琉球伝信録
2018年3月31日(土)
てぃるるホール
那覇青少年舞台プログラム
(昼公演)
今年度最終日、
今年度最後の最後の現代版組踊公演に行ってきました。
琉球伝信録は立ち上げ(前身の『朝薫伝~赫き龍!舞うが如く~』)から
見てきている舞台。
朝薫伝から琉球伝信録とタイトルを変え、
登場人物(赤山とか)やストーリーを変化させながら
今のスタイルに固まったのが5年前の2012年度公演。
すこし間が空いて、去年久々に観劇したのですが、
年度終わり・始めに忙殺され
レビューは書けぬまま…。
かろうじてツイッターにちょっとだけ
つぶやいていたのでこの機会にリンクを貼っておきます。
+ + +
さて、1年ぶりの観劇となった今回の琉球伝信録。
過去レビューにも書いている通り、
主人公の4名がどれも個性豊かで
キャラクターが立っていて
物語の中でうまく相互に絡み合って
深みがでてとても面白い。
脚本がまずスゴイ。
江戸上りや死去年が被る事、
政治的対立やその時の情勢など
この舞台を通して初めて知った事、
興味がわいて調べてみたことがいくつもあります。
新しいアンテナをたててもらった脚本にまずブラボー
そしてその脚本力に負けない
演者さんたちのパワー!
今回は特にそれを感じました。
誰かが強すぎて誰かが喰われることもないし、
誰かが影になりすぎることもなかったし、
誰かが善で誰かが悪とか、
誰かがメインで誰かがサブ、
という感じはなくて
(ストーリーテーラーの名護親方でも
単なるストーリーテーラーで終わることなく)
皆よくて、皆魅力的で、皆かっこよかった。
前回までは朝敏がはちゃめちゃキャラでかわいく、
そして悲劇の末路があるがゆえに
ほかの3名よりも主役感というかインパクトが強かったのですが
今回は4名それぞれの人間性や物語性が優劣なくどれもしっかり感じられ、
4名揃っているから「こそ」より良い、と感じました!
朝敏が捕らわれるところからの展開は
「その後」の部分まで含めて今回なんだかすごく心に響いて、
彼ら4名の存在を超えた「未来」を感じました。
主人公同士の対立や、処刑という悲劇もあり、
決してハッピーエンドでちゃんちゃん♪な展開じゃないのに、
すごく未来を感じたって、どうしてだろうね。
どうして涙がでたんだろうね。
決して、
朝敏可哀そう!の同情の涙でなく、
蔡温も朝薫も名護親方も、そして尚敬も含めて
それぞれの気持ちと言うか信念と言うか
熱い想いのようなものを感じて涙がでました。
自分でもうまくこの気持ちを分析できないんだけど、
とにかく、
心に迫るものがありました。
+ + +
尚敬がなー、すごくいいクッションになってると思った。
朝敏が処刑されて、動揺と迷いを隠せない尚敬と、
琉球の未来は明るいと、ピシャっと言い切る蔡温。
本当なら人気者・朝敏を死に追いやった
近寄りがたく怖い存在、蔡温のはずなんだけど、
そう言い切る彼のセリフにはなんだか希望があって。
(未来を信じきって言い切れれる人こそ最強のサポーターですよねぇ)
なんだか救われた気分になるのは尚敬が
1(蔡温)VS 3(他3名)のクッションとして間に入ることと、
天国の3人が楽しそうだったからなのかな。
今回は一貫してクールな蔡温だったけど、
もしかしたら、彼も痛みを抱えつつ琉球のために信念をつらぬいた
(信念をつらぬくためには自らも犠牲や痛みを伴う覚悟も必要)
のかもしれない。
冷酷さを装っていても、陰では密かに苦悩をにじませる一瞬があって…
という彼も見てみたいですね。
↑新里堅進著『まんが偉人伝 蔡温』より
ところで1734年の同じ年に主人公の3名が死ぬ、
というのは劇中でも語られるのですが、
朝敏が連行されてすぐのシーンだから
朝敏が先に死んだと思いきや、
朝薫→朝敏→名護親方(正確には1735年1月1日らしい?)
なんですねー。
(観劇後のググりタイム、今回は死んだ月日でした★)
そしたら、
朝敏が連行されるあの劇的なシーンで、
朝薫が朝敏を追おうとするも咳こんで(もしくは胸を押さえて)倒れて
名護親方が「朝薫殿!」って叫んで駆け寄って…
暗転
なんてのもありなのカシラ?
朝薫、死の布石。
こーゆーの、
よく漫画とかであるじゃない?(笑)
那覇バンドさん。
現代版組踊チームは数多かれど、
メンバーさんが演奏も手掛けているのは
阿麻和利と那覇の2チームだけです。
サポーターは入っていましたけど、
迫力のある生演奏、歌、
そしてノリノリのバンドメンバー。
すごく楽しそうでした♪
特にダイナミック琉球の前奏部分は
すごく良かったです!
(他舞台ではこれと同じ前奏アレンジはない……はず)
そうそう、この時の舞台上の演出、
個人的には幕開けの冒頭にも入れてほしかった!
幕開けの演出って
どれだけ期待値をあげられるか
その作品の世界観に観客をどれだけ引き込めるかが
重要だと思うので。
今回の幕開けは、ナレーションがあって、
幕が開いたら明るい舞台に首里城幕のみ、
そして暗転、幕が閉まる
だったんですけど、
幕が開いてからぼうっと首里城幕に光りが入って、
4名の主人公のシルエット(もしくはスポットライト)が浮かび上がって
(ポーズをつけてもつけなくても)
そしてまたぼうっと暗転していくというプロローグ。
そして最後の最後のダイナミック琉球の冒頭で
この演出アゲイン+α
ナレーションもリピートになるから
演出も似た感じで冒頭とラストで2度出してもいいかなーと思いました☆
でも、それにすぐ続く女性アンサンブルさんの演舞では
衣装がリニューアルされてて華やかでステキだったな。
髪飾りもどこか簪の様で、ちょっと和風チック♡
ダイナミック琉球、
そういえば昔は朝薫の扇子バージョンの振付があったような…。
願わくば、復活希望★
+ + +
さて、
これにて2017年度の現代版組踊は全て終了!
各チーム、スタッフの皆様、お疲れ様でした!
また4月からは新メンバーを迎えて
新体制として再スタートする事でしょう。
メンバーの卒業はさびしいけれど、
こうやって毎年毎年メンバーが変わって
常に循環しているのが現代版組踊の良さでもあります。
また次年度の活動も期待しています!