先日、県博で開催中の
『岩石展』に行ってきました。
岩石…といえば
高校の時の地学の授業以来。
しかも得意な方ではなかったので
ちょっと不安もありましたが、
意外にも(!)予想以上に楽しめる展示会でした!
まず、担当学芸員さんたちの意気込みを感じました!
とにかく見どころが満載です。
岩石の種類、バリエーション、
空撮動画、プチプロジェクションマッピング、民話動画、
宝石や建築資材からのアプローチ、
石碑や石彫など歴史的文化財からのアプローチ、
もちろん専門的な解説パネルも。
易~難まで、
見せ方も工夫がいっぱいでした!
県博の専用ページでは
各章ごとに見どころ解説動画もUPされていて
とてもキャッチーで分かりやすいです。
(お話上手!)
この動画は一部でもいいから
訪問前に見ておくことをおすすめします!
その人の興味の範囲やレベルで
色んな楽しみ方ができる展示会だなと感じたのですが、
私の楽しみ方は「岩石の表情を楽しむ」こと。
岩石はアートだ!
宝石の岩石はもちろんのこと、
そうではない岩石も色や模様が実に様々で
アートとして鑑賞しても十分に面白い。
むしろ、インスピレーションが沸いてくる。
というわけで、その視点で捉えた
岩石たちの”マチエール(絵肌)”を
写真にまとめてみました。
不思議不思議
後半には琉球王国時代の石彫や刻画石板、
琉球王国文化遺産集積・再興事業で復元された王冠、
そしてスタジオde-jinの石獅子も♪
岩石展は11月15日まで。
コロナの影響でまたどうなるかわからない状況なので
気になる方はお早めに!
+
首里城焼失1年忌を前に
様々な取り組みや特番などが多く企画されていて
ブログでもいろいろ取り上げたいのですが、
新案件着手の為、またしばらく
ブログ更新の頻度が下がる見込みです
様々な情報提供はツイッターにて日々更新中です!
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だいぶ前にブログの振り返り一覧表として、
つながり相関図を作ったのですが、
『琉球歴女の琉球戦国キャラクター図鑑』の巻末資料で
その改良版+αで制作しました。
本でキャラ化した人物の相互関係がわかるようになっています。
今回は本に載せたものを、
さらに少しだけ改良しました。
それぞれの線・矢印は、
血縁・婚姻関係→青線
主従・サポート関係→緑色
対立関係→赤色
になっています。
王冠マークは実際に”王”になった人です。
また、「討伐」ではなく、
「討つ」という言葉にしたのもこだわり。
「討伐」という言葉には立場の善悪や
上下のニュアンスが含まれるとのアドバイスを受け、
敢えて事実関係のみを表す「討つ」という言葉にしています。
本当は各キャラの顔アイコンやルビやを入れたり、
盛親も第二尚氏に仕えるという関係性矢印も入れたかったけど
紙面やレイアウトの都合上できなかったのは心残り…。
本の巻末資料には
各人物の年表も入れています。
(地の色は相関図とも対応)
『琉球歴女の琉球戦国キャラクター図鑑』は
琉球史エンタメとして振り切った本ですが
このような巻末資料(冒頭には通史も)は
歴史資料に基づいたマジマなものになっています。
この時代の創作物(小説、マンガ、舞台、映像など)も多いので
琉球史に興味を持った人の参考になると嬉しいです。
現在まで続いている琉球・沖縄の民俗信仰として
「貝の魔よけ」があります。
古来より貝には霊力があると考えられており、
今でも海部や離島の集落を巡ると
拝所の中に祀られていたり、
石敢當やシーサーと同じように
貝が置かれていたりします。
用いられるのは主にシャコ貝だったりするのですが、
民家の軒先などにつりさげる魔よけとして
もう一つメジャーなのが、
トゲトゲの出たこちらの貝。
左がスイジガイで右がクモガイ。
大きさは様々です。
飛び出た突起が
「水」の字に見えることから
「スイジガイ(水字貝)」いいます。
水の貝ということで火災除けとも、
突起が魔物を突いて退治することで
魔除けともされてきました。
大河ドラマ「西郷どん」奄美編でも
愛加那がスイジガイを吊るすシーンが。
去年、渡名喜島に行ったとき
どの家先にも立派なスイジガイが置かれていて、
私も浜辺で探してみたのですが
先が折れたものや割れたものしかなくて。
(それでも本島では見かけないくらいゴロゴロしてしたのですが!)
