博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『アラビア遊牧民』

2006年11月11日 | 世界史書籍
本多勝一『アラビア遊牧民』(朝日文庫、1981年)

『極限の民族』シリーズの最終作です。

今回は遊牧を生業とするベドウィンのある部族に入り込みます。著者は当初は彼らから手厚い歓待を受け、また宴会の席次を互いに譲り合う姿を見てベドウィンを親切で慎み深い人々だと感心しますが、次第に何だかんだと理由をつけて大金をせびってきたり、また金をふんだくるために平気で嘘をついたり、ミスを犯しても絶対にそれを認めず、逆に相手に責任をなすりつけたりといった、略奪に罪悪感を感じない文化の中で生きてきた彼らの本当の(?)姿を目の当たりにすることになります。

そして著者はアラビアでの体験によって、自分がミスを犯した時にすぐに誤ることが美徳とされるのは日本人や、著者がかつて出会ったカナダ・エスキモーやニューギニアのモニ族などごくごく少数の民族に限られ、世界的にはベドウィン(あるいは彼らを含めたアラブ人)のような考え方や態度を取る民族の方が多数派であることに気付きます。

著者はその理由を、日本人やモニ族などが異民族との接触によって侵略などの悲惨な体験にあまり遭っていないしていないからだろうとしていますが、この辺りは議論の余地がありそうです。

ただ、最近は日本でもベドウィン式の考え方や行動がだんだん広まってきているようですが、これは日本人の感性が国際標準に近づきつつあると喜ぶべきことなのでしょうかか、それとも嘆くべきことなのでしょうか……
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『封神榜』その2

2006年11月11日 | 中国古典小説ドラマ
『封神榜』第9~16話まで見ました。

このパートは西伯侯姫昌(周の文王)が羑里に囚われてから七年後に釈放されるまでの顛末と、哪吒(なた)の出生に関するエピソードが中心です。

我らが姜子牙は紂王を痛罵した罪でお尋ね者の身となり、朝歌から逃亡して西岐へと向かいますが、妲己の口利きで殷の国師となった申公豹がストーカーの如く彼を付け回し、彼の宿泊した旅籠に客が寄り付かないようにし向けたり、姜子牙の西岐への仕官を邪魔したりと、ショボい嫌がらせを繰り返します(^^;)

仕方がないので姜子牙は西岐の地でしばらく身を潜めることにしますが、その間に陳塘関の総兵・李靖の三番目の男の子として哪吒が生まれます。このドラマではどういうわけかナタの母が黄飛虎の妹ということになっていますが……

哪吒は陳塘関で暮らしている頃は子役が演じ、太乙真人によって蓮の化身として生まれ変わってからは冼色麗という女優さんが演じています。この辺は賛否両論あると思いますが、ボーイッシュな雰囲気であんまり違和感がないですし、男優が演じるとムサくなるのは免れないので、これはこれでいいと思います(^^;) ちなみにこちら哪吒役の女優さんの画像。一緒に写っているのは子役の方です。

こうして七年が過ぎ、伯邑考が父の釈放を願い出に朝歌に赴きますが、申公豹と妲己に陥れられ、処刑されてしまうことに…… このドラマでは伯邑考と妲己が婚約者だったという設定になっているので、このエピソードも原典とは多少趣が異なっております。息子の犠牲によって一度は姫昌の帰国が許されますが、妲己の差し金で帰国を阻むべく追っ手が遣わされ……
コメント (2)
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