がじゅまるの樹の下で。

*琉球歴女による、琉球の歴史文化を楽しむブログ*

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リテイク版・赤犬子

2021年07月31日 | ・琉球史散策/第二尚氏

 

琉球戦国列伝リテイクシリーズ
赤犬子(あかいんこ)。

 

尚真王代(1477~1527)に活躍。

オモロ(神歌)の歌い手で、歌三線の始祖ともいわれる。

沖縄各地をはじめ、
1501年に完成した王陵・玉陵や、
1522年に仲宗根豊見親が尚真王に献上した治金丸についても
謳っており、
「おもろさうし(一巻)」にまとめられている。

また、不思議な力(霊力)を使っている伝承もあり、
謎の多い人物である。

 

 

私とアカインコの出会いは、
たぶん現代版組踊「翔べ!尚巴志」(現:現代版組踊「鬼鷲」)の初演。

ストーリーテーラーとして登場した彼の印象は
素朴で親しみのある好青年。

その舞台の影響や、
「吟遊詩人」や「旅芸人」と説明されることもあって、
当初からキラキラしたイメージがありました。
みつあみとかね。
ジプシーとか、FFⅣのギルバートとか、そういう感じ(笑)

 

なのでこれまで割とそういうキラキラキャラ寄りで
ずっと描いてきたわけですが、
(髭キャラで描いたことない)

アカインコを調べれば調べるほど、

悪く言えばうさんくさい
良く言えばミステリアス

だなぁ…と…。

タンチャー(短気)だし、
呪いもするし。

 

とりあえず、
ただのきれいな優等生キャラではないだろうな
とはずっと思っていたので、

リテイク版では

得体の知れないおじさん風

に。

 

ざんばら髪にくたびれた野良着のまま、
装飾品も一切排除です。

 

 

本人も見た目は一切気にしないタイプ。
性格の癖も強いんだけど
「芸・技」は唯一無二の本物。

祝いの席や王の前にでるときは、
周りの人が身支度を整えてあげる。

そうすると…
おっとびっくり、別人のように大変身!?

的な裏設定です(笑)



 

なお、
野良着の感じと、腰に掛けてる水筒は
宮古島市総合博物館で見た写真を参考に
させてもらいました。


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リテイク版・仲宗根豊見親

2021年07月25日 | ・琉球史散策/第二尚氏

 

琉球戦国列伝リテイクシリーズ
仲宗根豊見親(なかそねとぅゆみや)。

 

宮古島の首長。
1500年、首里王府軍と共に石垣島のオヤケアカハチを倒した後、
与那国島も攻める(その際は女傑サンアイイソバの反撃で失敗)。
22年後、2度目の遠征で与那国の新首長・鬼虎を滅ぼし、
先島の天下を握る。
同年、に自分の刀(治金丸)を尚真王に献上。
尚家の宝刀の1つとして現在に残る。

 

多良間の八月踊りに仲宗根豊見親の演目があるので
その衣装で描かれることが多い彼ですが、
リテイク版は芸能仕様である組踊衣装は採用しない方針なので
(阿麻和利もそうするつもり)
八圧踊り感はゼロ。
敢えて言うなら、髭のみ…かな。
(でも晩年設定なのでグレイヘア~に)


前作のように本島よりも南島なので
涼しげに白の単衣で描いていましたが
李朝実録の目撃証言記録では

(”衣服は多良間島と同じで”)苧布を用いて藍で染め…

とあるのに後から気づいて、
藍色にチェンジ。

柄は宮古上布の主な図柄の中から
「ティーイディ・ツカ・ジュームンズ(手の出た 舛 十文字)」
を選びました。

 

手にするのは治金丸。
尚真王に献上する前設定なので
簪は普通の蓮形しています。
(治金丸献上後に、鳳凰の金簪が与えられるので)

 