いつかちゃんとした形のものがほしいな~と思っていたら
中部の某ジャンクショップで売っているのを発見(!)
お土産品やさんだったら2・3000円ほどする大きさの立派なスイジガイを、
数百円でゲット♡
同じく魔よけに用いられている
クモガイも一緒に。
わーい(∩´∀`)∩
ちなみに、スイジガイは
沖縄県埋蔵文化センターのマークでもあります。
阿麻和利編ですが、伊是名時代の金丸が続いています。
金丸の人となりを表現するのに必要なネタなので
ご容赦を。
次回、阿麻和利登場です!
「髪切ったんだね~」
と気づいて声をかける男性多いですが、
その次の会話が重要ですよ(笑)
「キラキラ琉球史☆ゆんたくマンガ」
シリーズ初見の方はこちらもご覧下さい。
『琉球王国衰亡記』
(嶋津与志/岩波書店/1992)
肝高の阿麻和利の脚本を手掛けた
嶋津与志さんの小説です。
時代は19世紀の王朝末期。
主人公は板良敷(牧志)朝忠。
先の空手小説2冊とも時代がかぶったりと、
最近は何かと古琉球よりは王朝末期から近代初期です。
そして『テンペスト』と同時代。
(祝☆再放送!)
孫寧温は部分的に朝忠をモデルにしてもいますしね。
時代背景や出来事は知っていたので
読みやすかったです。
この小説で特に興味深かった点は大きく2つ。
一点目は、
来琉する欧米諸国の人々や薩摩の斉彬などとのあれこれが、
人と人との関わりとしてちゃんと書かれていたこと。
(ペリーとのあれこれは思ってたより少なかったけど)
…小説なら当たり前じゃん?
って思う人もいるかもしれないけど、
琉球史系の小説はそれが弱いものも結構あって…
「出来事」だけが淡々と述べられているとか。
何度か書いてるけど、
やはり「セリフ」(心の声含む)があると
その人物がより人間らしく捉えられる。
その人が何をどう語るかで
その人となりが表現できるからかもしれない。
対話だと、関係性の表現にもなるし。
2点目は、そんな登場人物たちに
あまり「美化」を感じなかったこと。
朝忠もベッテルハイムもペリーも斉彬も
…そして琉球王国そのものも。
美化というか、その人の良さをPRするような表現というのかな、
印象付けるような文章構成というのかな。
もちろん、歴史的にもすごい人たちなのは変わりないのだけど、
それがスーパーヒーローのようなものではなく、
良きも悪きも人間というか。
業績はすごい。
でも人となりまで過大評価はしない、
という感じ。
主人公の朝忠も結構とがっていて、
「世の人は我を何とも言わば言え 我なす事は我のみぞ知る」
…って、これは竜馬の句ですが、
こんな感じの人でした。
家庭もあまり顧みないとかね。
琉球王国そのものにいたっても
タイトルの「衰亡記」からも分かるように
滅びゆく王国の悲哀のような、
旧体制の皮肉のようなものも込められていました。
例えば『青い目が見た大琉球』(ニライ社)など
当時の琉球についての欧米人の記述を読むと、
ほめたたえている記述と、
これはひどいものだとしている記述と、
両方見れるんだけど、
「これはひどいもんだ」という側の記述を
結構表に出してきているような感じかな?
あくまで私個人の印象ですが。
でも、それがかえってリアルに感じられます。
琉球エクセレント!
