか。
より人間くさいというか。
そして登場するお父ちゃん。
抜刀し、
「ワカチャラを討つぞ!」
と高々と宣言するお父ちゃんのシーンが。
…おんや?
【敵を欺くにはまず身内から】
ってやつ?
(ここの前のシーンで首里からの書状を受け取っている)
だから堂之比屋も気付いて、
お父ちゃんに咬みつくという従来のシーンに繋がるのか。
"わしや兄たちを差し置いて
久米島の平和を乱そうとしている"
正妃にも息子(兄)や部下にをも
敢えて欺いて本心を隠し、
責任を一身に背負わざるを得ない
久米島の統治者・伊敷索按司の悲しい性が見えますね。
この時点でお父ちゃんの本心を知っているのは
粟国島に帰された真牛のみ…。
嗚呼、お父ちゃん…(´;ω;`)
+
そしてワカチャラとお父ちゃんのシーン。
つい本心をもらし、
互いに覚悟を決めようぞと語る。
「できません!」と刀を受け取らないワカチャラを尻目に
舞台奥に去っていくお父ちゃん。
満天の星空を見上げ、
たたずむお父ちゃん。
毅然としたその後ろ姿だったが
しばらくすると膝をつき、うなだれる。
思わず駆け寄るワカチャラ。
しかしその手を振りほどき、
また毅然とした様子で一人去っていく。
1人でしか泣けない、
悲しい性。
嗚呼、お父ちゃん…(´;ω;`)
+
残されたワカチャラが、
気持ちを整理し、覚悟を決め、
母親の面影を求めて対話に向かうシーンは
照明・音響効果もあってよりじっくししっとりと。
月が、美しすぎる…。
(MOMOTOにも出てくるアレです)
セリフもなく、
結構な尺なのに、
ワカチャラの心情が良く表現されていました。
涙石も健在。
父子のシーンから母子のシーンへ。
バランスもちょうどよく、
自然に見ることができました。
距離があったのでトリミングしても画像荒くてガタガタ💧(しかも逆光) 雰囲気だけでも伝われば…。
+
そしてワカチャラの最期、
クライマックスへ。
テーマソング「球美の詩」のあとは
ダイナミック琉球。
今回、ガサシワカチャラOB/OGメンバーも10数名加わっており
人数は過去最多!
そして演奏するは友情出演のきむたかバンド。
きむたかバンドバージョンのダイナミック琉球に、
劇中でも出演している登武那覇太鼓、
そして同じ島シリーズで24日に演じる
徳之島チーム「結シアター手舞」メンバーも加わっての
スーパーダイナミック琉球!
圧☆巻☆!!
特に登武那覇太鼓の音は効いてましたね!
ダイナミック琉球でのエイサー、もしかしたら初めて見たかも?
阿麻和利公演の時に観れなかったから
見れて良かったーーー
(ところで、手舞の男子メンバー、
結構いるし、皆がっしりしてて体格イイ!
え、地域差?
もうそれだけで24日の舞台の期待が高まりましたよ)
ワカチャラのこのビジュアルシリーズ、好き!
各役者の退場の時、
どう去っていくのは結構楽しみにしている正妃と真牛。
今回はハグでした
お。和解した。
ワカチャラとお父ちゃんもハグ
お。和解した(笑)
お父ちゃんが先に舞台を下り客席へ。
ひとり残ったワカチャラが
きむたかバンドへ拍手を送り
(ここスマートで余裕が感じられて男前だった~!)
再び一礼。
その様子を中通路で振り返って
やさしく見守るお父ちゃん。
嗚呼、お父ちゃん…!(´;ω;`)
なんか、この時の姿はハグをしてた素の高校生ではなく、
「息子を見守る伊敷索按司」そのもので、
最後に
ぐ…っ!
とヤラレタのお父ちゃん贔屓の和々なのでした。
+
今回の公演が高校3年生にとっての卒業公演。
12名が卒業していくのだそう。
去年からこの舞台を観てきて、
この2年間主要キャストは一緒だったので
ワタシの中での「ガサシワカチャラ」の舞台は
今のワカチャラ、今のお父ちゃん、
今のキャストがベースとなりました。
男子のいない女の子だけのチームにもかかわらず、
そんなことを全然感じさせない、
力強くカッコイイ、
男前でいて美しい、
久米島の英雄たちを魅せてくれました!
本当に素敵でした。
惚れました。
どうもありがとう
また
来年度からはキャストも大きく変わるのでしょう。
新生ガサシワカチャラも楽しみにしています!