先島の髪型は首里とは違うようですが、
仲宗根は首里との結びつきを強めたので
敢えて首里のスタイルで。
(耳横カタカシラでもよかったかもしれない)

 

でももう少し宮古島感を出したいな~と思ったので
鳥さんと共演してもらいました。

鳥は現在は絶滅しているという
ミヤコショウビン。

カラフルな羽が亜熱帯を感じさせます。

でも、仲宗根が刀に手をかけてるので
この直後に斬られそうな
ミヤコショウビンになってしまいました😨


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リテイク版・オヤケアカハチ

2021年07月17日 | ・琉球史散策/第二尚氏

 

琉球戦国列伝リテイクシリーズ
オヤケアカハチ。

 

石垣島の首長(波照間島出身)。

首里王府に従うことを拒み、首里への貢ぎ物を停止。
反対意見の島内の勢力を制圧し、
八重山の完全独立や、宮古島への勢力拡大も目指した。

危機感を感じた宮古島の仲宗根豊見親の求めに応じ、
尚真王は王府軍を派遣。

1500年、
アカハチは奮闘するも、ついに力尽きて滅びた。

 

 

前回は石垣島に建っているアカハチ象(銅像)に
寄せたビジュアルにしていたのですが、
いくら離島とはいえ王府軍を迎え撃つ大将が野良着っていうのはどうよ…
とずっと気になっていたので、
リテイク版では鎧着用に。

しかし、
沖縄本島(王府軍)と差を出すために
「韋包(かわつづみ)」という鎧にしました。

いろんな鎧の小札(パーツ)をつなぎ合わせて修理したのを、
ちぐはぐ感を隠すために上から皮を張った鎧です。

つまり、リサイクル品(B級品)。

 

確か石垣島では鎧の遺物は見つかってないのですが、
アカハチが独自ルートで手に入れたという
仮の設定です。

 

素肌に直接着ているのはちょっと痛そうですが…
実際にそういう着方をしてる室町時代の絵図なんかもあるので
そちらを採用。
(上だけでなく下も履いてない例もあったんだけど、
さすがにそれは…ね…(^^;))


THEワイルド★アカハチです。

 

 

髪型や装飾については
当時の目撃証言録『朝鮮王朝実録』より。

 

朝鮮の漂流者が保護され、
首里に向かうために先島の島々を移動し、
各島の様子が書かれているの貴重な記録。

とはいえ、「石垣島」については書かれていないのですが、
アカハチの出身地「波照間島」の記述があり(→”大概与那国と同じ”)
そちらの一部を参考に。

すなわち、

耳には青い玉(ビーズ)のピアス(垂らす系)。
髪は苧縄でしばって、まげて、たたんで、髻をうなじのあたりに作る。
玉をつなげた首飾りを3、4巡りさせて1尺ばかり垂らしている

実際にどのようなデザインなのかは
この情報だけでは想像するしかないのですが
ザンバラ髪やポニーテールやカタカシラではなく、
このような髪型にしてみました。

首飾りは実際に石垣島から出土しているビーズと
サメの歯を参考にしました。

 

顔だちは
眉と目の間を詰めて、掘り深めに。

手足の毛もマストです。
(胸毛、脇毛は自主規制♡)


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リテイク版・尚真

2021年07月11日 | ・琉球史散策/第二尚氏

 

琉球戦国列伝リテイクシリーズ
尚真(しょうしん)。

 

第二尚氏第3代の王。
父は尚円(金丸)、母はオギヤカ。

父・尚円の死後、母の画策によって(とする見方が強い)、
叔父の尚宣威(第二代王)から王位を譲られて
12歳で王位に就く。

在位は歴代最長の50年。
様々な政策で王国の基盤を固め、
琉球の黄金時代を築いた。

 

 

やはり尚真は少年時代で描きたくなります。

今回は、朝鮮王朝実録にある「オギヤカの行列」目撃談にある
尚真の描写をビジュアル化しました。

 