琉球バンザイ\(^o^)/
一辺倒のはずないし、ね。
そういう意味でも、
同時代の『テンペスト』と比べると
読了感はだいぶ変わります。
『テンペスト』はいわばファンタジーだし、
美化描写がすごいからね。
でもその描写の鮮やかさが池上小説の魅力であり、
文章から豊かなイメージを引き出すという小説の醍醐味があり、
琉球に興味や誇りがわいてくるような熱い読了感を与えてくれるのです。
両方読むとより楽しめると思います。
『チャンミーグヮー』(今野敏著)
『武士マチムラ』(今野敏著)
を読了しました。
今野さんの小説を読むのは
これで3月、4冊目。
どれも沖縄の空手家を題材にした小説で
時代も王国末期~近代と
時代がかぶっていたりするので、
お互いがどの小説にもかかわっていたり
共通の登場人物やエピソードがあったりと
色々とリンクしているので
空手小説シリーズとして読む楽しみもありました。
チャンミーグヮーは喜屋武朝徳(きゃんちょうとく)
武士マチムラは松茂良興作(まつもらこうさく)
が主人公。
薩摩の支配、王国の衰退、滅亡、
沖縄人の中で反大和派(頑固党)と親大和派で対立し、
社会が大きく変わっていったこの時代、
沖縄を代表する空手家たちがどう生きたのか、
「手(ティー)」をどのように守り、伝えていったのか。
それぞれの生き方を通して知ることができます。
チャンミーグヮーこと、喜屋武朝徳は
”大和に琉球を売った”者(維新慶賀使節団の一員)の子であることの葛藤や、
明治に東京で過ごしたというのが興味深かったです。
また、妻・カマーが屋良伝道家の娘というのも「へー!」ってなりました。
(屋良の伝道家(林堂家)といえば、阿麻和利の母と伝わる家です→★ ★)
カマーを脇に抱えて逃げる(駆け落ち)シーンは、
鬼大城のこれを思い出してしまいました(笑)
若いころの「やらかし」エピソードもあったりと
晩年の写真からは想像つかない
なかなかの人間味を感じました。
泊手(泊の手)の中興の祖である
武士マチムラこと、松茂良興作は
優等生で義侠心が高くて絵にかいたような真面目な人
という印象。
薩摩支配への葛藤はあるものの
世代わりなどの歴史の荒波に翻弄される
というようなドラマは少なめで、
わりと淡々と順調に…の印象だったかな?
「自分を守るというのは、身を守るという意味だけではない。
信念を守るという意味もある。
信じる者が損なわれたとき、それはもう自分ではなくなる。
沖縄人は、かつて薩摩に支配され、そしてついに御主加那志もいなくなった。
それでも、信じるものを失わなければ、沖縄人でいられる。
恐ろしいのは、信じるものを奪われることだ。
それを守るために、ワッターは手をやるのだと思う」
(『武士マチムラ』松茂良興作)
「強くなれば、誰も戦いを挑んではこなくなるでしょう。
うんと稽古をして、生涯一度も手を使わなければ、
それが武士の本題だと思います」
(『武士マチムラ』喜屋武朝徳)
個人的には、今野さんの小説は
自身が空手家であるということもあり、
型や実践ついての描写や極意が結構でてくるので、
空手をやっている人にとっては
きっともっと「読める」んだろうなーと思いました。
私はその点、さっぱりなので
その人となりや、人生描写の方にどうしても寄ります。
そうすると、
これまで読んだ4冊のうちだと、
『武士猿』の本部朝基や
『義珍の拳』の船越義珍のほうが
波乱万丈なドラマが印象的かな。
とりあえず、
沖縄空手会館(→★ ★)の展示を
今一度鑑賞したくなります。
前よりは、もっと頭に入ってくるはず!
+
まったくもって蛇足ですが、
刀剣乱舞のキャラクター「治金丸」君が発表された時、
特技が「手(テイ)」ってなってたんだけど、
テイってなんだよ、テイって。
あれからちゃんと「ティー」に修正されただろうか…。
「世界遺産出土品巡回展~未来に継ぐ琉球の宝~」
のパンフレットに載っていた
琉球王国のグスク及び関連遺産群9つの史跡の入場者数グラフを、
比較一覧にまとめてみました。
(※園比屋武御嶽石門のみ、計測不可能の為ノーカウント)
元資料に基づいているので
ざっくり数字なのはご容赦を。
水色が世界遺産に登録された2000年、
オレンジが昨年の2019年。
灰色はこの19年間のピーク時です。
ピークの年は
今帰仁 2015年
座喜味 2019年
勝 連 2018年
中 城 2016年
首里城 2017年
玉 陵 2014年
識名園 2001年
斎場御嶽 2013年
です。
斎場御嶽が登録後13年で
来場者数約45倍。
なお、座喜味と勝連は無料なので
入場チケットなどによる
正確な人数把握はできないはず。
その点を頭において数字を見る必要があるかなと思います。
この比較グラフから
何をどう見るかは色々あると思います。
単に、多いとか少ないとか、
いい悪いとかではなくて。
あなたはこれから
何をどう見ますか?
※追記※
数字およびグラフにミスが見つかったので修正しました
(2020.11)
<かんぷー>
髪を結ぶこと、また、
結んでいる髪のこと
今も使ったりするかな?
だいぶ聞かなくなった気もするけど。
あ、イントネーションは例にもれずまっすぐです。
「カンフー」と一緒じゃないよ。
SEASON3、阿麻和利編ですが、
しばらく伊是名時代の金丸が続きます。
「キラキラ琉球史☆ゆんたくマンガ」
シリーズ初見の方はこちらもご覧下さい。