・年十余歳

・貌甚だ美なり

・髪は後ろに垂らし、あまず

・紅あやぎぬの衣を着て

・帯を束ぬ

 

ちらっと出会っただけの朝鮮人に
「甚だ美なり」と言わせるほどのお顔とは
気になりますね♪

生粋のモテ男金丸と、
その金丸を最終的に射止めたオギヤカの血を引いているのですから
それはそれはイケメンだったことでしょう。

実際、御後絵を見ても整った感じですものね。
(金丸よりも…)

 

紅衣の詳細は分からないのですが
皮弁服ではないので
尚家継承の「紺地龍丸模様緞子唐御衣裳」と
「黄組物御紐」を(近世)を
参照しました。

赤地にして、
模様は古琉球なので龍ではなく鳳凰に。

紐はそのままです。


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リテイク版・金丸

2021年07月03日 | ・琉球史散策/第一尚氏

 

琉球戦国列伝リテイクシリーズ
金丸(かなまる)。

 

どういう人かまとめると…

 

伊是名島の農民

島を脱出して沖縄本島を放浪

王子(尚泰久)に見いだされ仕える

王子が国王になる

王府の役人としてどんどん出世

役人を引退

クーデター

周りから国王に推挙

王位に就く(第二尚氏)

 

という人です。

 

非凡さを表すために
私の金丸は左利き設定♡

 

女性遍歴も多きモテモテの美青年
というのは今回はあまり前面に出さずに、
役人時代の金丸を。

 

服飾作画については
実はこれが今までで1番苦労しました

 

今に見ることができる琉装の着物とは違う、
古琉球らしいゆったりとした着物感を出すために
襟の開き具合とか、
袖の長さとか、
帯とのバランスとか、
全体のシルエットとか、
描いたり消したりの繰り返しで…

 

1回完成させて、もう一度まるまる描き直したり。
よし今度こそ完成!となってから、大きな路線変更があったり。
(なので金丸は完成しているデータがほかに2体あります)

今回ひとまず「完成」にしてアップしましたが、
もしかしたら1か月後、2か月後に見たら
また直したくなってたりして…(^^;)

 

ハチマチは、現在見ることができるような箱型被り物ではなく
当時は1枚の布をぐるぐる巻きつけたターバン形式。

ここでは琉球に漂流した朝鮮人の目撃記録の、

 

「男女頂辺に椎髻し、帛(きぬ)を以て之をつつむ
…(中略)…その守令、
班染の繪を用て髻をつつみ白細苧布の衣を着し、
紅染の帛を帯ぶ」

 

から取って、カタカシラは耳横ではなく、
ハチマチの中(頂辺)ということにしています。

…アングル的に見えないけどね。

 

そしてターバンは織ではなく染。
その色や模様は不明だけど
高官である黄冠をベースに。

 

そして衣は白に赤い帯。

 

オーソドックスな王府役人の黒朝衣を
白(きなり系)にするだけで
印象がガラリとかわりました。

これまで下っ端役人に白系を着させるのは
ドラマ『テンペスト』『尚巴志』をなどにあったのですが、
守令(=朝鮮王朝の地方官のこと)という
そこそこ高い地位の役人に着させているビジュアルは
無かった…はず!(部屋着・寝間着・下着・葬儀とかは別として)

 

いかがでしょうか?

 

 

 

<オマケ>

 

ところで、この証言記述の「男女」っていうの
気になりません?

男子はいいとして、
女子もターバンをしていた…!?

もしかして、この女子というのはノロさんで、
「帛(きぬ)を以て之をつつむ」というのは

ノロさんがしている白ハチマキなのかもしれません。

この一文の後ろの記述には
「婦人…皆白苧布の衫、白苧布の裳を着る。或いは白苧布の長衣を期す…」
とあり、白装束なのがわかります。

朝鮮の証言者らは
ノロさんたちの拝み巡礼を目撃したのかもしれませんね。


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